Photo by Emily Inoue @mellowdawn_
大黒「今日は、出演いただくRAY主催対バン「Destroy the Wall」特別企画ということで、出演者の明日の叙景から等力桂さんにお越しいただきました。RAYからはプロデューサーである大黒と、メンバーの内山が参加しています。では最初に、バンド紹介と等力さんの自己紹介をいただけますでしょうか。」
等力「明日の叙景というバンドでギターを弾いています。明日の叙景は以前まではポストブラックメタルというフレーズをTwitter(X)のプロフィールに書いてはいたんですが、今は特に何も書いてないという状態ですね。」
大黒「なるほど。」
等力「明日の叙景は2014年からなので10年くらい前から始まり、楽器隊が中学とか高校時代の友達で、その後大学生になってからボーカルの布さんをネットで見つけて誘って、その4人でやっているという感じです。いろいろを経て『アイランド』というアルバムを出して、今に至るという感じですか。」
大黒「ありがとうございます。元々『すべてか弱い願い』あたりまではポストブラックメタルというジャンルを背負ってた気がしていて、合ってますか?」
等力「いえ、意外に『アイランド』をリリースした頃もポストブラックメタルという単語は一応プロフィールには載せていまして、あとプレスリリースとかで載せるバンド紹介とかにはポストブラックメタルバンドと書いているという感じですね。」
大黒「なるほど。僕が「『すべてか弱い願い』までですか?」と聞いたのは、オーセンティックなポストブラックメタルをサウンド的にしっかり背負ってたのが『すべてか弱い願い』という印象を持っていたからなんですけど、等力さん的にはどうお考えですか?」
等力「ポストブラックメタルという単語を使ってはいたんですけど、そこに意識的だったかというとそうでもなくて、結構いい加減に使っていただけなので、そんなに意識としては変わんないという感じですね。元々ふんわりしていた感じです。なので僕の認識としても、どの作品からどの作品までがポストブラックメタルだったっけみたいなのは、特にないという感じですね。便宜上使っていたりしたという感じです。」
大黒「なるほど。結成から一貫してポストブラックメタルという言葉を使いながら、グラデーションがありながらも『アイランド』まで続いてるようなイメージでやられているということですかね。」
等力「そうですそうです。」
大黒「ありがとうございます。ところで、ポストブラックメタルってどういう音楽ですか?」
等力「そうですね、まずブラックメタルとは何かみたいな話から始まると思うんですが、当時スラッシュメタルというMetallicaとか速いメタルの流れがあり、そこからデスメタルが派生していきます。デスメタルというのは音質とか演奏とかクリエイティビティみたいなことを頑張る方向かつ商業的に成功する方向になっていったので、画一化されていくっていう流れがありました。その中で、いや、元々のヘヴィメタルのダークさって、何かその音に邪悪さだったり、恐怖みたいなイメージがある音楽でしょう、みたいな、ある種の保守回帰みたいなのがブラックメタルの流れだとざっくり説明した上で、ポストブラックメタルはそれ以降っていうことなんですけど。Alcestというフランスのバンドがいて、彼らがファーストアルバムを出した辺り(2007年)から、ブラックメタルが過激な思想だったりサウンド的なものを脱臭するといいますか。そういったものを取り除いたものが出てきて、それ以降の流れがポストブラックメタルという感じ、それをさらにハードコアパンク的なものと繋げたのが今来日してますがDeafheaven だったり、こんな流れがざっくりポストブラックメタルかなと思っています。Alcest以外にも、もちろん実験的なブラックメタルバンドはたくさんいたので、一概にこの限りとは言えないんですが、ざっくりみんなの認識としてはそんなもんかなと思っていますね。」
大黒「ありがとうございます。その延長線上で明日の叙景を捉えることができると思っていいですか?」
等力「合っていると思います。Alcest、Deafheavenがいて、その先に明日の叙景がいるという認識はあります」
大黒「なるほどですね。Alcestってメンバーが何かRAYに言及してなかったっでしたっけ?」
内山「めちゃくちゃの私のInstagramにコメントしてくれます。」
等力「Neige(AlcestのVocal,Guitar,Bass,Keyboards)、Instagram廃人みたいなところがあって、明日の叙景のインスタも本当最初の10人ぐらいに入るっていうか、反応の速度が。Neigeは日本語も勉強してますし、新作に日本語タイトルが入ってますし、日本の文化が好きなんですよね。日本のバンドとかミュージシャンとかシューゲイザー系のアーティストをよくチェックしているという感じですね。」
大黒「なるほどですね。ちょっと急な質問ですが、インターネット的なものというか、オーセンティックなものから外れる傍流カルチャーとかを積極的に融合するというか、肯定的に受け入れる感性があるようなシーンなんでしょうか?ポストブラックメタルって。」
等力「元々ブラックメタルというジャンルが結構ルーツが複雑なジャンルではあって、先程、保守回帰みたいな話をしたんですけど、大まかに言うと3つの源流があって。一つがイギリスのVENOMというバンドがいて、それはNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)と言われるIRON MAIDENとかMotörheadとかああいう爆走ロックみたいな、ああいうものの中で一番邪悪なことをやっていたのがVENOMです。まずそれが一つの元ネタです。もう一つがスイスのバンドでHellhammer、後のCeltic Frostというバンドがいて、彼らはパンキッシュでダークなハードコアっぽいサウンドでやっていたバンドなんですけども、それも一つまたブラックメタルの元ネタの一つで。最後がスウェーデンのBATHORYというバンドがいるんですが、それがある意味今のモダンなブラックメタルのサウンドの直接の元ネタで、ちょっと速くてジリジリした音質でやるみたいなバンドが、バンドっていうかほぼほぼ一人プロジェクトなんですけど、がいてという感じでですね。保守回帰しようってなった時に引用するというか、どのバンドからエッセンスを持ってこようかみたいな、元ネタが幾つか国もまたいでもいますし、突発的に存在していたバンドのアイデアをどこから取ってくるかみたいな歴史がそもそもブラックメタルにはあり。なので、例えばどこかの地域にこういうミュージシャンが集まっていたからできたみたいな流れではなくて、割と保守回帰する中でどういうものを選択しようかみたいな流れがあるジャンルで。故に元から何でもありみたいな、ちょっと大喜利っぽい部分があるジャンルなんですね、ブラックメタルというのは。ポストブラックメタルに限らずブラックメタルというジャンル自体が、自由度のあるジャンルだと思っていて、それ故に色んなバンドが出てきて。例えばデスメタルっていうとバンドはたくさんいるんですけど音楽性の幅としてはそんなに広くないんです。一方でブラックメタルはすごいとっ散らかってるというか、バンドごとにやってることが違うという感じで、そういう広さがある中でポストブラックメタルもあるので。そのクリエイティビティの幅は広いジャンルだと思ってますね。」
大黒「ポストブラックメタルって年代でいうと大体いつぐらいからみたいな話になってくるんでしょうか。」
等力「ポストブラックメタルは、やはり2000年代、2005年以降な気がしますね。Alcestの1st EPが2005年、1st ALが2007年なんで、そこですね。」
大黒「なるほど。ちょっと話題が外れるかもですが、イギリスのBlack Midiっていうバンドがいるんですが、彼らはインターネット的なものに影響を受けていると公言していて、それはある種文脈横断性的なもので、まあ2020年代の音楽全体の特徴ではあるのですが、ポストブラックメタルの話と若干被って理解しまして。インターネット的なものとか、異分野的なものの取り込みに躊躇がないのって、現代的だなと思い質問した流れでした。」
等力「それに関して言うと、インターネット的な文脈横断がブラックメタルにおいて行われているかと言われると結構微妙で。ブラックメタルにおいてインターネットって割と否定的、ネガティブと捉えられているものですね。やはり保守回帰というか政治的にも思想的にも、全体的にはかなり保守的なジャンルなので。もちろんリスナー数がそもそも少なく、世界各地にマニアがいるジャンルで、ある種の連絡手段としてインターネットはかなりみんな活用するんですが、一方でインターネット以降のクリエイティビティというか、そういったものを意外に否定しているジャンルであるんですね。」
大黒「オフライン、フィジカルみたいな。」
等力「そうですね。ブラックメタルバンドって結構フィジカル性にはこだわっているジャンルで、アトモスフェリック・ブラックメタルあるあるとか言われてるやつなんですけど、なんかよくわからん木箱を売っているとか、何かよくわからんものを音源として売るみたいな文化があったり、そういう意味ではネットカルチャー的なものとは遠い気がしますね。」
大黒「よくわかりました。ありがとうございます。ブラックメタルからポストブラックメタルに繋がっていて、その延長線上に明日の叙景も位置づけられるっていう話題は、導入としては大事な話かなと思いました。次は2022年リリースの最新作『アイランド』のことを聞かせてください。明日の叙景にとってこの作品がいろんな意味で転換点になったと思っていて、音楽的にはもちろんなんですけど、活動の幅が一気に広がっているように見えるんですね。」
等力「はいはい。そうだと思います。」
大黒「そもそも活動ペースが速くはないバンドだった認識です。『アイランド』をきっかけに一気に加速したような認識でいるんですけど、その辺のお話って何かありますか?等力さんとかバンド的にどういう位置付けの作品にしようとしたのか、実際リリースしてみてどうなったのか、みたいな話も聞きたいかもしれないです。」
等力「バンド自体はおっしゃる通り長くダラダラ続けていて、もともとそんなに積極的に活動していたバンドではなかったんですが、自分が会社員をやっていて、メンバーもそれぞれ働きながらやっていたりしたのがコロナ禍ぐらいの時で、コロナ禍もあったり、会社で働いててあんまり上手くいかないなんてことが個人的にあったりして。そんなこんなしてる時に会社で働きながら『すべてか弱い願い』というEPを出して、そのEPが自分たち的に仕上がりが納得いかなかった部分があって。かつ、やっぱりコロナ禍もあって、自分たちに向き合う時間が長くなった故か、僕も含めてメンバーが、一旦自分たちの好きなものを全力でフルスイングでやってみた方がいいんじゃないかということになり。そこで変わんなければ、もう何も変わらん気がするみたいなムードが熟成されてきて、じゃあこれは1発ちょっとやってみましょうという感じで。僕らは自分たちが作りたいものを100%作るし、かつそれもきちんとマスに伝えていきましょうみたいな意識を徹底したという感じですね。後出しジャンケンっぽくなっちゃうんで、あんまりこういう話はしないようにしてるんですが、結構意識的に狙いにいったというか、変えにいったという感じはありますね。」
大黒「『アイランド』をきっかけに何かが変わったとかはありますか?」
等力「やはりリスナーが爆発的に増えたというのはあって、元々明日の叙景って僕と楽器隊はそもそも幼馴染というか、友達みたいな感じでやってるバンドだったりして。変な話、例えば大きいステージでやろうとか、集客がどうみたいな、そういうことへの意識すらも全くなくて。」
大黒「なるほど。」
等力「何て言うんですかね、ライブハウスのバンド的な、集客を少しずつ増やしていくんだみたいな意識すらないみたいな。集客という概念すらもないみたいな。で、実際ライブやっても、『アイランド』のリリース前の集客でいうと、本当に毎回友達が一人見に来てるかみたいな、そういうバンドだったというか、誰も見に来てないバンドだったので。それについて別に何も思ってもなかったバンドだったので。一つはリスナー数が爆発的に増えたということと、見られる意識ができたというのは一つの変化かなと思います。」
大黒「集客が増え、それと表裏で意識面にも変化が出てきたと。活動の規模感も変わりましたよね。海外ツアーとか。」
等力「そうですね。リスナーが増えていく中で少しずつメンバーの心境も変化していって、届けられる人がいるなら届けていこうという価値観に変わっていくという感じですね。届ける手段があり、届けられる人がいるなら、流通面、あるいはツアーの面でなるべくやっていきたいなという意識が芽生えてきたという感じはあります。バンドをやっていくと、バンドに限らず音楽全体的にそうなんですけど、自分の好きなものを単純に作って、それを然るべき人に届けるっていうことを達成するためには、資本主義社会の中では、流通であったり、ツアー、つまり僕らを運ばなきゃいけなかったり、お金がかかってくる。ビジネスにしないといけないということで、その好きなものを届けるということを達成するためにもビジネスする必要があるという認識が生まれたので、そこは躊躇せずにやっていこうという感じですね。」
大黒「例えば今までだとライブ盤(『Live Album: Island in Full』)とかも出なかったんじゃないかなという気がするのですが、そういうところにも繋がっているということですよね。」
等力「そうですね。あと、『アイランド』以降、Borisとのヨーロッパツアーの前辺りでVinyl Junkie Recordingsの皆さんにお世話になることになって、今はそのマネジメント含めてチームがいるという状況なので、制作体制の変更は大きいかなと思います。一方でバンドの創作スタイルとしては、そんなに変わんない、というか、一気に何かが変わったというよりかは全部連続的というか。集客が増えたからなんか全然違う曲やってみようみたいなこともないですし、メンバーのテンション的にはいつも通りかなという感じですね。みんな結構冷静というか、元々のテンションが低いというか。そんなに何かこれでぶち上がるとかぶち下がるみたいなのは今のところないのですが。でも今アルバムを作り始めてるんですけど、結構今までと違うというか、何か『アイランド』の時は意外にスラスラ入ってたんですけど、なんやかんやみんなプレッシャー感じてんじゃねえかみたいな。」
大黒「そうでしょうね。『アイランド』の次何をするのかってみんな期待しているところですからね。」
等力「意外に期待やプレッシャー感じてなさそうでみんな感じてるっていうのを最近ちょっと気づき始めてるという。」
大黒「わかりました。ではここから、出演していただく8/18(日)開催「Destroy the wall」の方に話を向けたいなと思います、シンプルにアイドル、RAYとの共演についてどうですか?バンドの共演と何か違うところってありますか?という質問で、特に違うことはないよっていう回答も全然あるかと思うんですけど。」
等力「はい、そうですね。自分としてはあんま変わんないかなという。まあこれでセットリストが大きく変わったり、意気込みが変わるってことも特にないという感じで。心境の違いがそんなにないからっていう感じの方ですかね。」
大黒「いつも通りの明日の叙景のパフォーマンスを見せるという感じでしょうか。」
等力「これは今の明日の叙景の制作スタイルが、マネジメントやチームがいてという状況なので、それ故にいつもいい意味で安定するっていうか。特に何か意識してることとかはないっていう感じですね。なのでないんじゃないかなと思います。」
大黒「わかりました。じゃあその延長でなのですが、お客さんがこういう部分を見てくれればいいな、こういうことを思ってくれればいいなとか楽しみにしてることとかがあれば。」
等力「ここ最近明日の叙景でライブやっていると、全くブラックメタル、あるいはメタルも多分1ミリも聴いたことなかった人が全然いて、そういう人たちにさらによく聴いてもらうタイミングかなと思っているので、かつまあ今まで出てきたイベントの中でもちょっと毛色が違うお客さんの層という感じなので、反応がすごく楽しみですし、という感じですね。」
大黒「まさにそういう機会になると思っていて。この日はアイドルファンのファンのお客さんもかなりの数来ると思うんですけど、downyとMO’SOME TONEBENDERのお客さんが明日の叙景をどういう風に受け取ってくれるのか、というのも個人的に楽しみにしていることです。」
等力「そうですね。」
大黒「話がつながるようで脱線する話なんですけど、明日の叙景ってすごく今アイドル的だと思っていて。それはまずシンプルに、布さんと等力さんのアイコン性みたいなところだと思っているんですね。絶対に意識されていると思っていて。等力さんだったら自分がアイコンとしてライブパフォーマンスの発信とかをしなきゃいけないとか、この間のMC(4/29 “Live Album: Island in Full” Release concert で「等力パート」と称して設けられた等力だけがステージに残されるMCパート)とかもそうだと思うんですけど。そういうところも、音を届けて終わり、みたいなバンドとはちょっと違って、アイドルファンが受け取りやすいフィールドに明日の叙景はいるのかなっていう感じで、そこも共振する要素になると思っています。」
等力「めちゃめちゃ意識してるかと言われるとそうでもないんですが、そうですね。メンバーのことを知ってもらいたいなとか思います。外からの見え方は意識してるか否かでいうと、かなり意識はしていて。いや、多分後での話に繋がると思うんですが、自分って結構アイドルブームをずっと見てきたというか。あとはVTuberとかそういうものをすごい間近でみんなが熱量持ってやってるところを見てきたんで。自分たちは楽器持ってるオタク軍団なんで、そんなに映えないんじゃないかなみたいな意識がずっとあったんですよね。結局オタクやんみたいな。あったんですけど、音楽を作って楽器を演奏するって結構やばいんじゃないかみたいな感じで。パフォーマンスとして結構すごいことなんじゃないかなみたいな思いが芽生えてきて。そこを意識した方がいいなみたいな感覚もあって。自分たちがロックスターじゃね?みたいな感覚が芽生えてきたっていうのがありますね。あと、やっててまんざらでもないみたいな。」
大黒「なるほど。それは良かったですね。」
等力「そうなんですよ。そこに自分は拒否感が出るかなと思ったら、まんざらでもねえみたいな。面白えみたいな。MCしたり、ギャルピースするのが割とナチュラルっぽいぞみたいな感じがあり。こういうことをやってみたかったのかもしれないみたいな。」
大黒「バンドメンバー、バンドのアイドル性って何?っていう話にすると、一つはキャラクターをどういう風に見せるかっていう話で。もう一つはコミュニケーションだと思うんですね。ライブだとフロアとのコミュニケーションで、総体としてのファンサービスみたいなところだと思います。明日の叙景にアイドル性を感じるのって、そういうアイドルが大切にしなきゃいけない所と一緒なので、当日はそういう様子もライブを通して見られて、おそらくたくさんの人に届くだろうなと思っています。」
等力「この前の新代田FEVERでのライブとか、途中でトラブル起こっちゃって。ギターの弦が切れるみたいなことがあったんですけど。その間、トラブルがあったんで軽くMCしますみたいな感じでMCすると、曲よりもそっちの方が盛り上がってるというか。僕的にはトラブルなんて嫌なんですけど、SNSとか見てるとMCしたことの方がみんな記憶に残ってるもんで。そういうMCとか喋るとか、人間味を見せると意外にウケるんだなって。それがアイドル性なんだと思うんですけど。それをここ最近ようやく理解したというか。あとこれは結構プラクティカルというか、実際にやってみての話なんですけど、実際そっちのほうが楽ですね。楽だなって思っちゃいました。例えばその4/29のWWWXのときにMCしてたんですけど、全然喋れるというか。ああいう感じでやることにそんなに抵抗がないというか。」
大黒「なるほどですね。当日もMC含めて楽しみにしています。」
等力「あ、でも最近また色々試していて、ワンマン時とかは結構みんなが優しく聞いてくれる感じがあるんですけど、そうじゃない時はやっぱりどうしても固くなっちゃうんで、最近またMCを減らしてるっていう。まあ、でもちょっと考えておきます。」
大黒「次に、アイドルやRAYへのイメージとかを教えてください。やや脱線するんですが、「Destroy The Wall」っていうタイトルと「アイドルとバンドの壁を壊す」というテーマに違和感を感じている人が結構いて。もうこのテーマ、冠で1年半くらい主催をやってはいるんですけど、バンドとアイドルの壁なんてねぇよみたいな感じで、過去の共演事例を出しながらポストしてる人を結構見かけて。こちらも先人のチャレンジや事例は重々承知していて、僕も10年間アイドルシーンを見ていて、ガンガンバンド共演をするようなアイドルのオタクをやっていた経験もあった上で。ただそこでどれくらいクロスオーヴァーできたんだっけ?みたいなことがすごいしこりみたいに残っていて。壁があるとして、壁を挟んで向かい合うぐらいまできたけど、壊すまでいってないんじゃないかみたいな。じゃあ壊れてる状態ってどうなの?という定義の話にもなってくるんですけど、とにかくまだまだこのクロスオーヴァーは進められるっていう感覚があります。バンドとアイドルが有機的に固く握手するみたいな状態を想定してるんですけど、そういうところへの想いを込めて、バンドとアイドルの壁を壊すという言葉を使っています。要するにこちら側、アイドル側からまだ壁があるなっていう見え方が、一方でバンドからアイドル側についてはどういうイメージを持ってるのかみたいな質問かもしれないです。」
等力「アイドルへのイメージ、RAYへのイメージなんですが、「こういうイメージだ」みたいなのはないかもしれないですね。自分はある程度楽曲提供とかで関わっているからそうなのかもしれませんが。ただどうしてもバンドとラッパーとかと同じような意味でシステムの違いはあるなと思うんですね。例えばアイドルは楽器を使わない。僕らは機材とかをいろいろやんなきゃいけないので、ライブでの転換の考え方が違ったり、ライブ終わった後の物販の考え方が違ったり、やり方が違うので、割とシステム的な違いかなと僕は思っていて。」
大黒「なるほどです。」
等力「だからそれ以外について、あんまり何か違うみたいな認識をしてないという感じですね。やっぱり自分がどうしてもアイドルブームの中にいた人間ではあって。あまりそこに垣根というか違いは感じてないかも。壁があるとして、何かシステムの違いでしかないのかなって気持ちもちょっとありますね。今回のイベントみたいに、システムの違いみたいなのを理解して歩み寄ってやるみたいなことで、すごく価値があるなとも思います。」
大黒「RAYへのイメージみたいなものはありますか?」
等力「今回最後にチェキ会はやらないんでしたっけ?」
大黒「やらないです。」
等力「そこ(ジャンルとかシステム)に関してすごく意識的なグループというか。そもそもアイドルというものに対するメタ認知があるグループだなと思っていて、そこがすごく面白いなと思うという感じですね、RAYについては。で、そこは明日の叙景の活動に近いかなと思ってるんですけど。」
大黒「ありがとうございます。次は内山からの質問ですが、一旦僕から話します。RAYの楽曲提供についてです。これまで等力さんには3曲(「Blue Monday」「星に願いを」「17」)提供してもらってるんですけど、その自分のバンドの曲を作るのとは全然違うだろうと想像していて。RAYに限らず等力さんはアイドルへの楽曲提供って他にも経験していて、アイドルの曲を提供することって一体どういうものですか?それは自分のバンドの曲を作るのとどういう違いがありますか?みたいなのが1つ目の質問ですね。」
等力「楽曲提供してたのは『アイランド』以前なので、ちょっと状況も変わってきてはいるんですが、個人的に自分のバンドの曲を作ることと、アイドルに楽曲提供することそんなに作業内容も意識としてもあんま変わんないという感じですね。技術的な部分、テクニカルな部分でいうと、ライブで自分たちで演奏するわけではないので、再現性を優先しなくていいみたいな話はあるんですが、意識として変わんないかなって感じですね。」
内山「歌詞の内容とかも普段と変わらない感じですか?」
等力「歌詞の内容はそうですね。明日の叙景においても僕は歌詞を書かないので、自分の作った曲に対して何かしらの歌詞がついたりすることに対して、バンドの曲書いてる時と変わんないかなって感じはありますね。強いて言うなら、バンドで曲を作る時は自分がプロデューサーでもあるので、メンバーに対して歌詞がどうなの、演奏がどうなの、サウンドがどうなのみたいなことを言うんですけど、楽曲提供する場合はそれを大黒さんが担当されるので、そこの仕事の範囲として違うなと思うんですが、作業としてはそんなに変わんないかなという感じですね。」
大黒「等力さんは相当アイドルに理解がある方ですからね。RAYは、初めてアイドルに楽曲提供します、という楽曲提供者もたくさんいて、まずアイドル楽曲の特徴、例えば細かく歌割りがあるとかってバンドには無いことじゃないですか。歌割りがあるという話題から始めて、ライブするにあたって振り付けが付いて、他にも特に男性バンドに書いてもらう場合、メンバーの歌えるキーがCとかDで、っていうところから始める必要があります。」
等力「はいはい。」
大黒「もっと前の段階で現状のアイドルシーンの状況を伝えるところから始まるケースもあります。そうするとそこの壁からまず壊していかなきゃいけない。その次にアイドルの表現フォーマットってこんな感じですという話になって。それで次は歌詞で、RAYの表現したい世界観とすり合わせるプロセスがあって。等力さんはそれを全部すっ飛ばすことができるアイドルリテラシーがあります。」
等力「なるほど。」
大黒「という意味でもさっきの話に戻るんですけど、何か極めて壁がない人だなっていうのを改めて今の話で思いました。」
等力「そうなんだと思います。」
大黒「ですよね。」
内山「バンドの見られ方的に、アイドルに楽曲提供するとか、アイドルと共演するとかっていうのは、明日の叙景さんの世界観的には大丈夫なんですか?。」
等力「全然アリっていうか、むしろ何でもありを貫いた方が面白いなっていうか。あんまり僕らの世界観って意識してないというか。さっきMCの話もしたんですけど、わりと素であれをやっている感じがあるので。少なくとも僕は音楽を作ってる時の自分と、ステージの時の自分と、今ここにいる自分がそんなに変わらないんで、感覚としては。なので、別に何かが崩れるとか全然思わないですね。ホントに。」
大黒「等力さん制作曲の「Blue Monday」、「星に願いを」、「17」をRAYのメンバーがライブパフォーマンスしてるのを見ていただいたことはありますよね?」
等力「ありますあります。最近だと代官山UNITですね(2023/11/12 leave them all behind 2023)。」
大黒「あの日は「Blue Monday」も「星に願いを」もやりました。」
等力「はい。」
大黒「自分の曲がRAYメンバーによってパフォーマンスされているのはどんな感覚でしょうか。」
等力「『アイランド』というアルバムを作る以前と以降で、自分の作曲プロセスが若干変わっていて。以前はめちゃめちゃだったなという感覚があって。さっきキーの話とかあったと思うんですけど、すまないことしたと思うことが結構あって。歌いづらくてすまないみたいな。」
大黒「「Blue Monday」はちょっとキー高いですがその点ですかね。」
等力「そうです。冷や汗が出るというか、すまないという気持ちがあり、結構緊張しますね。マジで偶然なんですけど、その日、海外からのお客さんが何人か来ていて。僕の事を認知してる人が声をかけてくれたんですよ。ちょうどRAYが終わった後に今のグループ良かったねみたいな。そして「Blue Monday」と「星に願いを」に対して「これ誰が作ってるか知ってる?」という事を訊かれて。いや、俺っすみたいな。ちょっと脱線しましたが、まとめると自分の曲をやられる時は緊張するって感じ。ある種自分を見ることになるので。」
大黒「ありがとうございます。では次の質問で、明日の叙景とRAYの共振についてというところで、RAYは一般的にはマイナーとされている、あるいはアイドルソングでは異分野とされる音楽ジャンルを積極的に取り入れていますが、明日の叙景、特に『アイランド』はこれまでのポストブラックメタルの文脈に沿う音楽性でありながら異分野融合的な作品に感じます。一番分かりやすいのは、四つ打ち曲だと思っていて。加えて「デスボで歌うことでブラックメタルになる」っていう方法論を使っているように感じていて。これは「アイドルが歌うことでアイドルソングになる」っていうアイドル、というかRAYの方法論と似ているというか、共通点と感じることです。」
等力「はい。デスボで歌うことでブラックメタルになるという話はその通りだなっていうのはあるのですが、実は意識としては逆で、僕らは布さんがシャウトボーカルする、一貫してシャウトボーカルすることによってJポップネスが生まれるなって思っていて。Jポップなアーティストって、バラードもあればロックっぽい曲もあったりする中で、同じ人の同じ声を聴くからJポップと認識できる、その人のアルバムだと認識できるみたいなところがあるので、むしろそっちというか。布大樹がずっとシャウトを続けることによって、明日の叙景というJポップになるなっていう意識があったんですよね。なので曲の振り幅がもっとあったほうがいいという意識からも、四つ打ちの曲とかが出てきたので。」
大黒「なるほどなるほど。」
等力「そこにJポップネスを感じているというか、意識してるという意味で結構アイドル的なのかなという感じがしますし、RAYと被る部分はそこかなと思ってますね。」
大黒「面白いですね。」
等力「最終的にメンバーが歌うことでRAYはRAYになるし、明日の叙景は明日の叙景になるみたいな。そこは意識しているということですね。」
大黒「バンド隊の表現の幅が広がれば広がるほど、布さんが歌うことでJポップアルバム然とするっていう。」
等力「そうですそうです。」
内山「すごい。」
等力「逆に言うとシャウトを続けることによってギャグにならないで済むというか。もしも『歌姫とそこにあれ』とか、ポップな曲でメロディがシャウトじゃなくて歌メロがあったらギャグになっちゃうんです逆に。」
大黒「なりますね。」
等力「そこをシャウトしきるのが『アイランド』というアルバムで重要だったという感じです。なので共振という意味では結構近いなと思うのと、今日喋っていて思ったんですけど、やっぱり自分相当アイドルカルチャーに足を突っ込んできた人ではあって、意識せずともかなりアイドルカルチャーっぽいことしてるんかもなと思いました。そういう意味でざっくりではあるんですけど、RAYと共振する部分はあるなっていう。」
大黒「内山さん何かコメント、質問ありますか?」
内山「アイドル的な見られ方っていう面で、最近ライブだとスタイリストさんが入られてると思うんですけど、それっていつぐらいからですか?」
等力「具体的に言うと、去年の代官山UNITのワンマン(2023/8/27)時からヘアメイクを入れていて、海外ツアーの時は自分たちでメイクしなきゃいけないんですけど、そこもいろいろ試していって。流石にルックスについて外注すると、良くはなるっていう感じで。まあ自分の見た目はいい方がいいので。逆にアイドルってメイクって自分でやりますっけ?人によるんですかね?」
内山「基本、普段のライブは自分でやる感じですね。」
大黒「ワンマンとか規模が大きくなってくるとメイクの方をいれます。」
等力「あ、なるほどなるほど。逆にそこを聞きたかったんですけど、例えばアイドルグループとかでメイクの方向性とかってあると思うんですよ。各々の顔も違いますし、スタイルとかも違うし。その中である程度統一感を出すみたいな話だと思うんですけど。衣装とかの場合は、あの衣装の人がいて、運営を含めそこをディレクションしていくと思うんですけど、メイクとか髪の毛とかについてどこら辺までメンバーで喋るんですか?」
内山「メイクは本当にそれぞれ自由にやっていて。RAYは涙袋をガッツガツに描くような、いわゆる地雷系のメイクをするようなメンバーがいないので。そういう一際目立ったメイクの違いはないかなって思いますね。メイクはむしろ薄いかなって思います。」
等力「自然にそうなっているという感じですよね。」
内山「そうですね。髪型も同じです。」
等力「RAYはそこのディレクションをしているのかなと思いつつも、もしかしてこれはナチュラルにこうなってるのかもなぁなんて思う時もあり。」
大黒「本当そうです。メイクもヘアスタイルも自然と運営が望むところに落ち着いているんですよね。運営内でメイクとかヘアスタイルの話もするんですけど、バッキバキの地雷系みたいな感じになっちゃうと流石に言うと思いますが、そうじゃないから特に指示とかこういう方向でみたいな話はしてないですね。」
等力「なるほど理解しました。自分がアイドルを見てて思うんですけど、やっぱりメイクの方向性が揃ってないと、意外に「あっ」ていう感じが出てしまうんですよ。明日の叙景の話に戻すと、お互いのメイクとか髪の毛に口出すんですよね。毎回何を着るかとか、何を身に着けるかとか、布さんはこの辺を主体でやっていて。一緒に衣装を買いに行ったりとか。今マネジメントがいて、マネジメントのスタッフが女性だったりということもあって、そのスタッフからメイクはこうした方がいいよみたいなフィードバックがありますし。むしろ最近 お互い話すようにしてるみたいな感じがあって。ちょっと聞きたかったという感じですね。」
内山「等力さんのジャージスタイルめっちゃいいんですよね。」
等力「具体的なコンセプトがあるかというとないんですけど。ブラックメタルっていう比較的厳格なジャンルっぽいことをやっていながら、いい加減なところを見せていく、雑なところを見せていくという感じですね。ちょっと話は逸れましたが、その辺は自分も最近意識してるのと、逆にRAYはどうしてるんだろうなと見ているというか。共振っていう話ではないかもしれないですけど。」
大黒「見方とか気になるところがアイドル的だっていうのがあるかもしれないですね。」
等力「はい、そうですね。」
大黒「じゃあ最後の質問です。イベントタイトル「Destroy the Wall」にちなんだ「バンドとアイドルの壁」についてなんですが、結論からすると等力さんはそんなに感じてません、っていう話にはなると思いますが。」
等力「はい。それでいいかな。」
大黒「当然意図的に問題提起的なキャッチコピーにしてはいます。壁って何?という話と、壁が壊れた状況って?という感じで。壁が何なのか、壊れるってどういう状況なのかっていうのをテストしたいっていう試みでもあります。壁は明らかにあるんですよ。僕がこのタイトルで主催を始めようと思ったきっかけは、「このバンドは流石にRAYのこと知ってくれてるのでは」というバンドでも全然知らないということを何度も経験して。もっと言うとアイドルカルチャーをまるで知らない、さらに言うとネガティブな印象を持っている、というケースも全然あります。」
等力「なるほど。」
大黒「アイドルカルチャーがメインフィールドで、加えてバンドも好きという人にとっては、壁は壊れてる、分け隔てなく見られるようなリテラシーが育ってる面もあると思うのですが、一歩外に出れば、これだと言い方が良くないですがリテラシーがない、まだアイドルを見たいことがないというバンド側のお客さんって無限にいる状況で。そこを直視せずに、アイドルとバンドの壁はないってみんな思い込んじゃってて、どうやって一層の相乗効果を生み出すかみたいな議論や試みがされなくなって、もうかなり長くなっている感覚があります。この問題に関しては、アイドルカルチャー側の視線が内向きに閉じてしまっているように思います。これをもう一回改めてきちんとテーマにしてチャレンジして、何が起こるかを見てみたいっていうのが「Destroy the Wall」というタイトルに込めた思いです。過去2回やって感じたのは、RAYって全然知られてないなってことで。第一回開催(2024/9/17)はkurayamisaka、ANORAK!、quiquiとのフォーマンだったんですが、その時の反応がすごく面白かったんです。SNSを見てると共演3組へのリアクションがほとんどで、「kurayamisakaとANORAK!の共演だ!」とか喜んでる人がめっちゃいたんですが、RAYについての反応が皆無だったんです。逆にRAY、アイドルファン側の人も共演陣にあまりピンときてなさそうで。最高の反応だなと思いました。RAYを知らない人に届けたいし、共演者を知らなかったRAYファンの人に共演者を届けたい。で、バンドが観たくて行ったら、アイドルの主催だったんだみたいな。RAYってバンドじゃないの?みたいな、そもそもの状況が一つ、ある種の壁というか、まだクリアされてないハードルだなと思って、それを越えなきゃいけないんだなと思ったのが一つで。でも、RAYのライブが終わった後に「RAY良かった!」みたいな反応がフロアからたくさん聞こえたんですよ。バンドのお客さんです。それってアイドルリテラシーのない人にも届くような企画にできたと思ってて、バンドの共演陣もよかったよかったって言ってくれて、RAYはチェキ初回無料なんでみんな撮ってくれて、バンド側も総じてイベントを楽しんでくれたなと。あともう一つ、エピソードでいうと等力さんquiquiはわかりますか?岐阜の。」
等力「もちろんもちろん。」
大黒「話を聞くと、この日の動員が普段の5倍くらいだったみたいなんです。それってすごいことだと思っていて。僕も学生時代、ややハードコアシーンに近い環境でバンドをやっていたので感覚的にわかるんですが、シーンにちょっと怖い印象があって。だからquiquiを見たいけど、ハードコアカルチャーとかイベントにちょっと一歩踏み出せないと感じてる人って全然いると思っていて。でもこのRAYの主催のイベントだったら、なんだか後ろの方でホッコリ見てても大丈夫そうみたいな環境を作れたんじゃないかなと思っていて。これもいまだかつて可視化されていなかったハードルが可視化された上でクリアされたっていう事例だと思っていて。僕はこの「Destroy the wall」っていう企画で、間違いなく何かのハードルが可視化されて、かつそれがクリアされていってるっていう感覚があるんですよ。今回の規模で、この共演者でやって何が起こるかっていう試みだ、っていう感じでもあるんですね。その意味で言うと、壁って何?壊れるって何?っていうのは、まさに8/18当日何が起こるかっていうところで、また事後的に可視化されてクリアされていくんじゃないかなっていう思いはどこかありますね。」
等力「なるほど理解しました。多分、「壁がある」というメッセージは、僕もですが結構モヤモヤしてる感じはあって。その壁とは何だっけ?壊れるとは何だっけ?ってことを、どっかでちゃんと説明してあげてもいいかなって感じがします。結局バンドの現場にも行くし、アイドルの現場にも行くしってタイプの人も、RAYの現場にはたくさんいますよね?」
大黒「そうですね。」
等力「その意味で言うと、その人たちに向けたメッセージではないんですよね、実は。そうじゃない人に向けて明確にターゲットしたキャッチコピーだっていうのは、どこかで説明してあげたほうがいいのかもしれない。それがない状況だから既にアイドルリテラシーもバンドリテラシーもある人がザワザワしちゃってるのが、ちょっと可哀想な感じはある。気に揉む必要がない人達が気を揉んでいる。僕はそこをフォローしていいんじゃないかなとちょっと思っちゃっています。」
大黒「なるほど。わかりました。」
等力「壁の話に戻すと、システム的な壁はまあどうしてもあるなっていう感じなのと、意外にこの距離にいてRAYのことを知らないとか、話があったと思うんですけど、これってジャンルとかスタイルとか以前の話で。人間って、意外と2バンドとか3バンドぐらいしか認識できないというか。何かのファンになることって意識的に視野を狭めることだと最近すごく思っていて。プロモーションって大事だよねみたいな話なんですけど。」
大黒「等力さんも僕も、結愛も含めて音楽オタクなんで、掘ってなんぼって言う認識を持っちゃってるんですけど、一般的に人って掘らないですよね。掘るのが正しい、掘らない聞き方は邪道なんてことは全く思ってませんが。」
等力「まず味見すらしないっていう人が大半であるというのがあって。バンドとアイドルの壁だけではなくて、単純に一般論として思っていた以上に壁ってあるし。例えばRAYが明日の叙景のレビューを告知してくれて、それをリツイートしてくれる人を見てみると全然知らない顔ばっかりだみたいな。他のバンドのファンやアイドルのファンとかを見てみると全然知らない層があるわけなので、一般論としてそういう話になっちゃうかなっていう気はしていますね。」
大黒「そうですね。」
等力「意外にみんな掘らない、横断的にならない。何かを推したりとか何かのファンになったりとかって、経済的にも限界があったりするので、まあそんなもんなのかなっていう気持ちもちょっとあったりしますが、今回みたいなイベントでお互いのファンがお互いのファンになるっていうのはすごく感じるので、何かしら起こるんじゃないかなと思います。」
大黒「やった~!楽しみだ~!」
内山「楽しみです!めっちゃ!」
等力「明日の叙景もそれは感じていて。毛色が近そうで近くなかったとか。あとマンネリなんじゃないかと思うような対バンでも、初めて見るみたいな人ってすごく多いので。対バンとかって大事っすよねみたいなね。」
大黒「わかります。じゃあ最後に、RAYのファンに伝えたいことがあれば。」
等力「はい、頑張りますということで。」
大黒「よろしくお願いします。」
等力「いつも通り頑張ります。特に特別な意気込みとかないですが、いつも通り頑張ります。」
大黒「ありがとうございました。当日楽しみにしています。」
明日の叙景(読み方:アスノジョケイ)
2014年結成。東京を中心に活動。
2022年に2nd Album『アイランド』をリリースし、国内外で大きな反響を得る。
2023年にはBorisのEU/UKツアーに帯同した他、『アイランド』の全曲演奏ライブは東京・大阪共に完売公演となる。また、香港、韓国での公演も即日完売。同ジャンルでは異例の注目を集めるバンドとなった。
2024年にはライブアルバム『Live Album: Island in Full』をリリースし、4月に大阪 Yogibo HOLY MOUNTAINと東京 Shibuya WWWXでワンマン公演を開催。同年6月にはヘッドライナーとして6年ぶりの中国ツアーを行い、完売となった上海公演含め4カ所で公演を行った。
現在もアジアを中心にワールドワイドな活動を行っている。
==イベント情報==
アイドルとバンドの壁を壊す
8/18(日)
RAY presents「Destroy the Wall」
渋谷CLUB QUATTRO
OPEN/START 16:30/17:15
前売/当日 4800円/5300円(+1D)
RAY
downy
明日の叙景
MO’SOME TONEBENDER
🎫前売発売中
w.pia.jp/t/ray-o/
※当日のRAY特典会はございません。物販のみとなります。