イトオミカ・ブライアン新世界による夫婦ユニットLafuzin 、サウンドプロデューサー・ブライアン新世界がソロ作品のリリースに専念しユニットとしての活動は一時休止するため、初めてイトオミカによるセルフプロデュースとなる楽曲「スターシェード」を配信リリースした。
今作はイトオミカがDTMを駆使し、80s UK/テクノポップを彷彿とする翳りと煌めきが交わる懐かしくもユニークなトラックに仕上がっている。ミックス・マスタリングはブライアン新世界が手がけた。
なお、今作は二部作となり「スターシェード」はポップスターの苦悩を描いた作品だが、逆にスターのファン視点を描いた楽曲「ファンtaboo」を3月1日(水)にリリースすることを発表。音楽の作り手と聴き手の光と闇を描いた2作連続リリースに期待が高まるが、まずはイトオミカによる「スターシェード」楽曲解説を読んでリリースされたばかりの新曲をお楽しみいただきたい。
スターシェードというのは宇宙観測で邪魔になる恒星の光を遮る”宇宙の日傘”の役割をする遮光装置で、現在NASAで開発中の太陽系外惑星の探査システムであり、日本の折り紙をアイデア源に試作機まで開発されています。今回”演じるスターの光と影”をテーマに歌詞を書き、トラックは宇宙を感じるSFサウンドでまとめたのでそれを象徴するタイトルにしたいと思いました。そこでたまたま頭に思い浮んだのが”スターシェード”というワード。検索してみるとNASAで開発中の惑星探査システムであることがわかり、星の光を遮り影を作る装置というのがぴったりだと思ったのでこのタイトルに決めました。
“I’m intelligent”と繰り返しているのは、正にスター自身の自己暗示であり華やかなステージにたつ演者の闇の部分を表しています。プレッシャーに押しつぶされそうな弱い自分をかき消すための自己暗示です。と同時に、私は聡明なアーティストだ!と鼻高々に自己陶酔する演者の醜さを皮肉った歌詞でもあります。冒頭の”バッテンだらけで隠れた僕のチャームポイント”という部分だけは、私の気持ちを書いています。これはあらゆるレジェンド級のスターと対峙した時に、あまりにも自分が見窄らしくて小さな人間に思えてきて、自我を喪失しかけることがよくあったので、それをこの歌詞で表しました。
この曲の良いところは、聴く人によって捉え方が様々になるのではないかな?という点です。”I’m intelligent”と何度も出てくるので、おそらく殆どの人が、イトオミカが自己陶酔している曲だと勘違いするのではないかと思うのですが、それも狙いではあります。歌詞の意味を表面的に捉えた時と、意味を理解して聴いた時とで全く違う聴こえ方をするので、歌詞の2面性が楽しめる曲になったと思います。歌詞に意味を込めても、聴き手に伝わらなかった時の作り手の虚しさなどもこの2面性で表現できたのではないかと思っています。
この楽曲の次にリリースする曲は、スターシェードと対になっていて、今度はスターの狂信的信者目線の曲です。(ジョンレノンを銃殺したマークチャップマンのような人物が主人公です)作り手と聴き手の光と影を2曲合わせて聴いて頂けるとより楽曲への理解も深まるのではないかと思いますので、お楽しみに!
著:イトオミカ