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Gecko&Tokage Parade、colspan、Apneumo、Playwright 新世代「TRINITY」鼎談

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2021年4月に青山・月見ル君想フで初回開催を迎えた、Playwrightの若手バンドによるスリーマンイベント「TRINITY」。ポストロックから派生した新世代和製ジャズを奏でるGecko&Tokage Parade、様々なアーティストとのフィーチャリングや前衛的な音色などでエモーショナルかつカラフルなサウンドスケープを実現する京都発のcolspan、エレクトロニカやアンビエントの要素をふんだんに盛り込んだギターインストトリオApneumo、3組ともジャズやフュージョンを軸に持ちつつも、それぞれジャンルにとらわれない自由な音楽性を追求している。

そんな3組が集う「TRINITY」の関西編が、公演延期を経て2021年11月14日に心斎橋CONPASSで開催。同日からは3組の新曲などが収録されたコンピレーションCD『TRINITY PACK』もリリースされる。それらを記念し、OTOTSUでは3組の各代表者によるリモート鼎談を敢行。Gecko&Tokage ParadeのWataru Sato(Pf)、colspanのTakayuki Umeda(Pf)、ApneumoのFuruya(Gt&Syn)から見る「TRINITY」の存在意義、各バンドのポリシー、コンピレーション盤への思いなどを語ってもらった。

インタビュー・テキスト:沖さやこ 編集:山口隆弘(OTOTSU 編集担当)

―インタビューが始まる前のお話を聞いていても、かなりみなさん仲が良さそうですね。リモートとは思えないほどテンポのいい会話です。

Umeda

あははは。でも会った回数は少ないんですよ。

Gecko

colspanと僕らは同じくらいのタイミングでPlaywrightに入って、そのタイミングでお互いの存在を知ったんだよね。そのあともお互いの音源を聴いたりはしてるけど、コロナ禍の影響で会う機会も深く話せる機会もあんまりなくて。でも会うタイミングが濃いイベントだから同志という感覚はあるよね。

Umeda

そうそう。お互いがめちゃくちゃリスペクトできる存在だし、会ったらテンション上がっちゃうっていう。3バンドとも系統が全然違うのも理由のひとつだと思います。

Gecko

そうだね。Furuyaくんに限っては僕らと使ってる楽器も違うもんね?

furuya

そうですね、主にギターなので。作曲のアプローチも全然違うと思います。

―「TRINITY」はPlaywrightの若手3バンドが一堂に会し開催されるスリーマンイベントです。このコンセプトをみなさんはどう受け止めていますか?

Gecko&Tokage Parade「Core」
furuya

Apneumoは3組のなかで下の世代なので、直近の上の先輩とのスリーマンである「TRINITY」はプレッシャーではあるんです(笑)。

Gecko

でもcolspanも僕らもPlaywrightに入ったのは最近だからね。Playwrightは長いレーベルだし、fox capture planやbohemianvoodooのイメージも強いと思うので、我々新米3組は気合い入れて存在感を示さねばなと(笑)。

Umeda

うんうん。焦りはあるよね(笑)。

furuya

Playwrightの看板を背負いつつ、差別化を図らなければいけないなという思いはありますね。今までにはない新しい感じを出して、自分たちなりのカラーでPlaywrightへと食い込んでいきたいなと。

―それぞれの個性を追求しながら、同世代で切磋琢磨できる現場が「TRINITY」なのかもしれませんね。インストバンドシーンは10年20年選手の存在感もいまだに大きいので、若手ならではの思いもいろいろとあるのではないでしょうか。

Umeda

僕はSOIL&”PIMP”SESSIONSやindigo jam unitを聴き始めたことがきっかけで日本のインストバンドに入っていったんですけど、そのあと2012年にPlaywrightが立ち上がってfox capture planやbohemianvoodooが活躍していったと思うんです。となると僕らは第3世代なのかなと思っていて。でも似たような編成、似たような構成で曲を作っていても、世代ごとの違いを感じるんです。ライブでもリリースでも、僕らの世代が作った変化をどう面白く見せるか、聴いているお客さんがそれをどう感じるのか――そういうことを考えながら活動している節はありますね。

Gecko

うちのバンドはポストロックやシューゲイザーからインストシーンに入っていって、気の合うメンバーとジャムっていったらPlaywrightまで流れ着いて(笑)。「インスト」というくくりをすると、音楽性はすごく幅広くなると思うんですよね。その縮図がPlaywrightという感じがする。

furuya

ああ、たしかに。僕もHeliosやI Am Robot And Proud、レイ・ハラカミさんみたいなエレクトロニカやアンビエントが好きなところから始まって。僕は今年26なので、日本のインストに入ったきっかけはPlaywrightなんです。だから僕にとってはPlaywrightの黎明期が日本のインストシーンの音というイメージがあって、ずっと憧れのレーベルだったんですよね。それらが混ざり合って、今のApneumoがあると思います。

Umeda

Apneumoの曲はパッと聴いただけでApneumoってわかるもんね。雰囲気作りがうまい。

Apneumo「pray feat.木村イオリ」

―3バンドそれぞれPlaywrightの持つジャズ×フュージョンの要素がありつつも、それぞれのルーツや趣味嗜好を取り入れて、自由な音作りを追求しているところは共通しています。それゆえにそれぞれ異なる個性を持っているとも言えそうです。

Gecko

たしかに、そうですね。僕らは僕が手癖で作ったものをバンドでアレンジしているから、Apneumoの凝ったメロディやひとつひとつ作り込んだアレンジは偉いなと思うし。

furuya

えー! その作り方でGecko&Tokage Paradeのドラマチックな曲ができるんですか!?(笑) すごいなあ!Geckoさんが専用スタジオを持っているのも大きいのかな。

Gecko

たしかにリハに週1ペース入れるのもスタジオがあるからだね。最近ようやくちょっとだけ宅録をやり始めたけど、うちはノリで作っちゃうところがあって……。

furuya

メンバーさん全員のものすごく高いプレイヤースキルが成せる業ですね(笑)。うちは僕がほぼ全部パソコンで作っているので、デモの段階では自分の世界に閉じこもって作っているんです。そのデモをメンバーに送ると、僕の欲しい音を踏まえつつさらに上を行くフレーズを出してくれることがすごく多くて。

―colspanはコロナ禍をきっかけに曲作りの方法が変わったそうですね。

colspan「Decision」
Umeda

それまでは僕はiPhoneのボイスメモに録音したフレーズを持っていって、そこからセッションして作ってたけど、コロナ禍をきっかけにパソコンを取り入れる作り方もするようになりましたね。去年の12月にリリースした『Threshold』は今までの作り方と新しい作り方、半々くらいなんです。どういう作り方がその曲にとっていちばんいいのかを見極めつつ進めています。

furuya

colspanは音数が多いけど全部帯域が違うから、音圧がすごいんですよね。音の選び方がうまいなと思っています。

―「TRINITY」の関西編・11月14日からリリースされるコンピレーションアルバムは、各バンド2曲収録されます。録り下ろしの新曲もあるとのことですが、コンピレーションに収録する楽曲の制作は、普段の制作と向き合い方が変わるのでしょうか?

furuya

コンピに入れる楽曲を作るにあたり、Apneumoはキャラ立ちを意識したかも(笑)。普通に作ってもキャラ被りはしないとは思ってたけど、聴いてくれた人に「こういう曲を作るバンドもあるんだな」と思ってもらえそうな曲を入れました。今までにないアプローチに挑戦してみました。

―コンピレーションだから冒険が出来たところも?

furuya

それは大きいですね。シングルカットするにはコケそうで怖いけど(笑)、Gecko&Tokage Paredeとcolspanがいい曲を作ってくるのは間違いないから、安心して冒険できるというか。

Gecko

意識してなかったけど、確かにそれはあるのかも。うちも全部宅録で作った曲をコンピレーションに収録します。それぞれが作って来たものを持ち寄れば、いいバランスの盤になるだろうという意識もあったからね。

Umeda

いつもどおり「こんな曲があったら楽しいんじゃないか」というものを完成させていくだけで、自分たちの制作に対するマインドは変わらなかったんですけど、今年買った新しい機材を使って曲を作ったからこれまでとは違うアプローチは出来たかな。3組の冒険が味わえる盤かもしれないですね。

―「TRINITY」も関西編で2回目の開催ということで、さらにグルーヴが増した1日になりそうですね。

Gecko

そうですね。初回の「TRINITY」もめちゃくちゃ楽しかったんですよ。コロナ禍になって特に対バンが激減したから、久し振りの対バンで喜びも大きくて。おまけに同じレーベルの世代の近い3バンド。うちのバンドはリスペクトが高じてどんな対バンでも殺すくらいの勢いでライブをしてるから(笑)、みんなテンション上がってましたね。

Umeda

3組が一堂に会したのは、初回の「TRINITY」が初めてだったんですよ。だから楽しさが増し増しになって、colspanはテンション上がりすぎて前日から飲みすぎましたね(笑)。全組まったく違う個性を持ってるし、同世代ということで気合いも入るし、そういうのが自然と音にも反映されたかなって。やる側も観る側も面白かったんちゃうかな。

Gecko

ファミリー感ありつつも「うちがいちばん目立ってやるぜ」みたいなね(笑)。みんな本気だったし、ちゃんとイベントとしてのバランスが取れていた。関西編でもその良さは出したいですね。

―Furuyaさんはいかがでしょうか?

furuya

僕らは年下というのもあって、「怖いお兄さんたちやったらどうしよう?」と初回のタイミングではものすごく緊張していたんですけど……。

Umeda

その緊張、Furuyaくんからめっちゃ伝わってきてたわ(笑)。「覚えてますか……?」って確かに会うの2回目やったけど覚えてるよ!(笑)

furuya

このようにめちゃくちゃいい人たちで(笑)。Apneumoはそんなに音楽友達が多いバンドではないので、「TRINITY」きっかけで心強い兄者たちと仲良くなれたことがシンプルにうれしいんです。うちのドラムのtsukasaは対バン相手が強ければ強いほど敵対心を燃やすので(笑)、初回の「TRINITY」も迫力がすごかったんです。僕も2バンドからめっちゃ影響受けて、それが制作に還元されている感覚もあるから、「TRINITY」関西編も楽しみですね。

―関西編は当初6月予定だったので(※大阪府の新型コロナウイルス感染拡大状況を踏まえて11月に延期となった)、5ヶ月越しというシチュエーションが好手になる予感がしました。最後に当日への意気込みを教えていただけますか?

Gecko

バンドで遠征するのがコロナ禍直前のツアーぶりなんですよ。大阪もお久しぶりなんですけど、この2年弱、わりとしっかり練習してたので技術は蓄えています。それを発揮できたらいいですね。

Umeda

今回は関西での開催なので、京都のバンドとしてはほんの少しだけホームで迎え撃つような責任感みたいなものがあるんです(笑)。東京の時よりもいいライブをしたいという圧を自分に掛けてるところもありますね。「TRINITY」は個性の違う3組がそれぞれから触発されて、そこで生まれる何かが感じられたら面白いかなと思っています。

furuya

延期になったぶん、初回の「TRINITY」の時よりも持ち曲が増えたし、スキルも上がったので、前よりさらに一歩進んだライブにできるんじゃないかと思います。大阪は僕の地元で、初めて地元でApneumoでライブができるのもうれしいし楽しみですね。今年だけではなく、その後も末永く続いてほしいな……。そのためにもいい1日にしたいですね。


TRINITY in OSAKA
Gecko&Tokage Parade / colspan / Apneumo

2021年11月14日(日) CONPASS
OPEN 17:30 / START 18:00
詳細はこちら
GREENS 06-6882-1224 https://www.greens-corp.co.jp/

V.A.(Gecko&Tokage Parade/colspan/Apneumo)
TRINITY PACK 01

2021/11/14 Release

税込価格2,200円 ( 税抜定価:2,000円+税 )

仕様 会場限定CD

品番 PWTSP45  

Playwright

収録曲:

1 clockwork / Gecko&Tokage Parade

2 Celebration / colspan

3 supersonic/Apneumo

4 Room/ Gecko&Tokage Parade

5 lay it on / Apneumo

6 Fade feat.Cana sotte bosse / colspan

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