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BELLRING少女ハート ONEMAN LIVE Bad Rich Grumpy Head “BRGH” ライブレポート

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Photo by サトウマリ

2024年4月16日(火) 恵比寿リキッドルーム
この記事は、現体制/3期 BELLRING少女ハートの1周年記念公演のライブレポートである。
当日の様子に触れる前に少し彼女たちのことについて書いておこうと思う。

2023年暮れ、いやさらに遡ること2022年4月、約6年の時を経て、崩壊という名の活動休止から再びその黒い羽根を動かし始めたBELLRING少女ハート(以下ベルハー)。

2012年の結成から2016年の崩壊までの当時をリアルタイムで知る人がどれだけ今もまだアイドル現場にいるかはわからないが、現在のアイドル現場の黎明期を作り上げ、当時を語る上で絶対に避けて通ることのできないコンテンツであることは間違いない。

2022年の再始動のタイミングでBELLRING少女ハート ’22(以下、ベルハー’22)としてステージに立ったのは、MIGMA SHELTERや元NILKLY/現Finger Runsで活躍するメンバーだった。そして最後にそこに加わったのが現体制のベルハーとしても活動する葵みと。加入後、わずか3回のライブではあったが、ベルハー22’へ参加。そしてベルハー22’の活動が2023年1月8日で終了となり、3期にあたる現体制が2023年4月16日にお披露目となった。

3期ベルハーは、葵みと、服部つばめ、東雲こずゑ、瀬名姫羽の4人でスタート。
デビューしたての彼女達にとって、初代+’22のメンバーが残してきたBELLRING少女ハートという名の爪痕、彼女達が背負うことになる名前と歴代の名曲、黒い羽の重み、初代の頃からベルハーを知り見聞きしてきた人達の想い、混沌を極めた時代のベルハー伝説を耳にしてきた人達の目。それは計り知れないものだっただろう。

彼女達はただひたすらに走り続けた。真っ直ぐに。TOKYO IDOL FESTIVAL 2023、@JAM EXPO 2023など夏フェスへの出演、新曲を含むCDのリリース/リリイベなどを経験しながら、秋になり瀬名姫羽が高校受験へ専念するため一時活動をお休みすることとなるが、節目の日となった11月7日、3期ベルハー5人目のメンバーとなる富永咲良が加入。年が明け2024年1月瀬名姫羽が受験を終え、現体制の完成系となり、本公演ONEMAN LIVE Bad Rich Grumpy Head “BRGH” がアナウンスとなった。

なお、メンバーのパーソナルな面にも触れ、ベルハーへの想いなども語りつくしたインタビューはこちらから読めるので未読の方はぜひ。

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そして迎えた、2024年4月16日、火曜日。快晴。

3期ベルハーは、デビューから1周年当日となるこの日を恵比寿リキッドルームで迎えた。平日の夕方にも関わらず先行物販から長蛇の列となり、今日という日へ込められたファンからの期待度が徐々にリキッドルーム内に広がり伝達されていく。
開演直前にフロアに降りると、そこには後方の階段上までびっしりと人で埋め尽くされた景色が拡がっていた。

定刻19:00になり、ステージを赤く染めていた照明が消え『ベルハーファイトー、オーイェー!』という掛け声の後、ノイズと点滅する光とファンの歓声とともに、メンバーが順番にステージへ登場する。

薄明かりのステージ上に5人が揃い、1曲目『ボクらのWednesday』のイントロが鳴り響く。初代ベルハーの頃から人気の楽曲ではあるし、3期ベルハーデビューライブの最初の曲でもあるが、ステージとフロアの一体感がのっけから凄まじい勢いで熱量が上がっていく。続いて先日2月から解禁された『ホーネット ’98』でもさらにその一体感は増していく。

【みんなのファンをいただきます、BELLRING少女ハートです】

いつものご挨拶と、本日の意気込みの短いMCを挟み『アイスクリーム』へ。
開演後2曲で作った空気感を突き刺し切り裂くようにも聴こえるサウンドと展開、随所でフロアから悲鳴にも聞こえる熱の入ったコールが入り、ステージの5人もますますパフォーマンスが上がっていくのが伝わってきた。

縦ノリかつコールの声も格別大きくなる『get rid of the Chopper』に続いて、本日初披露となる新曲『No sad’s』へ。前曲からの流れを引き継いだかのような縦ノリかつ跳ねまくるリズミカルなベースラインが印象的で、これまでのベルハー楽曲群にもないテイスト。3期ならではの楽曲として育っていくのが今から目に浮かぶ。

ベルハー流のエモーショナル節満載の『D.S.P 〜だいすぴッ〜』、歌い継がれ今もなお進化を続ける名曲『UNDO』、マニアックなインダストリアル響きのある曲ながらコアな人気曲『Manic Panic』と続く。

ロングバージョンの自己紹介のあと、先ほど披露した現体制2曲目の新曲のことに触れ中盤戦へと続いていく。

昨年リリースしたシングルにも現体制ver.で収録されている『或いはドライブミュージック』、そのシングルのタイトル曲であり現体制でのオリジナル曲『She’s Rain』、本日2曲目の新曲『真夏の檸檬』と続く。

3期ベルハーの魅力がこのパートではっきりと感じられた。
しっとりとしたメロディーの『或いはドライブミュージック』でつくった空気感を、『She’s Rain』の雨音とピアノに続くドラムンベースで徐々に増幅させ、終盤へ向けて静かに着実に感情を爆発させていく。3期ベルハーにとって今日という日が来るまでは唯一のオリジナル曲ということもあり、フロアも彼女達の気迫に呼応して無数の手があがる。本日2曲目の新曲となった『真夏の檸檬』はフォークをベースとしたレトロなエレクトロサウンドで、メロディーも相まって童心に帰れるような懐かしさと夏の夕暮れを思い起こさせる。

そして、ここから怒涛の終盤戦の幕が開く。
寂しげなピアノの音色と讃美歌風な歌唱により厳粛な空気を作り出し中盤の転調から一気に突き上げる『タナトスとマスカレード』でさらにフロアのギアが上がる。続くミドルテンポでダークながらも前半と後半のコントラストの美しさがベルハーならではの世界観を体現するギター+ストリングスが印象的な1曲である『low tide』でフロアの声はますます大きくなる。『鉄の街』でつかのまのクールダウンを挟み、ベルハー全世代のアンセムと言ってもいい『憂鬱のグロリア』のイントロが鳴った瞬間、大きな歓声が上がりフロアがこの日一番の揺れを魅せる。見渡す限り腕そして腕。現体制が始動したころからこの曲が甦るのを心待ちにしていた人も多かったのではないだろうか。現体制でお披露目されたのはついこの間の2月の末ごろ。やっと見られたという人も多かっただろう。

ここまでの盛り上がりになるとさすがにフロアも疲労感が出てくるかとおもったが、怒涛の終盤戦はまだ続く。

『asthma』!というタイトルコールと共にあの壮大なイントロが鳴り響く。無数のリフトが上がり次から次へとステージへ向けて愛が飛ばされていく。「これからもBELLRING少女ハートをよろしくお願いします!」という声が合図となり前方と後方2箇所でサークルが完成し特大ラブ&ピースな空間が完成した。
現体制では2作目のリリースとなるシングルを今夏を目安にリリースすることを発表し、本編ラストは極めつけともいえる大横移動運動会の『c.a.n.d.y.』。

ここまでで実に17曲。全身全霊の17曲。それでも今夜はまだ終わらない。

特大全フロア型アンコールに導かれて『the Edge of Goodbye』のリフが鳴り響く。3期ベルハーがデビューしたその日から幾度となく歌われてきたこの曲で、メンバーもフロアもこの日の最高到達点を超えてきた。この日会場にいた全ての人の想いと気迫がぶつかりあいが感じられた。

この日のラストに選ばれたのは『BEYOND』。イントロとともに色違いのTシャツと白いスカートを身に着けたダンサー15名がステージへ登場し、メンバーと合わせて総勢20名による、まるでド〇フのオープニングかのような華やかさで大団円を迎えた。

2012年から始まったベルハーの物語は、12年の時を経て3期目のメンバーとなり、当時のグループが持っていた魅力や混沌さではなく、“今”を生きる5人が主役の物語へとなった。
語弊を恐れずに言うなれば、初代ベルハー、ベルハー ‘22とは別軸の可能性をビリビリと感じる夜だった。系譜を背負うだけでなく、自らの成長とともに新たな可能性を切り開いていく彼女たちが、これから魅せられる景色はさらに大きくなるはずだ。BELLRING少女ハートの未来が楽しみで仕方がない。

BELLRING少女ハート 公式

BELLRING少女ハート 公式X(旧Twitter)

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