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SMOKIN’theJAZZ、4枚目のアルバム『Fervid Focus for the Fourth』その制作の背景とユニットのルーツについて

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Immigrant’s Bossa Bandのメンバーとしても活動していたNOBUdaDREAD:( ターンテーブル/プログラミング他 / 本文表記 : NOBU)を中心に、Sugames Japon(キーボード / 本文表記 : Suga )とShu Fujiyama(ギター / 本文表記 : Shu )によって結成されたジャズ・ヒップホップ・ユニット、SMOKIN’theJAZZ。2018年12月に出した最初の7インチ​​『The Initial Impulse EP』で話題を集めると、これまでに6枚の7インチレコード、3枚のアルバムを世に放ち、配信では数多くのプレイリストに選出されるなど、活躍の幅を広げてきた。そのSMOKIN’theJAZZが、4枚目のアルバム『Fervid Focus for the Fourth』をリリースする。これまで以上に多彩な要素が見られ、新機軸になるであろう本作。その制作の背景とユニットのルーツについて話を聞いた。

取材・文 : 島晃一 / 編集:山口隆弘(OTOTSU)

――結成は2017年とのことですが、そのきっかけを教えてください。

Nobu

「こういうのをやりたい」って思った曲をコンパイルして、勝手にCDを作りました。それをいろんな人に渡して、釣れたのがShu(Fujiyama)です(笑)。彼がギターだからピアノも欲しくて、Immigrant’s Bossa Bandでも一緒だったSugames Japonに声をかけました。

Suga

NOBUとはもう20年以上の付き合いです。

――そのCDはどんなものでしたか?

Nobu

DJカム・カルテットが2008年に出した『Rebirth Of Cool』や、このユニットでもカヴァーしたザ・ルーツ「Silent Treatment (Kelo’s Mix)」とか、ジャジーなヒップホップを詰め込んだ感じでした。

DJ CAM QUARTET / Rebirth of Cool

――そのCDにも反映されていると思いますが、皆さんが影響を受けたアーティストは誰ですか?

Nobu

影響されたのはやっぱりDJカム。あとは90年代のヒップホップ全般ですね。DJカムも95年頃にアブストラクト・ヒップホップをやっていたときから好きですし。もちろんDJ KRUSHさんもよく聴いていた。SMOKIN’theJAZZでやっているのはそこらへんの感じです。

Suga

僕は他の二人と違ってそんなにヒップホップを通って来てないです。自分の中に強くあるのはジャズですね。最近もキース・ジャレットしか聴いてない。でも、雑多というか、マイブームはコロコロ変わります。他の人に面白い曲を教えてもらうことも多いし。そういう意味では影響されたのはNOBUくんかも(笑)。

――DJカムもNOBUさんから教えてもらったんですか?

Suga

そうです。DJカム・カルテットで鍵盤を弾いているエリック・レニーニはジャズ界でも活躍してますよね。ライヴも熱いし。でも、彼がDJカムと一緒のときの、わびさびの効いた、出すぎずでも控えにいるわけでもない加減が好きで、採譜して研究したりもしました。

Shu

​​僕もジャズが好きなんですけど、最初はディアンジェロ『Voodoo』にハマりました。そのドラムがクエストラブだったから、ザ・ルーツも聞きましたね。あと、ギタリストだとロニー・ジョーダンもすごく好きです。

―先ほどから名前が出ているザ・ルーツ「Silent Treatment (Kelo’s Mix)」のカヴァーを含むデビューEP、『The Initial Impulse EP』が2018年の12月にリリースされます。ザ・ルーツのこの曲を選んだ理由はなんですか?

Nobu

僕がDJをやるときに絶対バッグに入っているレコードだったし、これをやるためにこのユニットを作ったと言っても過言ではないです。また、B面の「Just A Lil’ Lovin’」は、​​ハウス、ブロークン・ビーツの曲ですけど、この曲のジャズ・ヒップホップ的な解釈を他に知らなかったので、カヴァーしてみました。ありがたいことにEPは5日間で完売して、いけるんじゃないかと(笑)。

The Roots – Silent Treatment (Kelo’s Mix)

――ジャジー・ヒップホップは少し手垢のついた言葉かと思いますが、そう呼ばれることについてはいかがですか?

Shu

自分たちでもジャズ・ヒップホップって言っちゃいますね。でも、生楽器をここまで主にしてるユニットは少ないと思います。ビートだけは打ち込みですけど。

Nobu

ビートだけ打ち込みであと全部生楽器というのも珍しいんじゃないかな。なんでビートが生じゃないのかというと、僕が90年代ヒップホップの打ち込みの感じが好きだからです。

――曲作りの仕方についてもお聞きしたいです。最初にビートから作ることが多いですか?

Nobu

自分が作ったビートを流しながら、二人にセッションしてもらって、そこからいいフレーズを切って作ったりもしますね。Sugaちゃんがピアノでネタを弾いたのを基に作るときもあります。

Suga

ここ最近はShuがデモを作ったのも多いよね。みんなそれぞれ持ち寄って作っています。

Nobu

ちなみに、先ほどのEPの曲も含めて、最初のレコーディングで17曲ぐらい録りました。一回のレコーディングでアルバム二枚分、一枚目の『The Initial Impulse』と二枚目の『SOME JAZZY STEEZ』の曲を一気に録っています。

SMOKIN’theJAZZ / Silent Treatment feat. JUDY.

――なるほど。だから最初のアルバムのリリースが2019年の7月で、セカンドが同年の12月と、短いスパンで二枚出せたんですね。

Nobu

そうですね。今回のアルバムも、今年3月に出した三枚目『Stories』と一緒に録りました。

――では、その4枚目『Fervid Focus for the Fourth』について伺いたいです。これまで以上に多彩なアルバムという印象ですが、全体のコンセプトはありますか?

Shu

「これまでよりも幅を広げよう」って話はしましたね。前までは「夜のドライブに聴いて欲しい」って言ったこともあるけど、今回は違う。

Suga

前まで夜っぽいアダルティな感じだったけど、今度は昼間の遊園地かな(笑)。さすがにそこまでじゃないけど、ジャケも含めてこれまでより明るいよね。

Nobu

ファーストもセカンドもジャジー・ヒップホップだったので、それよりもソウルっぽい曲や、ラテンな感じの曲も入ってます。ずっと同じことをやるのではなく、これまでと違うテイストを入れたかった。

Shu

今回は自分が作ったローファイ的な曲も入っています。コロナ禍以降によく聴いたこともあって、ローファイ・ヒップホップにハマりました。自分でデモも20曲ぐらい作って、そこから選んでもらいました。先行配信もされた5曲目の「​​R-i-p-p-i-n-g」がまさにそうです。

SMOKIN’theJAZZ / R-i-p-p-i-n-g

――少しラテンっぽさもある曲ですね。今回Shuさんが作った曲は、これまでにないテイストのものが多いですか?

Shu

そうですね。ローファイ・ヒップホップな感じを強めにしたデモを持っていきました。それでもちゃんとこのユニットの色になるという確信がありましたから。

Nobu

Shuが作った20曲くらいの内、ラテン・テイストの入った曲は今回のアルバムに、そうじゃない曲はサード・アルバムにっていう風に分かれたんだと思います。

Shu

他にローファイっぽいのだと、10月の配信曲でもある7曲目の「Old Man Reading」もそうですね。

Nobu

​​3曲目「Get on down wit ya bad self」もShuだよね。これは元々ラテンっぽかった。哀愁のあるアコースティックなギターが入っていて。

――9曲目の「Peace to the HIP-HOP crowd」はこれまでのジャジー・ヒップホップ的な心地よさも感じました。

SMOKIN’theJAZZ / Peace to the HIP-HOP crowd
Nobu

実は、この曲は生のドラムと打ち込みのツインドラムになっていて、生のドラムはSugamesちゃんが叩いています。

Suga

ドラムも大好きな人間なので。打ち込みと共にではありますが、ツインドラムは人生初でした。

Shu

この曲のベースラインは2パック「Only God Can Judge Me」をだいぶ変えて弾いています。

――最初の鍵盤を聴いたら、ファラオ・サンダースの「You’ve Got to Have Freedom」も想起しました。

Suga

Shuが元々持ってきたのと変わっちゃっうけど、ハマるかなと思って違うコードを無理矢理弾いてみたらこうなりました。たしかにファラオ・サンダーズっぽいですね。

――これまでと違う曲というと、JUDY.さんがフィーチャーされた6曲目の「​​Look up at the sky」にも驚きました。ディスコ・ブギーですよね。でも、ディスコ・ハウスのDJがかけるようなものと少し違くて、ちょっと抑えた曲ですよね。

Nobu

BPM120いかないくらいにしました。たまにはハッピーなソウルっぽい曲もいいかなと思って作りました。

Shu

最初、この曲は異色すぎて、アルバムに入っても浮くんじゃないかと思いましたけど。

Suga

結果的に全然浮かなかったね。

――4曲目「Three the Hard Way​​」はボッサ調の曲ですが、最初からブラジリアンっぽい曲をやろうと決めていましたか?

SMOKIN’theJAZZ / Three the Hard Way
Nobu

いや、決めてないですね。これは僕とDJ KUTFASTERとDJ TAKASHItくんの三人でネタを持ち寄って作りました。「​​R-i-p-p-i-n-g」とか、ブラジルやラテンっぽい曲が既にあったので、アルバムでも浮かなくていいかなと。

――​​ジョン・ルシアン「Love Everlasting」を引用してますよね。

Nobu

TAKASHItくんが持ってきたネタかな。​​この曲と1曲目の「Check Me Out(Introduction)」はサンプリングで作っています。毎回アルバムの1曲目は必ずサンプリングにしていて、今回はマイルス・デイヴィスのネタです。

――2曲目の「Fighterz Stories」もアルバムのハイライトになりそうな曲ですね。

SMOKIN’theJAZZ / Fighters Stories
Nobu

これは和モノを基にした曲です。『あしたのジョー』のサントラに入っている「ローリング・ファイター」って曲がすごくよくて。あと、マイクリレーをどうしてもやりたかった。この曲は闘う人たちの物語です。いろんなことに対して闘うことについて書くように、日本とアメリカとカナダのそれぞれで活動する三人のラッパーにお願いしました。かっこよくできたと思います。

――その三人のうち、大神:OHGAさんは過去全てのアルバムに参加していますね。

Shu

僕が昔からサポートでギターを弾いていて、いつか歌ってほしいと思っていました。

Nobu

ファーストの最後にある「matane」って曲が最初ですね。バイリンガルでラップできるしフローも好きだったので、それからずっとお願いしています。

――JUDY.さんと島祐介さん、そして​​真船勝博さんも多くの曲に参加している印象です。

Nobu

島さんには​​Immigrant’s Bossa Band時代からお世話になっています。

Shu

JUDY.さんはサポートでツアーを回ったときにコーラスを担当していて、それがきっかけできてもらいました。

Nobu

真船さんに関してはほぼメンバーです(笑)。僕がF.I.B JOURNALっていうバンドに、たまにパーカッションで入るんですよ。そのFIBの元々のベーシストが真船さんでした。どうしても真船さんに弾いて欲しくて、一枚目からずっとお願いしています。

――最後に、今後の活動予定を教えてください。

Nobu

本当はもっと前にライヴをやるはずでしたが、コロナ禍でなくなってしまいました。そもそも、サポート・ミュージシャンをいっぱい入れないとライヴで曲を再現できないんで、年に一、二回くらいでいいから、いつか豪華な感じでやれたらいいなと思うんですけど。

Shu

アルバムを出すタイミングでライヴができたらいいですよね。

Nobu

あとは、ほぼ毎月の配信、それに7インチも出したいです。次のレコーディングも一月に決まっていて、そこで5枚目、6枚目のアルバム用に曲を録ります。これまでのどの作品とも違う感じにはしようと 思っていますね。

SMOKIN’theJAZZ

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ご注文は、2021年11月11日12:00正午まで
お届け予定:2021年11月下旬予定

Fervid Focus for the Fourth
SMOKIN’theJAZZ

 2021.11.03 RELEASE
Loud Minority Productions

SMOKIN’theJAZZ Spotify Artist Page

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