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「台湾語で歌う3ピースのバンドとして、グランジの魂を込めてラウドなパフォーマンスを。」Sorry Youth / 拍謝少年 日本デビュー盤記念インタビュー

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Sorry Youth: Bass 薑薑(ジャンジャン) / Guitar 維尼(ウェニー) / Drum 宗翰(フレッド) (左から)

台湾・高雄出身のオルタナロックバンド 、Sorry Youth / 拍謝少年の日本デビュー盤「Bad Times, Good Times / 歹勢好勢」の発売を記念して、メンバー3人に直接インタビュー。パンデミックの状況下でのアルバム制作や、台湾クラフトビールTaihu Brewingとのコラボレーションなど、どんな状況でも挑戦し闘い続けるバンドSorry Youth。今回発売されたアルバムのコンセプトやメンバーが好きな日本のアーティスト、来日ツアー時の思い出について聞いてみた。


– まずはバンドとメンバーの自己紹介をお願いします。

フレッド

僕たちは3ピースバンドで、ギターのウェニー、ベースのジャンジャン、ドラマーのフレッドです。台湾人としてのメッセージを伝えることを大事にしたいと思っているので、僕たちが書く曲は全て中国語でなく台湾語で歌っています。

僕たちはみんな十代の頃からロックな音楽にハマっていましたが、実際にバンドを組んだのは大学に入ってからでした。なので若者が夢を求めて奮闘する姿をテーマに歌う曲が多かったり、美しい台湾の海や山の風景を描くことも好きですね。あと、僕らはみんな漫画が大好きで、特に井上雄彦さんのスラムダンクからは決して諦めない精神など、多大なるインスピレーションを受けています。

– そんな3人がどうやって出会い、どんな経緯でバンド結成に至ったのかストーリーを教えてもらえますか?

フレッド

元々ジャンジャンとフレッドは高校の同級生で、一緒に通った台北の大学でウェニーと出会いました。よくみんなで台湾の有名なライブハウスや、Spring Scream、Megaport Festivalなど音楽フェスへ遊びに行っていました。

まずはみんなと同じように、有名なロックの名曲であるNirvanaの”Smell Like Teen Spirit”やThe Strokesの”Last Nite”のカバーから始めましたが、自分たちで曲を書く方が楽しくて面白いと思い始めました。最初は演奏もあまり上手くなかったのですが、スタジオで練習やリハーサル、セッションを重ねてスキルを磨きました。

デビューアルバムの「Seafood」、そして「Brothers Shouldn’t Live Without」のリリースを通じて、少しずつ台湾のインディーシーンで反響を受けながら、今回「Bad Times, Good Times」が発売されました。また、ありがたいことにここ数年では台湾だけでなく様々な国でライブをする機会が増えましたね。

– どうして”拍謝少年 Sorry Youth”というバンド名にしたんですか?

ウェニー

2004年ごろ、ある台湾の若者たちが”Sorry Youth”という名前でSonic Youthのトリビュートイベントを開催しました。ちょうどその頃僕たちは出会ったばかりでバンドを組もうとしていた時でした。僕らは一緒にそのトリビュートイベントに行って、まずはバンドの英語名をSorry Youthにすることに決めました。

その後、僕たちは台湾語で曲を書き始めたこともあり、英語名の“Sorry Youth”から拍謝少年という名前にしました。ちなみに台湾語での発音は”パイ・セ・シャウ・リャン”と読みます。

– 今回のアルバム「Bad Times, Good Times」に込められたメッセージを教えてください。

ウェニー

今回リリースした「Bad Times, Good Times」は、このパンデミックの時代に生まれたアルバムです。こんな状況だからこそ、僕たちは作曲やスタジオでの演奏に集中することが出来たとも言えるので、パンデミックの状況下での悪い面も良い面も映し出したアルバムになっていると思います。

この特殊な状況によって家族や友人との関係、人生の意義、また私たちにとって何が本当に重要なのか、改めて考えさせられる機会にもなりました。レナード・コーエンもかつて「どんな物事にもヒビが入っていて、光はそこから入ってくる」と言っていました。今回のアルバムにはこの2年で感じた、みんなが自分自身の自由を持てるようにという希望や、この時代に生きる台湾のインディーズバンドにどんなレコーディングが出来るか、いま私たちが住む世界を映し出せるのか、そういった考えが込められています。

バンドの音楽的なルーツや影響を受けた音楽を教えてください。

ウェニー

台湾の伝統的なフォークソングや、The Strokesの様なガレージロックリバイバルなバンド、ポストパンク。台湾語で歌う3ピースのバンドとしては、いつもグランジの魂を込めて、ラウドなライブパフォーマンスを心がけています。

 今回のアルバム収録曲でメンバーそれぞれお気に入りの一曲を教えてください。

ジャンジャン

個人的に一番好きなのは一曲目の「Love Our Differences」、たぶん僕たちは転調する曲をあまり作らないからかな。他の曲とは違ったフィーリングを持っていて、この曲では何層にも重なり混ざったメンバー3人のハーモニーも取り入れています。3ピースのバンドとしてはなかなかユニークなことだと思うので、この曲が本当に僕たちが音楽で表現したいフィーリングでもあります。

フレッド

僕が個人的に好きなのは「Sorry No Youth」。何だか可笑しな踊れるリズムの後ろに隠れていますが、実はこの曲で歌っているのは僕らの過去の青春のストーリーです。この曲を演奏するときはいつも、仲の良い友達といろんな場所で遊んだり、音楽を楽しんでいた頃を思い出します。古き良き過去の日々、そして現在の心配や混乱する未来に対するトリビュートでもある曲です。

ウェニー

僕は「Sorry No Youth」かな。自虐的なジョークの様なタイトルだけど、結局この曲には僕たちの過去、僕たちの青春、僕たちのロックな生活、そして何より重要なのが一番の友達と一緒に本当にやりたいことをやるという自由が詰まっているから。

バンドのMusic Videoやライブのステージに登場する”魚のアイコン”について教えてください。

ジャンジャン

見た目で分かるかもしれませんが、僕らは海が大好きなバンドです。一番最初は、バンドの写真に変なキャラクターが写っていたら面白いかなというアイデアから始まりました。ある日、みんなで一緒に食事をしていたら突然閃いたんです、僕らにとって身近で美しい南国の魚サバヒー(虱目魚)を僕らのバンドのシンボルにしようと。そして、その魚のイメージをそのままファーストアルバムのカバーにしました。写真撮影が終わって、僕たちはその見た目にとても満足して嬉しかったので、そこから更に魚のキャラクターをスーパーヒーローとしてステージに登場させたらどうだろう?と思いました。そこから魚がバンドのマスコットになりました。

– コロナウイルスによって台湾の音楽シーンではどんな影響がありましたか?

ジャンジャン

もちろん、全てを変えてしまった。実はこのアルバムが作られたのは去年、コロナウイルスによるパンデミックの状況下でした。昨年以降、音楽シーンにおける全てのものは延期や再検討することを強いられました。オンラインでのパフォーマンスは台湾のアーティストにとっても重要な選択肢となっています。でもこんなに難しい状況下だからこそ、みんな今まで以上に寄り添ってもらう音楽を必要としている、という見方も出来ると思います。

実は台湾ではウイルスに対してとても上手く対処していたので、僕たちはつい3ヶ月ほど前までいつも通りライブハウスや音楽フェスでプレイすることが出来ました。今の期間も練習やリハーサルで多くの時間をスタジオで過ごし、ライブセッションに向けて準備しています。台湾での状況が良くなった時には、自分たちがどんなライブでも対応出来るように万全の状態にしたいので。何よりも今はミュージシャンにとって、状況がどのように変化したのかを受け入れ、そしてどう対応していくのかがとても重要だと思います。

– 今までに日本の音楽フェスなど何度か来日経験がありますが、日本の印象はどうでしたか?

ジャンジャン

日本の音楽スタッフのプロフェッショナルな仕事にとても驚きました。一度、東京青山の⽉⾒ル君想フでライブをしたことがあって、リハーサルでは全て上手くいっていたのですが、ライブで一曲目を演奏した後、エフェクターの電源が入らなくなってしまったんです。その瞬間に、ステージのスタッフが駆け寄ってくれました。彼のサポートのおかげですぐに原因が分かり、どうにかライブを続けることが出来ました。とてもエキサイティングであり素晴らしい経験でしたね。

フレッド

日本では今までにSummer Sonic、森、道、市場、shima fes SETOUCHIというフェスに参加しました。それぞれのフェスに違った個性がありました。例えば、Summer Sonicは大規模でワールドクラスなアーティストが世界中から参加していて、世界的に有名なPrimavera SoundやClockenflapのようにアーティストの音楽を素晴らしいサウンドシステムで聴くことが出来ました。

また森、道、市場とshima fes SETOUCHIは会場がもう少し田舎の方で開催されていることもあって、ローカルのビールを飲みながら現地の美しい景色を楽しめました。瀬戸内の海で打ち寄せる波の音を見て感じることが出来たのは、まさに一生に一度の経験だと思います。あと森、道、市場のマーケットは台湾からもブランドが参加していたり、まるで世界中から屋台が集まったみたいで面白かったです。

– 海外への渡航が制限されている状況ですが、もしもいま日本に行くことが出来るとしたら何がしたいですか?

ジャンジャン

それは間違いなく日本の野外フェスに参加して、壮大で美しい日本の自然の風景を楽しむこと、そしてもちろん素晴らしいアーティストと共演したり発見することかな。正直僕たちは、日本のどちらかと言うと田舎っぽい地方が大好きで、それぞれの地域ごとに独特なキャラクターや文化があって、それが僕らにとって何よりとても魅力的なので。早くまた日本へ行ってローカルなお酒やビールを飲んだり、地元の料理など食べれるようになってほしいです。

– よく日本の音楽も聴いていると伺いましたが、メンバーみなさんの好きなアーティストを教えてください。

ジャンジャン

eastern youth、坂本慎太郎、幾何學模様、東京スカパラダイスオーケストラ、福居良。

フレッド

envy、toe、YMO、サカナクション、eastern youth、Yogee New Waves、ペトロールズ、SUPERCAR、NUMBER GIRL。

ウェニー

envy、YMO、サカナクション、eastern youth、くるり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのようなバンドが好きかな。

– バンドは今後どんな活動予定がありますか?

フレッド

本来であればアルバムのリリースツアーで台湾国内や海外にも行くつもりだったんですが、ここ3ヶ月のCovid-19の感染拡大の影響でキャンセルをしなければいけませんでした。何よりも僕たちの生きた音楽を直接ファンに届けることが出来なくてとても残念です。

それでも僕たちは音楽を届けるために、ミュージックビデオやライブセッション、生配信ライブなどいろんな方法にチャレンジしています。まずは日本語字幕も付いている映像を楽しんでもらいつつ、もっとエキサイティングなライブやニュースを届ける予定です。お楽しみに!

– 最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

フレッド

本来であればアルバムのリリースツアーで台湾国内や海外にも行くつもりだったんですが、ここ3ヶ月のCovid-19の感染拡大の影響でキャンセルをしなければいけませんでした。何よりも僕たちの生きた音楽を直接ファンに届けることが出来なくてとても残念です。

それでも僕たちは音楽を届けるために、ミュージックビデオやライブセッション、生配信ライブなどいろんな方法にチャレンジしています。まずは日本語字幕も付いている映像を楽しんでもらいつつ、もっとエキサイティングなライブやニュースを届ける予定です。お楽しみに!

インタビュー・翻訳:Yusuke Kimura


9月24日(金)にはduo MUSIC EXCHANGEが主催の日本と台湾をつなぐ遠隔イベント『Call Out Music』の第三弾として、オンラインでthe band apartと対バンライブに出演が決定。

RELEASE INFORMATION

SORRY YOUTH / 拍謝少年
Bad Times, Good Times / 歹勢好勢

日本盤のみボーナストラック収録

NOW ON SALE
品番:TRON4
レーベル : Tron Music

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