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LAジャズの聖地ラマート・パークのコミュニティとヨルバの文化から生まれたデビュー・アルバムについて、ジャズ・ピアニストにしてビートメイカー/ラッパーでもあるジャメル・ディーンに訊く – Jamael Dean『Primordial Waters』インタビュー

インタビュー・構成:原 雅明
インタビュー・通訳:バルーチャ・ハシム
編集:三河 真一朗(OTOTSU 編集担当)

十代からジャズ・ピアニストとしての才能を認められ、ビートメイカー/ラッパーとしても活動を始めたジャメル・ディーンが、正式なデビュー・アルバム『Primordial Waters (プライモーディアル・ウォーターズ)』をリリースした。自身のバンド、ジ・アフロノーツ(The Afronauts)と録音されたジャズ・サイドと、その音源を使ったヒップホップ/ビート・サイドから構成されるCD2枚組のアルバムである。ビリー・ヒギンズやホレス・タプスコットらの活動基盤だったLAジャズの聖地ラマート・パークのコミュニティと、自身のルーツであるヨルバ(西アフリカ、ナイジェリアの三大民族の一つ)の文化と言語から生まれた音楽だ。ヨルバの伝統歌を下敷に独自の記譜法を用いてジャズとヒップホップの現在と繋がる音楽を作り出した背景から、ニューヨークのニュースクール大学に学び、感じたことまで、率直で真摯な彼の言葉をお届けする。


JAMAEL DEAN(ジャメル・ディーン) photo by B+

-『Primordial Waters』は、あなたの正式なデビュー・アルバムということですね? 

Jamael Dean(ジャメル・ディーン)– そう、これはフル・アルバムとしては最初の作品になる。もともと、『Black Space Tapes』が最初のアルバムになるはずだったけど、作った曲をいくつかのEPに分けてリリースすることになったんだ。今回のアルバムは、初めて自分のヴィジョン通りの作品を作り上げることができた。だからとても満足してるよ。

Jamael Dean – Primordial Waters アルバム・ダイジェスト

これまでのレコーディングとの違いはありましたか?

まずレコーディングの環境だね。『Black Space Tapes』を作り始めた時は、五線譜とは違う自分なりの記譜法を取り入れたばかりの頃だった。『Primordial Waters』では、完全に独自の方法で作曲をして、通常の記譜法を使わなかった。

通常の記譜法は、自分にとって音楽的な植民地主義と同じだ。今までの楽譜というのは、こっちの思考を洗脳するものだった。音楽的なアイディアは、自由で流れていくものだし、様々な方法で解釈できる。自分の楽譜の書き方のシステムを発展させて、取り入れている数字を増やした。『Primordial Waters』の大半は、大学でジャズを専攻している時に作曲したんだ。授業中に退屈している時や、時間がある時に曲を書いていた。1ヶ月くらいで作曲とレコーディングを完成させた。曲のステムデータを使って、リミックス・トラックもすぐに作り出した。大学にいた頃は、自分の先祖が作り上げた音楽が奪われ、その歴史が書き換えられたということにフラストレーションを感じたけど、その気持ちをこのアルバムで表現している。

だから、自分はその本当の歴史をこの作品で見せたかった。僕だけではなく、このアルバムに参加している多くのミュージシャンは、ジャズという音楽を生み出した人々の末裔だ。

独自の記譜法を参加ミュージシャンも理解したのですか?

他のミュージシャンはまだこの楽譜のシステムに慣れていなかったから、彼らに教えるのは面白かったよ。今は、みんなも慣れて自然に理解できるようになって、逆に通常の楽譜の方が使いづらいくらいだよ(笑)。

– レコーディングはどこで?

Stones Throwのスタジオでレコーディングしたけど、ラップはブルックリンで住んでいたアパートでレコーディングした。このアルバムでは、ロサンゼルスの仲間に演奏してもらうことが大切だっだ。

当時、ニューヨークのニュースクール大学に通っていたけど、とてもホームシックな気持ちだった。ある意味、僕は1960年代のニューヨークのジャズ・シーンを期待していたのかもしれない(笑)。でも、ニューヨークには求めていたコミュニティ意識がなかった。だから、自分のカルチャーに対して共通意識を持っていて、自分と同じ出身地で、同胞と呼べるような連中と作品を作りたかった。自分のアイディアをさらに高めて、生命を吹き込んでくれるような仲間と演奏したかったんだ。

スタジオでは時間を費やしましたか?

1週間くらいだったと思う。大学の休暇を利用して、僕とシャラダ(・シャシダー)はニューヨークから戻ってきた。すぐに仲間に連絡してスタジオに集まってもらった。その時に事前に僕が作曲した曲を見せたんだ。

シャラダもニュースクール大学の卒業ですか?

そう。僕はジャズ・パフォーマンス学科でピアノを専攻していて、彼女は同じ学科のボーカルを専攻していた。

大学で出会ったのですね。

いや、高校生の時に出会った。二人ともGrammy Jazz Campというプログラムに入っていた。アメリカ中の高校生のミュージシャンを1週間集めて、リハーサルをしてライヴをするというプログラムだ。僕はボーカルアンサンブルとジャズコンボのピアノ担当だった。そこで彼女と出会った。

2014年、The Music Centerでのピアノ演奏

録音に参加したジ・アフロノーツのメンバーを紹介してください。

シャラダ・シャシダー(ボーカル)、クリス・パーマー(ベース)、メカラ・“ミッキー”・セッション(ドラム)、アーロン・ショウ(サックス)、ゼカライヤ・エル・マガーベル(トロンボーン)。ゼカライヤの兄弟でもあるユセフ・エル・マガーベル(バスーン)、ライアン・エル・マガーベル(オーボエ)も参加した。“Galaxy 4 Leimert”には、ラマート・パーク出身の年長者でパン・アフリカン・ピープルズ・アーケストラ(PAPA)を通して出会ったマイア・ハーパーがハープとボーカルで参加している。メカエラの父親であるマイケル・セッションも同じ曲にサックスで参加している。カルロス・ニーニョも何曲かでパーカッションを演奏してくれた。

Jamael Dean & The Afronauts live at the Casita

-リードシングルとして発表された“Èṣù”は、ヨルバ語の歌で、アルバムではいくつかの曲がヨルバ語で歌われています。この言語を取り上げた背景について教えてください。

Jamael Dean – Èṣù

この曲は「エシュ」と発音するんだ。大学で、ジャズの歴史についての授業があったけど、ジャズを生み出した人々についてちゃんと触れていなかった。僕の先祖のルーツはナイジェリアだから、自分の民族の歴史について語るんだったら、正しくその歴史を伝えようと思ったんだ。大学の先生の中には「アフリカ人はハーモニーの概念がなかった」と教える人がいて、僕は納得しなかった。

“Èṣù”、“Ifá”、“IṢàngó”、“IỌṣun”はもともと伝統的なヨルバの曲だ。この伝統歌のメロディを使って、そこにハーモニーを入れて、アフリカ人にハーモニーの概念があることを見せたんだよ。他の曲では、1から16までの数字に基づいて作曲をしている。ヨルバのイファ信仰において、16は聖なる数字、256は非常に聖なる数字とされているが、僕はこの作品の音楽に、このような数秘術を取り入れたかった。

だから、今回の曲にはこれらの数字の様々なコンビネーションが利用されている。一つ一つの数字はそれぞれ違うエネルギーと意味を持つ。それを意識してそれぞれの曲を作曲した。そして、英語で歌ってもらうよりも、ヨルバの言語を使うことで、元々の意味、様々な教訓やニュアンスが伝えやすい。ニューヨークでフラストレーションを感じていたことに対し、こういう曲を書くことで気持ちを整理することができた。大学にいた時に、まるで自分のアイデンティティを奪われて、間違った形で描写されているような感覚を覚えたからね。ヨルバの思想は、自分にとって頼りになって、土台になったんだ。

– 16や256などの数字は、リズムを構成する上で使ったのでしょうか?

リズムだけではなく、ハーモニーにも使用する。リズムは1から16の数字に基づいていて、数字の組み合わせ方によって、無限の可能性が生まれてくるんだ。それをさらにメロディとリンクさせる。例えば、1は半音、2を全音と捉えることができて、どんどん数字が大きくなるにつれて、変化してくる。“Overstood”ではそういうアプローチを取り入れたし、アルバムのジャズの曲では全て数字が関係している。数字を使うことで、曲のリズムとメロディのパーソナリティや特徴を作り出すことができた。そして、自分が伝えたいメッセージが伝えやすくなった。ただ、ジャム・セッションから曲を作ったわけじゃないんだ。自分が考えていたトピックについて曲を書く上で、事前にこのシステムで作曲するのはとても有益だった。

シャラダ・シャシダーの歌は、ヨルバ語で歌っていてもジャズ・ヴォーカルのようにも聞こえます。歌ではどのようなアプローチを目指したのでしょうか?

Day Four – Jamael Dean | Liberation: A Festival of Arts & Culture Honoring Juneteenth

シャラダには自分らしく歌ってほしかっただけなんだ。シャラダをドラムサークル(注:輪になってハンドドラムやパーカッションを演奏するグループ)に連れて行くことがあって、それを聴いて二人とも勉強をした。そういうことをしたから、彼女は曲の歌詞を発音しやすかった。彼女がわからない言葉があったら、僕が手伝ったり、年長者に相談した。曲の意味についても、同じく相談できる人が周りにたくさんいた。

“Èṣù”のメロディと歌詞を彼女は知っていたから、僕は「ジャズ・ソングのようにアプローチしてみて」と教えた。最初はメロディを歌って、その後は即興をして、またメインメロディに戻ってもらったけど、それがすごくうまくいったんだ。バンドの演奏も素晴らしかった。仲間も曲をよくするためにいろいろなアイディアを出してくれて、とてもナチュラルで心地のいいプロセスだった。

このアルバムの制作において、ヴォーカルで参照した音楽はありましたか?

ジャズのアルバムではなかったね。しょっちゅうヨルバの音楽は聴いていたけどね。ヨルバ・ディアスポラの中で、特に好きな作品はいくつかあるよ。ラザロ・ロス(Lazaro Ros)も伝統的なヨルバの曲をカヴァーしていて、“Ifá”も演奏している。ナイジェリア出身のアサビオジェ・アフェナパ(Asabioje Afenapa)という女性の歌手が“Ṣàngó”を歌っているけど、その曲のドラムが素晴らしいから、自分もカヴァーしたくなった。

コードを入れて、ラマート・パークの年長者に聴かせたら、アサビオジェと知り合いだということがわかったんだ。彼が曲の意味を教えてくれて、自分のコミュニティにこういう伝統が残っていることを知って嬉しかった。アメリカにいると束縛されていると感じることがあるけど、コミュニティでまだアフリカとの繋がりが残っていることを知ると、とても安心する。ラマート・パークとナイジェリアの繋がりは失われてないんだ。

This Is Lazaro Ros
Asabioje Afenapa / Ṣàngó

– ヨルバ・ディアスポラというのは、あなたにとって、どのような意味を持つのでしょうか?

ヨルバは僕にとって愛を意味していて、祖先でもある。自分の人格、決断の基盤なんだ。自分のコミュニティの中に、方向を見失っている人をたくさん見かけるからね。

– これまでリリースされた楽曲に比べて、即興よりも作曲面にフォーカスしましたか?

イエスとノーだね。曲によっては、アレンジが決まったものもあれば、メロディとコードを決めて、あとは即興でソロを入れた曲もある。即興の要素は全編に入っている。ソロが入っていないのは、”Ifá”と”Ọṣun”だけだ。即興は、ミュージシャン同士がコミュニケーションをとるための大切な方法だし、この作品においても重要だった。

JAMAEL DEAN(ジャメル・ディーン)
photo by Matt Cowen

ニューヨーク時代に書かれた曲が多いようですが、ニューヨークで影響を受けたことはありますか? それともニューヨークに対する反発が強かったですか?

大学では、クリエイティヴな気持ちを叩きのめされたような感じだったよ(笑)。大学からはインスピレーションを受けなかった。ただ、ブルックリンからインスピレーションを受けた。ブルックリンのコミュニティでも、イファ信仰を実践する年長者と出会うことができた。僕はイレケ(ビーズ)を身につけているから、それを見て「イファの友達は私たちも友達だ」と言ってくれて、そこからすごく仲良くなった。そういう人からインスピレーションを受けた。

また、近くにお店をやっているハーバリスト(ハーブの専門家)がいて、僕とシャラダはしょっちゅうそのお店に通って、ジャンベドラムの叩き方を教えてもらった。アカデミックな世界の外ではすごく楽しめたんだけど、大学では、そういう自由な考え方は非難されたんだ。

ジャズ・シーンより、その外のコミュニティからインスピレーションを受けたというわけですね。

そう、人々が協力しあって、お互いのことをケアしている様子を見るとインスピレーションを受ける。ブルックリンのコミュニティでは、それを目の当たりにすることができた。ラマート・パークのように助け合っている人たちがたくさんいた。ラマート・パークの雰囲気を恋しく思っていたけど、それをブルックリンで見つけることができた。ブルックリンのコミュニティは、僕の面倒を見てくれて、メンタルヘルスの大切さを教えてくれた。フラストレーションが爆発する前に、ジャンベドラムを叩くことを教えてくれたよ(笑)。そういうところから、自分の音楽を発展させたいという気持ちになった。

Welcome to Leimert Park
彼が愛するビート・メイカー、故ラス・Gのアートも

ニューヨークで共感できるジャズ・ミュージシャンはいませんでしたか?

大好きなジャズ・ミュージシャンはいるけど、ニューヨークで彼らと時間を過ごすことがあまりできなかった。これは僕の個人的な感想だけど、ニューヨークでは誰もが我先にという感じだった。大学では競争が多くて、おべっかを使う人もいて、それにフラストレーションを感じた。

地元の年長者から聞いた話だけど、ホレス・タプスコットは、「音楽は貢献しあうものであり、競争しあうものではない(music is contributive, not competitive)」と言ってたんだ。そういう意味で、ニューヨークのシーンには共感できなかった。でも、大好きなニューヨークのジャズ・ミュージシャンはたくさんいる。

マーカス・ギルモアは様々なアプローチで音楽をやってるし、リズムの面で常に革新的なことをやっている。レジー・ワークマンは大学で教えていて、彼から学ぶことは多かった。バスター・ウィリアムスも教えていて、僕の祖父(注:ドナルド・ディーン)とも友達だったことを知ったんだ。バスターから祖父と交流があった頃についての話も聞くことができた。尊敬するミュージシャンと出会うことはできたね。

Zildjian LIVE! – Marcus Gilmore
Herbie Hancock on Buster Williams
NEA Jazz Masters: Reggie Workman (2020)

一年生だった時に、ランディ・ウェストンとも会うことができた。ラマート・パークの年長者が彼に紹介してくれていて、彼から電話がかかってきたんだ。彼と会って話せて、その後にレッスンを受ける予定だったけど、亡くなってしまったんだ。彼と出会うことができてとても感謝しているし、彼のエネルギーと音楽は素晴らしい。ニューヨークには素晴らしいミュージシャンがたくさんいたよ。

Randy Weston / African Rhythms

『Black Space Tapes / Oblivion』のライナーノーツでは数字を使った作曲(※1)、『Ished Tree』では星座と作曲の関係を説明してもらいましたが(※2)、特に星座は今回の作曲に反映されていますか?

今回はあまり星座のシステムを使用しなかった。違うシステムを使ったんだ。星座の作曲システムは、12という数字が基盤になっている。周りにいる人から、星座や占星術についての話を聞くことが多かったけど、ほとんどがギリシャの思想に基づいたものだった。エジプト時代にさかのぼる星座や占星術について話す人は少なかった。

”イシェド・ツリー”というのは、エジプトでは生命の木のことで、国によってはそれはヤシの木のことだった。ヤシの木は、イファでも重要な意味合いを持っている。だから、共通している点は多いんだけど、僕が使っているのとは違うシステムなんだ。僕の作曲法は、独自のシンボルマークを使っている。

2020年にロサンゼルスのThe Villageレーベルからリリースされた、ソロ・ピアノ・アルバム。
日本では、ringsからハイレゾMQA対応仕様のCDでリリースされた

バンドメンバーに渡す楽譜というのは、絵を使った図形楽譜みたいなものですか? それとも数字が記入されたものですか?

数字に基づいた、自分で編み出したシンボルマークを使った楽譜だ。1は左向きに指している渦巻きで、2は左に傾いているスラッシュ、3は右向きの渦巻きで、16までのシンボルマークを作ってあった。今は16以上のシンボルマークを作ってある。左から右に書く楽譜で、上から下に読む。自分のために楽譜を書くときは、ノートに書いて、後で整理するんだ。

『Ished Tree』には、錬金術、占星術のシンボルなども取り入れた。音符は12個あるわけだから、音符の名前を書くのではなく、音符のCは「牡羊座」のシンボルマークで表記していた。

『Primordial Waters』の楽譜では、音符の名前を記入したけど、自分独自のコードとナンバーシステムを利用した。仲のいい友達にはこの楽譜のシステムを見せたことはあるけど、全員には見せられないんだ。このアルバムの記譜法を編み出した理由は、大学の授業中にこの方法で作曲をしていた場合、誰かにノートを覗かれても、意味が通じないようにしたかったからだ。ラップも同じ暗号を使って書いた。地下鉄の中で携帯でよくラップを書いていたんだけど、隣の人が携帯を覗き込もうとするから、読めないように、独自の暗号で書いていたよ。

このアルバムは、二つの要素(ジャズ/ヒップホップ)を無理に混ぜることなく、対等に並べています。それは、あなたのスタンスを表明するものでもあるのでしょうか?

僕が伝えたかったことは、ブラック・ミュージックは定義づけられるものではないし、ジャンル分けができない、ということなんだ。例えば、“Èṣù”で使われているリズムは伝統的なリズムだけど、それを数字で表現して、12音階のシステムに組み込むと、そこからスケールが生まれる。僕は、古来から存在するこの概念を使えば、コードを演奏したり、即興ができることを見せたかった。

音楽は、英語と同じように一つの言語だ。楽器を使って音を発する方法から進化して、口を使ってラップする行為が繋がっているということを見せたかった。ジャズ・ミュージックをサンプリングする行為も、古来から存在する概念を再解釈することで、新しいものを生み出すことを見せているんだ。「私たちは先祖の肩の上に立っている(standing on the shoulders of Giants)」ということわざがあるけど、僕たちも後世のために新しい土台を作っている。過去からあったものに敬意を見せながら、それに貢献したかった。

ヒップホップ・サイドで特にフォーカスしたことは? 

ヒップホップ・トラックを作るのも自然にできた。トラックを作る時は、オートフィルターなども数字でコントロールできるんだけど、楽譜を書くのとは違う方法で数字を取り入れることができた。トラックを聴いた時に、低音の周波数が体の中で揺れて、まるで浮いているような感覚になることがあったね(笑)。

ピアノ、作曲、トラックメイキング、ラップは、あなたにとって同一線状にあるものですか?

どの表現も自分にとって一つなんだよ。ピアノのソロを演奏する時は、口でラップのフリースタイルをやりながらピアノを演奏することがある。そのエネルギーをピアノに注入するんだ。言葉では表現しきれない部分をピアノだけで表現していく。だから、ジャズとヒップホップを切り離せないんだ。

クレジットには、ジャメル・ディーンの別名義Jira><の名前が入っている。

ラッパーやビートメイカーでいまあなたが注目している人は誰ですか?

本当にたくさんいるから、訊いてくれて嬉しいね(笑)。このアルバムのミックス・エンジニアを担当したゼロ(Zeroh)にはとても影響されている。彼の音楽が大好きだから、彼がミックスしてくれて嬉しかった。好きなビートメイカーはたくさんいるけど、ラス・Gも大好きだったし、コリアタウン・オディティーも大好きだよ。D・スモーク(D Smoke)というラッパーも大好きだ。素晴らしいブラック・ミュージックがたくさんありすぎて、ずっと話していられる(笑)。

Records Shirts and Donuts EP7: Kiefer, Zeroh and Bicep Curls

日本のグリーン・アサシン・ダラー(Green Assassin Dollar)というビートメイカーもすごく好きだ。南アフリカのプサーム・ツリーズ(Psalm Trees)というビートメイカーも美しいビートを作ってる。サンプリングのアプローチが素晴らしい。世界中にクレイジーな音楽を作ってる人がたくさんいるよ。

あなたが関わっているレーベルThe Village(※3)についても教えてください。PAPA周辺のアーカイヴ音源や新しい音源をリリースしていくことが、中心になっているのでしょうか?

これからリリースがたくさん予定されてる。PAPAのメンバーでもあるランダル・フィッシャーの新作(『Everywhere to be Lost』)をリリースした。

Randal Fisher / Everywhere to be Lost

The Villageはラマート・パーク主体のレーベルだけど、目的を達成するために、コミュニティとしてお互いのことをサポートして、協力しあうことがコンセプトだ。ニューヨークのアーティストもいるし、ロケーションによって限定しているわけじゃない。レーベルとして、PAPAのホレス・タプスコット、ネイト・モーガンの音楽を守り、遺族にもちゃんと還元してお金を払うことも大切だ。残った家族を大切にしながらも、今身の回りにいる仲間のことも大切にしていきたい。いろいろなアーティストの作品を予定しているけど、まだアナウンスできないものが多い。生涯かけてずっと続けていくレーベルだよ。ジャズだけじゃなくて、あらゆるタイプの音楽をリリースしていきたいんだ。

※1
https://note.com/ringstokyo/n/ne60f21a6cd8b
※2
https://www.snrec.jp/entry/column/tciy133
※3
https://thevillagela.bandcamp.com/music

RELEASE INFORMATION

Kamasi Washington、Thundercat、Miguel Atwood-Ferguson、Carlos Nino等とのコラボレーションやパフォーマンスを経て、ピアニストJamael Dean(ジャメル・ディーン)の正式なデビューアルバムが遂に完成!!


JAMAEL DEAN
『Primordial Waters』

CD : 2021.12.08 Release (TOTAL 20 TRACK)
品番:RINC82(2CD)

レーベル : rings / Stones Throw

OFFICIAL HP :

https://www.ringstokyo.com/jamael-dean-3

https://www.stonesthrow.com/store/primordial-waters/

Spotify
Primordial Waters Jamael Dean · Album · 2021 · 20 songs.

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