バンドの結成は1995年、活動休止期間を挟みつつも体制を整え、『TIMELESS』(1st EP:2023年)に続き、ようやくリリースされるファースト・フル・アルバム『STAND UP FOR THE FUTURE』。‘80年代のエッセンスを感じさせる壮大でスケールの大きなメロディアス・ハード・ロックは、ここ最近のアンダーグラウンド・シーンではあまり聴くことができないサウンドかもしれない。バンドの創始者でもありメイン・ソングライターでもあるギタリストのKENJI ONIZUKAに話を聞いた。
Text by YASUSHI SAITO (BxTxHx RECORDS)
編集:HIROKI SHIOZAWA (diskunion)

Hajime Morikawa – Bass
Junichi Yamamura – Drums
Tatsu Sakiyama – Vocal
Takuo Kobayashi – Keyboard
Kenji Onizuka – Guitar
>バンドの結成は1995年とのことですが、まずはバンド結成の経緯から教えてください。
ONIZUKA:最初は知り合いの紹介で集まった感じですね。セッションを繰り返しながら徐々に形になっていきました。今のベースのMORIKAWAが加入したのが結成から2〜3年後くらい、キーボードのKOBAYASHIが加わったのがそれからまた数年後で、結局オリジナル・メンバーはTATSU(Vo)と自分だけになってしまいました。当時は池袋ADMや秋葉原 CLUB GOODMANあたりでよくライヴをやってました。ただ個人的な事情もあって、2007年くらいからバンドの活動が停滞し始めたんです。そこで一旦休止させようかって。そこで自分はソロ・キャリアを歩むことになりました。
>ソロ・キャリアはどんな感じのものだったんですか?
ONIZUKA:当時は仕事が忙しかったので、すべて自分一人でやってたんです。いわゆるギター・インストで、ドラム、ベース、キーボードも打ち込みで作成してました。ライヴは主に海外でしたが、自作のバッキング・トラックをオケにして弾いたりしてました。その時代はギタリストとしての技術を磨くと同時に、打ち込みなどの自身のスキルの幅も広げていました。
>RAILROADとは音楽性が全く異なる感じですかね。
ONIZUKA:そうですね。その時期はもうピックも持たないで、フィンガー・ピッキング・オンリーでやってましたね。敢えて例えると、ジェフ・ベックみたいな感じのサウンドでした。
>オリジナル・ドラマーの方が亡くなられて、2016年に追悼ライヴで久し振りに再会したんですよね。
ONIZUKA:はい。久し振りに集まってライヴやろうよって感じで。それを年1回のペースで3回やったんです。その3回のライヴで、だんだんとメンバーのヴォルテージも上がっていったといいますか。あと周りから「これはちゃんとやらないともったいないよ」というお言葉をたくさんいただきまして…それはバンド仲間だったりお客様だったりするんですけど、そういう声を多々いただいて、自分達もだんだんその気になったっていうところじゃないですかね。あとは細かいことを言うと、ソロでずっと指でギターを弾いていたので、ピックに戻すのにちょっとリハビリが必要だったというのもありますね。
>そしてバンドが本格的に始動したのが、2019年ころになりますか。ちょうどコロナ禍の時期にあたりますかね。
ONIZUKA:そうなんです。これからという時に。でも、そんな中でもレコーディングに特化して活動を続けてまして、2022年ころにはすべてのパートを録り終えていました。ただレコ―ディング終了直後にメンバー・チェンジがありまして。ドラマーなんですけど、別にバンドをやっていてそちらに専念したいということになり、YAMAMURAが加入したんです。
>バンド名の由来はなんですか?
ONIZUKA:これ聞かれると本当に答えづらいんですが…特にこだわりはなかったんです(苦笑)。なんか響きが良かったんですよね。シンプルでわかりやすいし。
>RAILROADの音楽性は当時から変わっていませんか?
ONIZUKA:前作『TIMELESS』(EP:2023年)に収録されている6曲はすべて、結成当初に制作していた楽曲です。だから方向性はそんなに変わっていないと思いますよ。
>日本語詞の楽曲が多いですが、洋楽っぽい雰囲気がありますね。
ONIZUKA:まあ、いろんな要素があると思うんですけど、もともと自分もTATSUも洋楽が好きで、影響を受けているところは多大にあるとは思うんですよ。それこそブリティッシュでもアメリカンでも。その当時のハード・ロックからヘヴィ・メタルっていうのは、嫌でも影響を受けてる世代ではあるんですよね。オリジナルは別物っていうバンドが多いと思うんですけど、自分たちは結構素直にそのまま影響が出ているのかなという気はしています。
あとメイン・ソングライターとして言わせていただくと、まず曲の中にドラマが欲しいっていうのがあるんです。ドラマって何かというと、イントロ~導入部分~歌のサビ~ギターソロ…っていう具合に展開というか流れがありますよね。そこでちゃんとわかりやすいドラマとか絵とか、表情とか風景とかを感じてもらえるように曲作りをしているつもりです。
>RAILROADが結成されて一時活動休止となるまでの時期は、わりとヘヴィなものがシーンの主流だったと思いますが、苦労されたことはありませんでしたか?
ONIZUKA:確かにライヴの対バンはなかなか難しかったかもしれないですね。だけど音楽性をどうしようとかは、あまり考えなかったです。確かにそれぞれの年代で流行り廃りはあったと思うんですけど、70年代でも80年代も90年代でも、いい曲って今でも残っているじゃないですか。そういうものを目指しているので。
>時代に流されることなく、自分たちのオリジナリティを追求された感じですかね。
ONIZUKA:何かこだわりがあったとしたら、私自身の楽曲に対するクオリティへのこだわりですかね。例えば誰にでも「このジャンルはそれほど好きじゃないけど、この曲は間違いなく名曲だよね」ってあるじゃないですか。そういう意味でのクオリティを追求しています。時代に流されない曲を、ちゃんと記録(アルバム)として残して、ライヴでもしっかり表現できるようにしたいというのがこだわりだと思います。
>百戦錬磨のメンバーが揃っていますが、それぞれ簡単な経歴を教えてください。
ONIZUKA:TATSU (Vo)は、あのジミー桜井さんと一緒にJimmy Sakurai Plays ZEPをやってます。MORIKAWA (B)はイカ天にも出てたORPHEUSや藤岡幹大さんとも一緒にバンドをやってました。YAMAMURA (Ds) は過去にMARGE LITCHやCHURCH OF MISERYで活動してましたが、現在も多くのバンドに在籍してます。KOBAYASHI (Key)はSEVENTH SONでも活動中です。自分は坂本英三さんとEIZO KOREAで活動してます。あと、10/10のレコ発のオープニング・アクトとして演奏するんですけど、インスト・バンドのQuadrant 4もやってます。
>今回のアルバム制作は、いつ頃からスタートしましたか?
ONIZUKA:曲作りはずっとやってるんですよ。今回のアルバムに収録されている曲も、前作リリース後から数年間、いろいろ実験的にやってどんどん増やしてった感じですね。あと活動休止以前に制作した楽曲も収録されています。
>楽曲はどのように制作されているのですか?
ONIZUKA:あえて昔という言い方をしますが、昔のバンドの活動ペースって、週2回スタジオみたいなのが多かったじゃないですか。それこそ80年代とかそうでしたよね。その場合は曲を練る時間も確保できるのですが、我々のような年齢になってくると活動ペースが落ちてきて、そこまでは当然できないと。そうなると、ある程度曲を形にして、事前にシェアして、みんなが骨格を分かった上でスタジオに入って仕上げるみたいなやり方になるんです。時短のやり方っていうのがだんだん分かってくるといいますか。なので自分の方でリズムとリフとコード進行とヴォーカルのメロディのガイドみたいなものを、ある程度作っていくんです。それをメンバーに投げて、週一いけるかいけないかぐらいでスタジオも入りつつ、ライヴも何回かこなしながらクオリティを上げていく感じですかね。
>レコーディングはスムーズに進みましたか?
ONIZUKA:アルバム制作は私とKOBAYASHI (Key)が中心となって全ての作業に関わるのですが、前作は初のレコーディングという事もあり、振り返ると試行錯誤の時間が多かったと思います。今回は前回の経験を活かして作業自体は順調でした。個々のパートのレコーディングも比較的スムーズでした。そして、肝心のミックス・マスタリングもKOBAYASHIの紹介で、前作でもエンジニアを担当していただいた酒井章さんに今回もお願いしたんですけど、今回のレコーディングの前にライブで新曲を聴いてもらい、プリプロを聴き込んでいただき、凄くキャッチボールをした上でミックスに臨んでいただいたので、音作りやミックス、マスタリングまで、すごく思い通りになったと思います。そういう意味では、今回の作品はとてもスムーズに進行しました。
>今回のアルバムの作業は、いつ頃から始められたんですか?
ONIZUKA:スケジュールを確認してみたら、2025年の9月にプリプロのリハーサルという記載があるので、その辺りから本格化したのだと思います。YAMAMURA (Ds) が懇意にしているエンジニアさんと一緒にドラム・トラックを完成させたのが2026年の1月。それを基にバッキングのギター・パートを渡してベース、キーボードをそれぞれ録音してもらい、ギターは自分の家ですべてのパートを録音して、というふうにバラバラに録り進めました。途中からヴォーカルもスタジオで酒井章さんと録り始めていたので、かなり効率的に進められたと思います。
>前作のEP『TIMELESS』と比べると、よりサウンドの幅が広がった印象ですね。
ONIZUKA:それが音楽性にどこまで影響したのかわからないですけど、変化という意味では自分がYAMAMURAのドラムに慣れたのが大きいかもしれないですね。彼のドラムってジャストで正確で細かいんですよ。前作のドラマーのYANAKAさんは、どちらかというとちょっと後ノリで、以前の自分はその方が合うタイプだったんです。その後YAMAMURAとライブ、リハーサルを重ねていく中で、どんどん感覚が合ってきて、もうここ最近ではすごくやりやすいんです。そのような違いの中で仕上がってきた曲達なので、多分そういうことも関係しているのかもしれないですね。
>作詞にはメンバー以外のクレジットが見受けられますが、どのような経緯で参加されたのですか?
ONIZUKA:ヴォーカルのTATSUの人脈ですね。ほとんどの歌詞は彼の手によるもので、自分自身は日本語詞と英語詞のこだわりはないので、響きが良ければどちらでもって感じですかね。

>ジャケットは前作のEP『TIMELESS』と繋がるようなデザインですが、どういったコンセプトで制作されましたか?
ONIZUKA:キーボードのKOBAYASHIがデザインしていまして、前作の時も元ネタは彼が作ったんですよ。凄く気に入ったのでこのイメージで行こうよみたいな感じはありましたね。自分からは「前作が赤だったんで今回は青っぽいのでお願い」っていうのは言いました。
>曲順も起承転結があり、とても練られていると思います。オープニングとエンディングのインストは、当初から何か想定されていたのですか?
ONIZUKA:まさに今後のライヴ活動にもつながるんですけど、ライヴのオープニングとエンディングのSEをイメージで作りました。しばらくはこのSEをライヴの頭と後ろに使うことになると思います。オープニングのTowards The Hopeは私とKOBAYASHI (Key)の共作で、原型はこれまでのライブSEでも使っていましたが、今回ブラッシュアップしたバージョンを録り直しました。エンディングのBridge To The Futureはさきほどお話しした、自分のインスト時代に作った曲でして、エンディングに相応しい曲は無いかと過去曲をひっくり返した時に全く忘れていた曲なんですけど「あ、これだ!」って思ったのがこの曲です。それをKOBAYASHI (Key)にアレンジし直してもらいまして完成しました。
>2曲目の「Stand Up For The Future」は、ミディアム・テンポのスケールの大きな広がりのある、まさにアルバムのタイトル・トラックにふさわしい楽曲ですね。前のインスト曲との繋がりも良いと思いました。
ONIZUKA:ありがとうございます。やはりライヴを観ている人のイメージをしての曲順なんです。この曲は結果クオリティが高く、バンドらしさが色濃く反映されているので、本編の一発目というポジションにしたかったんです。
>3曲目の「Everyday Every Night」は、キャッチーなサビが印象的です。
ONIZUKA:これは昔作った曲なので、その時のことはよく覚えてないんですけど(苦笑)。今回アルバムに収録するにあたって、ギターソロの展開とか、その前のちょっとしたフックとか、結構アレンジはしましたね、あとまあエンディングですか。これはもう本当に80年代のイメージで、弾きまくろうと思って弾きました(笑)。
>4曲目の「Life Goes On」は、牧歌的なパワーバラードで、古き良きハードロック的な印象ですね。
ONIZUKA:これはTATSUの弾き語りが基になっているんです。だからそこにバンド・テイストをどう組み込むかって考えました。自分のギター・ソロも結構メロディアスに弾いてますし、最後のコーラス・パートは自分が後付けで作ったんです。これを付け足すことによって、最後にロックでありながら、こうコーラスで盛り上げて終わるみたいな。なんかフォークっぽくしんみりしないというか。明るく大きく終われるっていうエンディングが欲しかったんで。
>5曲目のバラード「Strawberry Jam」は昔の曲とのことですが、日本語詞がハマっていますね。
ONIZUKA:確かに日本語でなければ、ここまで内容は伝わらなかったのかもしれないですね。これは自分の書いた曲ではないんですけど、曲としては非常にクオリティが高いので、バンドでもちょいちょい演奏してたんです。今回のアルバムに収録するかどうかちょっと迷ったんですけど、楽曲のバリエーションが広がるし、これを超えるバラードは現存していないので、メンバーで相談して収録することにしました。
>6曲目の「Secret Game」はアップテンポで、B面1曲目的なナンバーですね。
ONIZUKA:メンバー間でも「アップテンポな曲をやりたいね」っていってたんです。そこで自分がいろいろ考えてひねり出した曲で、リフが二つぐらいあるんですけど、いくつかのパーツを組み合わせたり、サビのところで敢えてテンポハーフにしたり、普通にただ速いだけの曲じゃないように仕上げました。あとギター・ソロとキーボード・ソロの間に、ギターとキーボードがハモるパートがあるんですけど、実はあれは自分のインストで作った曲が元ネタになっています。このアルバムのところどころに、ちょいちょいそういうインスト・ネタが出てきますね。このようなアップテンポの楽曲はアルバムの中では希少なので、よりパンチがあるように聴こえるかなとも思います。
>7曲目の「Take Me Back」は、どこかほのぼのとしたテイストを醸しつつ、サビが力強い楽曲ですね。
ONIZUKA:これも古い曲ですが、サビが力強くてギターがすごく歌う感じの楽曲ですね。ただ速く弾くのは好きじゃないんですよ。そういうのはインスト・バンドでやればいいと思うし。だからメロディが重要になるんです。
>8曲目の「Waiting For You」は、哀メロが素晴らしいですね。
ONIZUKA:この曲はサビからできた気がするんですよ。サビのコード進行を作って「あっ、これだ」って。そこでイントロの部分でキーボードにメロディアスなテーマを弾いてもらいました。
>9曲目の「Railroad」は、ミディアム・テンポのサビがキャッチーなナンバーで、こういったスタイルの楽曲は、このバンドの独壇場といった感じですね。
ONIZUKA:この曲はライヴの最後にプレイすることを念頭に書いた曲なんです。コール・アンド・レスポンスでお客さんにも歌ってもらいたいと思いまして、曲の最後にそういうパートを入れてます。ギター・ソロも転調したパートを敢えて作って、そこにハマるメロディを後から作りました。そして歌詞をTATSU (Vo)に投げましたが、何か閃いたようでサクッと良い歌詞を書いてきました。イメージが正に「Railroad」にぴったりだという事で、バンド名と同名のタイトルになりました。曲のクオリティもそうですし、歌詞の内容もそうですし、いろんな意味でバンドを代表する曲の一つになったと思います。
>それでは最後に、リスナーの方々へひとことお願いします。
ONIZUKA:洋楽が好きな方、邦楽が好きな方。ポップスに近いロックが好きな方、それぞれの方々に響く楽曲があるんじゃないかなと思います。まずは音源を楽しんでいただいて、いいなと思ったら是非ライブに足を運んでいただけると嬉しいです。

Release Information

STAND UP FOR THE FUTURE
RAILROAD
BTH121
01.Towards The Hope (Inst)
02.Stand Up For The Future
03.Everyday Every Night
04.Life Goes On
05.Strawberry Jam
06.Secret Game
07.Take Me Back
08.Waiting For You
09.Railroad
10.Bridge To The Future (Inst)
Live Information
11/29(日) 新宿 Crawdaddy Club
12/12(土) 高円寺 SHOWBOAT
…and more
Information
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