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テツコ『Curl』リリース記念、Vo/Gt渡邊玲子インタビュー

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日本だけではなく海外のファンも増加中の京都発スイートパンクトリオ〈テツコ〉。 2024年3月6日にリリースされた最新アルバム『Curl』は、シングル4曲を含む掛け値なしのテツコの最高傑作!近年ではロックバンド〈SUPER GENTLE〉も同時に率いる、充実期のフロントマン玲子さんにインタビューを実施!『Curl』制作の背景に迫ります

インタビュー/編集:池田敦也(TOKYO TOWN SHALALA/ボーカル&ギター、音楽ミニコミ誌・boi 編集長)
企画/監修:渡邊文武(PTA/部室)

渡邊玲子×池田敦也
池田

前作『パーフェクト』から2年半、テツコの最新作『Curl』がリリースされました!本作を聴いてみて真っ先に、例えばファン投票で作られたベストアルバムや、テツコの好きな曲を集めて作ったミックステープのような、ロックンロールとポップネス溢れる佳曲が揃った作品だなと感じました

玲子

今回、すごく高い理想があったんです。
アルバムを出すって決まってから、全曲シングルにできるような、そういう曲を10曲集めたいって思ってて。結局出来上がってみたら「これはアルバムの曲っぽいかな」というのも入っちゃってたんですけど。ベストアルバム的に感じたっていうのはその残り香があるのかもしれない。当初は3歳の子供が聴いても良いなって思うような、普遍的なものを目指していました。

テツコ/聖少女☆テツコ Tetsuko/Holy girl Tetsuko (Official Music Video)
池田

実際に制作に入ってみてどうでした?

玲子

アルバムを作ってる時、テツコっていうバンドのことを今までで一番意識したんです。それはSUPER GENTLEを始めたからっていうのもあるし、自分が気付かないような領域がバンドって凄く多いんだなってことに気づいた。それで、もしかしたら「頑張らない」っていうのが良いんじゃないかなって、このアルバムを作っている時に思ったんです。

池田

それまでは頑張っていたと

玲子

頑張ってたんですよ、バンド活動。
でもライブや音源に限らずですけど、聴いてくれる人からよく、自分が頑張ってるところじゃない、別のところを褒められてるなってことをふと思って。
テツコのことを他にいない感じだって熱弁してくれる人とか、演奏のこととかを褒めてもらってもいまいちよくわかんなくて。だから自分が頑張ってる所以外のこと、勝手にそうなっちゃってて自分では気づけていないところを良いなって思ってくれてるってことは、逆に頑張らないほうがもっと力が出るかもしれないって思ったんです。

池田

なるほど、でも頑張らないっていうのを意識するのも結構難しそう……

玲子

あえて今回練習をしてから臨んだんですよ。
前は全然練習しないで、曲ができたらパーンって録る、みたいな。固まりすぎないで、ラフな感じでやってたんですけど、今回はみんなが曲に慣れて、勢い良い気持ちで演奏したほうがライブの時の「良いぞ!」って感じが出るかなって思って。自分のギターのことでも、頑張らないって思ったほうが逆に練習するようになったりもしました。別に練習しなくてもいいやって思ってると、やっぱりやりたいって思うんですよね。

池田

自分が頑張ってどうこうするのではなくて、ある種客観的な視点を持って、テツコというバンドのことを改めて知っていくような作業ということですね

玲子

でもメンバーに「頑張らないほうが良いって思って録音した」って言ったら「そんなこと考えてたんや!私何にも考えてなかった」って返されて。

池田

メンバーの方が一枚上手でしたね(笑)

玲子

これがテツコらしさなんだろうなって思いました!

池田

『Curl』の収録曲の話に戻ると、冒頭の全曲シングル並みを目指したという言葉通り、アルバム一曲目を飾る「聖少女☆テツコ」や「京都ガール」「パーマネント」「カミナリ様」そして「Hello」など様々なポップネス溢れる曲が収録されています。曲作りにおいて意識したことはありますか?

玲子

元々80年代にあった日本の歌謡曲の、サビで急に英語になったりとか、カタカナ語になったりっていうのを聴いて育ってきたので、私のスタンダードってそういう感じなんです。でも今回それを控えめにしてみて、日本語を使うってことを意識してみました。っていうのも、最近たまとあがた森魚が良いぞっていう気持ちが高まってきてて。

池田

意外な名前が出てきました!

玲子

私が今まで好きだったロックって、ストレートにカッコいいというか、例えば↑THE HIGH-LOWS↓とかTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTみたいな。ファッションとか立ち振る舞いがカッコいい、そういうイメージがあったんです。でも、たまとかあがた森魚さんってそういうのじゃないっていうか「いったいなんなんですか!?」っていう感じだけど「いや、凄いぞ!」みたいな(笑)不思議な、ただカッコいいっていうのと違う良さがあってそれが良い。

テツコ / Hello<ヘロー>(Official Music Video)
池田

ちなみに、今作は曲調はポップなんですが意外と「かなしい」とか「寂しさ」というワード、ネガティブな感情を捉えた歌詞が多いですよね

玲子

悲しいとか死ぬとか、そういう言葉を歌うのってなぜか気持ちいいって思います。M2「かなしい」は明るい感じのアレンジですけど、デモはかなしい感じの弾き語りだったんですよね。
それから曲作りでいうと、音楽を始めた中学生のころから、作曲って立体的な建物っていうイメージがありました。イントロが玄関で、階段登って次の展開に行って、みたいな。そういう曲作りの仕方を、このアルバムで久しぶりにまたやりはじめましたね。

渡邊文武(ディレクター):─僕の中ではね、初期の頃のテツコって、もちろん単純に良いバンドだとは思っていたんだけど、他人が聴いてわかってくれるかな?っていう想いが少しあって。それが5年前くらいからかな。玲子の制作スピードが急速に上がっていって、少しずつ世界が広がって、市井の人との接点が増えていった気がしてます。

玲子

当時は結構めちゃくちゃというか、1曲ごとへの想いがかなり強くて世界観も勝手な感じだったと思うんですが、今はとにかく作って、ボツになろうがそれでも良いっていう方向になってるかも。

池田

3月22日には東京・東高円寺二万電圧にて、4月14日には大阪・梅田ハードレインにてワンマンライブを控えています。
今までお話しして頂いたように、今作に至るまでも様々な変化を遂げているテツコですが、どういったライブにしたいと考えていますか?

玲子

ワンマンは、だいたいバンドが30分って枠でやる時に、例えば最初か最後に自分たちの代表曲とか、推してる曲をやるじゃないですか。いろんな時期のテツコがやってたそういう曲を全部やっちゃうみたいなセットリストを考えてます。

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