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EPO×GOOD BYE APRIL対談 前編:世代やジャンルを超えるポップスの魅力 “普遍というのは流行じゃなく、いつだって(私の心に在る)ブーム” (取材・文:金澤寿和/Light Mellow)

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結成12年。ワンマンのホール・ライヴをソールドアウトにしたり、ラジオ番組や舞台の音楽を担うなど、多彩な活動を展開しながら4枚のフル・アルバムをリリースして、着々とキャリアを築き上げてきたGOOD BYE APRIL。今年に入って待望のメジャー・デビューを果たし、名作曲家:林哲司ともコラボレイトするなど、大きな飛躍の時を迎えている。そして来たる10月21日、80年代シティポップの代表的シンガー:EPOとのジョイント・ライヴ『Autumn Conjunction 2023』を開催。新たなステップに踏み出すべく合同リハーサルに励む両者を都内某スタジオに捉え、直撃インタビューを行なった。そのライヴへの意気込み、シティポップ談義などを2回に分けてお届けする。 

取材・文:金澤寿和 / 編集:伊藤晃代(OTOTSU 編集担当)


― 今回の共演ライヴの企画が動き出したキッカケは?

倉品

ライヴ会場になっている六本木CLAPSさんに繋いで頂いたんです。バンドでは7月に出演したんですが、その前に僕が一人で弾き語りで出る機会があって、ニューミュージックとかシティポップが好きだと言ってたんです。そうしたら此処はEPOさんが以前から出演されている、という話になり、“コラボレーションしてみると面白いんじゃない?”と提案して頂いて、ならばダメ元でお願いしてみようと…

― メンバーの皆さんはそれぞれEPOさんの音楽を聴いていたと思いますが、具体的な接し方は? 延本さんが大ファンだったという情報は既に入手してますが。

吉田

僕は今回お会いするまで、音源でしか知らなかったんですけど、お話ししたら歌と同じ声で、印象もそのままで、すごく感動しました

つのけん

僕の親がEPOさんの大ファンだったので、ずーっと聴いて育ってきています。だからご本人の後ろで自分がドラムを叩いていることが信じられないというか、ちょっと言葉にならないぐらいで…。自分たちが日常に寄り添った音楽をやっていこうとする中で、EPOさんの音楽にはそれがたくさんある。だからご一緒させて頂けて、嬉しいと同時にすごく勉強になっています

延本

私のファーストEPOさんは、『たったひとつの地球』というNHKの環境教育番組でした。祖母が民謡をやっていたので、自分のルーツには民謡や祖母から聴かされた童謡が刷り込まれているのですが、EPOさんの曲にも日本の古き良き風景が香ることがあって。だからEPOさんの音楽を“懐かしい”と思ったんです。落ち込んで、何の音楽も受け付けられない時でも、『DANCE』(97年)だけはずーっと聴き続けていられる。すごく魂に響く作品なんです

倉品

大好きでずっーと聴いていたのは勿論ですけど、実は<ある朝、風に吹かれて>をカヴァーさせて頂いて、ライヴで歌ったこともありまして、音楽のエッセンスを強く感じていました。自分の曲作りのキーワードであるノスタルジーを感じながら、これからも一生付き合っていきたい音楽、僕はそう思いながら聴いています。だからそんなEPOさんとご一緒できて、本当に嬉しい

カヴァー・ライヴ映像「ある朝、風に吹かれて(EPO)」covered by 倉品翔×清野雄翔 at 六本木CLAPS

― ではそれを受けるEPOは、GOOD BYE APRILの音楽をどう聴いたのか?

EPO

お話をもらって音源を聴いてみたら、すごくシックリきた。流行に乗ろうと無理している感じが全然なくて、彼らなら一緒にやってみたいと素直に思えました。キャリアが長くなると、先輩や同世代の方々と共演する機会はたくさんあるのですが、若い世代とはご一緒するチャンスがあまりなかった。だから若い人との共演に、ちょっと興味がありました。そこへ彼らとの話があって、自分の音楽と被るところがありつつ、私の知らない音楽もたくさん知っているな、って感じられた。だから自分の方も彼らに影響されたい、刺激をもらいたいと思ったんです。CLAPSの担当の方も、“GOOD BYE APRILはホントにいいヨ。特にEPOが一番大事にしているコーラスが良いから、そこをチェックしながら聴いてみて”って、それこそ少し自慢気味に、たくさんの資料を用意してくれました。そして実際に聴いたら、本当にその通りで、まったく違和感を感じない。彼らとなら楽しくできそう、と思いました。キャリアや経験は全然違うのに、一緒にリハーサルしていて、“同じバンド・メンバーだ”って言えちゃう感じ

この言葉に、APRIL一同は大ハシャギ。そんなベテランの気持ちを投影したのだろう、今度のライヴはEPOパート、APRILパートにセパレイトするのではなく、双方のレパートリーを一緒にパフォーマンスする予定になっていて、コレは期待が募る。

EPO

若いのにツボを摑んでいる感じがありますね。演奏も上手いですし、全然不安なく一緒にやっています

倉品

やっぱり、それだけ好きで聴き込んできた、という事なんでしょうね

延本

Twitter(現X)でEPOさんのコピー・バンドをやりたいな、メンバー募集しようかな、なんて呟いたことがあるんですけど、それがご本人登場だなんて信じられなくて。もうやりたい曲が山ほどあって、困っています(笑)

EPO

わぁ、そうなんだ! でも実は私もコーラスが大好きだから、友達のアマチュア・バンドに混ぜてもらって、(山下)達郎さんのコピーをやってるの。3人コーラスで私がトップを取らせてもらって、楽しく遊んでます。だからその気持ち、よく分かる

倉品

お客さんの反応とか満足度以前に、自分たちが楽しむためのバンド。それが原点ですよね

― コラボ・ライヴに向けた意気込み、抱負をお願いします。

吉田

当日はすごく緊張すると思いますが、EPOさんのパワーがスゴイので、そこに乗っかりたいです!まずは僕ら自身が楽しんでいるはずですし、みんなを巻き込んだ、絶対に楽しいステージになると思います。リハーサルでもニヤニヤしっぱなしですが、本番はもうニコニコどころかヘラヘラしてるかもしれません

延本

EPOさんの曲を一緒に演れることも楽しみですけど、私たちの曲にEPOさんが入ってくれることにすごくワクワクしていて。リハーサルもとてもイイ感じなので、ライヴだとどうなっちゃうかな?ってドキドキしてます。冒頭、私たちだけで数曲やって、EPOさんが登場した後は、両方のレパートリーが入り乱れるセットなので、私たちがEPOさんの音楽のエッセンスをシッカリ受け継いでいる、そこを観ていただきたいと思います

EPO

ライヴって何があっても大丈夫。ちょっとしたミスとか関係なく、大きな流れに繋がっているものなの。私だって歌詞が飛んだりするし。でもお客様にとって、私たちが間違えるのってご馳走で、逆に盛り上がっちゃったりする。他のメンバーも挽回しようと拾いに行くから、ごく自然に面白い方向へ行くの。一番いけないのは、そこで萎縮して立ち止まってしまうこと。だからみんなで楽しみましょう!

倉品

ホント、音楽の楽しさが伝わるステージにしたいですね。リハーサルでも、もう好きな曲すぎて、楽器の音が喜んでいる感じがします。それだけ気持ちが入っちゃってる。僕も観る側に回りたいくらいです(笑)

つのけん

リハーサルのうちから、すごく空気感が良いんです。EPOさんがメンバーひとりひとりの目を見ながら、しっかりリズムを取ったり、導いてくださって…。きっと本番ライヴでもこういう感じで、すごく濃い時間が過ごせるんだろうな、っていうのを予感しています。セットリストの流れ含め、とても自然な流れになっているので、そこは思いっきり堪能していただけたら嬉しいな、と

EPO

みんな言われちゃいました(笑)でもこれは始まりだな、と感じています。一度のライヴだけじゃ済まないだろうし、定例的なものにするとか、互いのレコーディングに参加するとか、この先に繋がるものになっていくと思う。これを観た人たちの中からも、自分もAPRILと一緒にやりたい、っていう人が出てくるかもしれないし。そうやって世代やジャンルが混ざっていって、ポップスの魅力、普遍であることの大切さが広がっていけばステキだと思うんです

普遍的なポップスの魅力。それを言葉にするのは簡単だが、実際に音楽を創り、表現として成立させるのはとても難しい。そして、“それを体感している者同士でないと、私は一緒に演奏できない”と力説する。

EPO

そういう意味でも、今回の共演ライヴは単なるスタート地点なんじゃないかな。これからは私だけでなく、他の私世代のミュージシャンたちを刺激していくような機会を、どんどん作っていってほしいんですよね。普遍というのは流行じゃなく、いつだってブーム、ということなんですよ

倉品

そうですよね。僕らもそういうバンドになりたかったんです、ず~っと

延本

友達のバンドやミュージシャンにも、羨ましがられました。でも絶対ウチの方が良い演奏ができるから!って心で叫んで。特にEPOさんに関しては、絶対に負けへんで!って(笑) そういう共演にしたいんです。それに私たちはアコースティックなセットもできるので、いろいろ夢が広がります

EPO

ホント、これをキッカケにして、また一緒に演れる別の機会を作りたいですね。そのためのヴォリューム・ゼロ。素敵なライヴにしたいし、絶対にそうなるって思います

2023年10月21日(土)
東京・六本木CLAPS / Autumn Conjunction 2023
EPO with GOOD BYE APRIL

出演
・EPO
・GOOD BYE APRIL
Vo&Gt. 倉品翔
Gt. 吉田卓史
Ba. 延本文音
Ds. つのけん
(Support) Pf. はらかなこ

昼の部:開場13:00/開演14:00
夜の部:開場17:00/開演18:00
チケット ¥6,500(+1drink,1order)

[夜の部] のお席は完売しました。
[昼の部 ]は引き続きチケット販売中です。

配信時間:18:00~ / 配信チケット:¥4,000
★アーカイブ視聴期限:2023年11月4日(土)21:00
※ネットチケットは該当の有料生配信LIVEが視聴できる “有料視聴券” です。
※本ライブ配信は別途システム利用料と決済手数料が付加されます。
※ネットチケットを購入された場合、アーカイブ映像の別途購入は不要でご視聴いただけます。

7inch vinyl『BRAND NEW MEMORY
Side.A BRAND NEW MEMORY / Side.B TRANSIT IN SUMMER
GOOD BYE APRIL
ニューミュージック界の名門レーベル 日本クラウン”PANAM”からのメジャーデビューシングル「BRAND NEW MEMORY」(Side-A)シティポップ界の巨匠・林哲司氏がプロデュースを手がけ、 忘れられない大切な人とのひと夏の思い出を、懐かしさ感じる80年代のフィリーソウル/AORサウンドにのせた楽曲となっている。B面には同じく林哲司氏プロデュース・杉山清貴&オメガトライブの名曲「TRANSIT IN SUMMER」カヴァー を収録。 (レーベル:DOBEATU)

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