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アヴィシャイ・コーエンやニタイ・ハーシュコヴィツら、イスラエル・ジャズの重要ミュージシャン達を支え続けるドラマー、アミール・ブレスラーのアルバム制作の背景、イスラエルのシーンとは。 — Amir Bresler『House of Arches』インタビュー

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アミール・ブレスラーは、現在のイスラエルのジャズ・シーンの核となるドラマーだ。ピアニストのニタイ・ハーシュコヴィッツのトリオを支え、ギタリストのギラッド・ヘクセルマンの新しいバンドにも参加している。一方で、リジョイサーが率いるRaw Tapesとの関わりも深く、アフロビートにフォーカスしたプロジェクトにも取り組んできた。ブレスラーは、先ごろ初のソロ・アルバム『House of Arches』を発表した。5日間に渡る特別な場所でのレコーディングで完成したアルバムの話を中心に、そのバックグラウンドやイスラエルのシーンについて、さらにはコロナ禍とウクライナでの戦争が勃発した状況での少し踏み込んだ話も訊くことができた。注目のドラマーの最新インタビューをお届けする。

インタビュー・構成:原 雅明
インタビュー・通訳:バルーチャ・ハシム
編集:三河 真一朗(OTOTSU 編集担当)

アヴィシャイ・コーエンやオメル・クレイン、ニタイ・ハーシュコヴィツら、イスラエル・ジャズの重要ミュージシャン達を支え、バターリング・トリオ、Raw Tapesとも繋がりの深い注目のジャズ・ドラマーAmir Bresler(アミール・ブレスラー)が、待望のソロ・アルバムを完成させた!!

Amir Bresler
『House of Arches』

日本限定盤。ボーナストラックを加えて、ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース

品番:RINC86(CD)

レーベル : rings / Raw Tapes

OFFICIAL HP :

https://www.ringstokyo.com/amirbresler

https://amirbresler.bandcamp.com/album/house-of-arches


—— 音楽的なバックグラウンドから教えてください。

Amir Bresler(アミール・ブレスラー)– 12、13歳くらいからドラムを叩き始めたんだ。音楽的な家庭に生まれたわけじゃないけど、ドラムを叩いて「これだ!」って思えた。それで同じ建物に住んでいた先生にドラムを習い始めた。芸術系の高校に入学して、そこでジャズを演奏し始めた。それから、ジャズにのめり込んだんだ。

—— ドラムを叩き始めたときは、どんな音楽を演奏していたんですか?

最初の頃はメタル(笑)。メタリカ、メガデスみたいなのとか、ドリーム・シアターみたいなプログレも好きだった。派手なドラムが入っている音楽が当時は好きだったね。

—— 影響されたドラマーは?

若い頃はスティーヴ・ガッドとか、ジミー・コブ、フィリー・ジョー・ジョーンズ、ビル・スチュアート、ブライアン・ブレイドなどが好きだった。僕にとって一番ヒーローであり、研究をしたのはスティーヴ・ガッドかな。ジョー・モレノ、バディ・リッチも大好きだね。

スティーヴ・ガッド・バンド・ジャパン・ツアー 2019
featuring デヴィッド・スピノザ、ケヴィン・ヘイズ、ジミー・ジョンソン & ウォルト・ファウラ

—— 高校からは、ジャズを集中的に聴いたんですか?

ジャズしか聴いてないわけではなかったけど、ジャズを勉強し始めた時期だったから、かなり没頭したよ。Spotifyの前の時代だったから、図書館に行ってレコードを借りて、2週間くらい1枚のアルバムをずっと聴いていた。理解を深めることができたし、僕にとって貴重な時期だった。

—— 高校卒業後は、大学などでさらにジャズを学んだんですか?

いや、個人の先生から学んでいた。そのあとは兵役で軍隊に入って、軍隊のバンドで演奏していた。軍隊のあとは、すぐに有名なベーシストのアヴィシャイ・コーエンのバンドに入ってツアーするようになった。だから大学には行ってない。

LIVE Avishai Cohen trio en Madrid, Amir Bresler drum solo

—— イスラエルでは若者は全員軍隊に入らないといけないんですよね?

そうなんだ。

—— あなたは戦闘は経験したんですか?

いや、それはなかった。銃は支給されたけど、使うことはなかった。あの時は、軍人のために音楽を演奏していたんだ。その時期のことを少し後悔しているし、軍にいたことはあまり誇りに思っていない。

—— 軍隊のバンドでもジャズを演奏していたんですか?

軍隊のバンドでは、メインストリームなポップスを演奏したり、レコーディングする機会もあったから、そういう意味ではいい勉強にはなったね。

—— ジャズ・ドラマーとしてのあなたの演奏は、東京でのニタイ・ハーシュコヴィツのトリオのライヴで見ました。ジャズ・ドラマーとしてのキャリアで転機になったことがあれば教えてください。

NITAI HERSHKOVITS TRIO featuring OR BAREKET & AMIR BRESLER : LIVE @ COTTON CLUB JAPAN (Jul.13,2018)

それはコットン・クラブのライヴだったね。高校生からジャズの世界にハマって、運良く素晴らしい先生たちに出会うことができた。ジャズの世界に入って、エイモス・ホフマンというギタリスト、ウード奏者に会いに行ったんだ。高校3年生だったと思うけど、彼に「ドラマーが必要だったら、いつか連絡をしてください」と伝えた。同日に彼から連絡があって、彼のライヴで共演させてもらった。アヴィシャイ・コーエンなどたくさんのジャズ・ミュージシャンがそのライヴを見にきて、その後に仕事の連絡が入るようになった。そのライヴが僕にとって転機になったから、エイモス・ホフマンには感謝してるよ。彼は僕にとって師匠みたいな存在なんだ。

Amos Hoffman Quartet 10/28/2020

—— イスラエルのジャズ・シーン自体をあなたはどう見てきましたか?

90年代後半から2000年代初頭に、イスラエルのジャズ・シーンが活気付いたんだ。アミット・ゴランというジャズ・ピアニストは、以前ニューヨークに住んでいて、彼がニューヨーク仕込みのジャズをイスラエルに持ってきた。10年前に彼は高校で学生たちとバスケットボールをやっている最中に心臓麻痺で亡くなった。とても悲劇的な出来事だったけど、彼がイスラエルのジャズ・シーンでとても大きな存在だったことを思い知らされた。

Amit Golan – Cry A Blue Tear

—— その他に影響を受けたジャズ・ミュージシャンは?

今まで聴いたアルバムから全て影響を受けているけど、ハードバップではハンク・モブレーの『Soul Station』に多大な影響を受けた。ハービー・ハンコック、ジョン・コルトレーンも好きだし、フランク・シナトラとトミー・ドーシーのアルバム、レスター・ヤングのような古いジャズも好きだ。モダンなジャズだとジョシュア・レッドマンが好きだね。今回の自分のアルバムでは、アリス・コルトレーンからの影響が大きい。スピリチュアル・ジャズは、ここ数年の間に好きになったんだ。若い頃は理解できなかったけど、いまは世界観を理解できるようになった。アルバムを作る時に、3分の曲ではなく、もっと長い曲を作りたいと思うようになったのも、スピリチュアル・ジャズからの影響が強かった。

—— 一方で、あなたは長年アフロビートにも取り組んできましたね。

イダンK(Idan K)というイスラエルのパーカッション奏者に「トニー・アレンを聴いた方がいいよ」と言われたのがきっかけだけど、当時はトニー・アレンがドラマーだということを知らずにアフロビートを聴いていたんだ(笑)。そこからアフロビートに一目惚れをして、トニー・アレンやフェラ・クティの作品をたくさん聴くようになった。アフロビートからはかなり影響を受けているよ。

idan k and the movement of rhythm pau do berimbau live at sunbeat 2014

—— ドラマーとしてのあなたの中では、ジャズ・ドラムとアフロビートが両方、対等に存在している感じなのでしょうか?

自分のジャズ・ドラミングとアフロビートのスタイルは影響し合っている。僕のジャズのドラミングスタイルは決してミニマルではない。アフロビートのドラミングスタイルはもっとミニマルだけど、両方を組み合わせると面白いサウンドになるんだ。リキッド・サルーンというバンドでは、アフロ・ビート、アフロ・ファンクやっていて、僕のソロ名義はジャズ中心だけど、様々なユニットで色々なタイプの音楽を演奏しているよ。

Liquid Saloon – Polaroid Banana (Official Video)

—— アルバム『House of Arches』を制作した経緯と、最初に描いていたアイデアを教えてください。

Facebookに、自分でパーカッションやドラムなどの楽器を演奏してトラックを作る映像を投稿したら、北イスラエルのキブツに住む友人から連絡があり、講堂を持っているから、そこで1週間滞在してもいいと言われたんだ。食事や寝る場所を用意するから、自由に何かレコーディングしてもらえばいいと言われて、都会から離れて自然豊かな場所でレコーディングできるのは素晴らしいと思った。それで、仲間のミュージシャンをそこに呼んで、毎日レコーディングしたんだ。仲間にだいぶ助けられて、とても楽しい作業だった。事前に曲を書くのではなく、ジャムをしながらいい素材を見つけていくような作業だった。今回の目標は、短い曲ではなく、長い曲を作ることだった。後で聴き直して、「アルバムにしてもいいんじゃないか」と思えて、Raw Tapesからリリースされることになった。その場所の名前がHouse of Archesなんだ。古い建物だったんだ。

—— ジャムを通して曲が作られたとのことですが、プロセスを具体的に教えてください。

ビートから始めることが多かった。ビートがなければ、曲はなかなか作れない。メロディも、リズムがなければ生み出せない。例えば、お気に入りの5/4の変拍子のグルーヴを見つけて、それを出発点に曲を作ったりした。制作には時間がかかったよ。曲を作りながら、あまり好きじゃない方向に進み始めると、誰かがそこでいいリズムやメロディを演奏して、方向転換できたりもした。ピアノの前に座って一人で曲を作るスタイルは、自分には合っていないみたいだ(笑)。グルーヴを決めてからベースラインを演奏してもらって、仲間にアイデアを追加していってもらう方がいいサウンドになるんだ。でもこのアルバムの“The Dance of the Messors”という曲は、あのスペースで何時間もかけて一人で色々な楽器をオーヴァーダビングしながら作ったから、特別だったよ。あの曲の楽器は、すべて一人で演奏したんだ。

The Dance of the Messors

—— 気に入ったパーツを編集で繋げて、曲に仕上げたのでしょうか?

いや、仲間としばらく演奏して、お気に入りのパーツを見つけたら、「ここはパートAにして、ここはパートBにしよう」と決めるんだ。その後に、メロディ、パートA、パートBなどを通しで演奏して仮のバージョンをレコーディングする。それを聴き返して、どこを改善して、どこを取り除くべきかを決めて、そこでやっと初のテイクをレコーディングした。しばらくジャム・セッションをして、コンピュータで編集する人もいるけど、それはやりたくなかったんだ。ちゃんとバンドで通しでテイクをレコーディングしたかった。後で、パーカッション、ギターなどをオーヴァーダビングすることはあった。ミュージシャン仲間たちと一緒に演奏している空気感をちゃんと捉えたかったんだ。

—— 制作する上で、スピリチュアル・ジャズの他にインスピレーションを受けた音楽があれば教えてください。

例えば“Bir Tawil”はサハラ音楽、モロッコ音楽、ティナリウェン、アリー・ファルカ・トゥーレに近い要素があるけど、独特の世界観の曲だ。“Dance of the Messors”は、ナイジェリア、中央アフリカや西アフリカの70年代のファンキーでアメリカに影響された音楽なの要素も入っているかな。“Despite All”にはリキッド・サルーンがフィーチャーされていて、アフロ・ビート、アフリカン・ファンクの要素が入っている。一つのスタイルに影響されたわけじゃなく、いろいろな要素が入っていて、そこが気に入っているんだ。

—— 参加ミュージシャンを紹介してください。

参加してくれた全員がそれぞれ自分の素晴らしいプロジェクトをやっているんだ。キーボードはノモック、コントラバスはギラッド・アブロ、キーボードとベースはリジョイサー、トランペットはエリヤサフ・バシャリ、ギターはロイ・アヴィヴィが演奏した。ミュージシャンを雇ったというより、お互いに友達で、お互いの作品に参加しているから、みんなの愛を感じながら作品を作ることができたね。

Amir Bresler – Landing and Parking feat. Rejoicer (Live)

—— “Bir Tawil”が素晴らしかったですが、あの曲でフィーチャリングされたシンガーは?

ラヴィッド・カハラニというシンガーだ。彼はイスラエル人だけど、イエメンにルーツがあって、イエメンの音楽をやっているんだ。イスラエルのジャズ・シーンのミュージシャンでもあって、イエメン・ブルースという素晴らしいバンドをやっている。

Bir Tawil

—— あなたはユヴィ(リジョイサー)やRaw Tapesとの繋がりも深いですね。彼と知り合った経緯を教えてください。

彼は、僕にとって大切な友達だよ。僕の作品をリリースするように勧めてくれた最初の人だった。以前は、自分の曲をレコーディングしても、それはリリースする価値がないと思ったんだけど、彼は自信を感じさせてくれた。彼と出会ったのは、あるフェスティバルだった。僕のコンピュータがステージ上で問題があって、楽屋エリアでユヴィと出会って、彼にコンピューターに見せたら直してくれたんだ。その時に(バターリング・トリオの)ベノ・ヘンドラーという素晴らしいベーシストにも出会った。それ以来、彼とはたくさんの作品をレコーディングしてきた。お互いの作品の参加してきたし、彼と音楽を作るのは大好きだよ。彼は今回のアルバムでプロダクションも関わってくれて、作品をまとめる上で助けてくれた。彼は1曲にメインのミュージシャンとして参加してくれた。彼はRaw Tapesの運営にも関わっているから、このレーベルからリリースできた。友達がレーベルを運営しているという状況はとても気に入っている。

2022年8月3日に、日本ではringsからCDリリースされるButtering TrioのNEW ALBUM『Foursome』のシングルカット。
Amir Breslerもドラムで参加している。

—— Raw Tapesはあなたにとって、どんなレーベルですか? また、その活動がイスラエルの音楽シーンに与えた影響についても教えてください。

昔からRaw Tapesを見ているが、イスラエルのシーンやジャズ・ミュージシャンに影響を与えてきたと思う。以前はストレートなジャズ、スウィング、ビバップを演奏していたジャズ・ミュージシャンが、Raw Tapesを聴くようになって、彼らの演奏スタイルが変化してきたんだ。Raw Tapesの実験的な作品やビート系の音楽は、ジャズを学んだ人からすれば、シンプルなように聴こえるかもしれないし、「これはジャズほど複雑じゃない」って思う人もいるかもしれないけど、何回か聴くとハマっていくんだ。一人で音楽を作ったり、ビートを作ったり、実験してもいいんだ、という気持ちになる。そういうアプローチでRaw Tapesに興味を持った人も多いと思うし、イスラエルのジャズ・シーンに多大な影響を与えた。だから、Raw Tapesにはたくさんのジャズ・ミュージシャンやソングライターが入ってきた。最初の頃は、ビートメイカーやヒップホップ系のアーティストが多かったけど、今はだいぶ幅が広がった。

—— 近年のイスラエルの音楽シーンに何か変化を感じることはありますか?

最近はシーンがだいぶ変化してきたと思う。全体的にクオリティが上がってきて、演奏技術、サウンドともに上がってきているし、以前よりもユニークでオリジナルなアーティストが増えている。実験的なものだけじゃなくて、サウンド全体が良くなった。ヒップホップ、ジャズのアーティストも増えてきたし、演奏技術も高い。優れたドラマーも増えてきて、周りから学ぶことも多い。キーボード、ギター、ホーン奏者もとても技術が高い。新しい世代の連中が登場しているんだ。YouTubeやInstagramのせいか、自分のスタジオで音作りの技術を高めている連中が多いのを実感しているね。イスラエルはもうアメリカやヨーロッパの真似をしているのではなく、イスラエル独自のサウンドができていると思う。

Raw Tapesのオフィシャルinstagramでは、クオリティの高いコンテンツが随時更新されている。

—— イスラエルのジャズ・ミュージシャンはアメリカで活躍して注目されるようになりましたが、あなたはアメリカに活動基盤を置くことは考えなかったのでしょうか? 

僕の場合、アメリカやヨーロッパに移住しなかったのは、兵役が終わってから、すぐにツアーをし始めたからなんだ。だから、世界中を回ることができたし、ツアーが終わると、自分にとってホッとできる場所に戻りたかった。イスラエルは自分にとってはホームと言える場所だ。仕事で国外に行くことが多かったから、ここに住むのが今も好きなんだ。他の国に行ったり、他の国のミュージシャンと交流できないことが寂しいけど、慣れ親しんだ場所に住むのは悪くないと思うようになった。

—— アメリカのジャズと自分の音楽との間で、あなたの中で葛藤するようなことはありましたか?

アメリカで成功するのは難しいんだ。アメリカの音楽に影響されていても、アメリカ、イギリス、ヨーロッパのリスナーに本当の意味で自分の音楽を届かせることは簡単ではない。北米の音楽には昔から関心があるけど、僕らは独自の音楽をやっていると思う。他の音楽を模倣しているわけではない。練習をするために、アメリカの音楽を参考にすることはあるけどね。アメリカで演奏したり、アメリカの音楽との関係性は複雑で、誰かの作品を聴いた時に、どうしても「アメリカの音楽っぽいね」と言って比較する人が多い。または、こういう音楽はアメリカでしか作れない、と考えている人もいる。音楽を作って、それをアメリカや他の国と比較する人も多いけど、イスラエルは中東にあるとても小さい国だから、僕らはベストを尽くすしかない。

—— あなたたちはとてもユニークな音楽を作っていると思います。

ありがとう(笑)。

Amir Bresler – Mole’s Pirouette (Live at Romano)

—— 今はウクライナで戦争が起きていて、あなたは兵役も経験していますが、イスラエルとパレスチナとの紛争は、あなたやあなたのシーンの音楽に何らかの影響を及ぼしていますか?

僕らはそのトピックを考えない日はないし、常に直面している問題ではある。テルアビブにいる人の多くは、占領に反対している。特にイスラエルでは、音楽はこういう問題から離れるための手段でもあるんだ。常に目の前にあって、話題になっている問題だから、僕らにとって音楽は、すべての人のために演奏できるものだ。音楽はいい意味でのニュートラルな世界なんだよ。誰もが違う政治的スタンスを持っていて、僕が左翼的な考え方を持っていたとしても、右翼的な考え方を持っている人もいるわけで、僕はそれを間違っていると非難できない。その人も、「お前が間違っている」という権利がある。そういうものから離れるために僕は音楽を演奏しているわけで、音楽をやっていること自体が僕のステートメントなんだ。

例えば、パレスチナの人とコラボレーションできたら嬉しいけど、それもまた問題視されてしまう可能性がある。「お前がパレスチナの人とコラボレーションをする?それって自然なことじゃないよ」と批判されたりする。そういうことをしたら、予期できない方向性に問題が発展する可能性があるんだ。もしそういうコラボレーション・プロジェクトがあれば、僕はすぐに参加するし、僕は誰とだって音楽を演奏したい。だから、僕は音楽を通して、政治的なステートメントは絶対に打ち出したくないんだ。総理大臣の言っていることが間違っていると思ったら、デモに参加して反対を表明するけど、自分にできることはそれくらいだ。国境に近い地域の人たちはもっと緊迫した状況で、僕はその状況にそこまで詳しくないから、ここで言えるようなステートメントはない。今住んでいるジャファというエリアには、アラブ、イスラエルなど、いろいろなタイプの人が住んでいるから、この街の雰囲気が好きなんだ。この問題を話し始めると、ずっと話が止まらなくなってしまうよ(笑)。

—— パンデミックの状況が改善されて、今はツアーはできているんですか?

そうだね。1年間は何もツアーの仕事がなかったけど、また再開して、5月にギラッド・ヘクセルマンとツアーするよ。彼も新作(『Far Star』)をリリースするんだ。僕とノモックが1曲プロデュースした。イスラエルでは、クラブは普通に営業していて盛り上がってる。今はニュースはコロナじゃなくて、ウクライナ一色だよ。ウクライナ問題はもうひどすぎて、言葉がない。イスラエルでは、コロナはもう終わっているような状況だね。ツアーなどは普通に行われてる。インタビューの中で一度も日本の話をしなかったけど、今まで3回くらい行った。日本から多大な影響を受けたよ。日本に到着すると、本当に何か特別なエネルギーを感じたんだ。日本のファンのことは大好きだし、早く日本で演奏したいね。日本から戻ってきたら、ヘブライ語の表現で言うと「光を感じた」ような感覚だったんだ。

BIMHUIS TV Presents: GILAD HEKSELMAN TRIO – early set

RELEASE INFORMATION

アヴィシャイ・コーエンやオメル・クレイン、ニタイ・ハーシュコヴィツら、イスラエル・ジャズの重要ミュージシャン達を支え、バターリング・トリオ、Raw Tapesとも繋がりの深い注目のジャズ・ドラマーAmir Bresler(アミール・ブレスラー)が、待望のソロ・アルバムを完成させた!!

Amir Bresler
『House of Arches』

日本限定盤。ボーナストラックを加えて、ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース

品番:RINC86(CD)

レーベル : rings / Raw Tapes

OFFICIAL HP :

https://www.ringstokyo.com/amirbresler

https://amirbresler.bandcamp.com/album/house-of-arches

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