毎週水曜日 27時に放送、BAYFM 『78 musi-curate』の選曲を担当するdisk unionのプレイリスト番組。DJ/NEW WAVE伝道師のmoe the anvilによる選曲と、ピックアップした楽曲解説コラム「DIVE INTO NEW WAVE OTOTSU EDITION #5」をアップ。
【DIVE INTO NEW WAVE OTOTSU EDITION #5】
『がんばれアンディ・テイラー みんなに聴いてほしいアンディの熱いギターテク』
O.Aリンク
78 musi-curate disk union zone | bayfm78
2023/04/19/水 27:00-28:00
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DJ/音楽コラムニスト、平成生まれの70’s & 80’s NEW WAVE伝道師moe the anvil(モエ・ジ・アンヴィル)です。
bayfm『78 musi-curate』diskunionゾーンでは月1回、今みんなに聴いてほしいNEW WAVEアーティストにちなんだ色んなことを語っています。連動したこちらのコラムでは、放送後記やこぼれ話、プレイリスト楽曲解説などを気まぐれにお届け。
今回はデュラン・デュランの元ギタリスト、アンディ・テイラーを特集。
年内リリース予定のデュラン・デュランニューアルバムに、約20年ぶりにアンディがギターで参加しているそうで、久しぶりのオリジナルメンバーの集結にファンは歓喜。全盛期の1986年と2006年の2度も脱退してしまったアンディとのまさかの共同作業に、リアルタイムのファンは特に喜んでいることだろう。
今回のコラボが実現した理由の一つに、去年デュランがロックの殿堂入りした際の式典にて明かされた、アンディの「ステージ4のがん」と闘病中であったということがある。長い間音楽活動を休止していたアンディだが、今回のがん宣告を受けて、新たにツアーやアルバム制作を行うなど再び精力的に活動している昨今。そんなアンディを応援しようの回ということである。
そもそもなぜ彼が現在も活動するデュラン・デュランに居ないのか、2度も脱退したのか。そこがポイントであり、なおかつその理由こそ彼の最大の魅力でもあるわけなのだが、アンディはもともとハードロックオタクのギター少年で、それは若き日のニック・ローズ(デュランのキーボーディストでありリーダー)が彼のレコード棚を見て、ツェッペリンやディープ・パープルなど当時の少年少女が避けて通るような70年代ギターロック作品で埋め尽くされているのを見て頭を悩ませたほどだという。実際にデュラン在籍時のライヴにおいてもアンディの掻きならすハードなギターは見事に浮いていて、見ているこっちが心配になるくらい、一人で突っ走っていたのであった。
しかし1985年にヒットを飛ばしたデュランのサイドプロジェクト、パワー・ステーションに参加したことがアンディの“覚醒”となった。ソウルフルでディスコティックなヴォーカル、ギター、ベースの中で、ただ一人“白い”音を鳴らすアンディの伸び伸びしたハードなギターの浮きっぷりがパワー・ステーションをヒットバンドに押し上げ、ファンク・メタルというジャンルが確立される以前に、その道のオリジネーターとなった点においても、アンディの功績はもっと認められるべきだと思うし、彼のソロ作品のヒットを考えても、彼のファンはみな、アンディちょっと過小評価されすぎじゃないか、と思っていることだろう(苦笑)。そして彼とともにパワー・ステーションを立ち上げたデュラン・デュランのイケメンベーシスト、ジョン・テイラーの采配のセンスも天才すぎる。
そんなこんなで“覚醒”したアンディが、デュランを脱退しソロキャリアを歩み始め、少年時代の望み通りハードロック界で名を馳せたというのも当然の流れ。脱退当初はいろんな雑誌がアンディと他のメンバーとの不仲説を書き立てたそうだが(MVでも全員集合のシーンでアンディだけ映らなかったりと色々あったので、仲間外れ感があったことは否めない)、元々彼がデュランで続けていくには音楽性に無理があったのかもしれない。
しかしアンディがどれだけデュランのライヴで自分の世界に浸ろうと、リーダーの頭を悩ませようと、バンドの異分子である彼の存在感ゆえに、デュランはアメリカでの大成功を収めたというのは事実。要するに当時流行していたUKニューウェーヴの他のバンドとは一線を画していたのである。エレクトロニクスにディスコの8ビートといったバンドが溢れる中で、アンディのギターが乗った時の不調和が、ある意味イギリスとアメリカの架け橋的な役割を担い、まさしくブリティッシュ・インベイジョンのアイコニック・バンドと成り得たのだ。
そのサウンドが今年、デュランの新作で甦るとあって、今からとても楽しみ。これからも少しでも多くアンディらしい無邪気なギターをたくさん聴かせてほしいと願うばかりである。
今回のプレイリストは最早全然ニューウェーヴじゃないディスコティックなハードロック~ブリティッシュ・インベイジョン界隈のUKニューウェーヴをセレクト。
ディスコヒットしたアンディのソロや、あんまりのびのびギターが弾けなかったデュラン時代の中でも彼のギターが活きていると個人的に思しき曲など、独断と偏見でアンディを愛でています。良かったらお気に入りしてね。

moe the anvil
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10代から70・80年代Punk/New Wave/ニューロマンティックに傾倒したことをきっかけに2017年よりDJキャリアをスタート。 J-WAVE番組イベントへの出演等を経た後、2018年からはディスコミュージックを中心にプレイ、アンダーグラウンドシーンにおいても、大貫憲章、松田高志、DJ MIKU、牧野雅己といった元新宿ツバキハウスDJとの共演などを重ね、プレイスタイルに磨きをかけていった。その傍ら、延長に派生したと解釈するIndie Dance / Dark Disco / Leftfield等をプレイ。 現在、都内唯一のNew Wave イベントである”New Wave Lounge”を主宰、主要クラブや野外ダンスパーティーGLOBAL ARK等へ出演するほか、活動はフロアでのプレイに留まらず、ラジオ番組レギュラー出演・音楽コラム執筆を通し、平成生まれの後追い世代ならではの多角的なアプローチ、ノスタルジックな雰囲気を残したセレクトで、幅広い世代に今昔のNew Waveサウンドを伝道する。
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