毎週水曜日 27時に放送、BAYFM 『78 musi-curate』の選曲を担当するdisk unionのプレイリスト番組。今月から月一回、神保町店のスタッフで、DJ/NEW WAVE伝道師のmoe the anvilによる選曲と、ピックアップした楽曲解説コラム「Adventure : Longing for home」がスタート。
O.Aリンク
78 musi-curate Hour.1 | bayfm78 | 2022/10/12/水 27:00-28:00
https://radiko.jp/share/?sid=BAYFM78&t=20221013030000
今週のテーマは“ファンタジー”。
耳にしたことがあるかもしれない映画のテーマソングやそのリミックスから、まさにファンタジックで壮大な世界観、シンフォニックな香りのするROCKなど、色んな“ファンタジー”曲をセレクト。その中でも特に語りたい曲を気ままに解説していきます。
もちろん、私が普段から布教している70’s~80’s NEW WAVEの隠れた良曲も紹介!
#1 TOTO‐Hydra (1979)
なんとなく、ファンタジーと聞いてまず浮かぶのはTOTO。やっぱ凄腕ミュージシャン集団だから成せる業か、スケールの大きな曲が多い。
AORやHR/HMなど何でもやっちゃうんですが、2ndの1曲目を飾るこの曲はプログレ感強め、“Hydra”というのはギリシャ神話に出てくる9つの首を持つ怪物で、それと戦いに行くという物語が展開されます。これだけで十分にファンタジー。
アルバムジャケットは、剣を持った男(ルカサー?)なので、全体を通してそういうコンセプトのようです。この、剣を無理やり持たされているような血迷った感じが80年代ロックっぽくて好き。
#3 Genesis-The Brazilian (1986)
大ヒットアルバム「インビジブル・タッチ」収録のインスト曲。とっくにPOP路線になっていたバンドの、口ずさみやすい曲が並んだ同アルバムのラストを飾る曲が、思い出したようにプログレッシヴでこんなにも壮大なエクスペリメンタルっていう素敵な構成。当時は“When the Wind Blows”というアニメーション映画にも使われていた。
余談ですが、このアルバムからのシングルカットで全米1位になった「インビシブル・タッチ」を首位から蹴落としたのが、元ジェネシスで創設者のピーター・ゲイブリエル「スレッジハンマー」だというエピソードがなんともドラマチックで大好き(笑)。
#4 Wim Mertens / Soft Verdict-Not At Home (1982)
ベルギーの現代音楽家Wim Mertenが、自身のミニマル室内楽ユニットSoft Verdict名義でファクトリー・レコード系列のクレプスキュールからリリースした傑作。
ポスト・クラシカルなアプローチで生まれたポストパンク、と言ったところかな?その辺はドゥルッティ・コラムなんかと通じると思います。概念的だけど。そういうぼんやりとしたところがNEW WAVEの醍醐味なのであります(笑)。
ジャンルの垣根を飛び越えて、イメージで訴えかけてくる人たちなのです。
TUXEDOMOONのピーター・プリンシプルなどが参加。
#5 Theatre Of Hate‐Do You Believe In The West World? (1982)
前身であるいくつかのパンクバンドを経て結成、そのうちドラマーだったJim Walkerは後にP.I.Lに加入していることからも分かるように、原始的なドンドコリズムが特徴的なウエスタン・ポストパンク・ディスコ。戦場や軍隊のマーチングを彷彿とさせる臨場感がたまらない。
スティーヴ・リリーホワイトみたいなリズムだけど、プロデュースはThe Clashのミック・ジョーンズ。
呪術的なギターとヴォーカルも最高で、活動は短命だったためカルト人気に終わっている感はあるものの、その後のポジティヴ・パンク勢に与えた影響は絶大な重要バンド。
#6 Giorgio Moroder-Paul’s Theme (Jogging Chase) (1982)
映画『キャット・ピープル』挿入歌。ご存知エレクトロ・ディスコのパイオニア(今日のシンセサイザーを使ったダンス・ミュージックは、彼が音楽史に存在しなければもっと違った形になっていたであろう、偉い人)。
80年代は数多くの映画サントラも手掛け、その音楽性も多岐にわたっていたが、この曲は彼のお家芸であるズンドコシーケンサーに乗せたバレアリック・サウンドがシンプルで美しい一曲。12インチでもB面扱いだけど、私はよくDJでプレイします。

10代から70・80年代Punk/New Wave/ニューロマンティックに傾倒したことをきっかけに2017年よりDJキャリアをスタート。 J-WAVE番組イベントへの出演等を経た後、2018年からはディスコミュージックを中心にプレイ、アンダーグラウンドシーンにおいても、大貫憲章、松田高志、DJ MIKU、牧野雅己といった元新宿ツバキハウスDJとの共演などを重ね、プレイスタイルに磨きをかけていった。その傍ら、延長に派生したと解釈するIndie Dance / Dark Disco / Leftfield等をプレイ。 現在、都内唯一のNew Wave イベントである”New Wave Lounge”を主宰、主要クラブや野外ダンスパーティーGLOBAL ARK等へ出演するほか、活動はフロアでのプレイに留まらず、ラジオ番組レギュラー出演・音楽コラム執筆を通し、平成生まれの後追い世代ならではの多角的なアプローチ、ノスタルジックな雰囲気を残したセレクトで、幅広い世代に今昔のNew Waveサウンドを伝道する。
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