デビュー15周年を記念してベスト盤「血塗ラレタ旅路-Bloodstained Journe」とレア音源集「疾風ノ如ク – Like a Whirlwind」のCD2種、兀突骨初のレコードとしてベスト盤は収録曲を一部変更してリリースされる。これらの作品達は現行メンバーにフォーカスされているというのもポイントで、特にリ・レコーディングされた過去の名曲達はファンにとってかなり興味深いものとなっているだろう。兀突骨の創始者である高畑治央、そしてデビュー以降バンドを裏から支えてきたB.T.H. RECORDSの斎藤靖に今回のリリースについて表も裏も色々と訊いてみた。
Text by 別府“Veppy”伸朗
編集:汐澤(OTOTSU)
―今回ベスト盤「血塗ラレタ旅路」とレア音源集「疾風ノ如ク」のリリースになりますが、こういった音源をリリースする時は節目の時が多いですよね。兀突骨にとって2024年はデビュー15周年であると同時に現体制となって10周年でもありますね。
高畑:(現体制となって10周年は)言われてみたらそうだと思い出しました(笑)。それは特に考えていなかった…、忘れていました。
―それはあえて打ち出さないで裏テーマとして隠してあるのかと思っていました。
高畑:それもこれからは打ち出しましょう!このインタビューを読んだ人には現体制10周年ということも知って欲しいです。そうだったか…、いやはや迂闊でした(笑)。ベスト盤のリリースはいつかはやりたいと思っていましたが、タイミング的に15周年となる2024年にどうかとレーベルからお話をいただきました。それで具体的に話が進んでいきました。
―ベスト盤の選曲にあたって自分の中で決めていた基準は何でしたか?
高畑:どの曲を収録するか迷ってしまって、自分では曲を選べなかったんです。それでレーベルのディレクターの齋藤さんに相談しました。
―ここでディレクターの齋藤さん登場ですが、選曲に対してのアイデアはあったのですか?
齋藤:ライブで頻繁にプレイされている曲やミュージック・ビデオになった曲を中心に、特に後者のことを言えば兀突骨の代表曲となりえる曲達だと思っていますので。まずアルバムから4~5曲ピックアップして、そこから2曲位に絞った感じです。その後にメンバーとミーティングをして最終的な選曲となりました。初期2枚から選ばなかったのはいくつか理由がありますが、現行感を出すには今のメンバーの作品から選んだ方が良いかなと思ったからです。
高畑:未来に向けての前向きな方向性が伝わればって意味も込めてのベスト選曲にしたかったんです。ベスト盤って解散後にリリースする場合もありますが、我々はそういったものとは違うって線引きも明確にしたかったので。
齋藤:本当ならアルバム前にリリースしたデモ曲とかも収録したらどうだろうってアイデアもあったのです。バンドとミーティングしてそういった方向性のベストとなると違うだろうなって話になって外しました。リ・レコーディングした曲はありますが、これはオリジナルのまま収録よりも今のメンバーでやった方が現行感を出せるし、当時とは違った曲の魅力も引き出せるかなと思ったので提案してみました。
高畑:リ・レコーディングは時間制約的に3曲が限界でしたね。今のメンバーになって10周年というのはさっき言われて「あっ」となりましたが、このメンバーでのベストってことはかなり意識していました。それが結果的に現メンバー10周年にも繋がったことは運命だったということにしておいてください(笑)。
―曲を並べた時に気にしていたことはありますか?
齋藤:各アルバムから2曲選んでライブを意識して曲を並べたのですが、それだと少し淡泊な終わりに感じたんです。それで終わりにインパクトを与えるのはどうしたら良いかなと考えて、ベース・ソロ曲“別レノ子守唄”から組曲的に繋がっていく“血塗ラレタ旅路”はエピック感もあるし締めにピッタリじゃないかと閃いたんです。それとレア音源集と比べた時に収録時間や曲数のバランス的にもこれで落ち着いた感じもあったので。曲順は本当に苦しみましたが。
高畑:曲順は凄く悩んでいる様に見えました。
齋藤:アナログ盤のリリースも頭にあったので、それを想定すると片面が大体20分でした。そういったCDとレコードの物理的な問題も考えつつベスト盤としての流れを考えると本当に苦労したんですね。それと今回曲名表記は全て漢字とカタカナに統一してあります。
高畑:レコードでベスト盤をリリースするって話になった時は「兀突骨で大丈夫ですか?」って思いました。レコードをリリースするバンドって大御所だったり一般的に人気のかなりあるバンドといったイメージがあったので、我々にとって敷居が高いと感じていたんです。昔からレコードを手にするとジャケットが大きくてカッコいいなって憧れが大きかったので、レコードでリリースしたいなという思いはありました。
―先ほどレコードのジャケットをご好意で実物を見せてもらいましたが、兀突骨のアートワークってかなり映えるなって素直に思いました。
高畑:僕が幼稚園の頃が丁度メタル・ブームな頃でした。その頃に歳の離れた兄貴がIRON MAIDENのジャケットを部屋で掲げているのを見て凄く怖かった思い出があります。KISSとかも怖かったですね。それ位レコードのジャケットってインパクトがあると思うんです。CDだとこうはいかなかった。レコードだと「怖い」んですよ、絵が。
―CDのベスト盤に話は戻りますが、先程の理由もありますが「兵ドモガ夢ノ跡」(4th/2015年)からの選曲が4曲となりましたね。
齋藤:確かに結果的に「兵ドモガ夢ノ跡」からの選曲が4曲となりましたが、あの作品がエポック・メイキング的な印象がありますのでそれで良かったと思います。
高畑:「兵ドモガ夢ノ跡」が実は1番好きなアルバムなんです。楽曲も好きですが、あのアルバムはコンセプトから何からガッチリと歯車が嚙み合って我ながら素晴らしい作品だと思っています。
―確かに「兵ドモガ夢ノ跡」は兀突骨にとってアイコン的なアルバムかなと思っていました。それを意識して今回の「血塗ラレタ旅路」のアートワークの中心に「兵ドモガ夢ノ跡」のキャラクターがレイアウトされているのですか?
齋藤:デザイナーにレイアウトは一任していたんです。セレクトした曲数だったり、タイトルも「兵ドモガ夢ノ跡」の収録曲だったのが彼の頭にあったのかもしれませんが、あのキャラクターが中心にピタっとハマったんです。偶然でしたが、全てが一致しましたね。
―このベスト盤CDには“復讐ノ祝詞”と“川越ノ残虐王”がリ・レコーディング曲として選ばれていますね。
高畑:2ndアルバムまでの兀突骨はまだまだレコーディング初心者って感じでした。アルバムのディレクションも凄く甘いですし、ミックスにしろ何にしろ全てやり直したいって思っていたんです。それを今の経験と技術、そして今のメンバーでやったらどんなケミストリーが起こるのかって。それが楽しみだったり面白いことになるだろうなってイメージもしていたんです。
―“川越ノ残虐王”のリ・レコーディング・バージョンを聴くと音もかなり分厚くなって、高畑さんのプレイもベースのブリブリ感が強まって新たな魅力を引き出しているのに唸りました。今回は全部で3曲リ・レコーディングしましたが、高畑さん的には他にやりたかった曲はありましたか?
高畑:このセレクトに関しては齋藤さんと見事に一致していたんです。
齋藤:それと裏事情を話すと、ライブで頻繁にやっているのでリハーサルも必要ないしレコーディングするのも楽だったからという理由もあります。
―“カミソリ”はライブの締めとして頻繁にプレイされますし、この曲が外れたのは意外でした。このベスト盤を聴くと確かに流れも良かったし、聴き終わって余韻に浸っている時に「そう言えば“カミソリ”がなかったな」ってふと気が付いたんです。
齋藤:“カミソリ”も実は僕の中では候補としてあったんです。ただこの曲を入れると、テイストが他の曲と違っていることもあって、ベスト盤の流れが変わってしまうと思ったんです。それでかなり迷いましたが外しました。
高畑:確かに“カミソリ”をリ・レコーディングしようかって話もあったんです。でもあの曲はライブでやってこそ「活きる」曲だと思うんですよ。実は「魍魎」(1st/2009年)を聴いた時に、あのスタジオ盤の中では“カミソリ”ってどこかピンっとこなかったんです。“カミソリ”はライブで自由にアレンジできるから、そこで「活きる」んです。それで“カミソリ”のライブ・バージョンを収録しようかって話もあったのですが、残念ながら良いテイクがなかったのでその話はなくなりました。それにあの曲はライブで有名バンドの有名曲をオマージュで取り入れているので「大人の事情」ってヤツも関係しています(笑)。
―ベスト盤と同時リリースでレア音源集「疾風ノ如ク」もリリースされますね。ベスト盤ですと人気曲だとかライブでよくプレイされる曲だとかセレクトする時に基準が見えやすいですが、こういったレア音源集だとコンセプトをしっかりしないとぼやけたものになってしまうと思います。曲をセレクトするにあたってコンセプト的なものはありましたか?
齋藤:そもそもの出発点はベスト盤の時に外したデビュー前のデモ音源を収録したものを軸に考えていたんです。それが諸事情によってボツとなってしまって、方向性をどうしようかとなりました。レア曲がないわけでないし、アルバム未収録曲もあったのでそれらをまとめてみましょうと進めていって、最終的にああいった形となりました。
―“生前葬”と“籠城鉢形”は全くの新曲ですか?
高畑:“生前葬”はこれまでに披露したことのない新曲となります。“籠城鉢形”は某メディアの配信に出演した時に有料配信の時間帯があるから、その時にアコースティックで生演奏をしてくれってリクエストされていた曲なんです。兀突骨にそんな曲はないのでその放送用に激しさを抑えたインスト曲を作ったんです。
―その曲を掘り起こしてしっかりと仕上げて「疾風ノ如ク」に収録したのですね。
高畑:ベーシックな部分は実はレコーディング済みだったので、ギターのパートを録り直して収録しました。この曲にはギター・ソロが3回あるのですが、その2回目を実はドラマーの秋田が弾いています。「2回目のギター・ソロをやってみる?」って話を振ったら「やる」って言ったので弾かせてみたら悪くなかったんです。この曲は秋田がギタリストとしてデビューした曲になります。ドラマーは芸達者な人が多いですが、秋田もそうですね。
―“生前葬”は「黄泉ガヘリ」(6th/2023)と同時期、それともその後に完成した曲ですか?
高畑:今年になって作曲したものです。次のアルバムに入れないでここで使う方が良いタイミングだと思って収録となりました。「黄泉ガヘリ」は実はかなり難産なアルバムだったんです。何故かというと作曲面においてアイデアが渋滞してしまって大変苦労したんです。ただ難産の末に「黄泉ガヘリ」をリリースしたら全てにおいてスッキリして作曲したい気持ちが盛り上がっていったんです。それで生まれたのが“生前葬”だったんです。フレッシュな気持ちで作った曲だったし、雰囲気もこれまでの兀突骨に比べてポップというか明るいイメージだと思うんですよ。作曲していてとにかく楽しかったのでそれが乗り移ったのかもしれませんね。
齋藤:新曲はベスト盤でなくこちらのレア音源集に収録したかったんです。それともう1曲リ・レコーディングしていた“殉教者”も。
―「疾風ノ如ク」にはデモが3曲収録されていますね。アルバム制作時のデモ曲は沢山あると思いますが、その中でこの3曲を選んだのは何故ですか?
高畑:これは私がセレクトしたのですが、その中でも出来の良いものを選びました。他のデモは売り物として聴かせるには厳しいかなと思って(笑)。ウチにあるデモ音源って本当に最初の最初に録った極初期の形なんです。だから演奏も下手だし曲のテンポが変わるところとこ等もかなりアバウトなんです。
―確かに作り込まれた感のない生々しさがこれらのデモ曲にはありましたね。
高畑:こういったものを公開するのって本当は恥ずかしいんですけどね(笑)。ボーカルはリズムが取れてなかったり歌えてなかったりがバレバレですが、最初のデモ段階はこんなもんなんですよ。
―この曲が最終的にあんな形になるんだってとても面白かったですし、興味深かったです。“血気ハヤラバ”のデモ・バージョンを聴いたらイントロ部の叫ぶ箇所が2回あったんだって。
高畑:“因果応報”もデモ・バージョンでは一回し多かったりするんですよ。本当に探り探りしながら作っていましたからね。
齋藤:兀突骨のそういった面も見て欲しかったんですよ。彼らはデモ・バージョンだと生々しいじゃないですか。アルバムやライブではバカテク集団って面がクローズ・アップされますが、だからこそこういった所を見てもらって、彼らもこんな風に曲作りを始めているんですよって。
―最初にデモ・バージョン収録ってインフォメーションに書いてあるのを見て、「兀突骨は最初から結構曲を作り込んでいるんだろうな」ってイメージを持っていたんです。それが良い意味で裏切られて驚きがありました。
齋藤:このバンドだから許されるって面もあるかと思います。緩い面を見せてもそれがキャラクターとして受け入れられると思いますから。
―ライブ音源も収録されていますが、これらは2018年の福島県いわきと千葉県柏での音源ですよね。
高畑:兀突骨ってバカテク集団と思われていますが、実はライブでやらかしもあるんです。特に僕が(笑)。いくつもライブ音源を持っているのですが、その中でもこの2公演がパフォーマンスも良かったし、ミスも少なかったので選びました。でも音だけ聴かれるのは恥ずかしいというか何というか…。ヴィジュアルやパフォーマンスも含めてライブは楽しんで欲しいって思いもあるので。
―そうなると今回はこうやって小出しとなりましたが、ライブ・アルバムのリリースは考えていなかったですか?
高畑:構想では何回かありましたね。そうなると歌詞も間違えられないし、かなり緊張するなって思いもあって踏み切れずでした。リリースするチャンスがあればチャレンジはいつかしたいです。
齋藤:DVDも含めですが、兀突骨のライブ作品はいつかやりたいって気持ちはあるんです。ただライブ音源に関わるコスト面の問題があってまだ踏み出せていないです。ライブ盤をリリースするなら会場の選定も含めて下準備をしっかりしてからやらないと兀突骨の良さをライブ音源として引き出せないと思います。
高畑:あとは演奏する我々の心構えですね。
齋藤:失敗したら今の技術なら録り直しは出来るけどね(笑)
高畑:それを言ってしまったら元も子もないですよ(笑)。やるなら一発で生の演奏を真空パックしたい気持ちはあります。今回「疾風ノ如ク」に収録したライブ音源は世に出そうと思ってレコーディングしたものではないので少し油断した部分も感じられると思います。でも、これなら作品を買った人が聴いて楽しるだろうと選びました。
―話は戻りますが、この「疾風ノ如ク」の最後に収録されているインストの“籠城鉢形”も新曲ですね。
高畑:さっきも話した某メディアの配信の時に披露した曲なのですが、その時の司会をやったのは別府さんでしたよね。
―あの時披露した曲だったのですね。司会に集中していてすっかり忘れていました、スイマセン(笑)。
高畑:あの曲はMSGの“Into The Arena”オマージュなんです。
―そこ質問しようと思っていたんですよ。聴いていて和風“Into The Arena”だなって感じたので。
高畑:仮タイトルの段階では“Into The 城”だったんです。それだとMSGをおちょくっている感が出てしまうと思ったので地元にある鉢形城をテーマにした曲へ昇華させたんです。鉢形城は北条氏邦が籠城した話が知られていますね。
―私は地元のすぐ近くの史跡がテーマだったので少し興奮したのですが、テーマとしてはマイナーですよね。埼玉で籠城となると映画「のぼうの城」のモデルとなった忍城が全国的にも有名ですし、高畑さんの地元からもそれ程離れていないと思いますが。
高畑:忍城よりも鉢形城に散歩によく行くので思い入れがあるんですよ。曲作りで行き詰ったらフラッと行ってリラックスもしていますし。ドッグランみたいなスペースがあるのですが、そこに超狂暴な犬がいて危ないところもありますが(笑)。
―鉢形城って武田信玄、上杉謙信、前田利家といった有名な武将の攻撃にも耐えたのに全部忍城にもっていかれてしまって可哀そうな面もありますしね。
高畑:そうなんですよ。それに戦国時代の廃城って全国的にみてももうそんなに残っていないと思うんです。残っているお城って江戸時代以降のものだと思うし。そういったお城に行こうとしたら鉢形城しかないでしょうし、要塞って感じがあるのも気に入っているんです。神社仏閣より鉢形城に行く方が兀突骨の作曲面ではモチベーションがグッと上がりますね。犬が沢山いますが、これを読んで気になった人がいたら是非行ってみて下さい。
―先に少し話にも出ましたがベスト盤のレコードについても少しお話を伺おうと思います。CDには収録したタイトルの曲“血塗ラレタ旅路”がレコードには収録されていないんですよね。
齋藤:タイトルは変えても良かったのかもしれませんが、ベスト盤という位置付けは変わらないので変えませんでした。今回リリースの両CDに収録した新曲とリ・レコーディング曲はレコ―ドには収録したかったんです。実はタイトルを決めるのは最後で、レコードにどんな曲を収録するかは先にプランとして固まっていました。タイトルは最後のピースで、CD盤の最後となった“血塗ラレタ旅路”をハメたら収まりが良かったんです。ベスト盤のタイトルとしても「旅路」ってワードが相応しいと思いましたし。レコ―ドでは収録時間の問題もあったし、作品として曲の流れを考えたらこの曲はちょっと外そうってなりました。アルバム最初と最後は新曲を絶対配置したかったので。3枚組にしたら“血塗ラレタ旅路”を収録できたんだけど(笑)。
高畑:僕はLED ZEPPELINの「聖なる館/HOUSES OF THE HOLY」(5th/1973)みたいでこの件については気に入っているんですよ。曲の“Houses of the Holy”はその次の「PHYSICAL GRAFFITI」(6th/1975)に収録されていますよね。そういった所とダブっていて、「ああ遂に兀突骨もレコードをリリースするんだなって」って強く感じて親しみがあったんです。
―日本盤でレコードとなると帯が付くのかはマニアにとって気になるところですね。
齋藤:帯はマストだと思っていてコストはかかりますが付きます。
高畑:帯があるのとないのではかなり違いますから絶対つけて欲しかったので。
齋藤:デザイナーとも相談して兀突骨のタイトルが映えるのはどうしたらいいかなって考えて、ACCEPTの日本盤レコードの表記フォーマットを参考にしました。それに写真の配置はKISSを参考にしていたり、他の部分でオジー・オズボーンの日本盤帯を参考にしている箇所もあります。そういったところもマニアの人達は楽しんで欲しいです。
―今回ベスト盤やレア音源のセレクトする作業の中で色々と曲を聴て「あの時こんなことがあったな」と思い出したことはありましたか?
高畑:2ndアルバム「影ノ伝説」のレコーディングがとにかく大変だったって思い出があります。首を怪我していて右腕が麻痺しながらのレコーディング作業だったので本当にピンチでした。アジア・ツアーをやってベトナム公演の時にヘッドバンギングのやり過ぎで発症してしまったんです。首の骨が変形して神経を圧迫しているって言われて、何とか帰国したのですが、帰国当日にもライブが入っていたんです。
―確か熊谷でのライブでしたよね。
高畑:その日のライブでプレイしているとどんどん手が上がっていかなくなる状態でヒヤッとしましたが、なんとかやり終えました。その次の日もライブが入っていたのですが痛みが治まらなかったのでライブ前に病院に行きました。その時に神経がヤバイって医者に言われたんです。ライブの後にはレコーディングが控えていてリハビリに通いながら何とかそれを乗り越えました。そんな状態だったので2ndアルバムのベースはコンプレッサーをかけてレコーディングに臨みました。コンプレッサーって80年代のJAZZやFUSION系の人がよく使う手法なので、よく聴けばメタルらしからぬハイファイでお洒落なベース音になっているのが分かりますよ。逆にツアーはいつも楽しかったですね。今のメンバーになってからは国内外色々なところへ行きましたし。
―インド/ネパール・ツアーは過酷だったと以前話していたと思いますが。
高畑:思い出しました!首が痛かったよりもインド/ネパール・ツアーの方が何十倍も大変でした(笑)。とにかく過酷過ぎて『世界ウルルン滞在記』なんか比べものにならない位に色々な困難が降りかかってきました(笑)。空気は悪いし、ライブ後に顔を洗うと逆に汚れて黒くなるし。何より移動が悲惨すぎて道なき道をハイエースで走っていましたね。本当に目的地に着くのかって不安な思いを抱いて山奥を走ったりしていました。それがドラゴン・クエストみたいに山谷や森の奥に大都会がぱっといきなり広がっているんです。そんなところにもメタルを聴く人がしっかり沢山いて驚きもありました。インドのケータリングに飲み物の横に○○があったりもして凄い世界だなって思いましたし。その逆に3回行った中国ツアーは至れり尽くせりで良かったですね。400人規模の会場が満杯でかなり盛り上がってくれました。中国のメタルキッズは日本のメタル・バンドに興味があるみたいでインターネットを通して詳しく知っているんです。音源もダウンロードで聴くこともできますから。ダウンロード文化が発達していた分CDを持っている人は少なかった印象でした。前のメンバーの時に行ったイギリスやオーストラリアも良かったですね。
―今後の予定について教えてください。
高畑:実は来年は結成25周年になるので何かやりますよ。今はフレッシュな気持ちで作曲活動をしているので「良い物」を届けられると思います。今回リ・レコーディングに挑戦したことによって新たな発見もあったので、初心に返った気持ちで作曲にも活きると思います。だから自分自身でも作曲ということに対しての結果を楽しみにしているんです。頭の中では曲もコンセプトも何となく形になっていますから。結成25周年ってよく兀突骨を続けてこられたと思います。2025年3月にはタイでDARK TRANQUILLITYと共演も決まっています。兀突骨初となるアメリカ・ツアーの話も進めていて、2026年に実現になりそうですがUSデス・メタルの聖地とも言えるフロリダへも行けそうです。アメリカは入国が大変で興行ビザの取得も大変らしいのでクリアしなければならないことは山積みですが楽しみにしています。ベスト盤もリリースとなって感慨深いですし、その勢いに乗ってこれからも兀突骨を続けていきたいですね。
Release Information
血塗ラレタ旅路 – Bloodstained Journey ~ The Best Collection
兀突骨
BTH110
※ディスクユニオン・オリジナル特典:おもしろMC集その1(DVD-R)
疾風ノ如ク – Like a Whirlwind ~ The Rare Collection
兀突骨
BTH111
※ディスクユニオン・オリジナル特典:おもしろMC集その2(DVD-R)
血塗ラレタ旅路 – Bloodstained Journey ~ The Best Collection(2LP)
兀突骨
BTHR1001
※ディスクユニオン・オリジナル特典:おもしろMC集その1(DVD-R)
≪ライヴ情報≫
●2025年1月25日(土) 新宿 Wildside Tokyo
兀突骨 15th Anniversary GIG – B.T.H. NIGHT Vol,7
OPEN 17:00 / START 17:30
ADV 3,900円(+1D) / DOOR 4,400円 (+1D)
Opening Act Potalist with Joe-G
チケットはこちら
https://ws-tokyo.com/events/24586
●2025年3月2日(日) MR.FOX LIVEHOUSE
ENDTIME SIGNALS ASIA TOUR – LIVE IN BANGKOK
※タイのバンコクでDARK TRANQUILLITYとの共演が実現!
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