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上海のジャズ・ヴォーカリスト、ヴォイジョン・シーを起点に、活況な現行中国シーンを読み解く

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現在の上海ジャズ・シーンを代表する若手ジャズ・ヴォーカリスト、ヴォイジョン・シー (Voision Xi/喜辰晨)がとうとう自身名義でのデビュー作『欲言又止 Lost for Words』を発表した。ロバート・グラスパーやグレッチェン・パーラト以降のジャズとして欧米に全く劣らないクオリティの現代ジャズ作品ながら、メンバーはほとんど全て中国のトッププレイヤーで構成されており、その高い技術力やセンスには驚きを禁じ得ない。また、この作品はジャズのみならず、R&Bやヒップホップ、インディーといったジャンルを横断して制作されており、彼女のリスナーとしての幅広さも感じさせてくれた。同時に彼女は、ジャズ・シーンのみならず、R&Bやヒップホップのシーンでも盛んにフィーチャーされるシンガーでもある。アルバムの日本盤CDには吉本秀純氏による詳細なライナーノーツが収録されており、同氏によるインタビュー記事もOTOTSUにて公開される予定だが、ここでは多ジャンルに渡るコラボレーションを振り返ることで、彼女のこれまでの活動の一部をご紹介したい。選曲、執筆は、『アジア都市音楽ディスクガイド』の監修者であり、自身のグループSAMOEDOを率いる音楽家、菅原慎一氏にお願いした。彼女を起点に、現行の中国シーンの活況さを知っていただければ幸いだ。

イントロダクション:宮本剛志

選曲・解説:菅原慎一

ヴォイジョン・シー『欲言又止 LOST FOR WORDS』

Think! Records
THCD-614
2022年10月5日発売
CD
ライナーノーツ: 吉本秀純

『アジア都市音楽ディスクガイド』

監修:菅原慎一+パンス

DU BOOKS

2022年1月28日発売


Little Happiness Group – Cause We’ve Ended As Lovers

Little Happiness Groupは、Voisionが2015年に組んだ彼女の最初のバンド。良質な都市音楽のカタログを多数持つレーベル<Eating Music>から2018年にリリースされた『DEBUT』は、誰もが口ずさめるような世界的名曲を集めたカヴァー集で、こちらはスティーヴィー・ワンダーのペンによる「哀しみの恋人達」。Xiao Jun(シャオ・ジュン)によるギター・アレンジが、Voisionの声に含まれる哀愁成分をよく引き出している。

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