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【岡山健二 連載】ミュージックヒストリー - 今までとこれから - vol.3

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2023年夏、ソロ作品では初となる全国流通アルバム『The Unforgettable Flame』をリリースし、その後も会場限定盤・自主制作音源のサブスク解禁や新曲の配信リリース、2024年3月には同アルバムのLP化など、活発な活動を続ける岡山健二(classicus / ex.andymori )。そんな彼にとってひとつの節目を迎える2024年、OTOTSU独占で岡山の音楽人生の振り返りと今後を深堀りしてゆく新連載が、2024年1月からスタート。
毎月第4木曜日更新 / 全12回予定。

文:岡山健二
編集:清水千聖 (OTOTSU編集部)


カウンターアタックは滋賀県のバンドで、自分が参加する前からも活動をしていた。自分がカウンターアタックを知った頃には、すでにオリジナル・メンバーはいなかったが、その人たちが作った「Little Boy」「Oi Oi Oi」はライブの定番曲だったし、自分が活動した4年間もずっと演奏し続けた。(オリジナルメンバー時代の曲は他にも多数あった)

自分がはじめて聴いたカウンターアタックの音源は3曲入りのCDで、そこには「Little Boy」「足枷」「向上心」が収録されていたのだが、「Little Boy」以外の曲も、ワンマンなど長尺のライブでは演奏していた。

電車の中で曲を覚えていた。

最寄駅の柘植(ツゲ)駅は、三重県の中でも、割と初期の段階に出来たものらしく、滋賀方面、奈良方面、名古屋方面と主に3つのルートがあるのだけど、この駅で、その切り替えを行っている。

学校へは自転車、街へは家族の車で、という生活だったので、それまで電車に乗るという習慣はあまりなかった。

高校が終わり、家まで自転車で25分ほどかけて帰り、適当に即席ラーメンや、うどんを作り、スネアドラムを持って、また自転車か、家族に駅まで送ってもらい、滋賀方面である草津線の草津行きか京都行きに乗り込む。

本数は、1時間に1本。
柘植駅から草津駅まではおよそ45分。

草津駅で、ギターボーカルの佐山敏行(以下:とっちくん)か、ベースの斉藤晋介(以下:しんちゃん)が車で自分を拾ってくれ、そこから、10分ほどかけて守山にある「studio blue」に向かっていた。(数ヶ月もすれば、駅も草津駅から乗り換えて2駅ほどだったので、自分で行ったりするようになった)

カウンターアタックでの初ライブは、中学と高校の間の春休みの3月24日に、滋賀、野洲にあったライブハウス「古々座(ここざ)」での自主企画だった。(古々座はのちに近江八幡駅に移転する)

東京で活動しているTHE PANの出演が決まってると、とっちくんから聞かされた。

音楽雑誌に記事が載っているのを見たことのあるバンドだったので、ものすごく楽しみであったが、同時に緊張もした。メジャーデビューしているバンドと共演するなんて初めてだった。

つい先日まで、the chocolate pieのメンバーだったのが、あれよあれよという間に、カウンターアタックでドラムを叩くことになった。

自分が客として最後にカウンターアタックのライブを観たのが、そこから少し遡った2月初旬で、会場は滋賀、堅田にあったライブハウス「HUCKLEBERRY(ハックルベリー)」
その日もカウンターアタックの自主企画だった。

仲間の川合翔太くんから、カウンターアタックがドラマーを募集しているという話を聞き、そこから、とっちくんと連絡を取るようになり「今度、ライブがあるから観に来てや」という流れであった。

ライブには、the chocolate pieのメンバーと観に行った。大阪の4-B UNIONや名古屋のMAD DOGSが出演していた。

不思議と、この日のカウンターアタックのライブはあまり覚えていない。
しんちゃんが、もうすぐ高校を卒業するタイミングで、そういうMCをしていたような気もする。

カウンターアタックは、たしかこのライブでボーカルとドラムが脱退し、ギターのとっちくん、ベースのしんちゃんが残ることになる。
(このタイミングで、とっちくんがボーカルもするようになる)

そのライブが終わったあと、しばらくして、とっちくんとしんちゃんが、滋賀から三重の自分の家に来てくれて、初めて3人で音を出した。(the chocolate pieで練習し続けたガレージ)

自分がそれまでに知っていたカウンターアタックの曲は7~8曲で、それに加え、あまりライブでは演奏しない曲も4~5曲あった。

ライブまでは1ヶ月半ほど。

それらの曲を少しずつ覚えていき、週に1度、studio blueまで通う日々が始まる。

自分の家での練習は最初の1回のみ。今にして思うと、大きいバンドサウンドの中だと、マイクの音が埋もれてしまう自分の家のガレージでは、練習が難しいと判断したのだろう。単純に距離も遠いし。

そういう流れで、自分は三重県に住みつつ、滋賀のバンドマンになる。(今でもたまに滋賀県の人間だと間違われることもある)

最初の練習というのが、いわゆるオーディション的なものだったんだなと後になって気付くのだけど、とくに何も言われなかったので、まあ何とかなるかという感じだったのだろう。

当時、とっちくんは21才、しんちゃんは18才、自分は15才だった。

あんな子供みたいな自分(今も変わりないかも)をよくドラマーとして迎え入れてくれたなと思う。

数曲、演奏してから何かいろいろ話した気がする。その後、2人が最近作ったという新曲を聴かせてもらった。

「シルバースター」というマイナー調の、とてもきれいな曲だった。

シルバースターとは、蓮の花の一種で、メンバーの知り合いの女性が、その花のはかない有り様と自らの人生を重ね合わせ、日々大切に想っている、という話を元に作ったと言っていた。

自分が、それまでにいいなと思っていたカウンターアタックは、ブルーハーツ的な歌詞やサウンドだったりしたので、この曲の登場により、自分が抱いていたカウンターアタックのイメージと、バンドそのものはその後、微妙に違っていくのだが、その時は、そんなことは全く想像も出来ず、ただただ素直に「おぉ、これが新曲か、いいな」と思ったりしていた。

「シルバースター」をレパートリーに入れたセットリストで、自分がドラムを叩くことになったカウンターアタックでの初ライブも無事終わった。

THE PANのライブもとてもカッコよかった。
途中、ギターのアンプが壊れて、とっちくんのアンプを貸すが、それも音が出なくなり、結果お店のRolandのアンプで、ようやく最後まで通せたというアクシデントがあり、よく覚えている。

そのライブが終わったら、高校が始まり、新たな生活ということでバタバタしつつも、バンド練習は続いていたのだが、そうこうしているうちに、5月の頭に、滋賀、浜大津のB♭(ビーフラット)というライブハウスでガガガSPとの対バンが決まる。

自分が通っていた高校でもガガガSPは、バンド好きな生徒から人気が高く、自分としても、チケットが即完するようなライブに出演するのは初めてだった。

この日のライブに向けて、カウンターアタックは1つ新曲を作った。そこから長らくライブで演奏することになる「スキ」という曲で、間奏の部分が三拍子になるアレンジや、シンプルなコードだけど、フックのあるメロディなど、今でもいいなと思う。この曲は「シルバースター」と同様、その後何度も録音を繰り返すことになった。(合計3回録音している)

自分たちのライブが終わり(あまり記憶にない)ステージ袖で、ガガガSPのライブを観ていた。売れているバンドの勢いみたいなものを、はじめて間近で観た。ひっきりなしに観客はダイブしてくるし、声援や野次が飛び交い、バンド側もそれらを当たり前のこととして受け止めている。「こんなに違うんだな」と思った。自分もガガガSPのTシャツを買って、メンバーにサインしてもらって帰った。

そのライブの後だったと思うのだけど、堅田のハックルベリーで、カウンターアタックの先輩バンド、陽(ヨウ : のちの東狂アルゴリズム)が「SET YOU FREE」というライブイベントに出演するというので観に行った。自分はそこで、初めてGOING STEADYのライブを観た。

青春パンクという一連のムーブメントの最も盛り上がっていた1年のようにも思う。当時のバンドシーンからは、大きなうねりのようなものを感じていた。

陽は、同じstudio blueを使っており、よく顔を合わせていた。
「STREET ROCK FILE」などの雑誌にも載ったりしていた。自分は陽のドラマーのハルキさんのプレイスタイルにずいぶんと影響を受けている。

当時の滋賀で全国に、その音楽を届けるくらいの力があったバンドは、数えるくらいしかいなかったように思う。
陽、SANDIEST、THE DICK SPIKIEなど。今挙げたバンドは、みなstudio blueを使っていたのだが、UVERworldと改名する前のSOUND極ROADもその1つで。もともとは、陽の前身バンド、月影の曲のコピーもしていたという話や、SOUND極ROADという名前も、とっちくんの兄が名付けたという話を聞いたことがある。

15才当時の自分からしたら、みんなカッコイイお兄さんといった感じで、スタジオで見かけて何か話すにしても緊張して、ろくに喋れなかった。

高校に通いつつも、カウンターアタックでの活動は活発になっていき、夏頃には、同じ滋賀のバンドFACE ROCKと、各3曲ずつ収録したスプリットCD「FUN & GAMES」をリリースする。そして、その作品を持って関東の方までライブをしに行くことになった。そのツアーで初めて東京にも行った。

ここからは、駆け足に話を進めていくが、そのツアーが終わったら、カウンターアタックでの初ライブでも共演したTHE PANが丁度アルバムをリリースし、そのレコ発も兼ね、カウンターアタックが滋賀でTHE PANを招き自主企画を行ったり、THE PANとよく対バンしていたHIGHWAY61を個人的にすごく好きになったり、(HIGHWAY61 のドラムの勝さんにも、自分のドラムスタイルは相当影響を受けている)アカツキ.やROB☆STAR、デストロンズなどの下北沢屋根裏に出演していたバンド達と対バンする機会が増えていく。

自分で言うのもなんだけど、カウンターアタックは東京のバンドが滋賀にツアーに来ても、負けず劣らず、しっかりした演奏をしてきたと思う。中には、メジャーデビューしていて、何人もスタッフを引き連れているようなバンドには、音響的にも敵わないという時もあったが。

自分が高校2年になる頃には、the chocolate pieでも一緒に演奏していた兄の高志がギターで加入することになり、カウンターアタックは4人編成になった。

高校生活の週末はほとんどライブで、一体どれほどのツアーバンドと共演してきたのか、定かではない。

遠征もわりとあったりで、出席日数が足りなかったのと、課題も提出し忘れたりで、気付いたら留年も決まっており、高校に4年通うことになった。

カウンターアタックは、自分が高校4年の夏頃までノンストップで駆け抜けてきたが、(ちょうどアルバム収録曲の「GOOD LUCK!」が、滋賀の高校野球予選のテレビ放送のオープニング曲に起用されていた)そこで、はじめて歩みを止めることになる。

理由はいろいろあったように思う。

自分が高校を出たら東京に行きたいと考えていたこともある。

自分が東京に行かなければ、カウンターアタックは続いていたのだろうか。ちょっとわからない。

メンバー同士は今も連絡を取り続けているし、一緒に音は出さないにしろ、仲間だ。

カウンターアタックは、自分が上京する直前の2月末に解散ライブを行う。

しんちゃんがパソコンで作った登場SEがとてもカッコ良かった。

その日の打ち上げで、とっちくんに「お前ならやっていけるわ」と言われた言葉をずっと忘れずにいる。

CHAUNTER ATTACK (カウンターアタック)

・「Little Boy」

  1. Little Boy
    2.足枷
    3.向上心

・「FUN & GAMES」
※ FACE ROCKとのスプリットCD

▪️カウンターアタック
1.スキ
2.シルバースター
3.小さな手
▪️FACE ROCK
4.again
5.?
6.?
(手元になく、不明)

・「No War」
※リハーサルスタジオでの簡易レコーディング作品。
5-6曲収録していた。(こちらも手元になく、不明)

・「LOVE & PEACE」
※数枚のデモの編集盤

1.ゲット
2.Oi Oi Oi
3.スキ
4.向上心
5.愛がほしい
6.小さな手
7.シルバースター
8.レッツ・ゴー
9.バイバイ
10.Little Boy
11.トレモロ

・「ラブソング」
※唯一の流通盤

1.GOOD LUCK!
2.ONLY ONE
3.スキ
4.青春
5.タイムマシーン
6.シルバースター
7.行け!
8.Special Thanks
9.NO WAR


RELEASE INFORMATION

The Unforgettable Flame (LP)
岡山健二

2024.03.20 Release
monchént records

Price: 4,500 yen (tax in)
Format: LP

★ブックレットに書き下ろしライナーノーツ掲載
★ディスクユニオン&DIW stores予約特典:
 オリジナル帯

Track List
Side A.
01. intro
02. 海辺で
03. 名もなき旅 

Side B.
01. あのビーチの向こうに空が広がってる
02. 軒下
03. 永遠 
04. My Darling

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