東京発のピュア・スラッシュ・メタル・バンドMACHETE TACTICSが、約2年振りとなるとなる待望の2ndアルバム『INFINITEB TERROR』をリリースする。バンド結成から新作リリースに至るまで、メンバーに語ってもらった。
Text by Yasushi Saito (BxTxHx RECORDS)
編集:汐澤(OTOTSU)
―まずはバンド結成の経緯を教えてください。
嶋崎 大輔(以下D):「悪いデスラッシュがやりたいな」と漠然とした考えで結成しました。始めに以前やっていたバンドにヘルプで参加してもらった縁で知り合ったドラムの森川に声をかけました。その後に森川のツテで高橋を誘って3人になったんです。
―「MACHETE」という単語がインパクト大ですが、バンド名はどのようにして決定したのですか?
D:3人で出した音にインプレッションを得て考えたバンド名です。チューニングの低い重い音でやる速いデスラッシュが、無感情・無慈悲に聞こえて、B級スラッシュ映画を思い浮かべました。「13日の金曜日」のジェイソンがマチェーテで無感情に殺しまくるところをイメージして付けました。
森川 遼(以下R):確か嶋崎と二人で練習していた時にバンド名を告げられたような…聞いた瞬間は、聞き慣れない単語なので「なんだって?」という感じで(笑)。でも意味を聞いて「かっけぇー!」となって、もうこのバンド名しか考えられなくなりました。
―バンド結成直後に2曲入りのデモ『The Machete / Vengeance is Mine』をリリースしていますね。かなり早いタイミングでのリリースですが、メンバー間の意思の疎通はスムーズでしたか?
D:結成当初から音源や曲作りを優先してやりたかったので、曲は割とすんなりできた気がします。メンバー2人は、細かいところでは畑が微妙に違うんですが、理解力があり演奏力もあるので、やりたいことをすぐに理解してくれてスムーズに曲ができていった気がします。
髙橋 陽之(以下H):とてもスムーズだったと思います。嶋崎が割と明確なビジョンを持っているし、自分も森川も文句なしでカッコいいと思える曲を(嶋崎が)持ってきてくれるんですよね。だからこの2曲入りデモを録った段階で、既に「MACHETE TACTICSだったらこっちを選ぶよね」みたいな、バンドのイメージを3人で共有できていた気がします。
R:メンバー全員が別のバンドで活動してきた経験があったので、「バンドを立ち上げたときにどのように動くか」についてのイメージを共有できていたのも大きいと思います。デモ音源はYouTubeにもアップしてまして、アルバム収録版とは違った良さがあるので、アルバムを持ってる人も是非聴いてみてもらえると嬉しいですね。
―翌2022年リリースの1stアルバム『The Nightmare Has Begun』は、かなりロウなスラッシュ・メタルでしたが、サウンドの方向性はどのように決まったのですか?
D:B級スラッシュ映画のイメージで進行しました。ジェイソンがマチェーテを無慈悲に振り回して人をバタバタと殺していくような映像を音で表現した感じです。エンジニアにも手伝ってもらい、B級スラッシュ映画のようなアングラ感があり、ナイフのような切れ味鋭い感じでなく、重いナタで叩きつけるようなロウなスラッシュ・サウンドを狙いました。
―ロゴ・デザインのイメージ通りのサウンドでしたが、音の方向性からロゴが決まったのですか?
D:そうですね。(1stも2ndも)ロゴ・ジャケット・サウンドが、その作品のイメージに合うようにしたかったんです。
―1stアルバム・リリース以降、ライヴも精力的に行われていますが、オーディエンスの反応はいかがでしたか?
D:良い反応だったと思います。バンドとしてもライヴを重ねる毎に演奏力も音のまとまりも増していきました。
H:ありがたいことにどのライヴも盛り上がってる気がします。徹底的に硬派で決して分かりやすい音楽じゃないと思うけど、MACHETE TACTICSの曲には自信があるから、その良さを分かってくれるお客さんに恵まれるのは嬉しいですね。
R:東京以外でもお客さんからはいい反応をもらえていて、嬉しさとありがたさに加えて手応えを感じています。
―2ndアルバム『INFINITE TERROR』の楽曲制作はいつ頃から進められたのですか?
D:1stリリース後くらいから構想し始めました。先にコンセプトを決めて曲を作っていくことが多いですが、「次はSFホラーっぽい雰囲気でやりたいな」と漠然と考えていて、それに沿って肉付けしていった感じです。
―本作ではドライかつ硬質なサウンドへ変化していますね。スタイルの変化は自然発生的なものですか?
D:2ndのコンセプトがSFホラーだったので、無感情で冷たい質感の音にしたくて変化させました。
―クランチが際立つサウンドになったように感じますが、これは狙ったものですか?
D:冷たく無機質な全体の雰囲気に合わせていった結果、自然とクランチ強めなサウンドになったという感じですね。
―ベースのドライヴ感も素晴らしいですね。特に気を使ったことはありますか?
H:前作より動かないことを心掛けました。あえてギターリフとユニゾンしないというか。元々は動くベースラインを作るのが得意なんですが、本作は必要以上に動かない方が曲をカッコよく届けられる気がしたんです。逆にシンプルなルート弾きをどれだけいいリズムで弾くか、動くべきところはどうウネらせるかみたいなところは拘ったので、それがドライヴ感に繋がってるならいいなと思います。
―ドラム・サウンドも重量感を増した印象です。前作と異なるポイントはどこでしょうか。
R:シンバル類はより金物らしく金属感を感じられるように、タイコ類はより胴鳴り感があるようになっていると思います。軽い音にはしたくないという考えは前作から変わってなくて、前作の音も良かったと思っていますが、今回もより良いものになったのではと思います。
―体感スピードが格段に向上していますが、メンバーはどのように感じていますか?
H:その感想は嬉しいですね。ベースが動かない狙いの1つは、ギターの刻みとドラムのビートを際立たせてスピード感を出すことだったので。曲のBPMは前作とそう大きく変わっていませんが、スラッシュ・メタル・バンドとしての進化は自分達自身も感じますね。
R:今作1曲目の「Pitch Black」はBPM230なんで、バンドの最速BPM記録を15も更新したけど(笑)。でもそれ以外の曲は、確かに前作と同じくらいですね。前作からですけど、BPM以上に速く聴こえるって感想をよく聞くんですが、それはやっぱりリフの力が大きくて、バンドの強みだなと思います。
D:そんなにテンポは意識してないですけど、冷たい雰囲気=硬質なサウンドにすることで、スピード感が増したように思います。
―ジャケットやアー写もかなりスタイリッシュな印象です。どのようなイメージで制作されたのですか?
D:宇宙物のSFホラーのイメージがコンセプトで、ジャケットはブラックホールのイメージです。ブラックホールは今回のアルバムタイトルである「Infinite Terror(無限の恐怖)」を象徴していると思い、今回のジャケットを作成してもらいました。
―収録曲に関して、一言コメントをお願いします。
―01.Pitch Black
D:今回のアルバムを象徴する曲です。短い曲ですが重くて暗くて激しくて、今回のアルバム・コンセプトが詰め込まれていると思います。
H:最高の1曲目です。THE HAUNTEDの「Godpuppet」に匹敵する名曲だと思います(笑)。
R:この曲はやはり最後のパート。ギターやベースは減速っぽい感じなのにドラムは疾走。これは嶋崎のアイディアで、すごいなと思いました。
―02.From Beyond
D:1曲目の「Pitch Black」と合わせて考えた曲です。この2曲合わせてこのアルバムのオープニングであり、今回のアルバムの導入にぴったりな無機質で無慈悲なスラッシュ・ナンバーになっていると思います。
H:イントロのリフから文句なしにかっこいい。スラッシュ・メタルの王道をいく曲ですよね。
R:この曲に限らずですが、エフェクト系も含めた金物をふんだんに使っているところで自分らしさを出せたかなと思っています。
―03.I Give You An Ultimatum
D:速い曲ですが、ちょっとノリが違う雰囲気の曲です。直線的な曲が多い中、うねるグルーヴ感が面白い感じになったかなと思います。
R:疾走系でもこの曲だけノリが違うんですよね。
H:この曲には随分勉強させてもらいました。さっきのドライブ感って意味では、この曲が1番なんじゃないかと思います。
―04.The Menace Unknown
D:前作ではやらなかったミドル・テンポっぽい曲を作りたくて試してみた曲です。間延びした雰囲気にならず、内容の濃い曲になったかなと。結果的にアルバムの中で良いアクセントになったように感じます。
H:ミドル・テンポだけど退屈にならない。嶋崎の曲作りが光ってますよね。
R:ミドル・テンポだけど熱い。ドラムとしては、少しだけDREAM THEATERを意識したリズム・パターンがあります。
―05.Hell Called Rapture
D:アルバム前半を締める大事な曲で、アルバムの中でも山場となる曲になっています。ギター的にはトレモロリフをゴリ押しした曲がなかったような気がするので、実際にやってみた感じです。
R:リフを初めて聴いたときから、この曲は柱になるなと思いました。
H:個人的にはこのアルバムで1番好きな曲ですね。スラッシュ・メタルにしては珍しく、つい目で追っちゃう美しい数式のような、そんな魅力がある気がして。
―06.At The Edge Of Darkness
D:アルバムの前後半を区切るinterludeになる曲です。インストですが、結構凝った作りになっているかなと。ベースがおいしいのでベーシスト必聴です。
H:ギターリフを中心に聴いても、ベースリフを中心に聴いても、全体の雰囲気を聴いても楽しめる。そんな万華鏡みたいな曲ですね。
R:ドラムとしては自己主張しつつも、ギターやベースを引き立たせることを考えました。
―07.Infinite Terror
D:アルバム後半1曲目のタイトル・トラックです。直線的ですが少しメロウな雰囲気で、他の曲から逸脱しないながらも差別化ができたかと思います。
R:一番マイルドな曲かなと。前作と比べて、いい意味で曲の幅が広がったなと思います。
H:なんと言っても中盤リフの展開じゃないですかね。形になった時、素直に「カッコいい!」と思いました。
―08.The Juggernaut
D:MACHETE TACTICSの得意パターンですね。期待を裏切らない曲になっているのではないでしょうか。
H:特に後半にかけてのカタルシスが大好きです。ライヴでも盛り上がる曲じゃないですかね。
R:突進系のようで実はキメのパターンが多い“ド派手かつ緻密な強襲”のような曲。
―09.The Machete Pt.2
D:この畳み掛けるような展開もMACHETE TACTICSの得意パターンです。スラッシュ・メタル好きはぜひ聴いて欲しいですね。ライヴで早くやりたい曲でもあります(笑)。
R:ザクザクとマチェーテで切り刻んで進んでいくような攻撃的な感じがすごく好きです。
H:音楽でも映画でもPt.2ってバージョン・ダウンしちゃったり間延びしちゃうことが多いけど、この曲はそんなことはなくちゃんとMACHETE TACTICSのスラッシュを突き進んでますよね。
―10.Cardinal Lust
D:4曲目の「The Menace Unknown」と同様、これまでにない雰囲気の曲をやってみたくて入れた曲です。ミドルテンポの曲ですが、「The Menace Unknown」とは違い怪しい雰囲気で、これまたアルバムの中でも別のアクセントになっているかなぁと。
R:これもまたバンドの幅を広げた一曲。パワー・メタルとスラッシュ・メタルばかりやってきた自分は最後のビートダウンに苦戦(笑)。
H:このビートダウン、森川の呼吸を伺いながらめちゃくちゃ練習したなぁ(笑)。サビのベースラインは我ながらすごく良くできたと思います。
―11.The Slaughterhouse Apex
D:アルバム最後を飾る大団円のスラッシュ・ナンバーです。最後にふさわしく駆け抜ける系ですね。
R:最後にふさわしい、勢いとやり切った感が凄い一曲(笑)。
H: 前作の「Blood Sea Carnage」もそうですけど、大団円感があっていいですよね。その辺の感覚がメンバー間で共有できてるのを感じる曲です。
―ここ最近のライヴのサウンドも変わりましたが、本作をイメージしての変化でしょうか。
H:本作をイメージしたわけじゃないと思うし、自分たちでは大きく変えたつもりも無いんけど…もしかしたら変わってるのかもしれませんね。MACHETE TACTICS の求める音に近づこうとした結果、ライヴのサウンドも変わってきたんじゃないかなと。
D:本作のレコーディングを経たことが大きいのかも知れません。バンドがやりたい今の音に自然と変化していっているように思います。リハでもライヴでも思いますが、バンドの音のまとまりがめちゃくちゃいいんですよ。
これまでにMACHETE TACTICSのライヴを体験したことがある方もない方も、今のMACHETE TACTICSを是非観てもらいたいです。
―最後に今後の活動について教えてください。
D:11/24(日)にいつもお世話になっている横浜が世界に誇るテクニカル・デスメタル・オーソリティーCRY大先輩が、この2ndアルバムのリリース・パーティを企画してくださいました。場所は両国サンライズです。CRY先輩の頑張りでチケットはなんと破格の1000円!!
11/20(水)のアルバム・リリース直後のライヴでロングセットでやらせていただきます。この『INFINITE TERRORからの曲もたくさんやりますので、是非遊びに来てください! その後のスケジュールは随時発表していきますので、SNSを要チェック願います!!
Release Information
INFINITE TERROR
MACHETE TACTICS
BTH108
2024/11/20 RELEASE
LIVE Information
CRY Presents INSANE Vol,17 – MACHETE TACTICS 2nd Album “INFINITE TERROR”Release Party
2024/11/24(sun) 両国SUNRIZE
OPEN 17:30 / START 18:00
ADV/DOOR \1,000 +DRINK(¥600)
with CODE RED / CRY / ROSALIND / BROKEN LIFE
≪SNSアカウント≫
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https://machete-tactics.amebaownd.com/
◆X
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