音楽を聞くこと、文筆活動をすることの意味を考え、実践し続けた4年間
ニューウェーブ、ハードコア、ヒップホップ、ジャズ、テクノ、プログレ etc…縦横無尽に古今東西の名盤アルバムレビューを続けてきたアイドルグループRAYの内山結愛。そのレビュー枚数が200枚に到達した事を記念し、音楽レビューのきっかけから、楽しさや難しさ、アイドルとして活動することの相乗効果等、彼女の音楽観に多面的に迫るインタビューを敢行した。
■内山結愛
アイドルグループRAYのメンバー。RAYではシューゲイザーをはじめ、IDMから激情ハードコアまで、「マイナー音楽×アイドルソング」に挑戦している。音楽レビューnoteを週に1度のペースで公開し、Twitterでは“#内山結愛一日一アルバム”で毎日なんらかのアルバムを紹介中。DJとして活動することも。古今東西の名盤を聞きあさりながら日々音楽を楽しむ。 音楽レビューnote:@_yuuaself_/ Twitter:@_yuuaself_/ RAY 公式HP:RAY
Interviewer:宮﨑 大樹
-まずは音楽レビュー200枚達成おめでとうございます。
本当にびっくりです。いつの間にか200枚になっていました。
-始めたころはまだ大学生ですよね?
大学1、2年とかですね。RAYに入って1、2ヶ月くらいで始めました。
-そもそもなんでレビューを始めたかというと、出演したイベントでDJをやってみて、そこでの反省というか、それを機にもっと音楽を深く知ろうと思ったんですよね?
“Total Feedback”という伝統のあるシューゲイズイベントにDJとして呼んでいただいて。それをきっかけに、こんな無知な人間がこんな伝統的なイベントに出るなんてちょっと失礼というか、もっとちゃんと勉強したうえで選曲できたほうが楽しいんじゃないかなと思ったんです。それで運営さんと相談しながらこういうこと(音楽レビュー)をやってみることになりました。
-では、自発的に始めたんですかね?
う~ん……。RAYは“『アイドル×????』による異分野融合”と“圧倒的ソロ性”というコンセプトでやっていたんですけど、私はメンバーの中で唯一やりたいことがないままグループに飛び込んでいたんです。“RAYのライブしか興味ない”みたいな感じで拗ねている状態で(笑)。それを見かねて“こういう音楽をレビューしてみたらいいんじゃない?”って助け舟を出してもらいました。
-レビューを書き始めたころを振り返るとどうでしたか?
音楽レビュー自体、通販サイトのレビューぐらいしか見たことがなかったから、右も左もわからなかったです。やっていくなかで、そもそも全曲レビューが珍しいということに気づいて。普通はアルバムの総評を書いたうえで、自分のお気に入りはこれとこれ……みたいなものが多いんですよね。でも私は全曲書きたかったので、書いていくうちに自分のスタイルというか、構成が掴めるようになりました。
-音楽誌とかWEBサイトでレビューの書き方を参考にしていたりしましたか?
最初は自己流でしたね。書く前に答えみたいなものを見ちゃうと、それに引っ張られそうだなと思って、あまり見ないようにしているんです。書いたあとに、例えば自分がベースだと思った音がそれで合っているかの答え合わせ程度に見るくらいで。他の人のレビューを見ると面白いですね。でも、ちょっと生意気な発言かもしれないんですけど、そういった方々の言葉使いって固まってきていると思うんです。レビューをしている人しか使わない言葉みたいなものがあるじゃないですか?そういう言葉って便利だし伝わりやすいけど、“それって自分がやる意味はないんじゃないの?”と思うんです。なので、自分も同じ言葉で感じたとしても、その言葉に頼らないように、自分の言葉で書けるように訓練というか、修行みたいなことをしているかもしれないです。
-ライターとしては耳が痛いです(笑)。ところで、今回のような節目のタイミングで過去のレビューを読み返すようなことはありますか?
今になって最初のものを見返すとかはないですね。恥ずかしすぎてちょっと見られない(笑)。
-(笑)最初に書いたレビューを覚えていますか?
最初に書いたのは、Amusement Parks on Fire の『Amusement Parks on Fire』だったと思います。そのあとにマイブラ(My Bloody Valentine)とかNew Orderだったかな。
-せっかくなので、ぜひいま読み返してみてください(笑)。
(スマホで『Amusement Parks on Fire』のレビューを読みながら)
文章量からして全然違いますね。なんか、若い。“ずっとウィンウィンしてる”、“ウィンウィンからワンワンワンみたいな変化”……ヤバい、バカみたい(笑)。最初のころは、知らない単語が出てきたら自分のメモみたいな感じでその言葉と意味をメモしていたんですけど、このときは“セルフタイトル音源”という言葉の意味も知らなかったみたいですね。懐かしい。
-いま同じ作品のレビューを書いたら全然違う内容になりますか?
全然違うと思います。特にマイブラの『loveless』は、マイブラのトークイベントに呼んでいただいたときに徹底的に勉強してめちゃくちゃ聴いたので、絶対にもっと書きますね。
-そういう意味では、活動を続けることで成長を感じられますね。
そうですね。感覚が研ぎ澄まされているというか、いろんなことを感じられるようにはなっているのかな。
-レビュー対象の作品はどうやって選んでいるんですか?
しばらく特定の音楽ジャンル縛りでやっていた時期があったのですが、その後にレビュー対象にちょっと変化をつけたいなと思っていたんです。そのなかでファンの方から“顔ジャケシリーズみたいなのをやってみたら?”とか、いろんなヒントを貰うことがあって。自分はCDを持つ写真にもこだわりを持って撮っているんですね。毎回同じ服を着ないようにするとか、持ち方を変えるとかやっていたので、もっと写真にこだわれたらいいなということで、King Crimson(『In The Court Of The Crimson King』)とか頭脳警察(『頭脳警察1』)とか、インパクトのある顔ジャケシリーズをやっていたこともあったし、そうやって私の興味関心を汲んで運営さんと相談しながら選んでいます。
-noteのレビューとは別に、Xでも“#内山結愛一日一アルバム”というショートレビューをやっていますよね。
noteは歴史ある名盤と言われているものが中心で、運営さんと相談しながらどれにするかを選んでいるんですけど、一日一アルバムは私の気分で選んでいます。レビューをしていくなかでエモの音楽が好きだとわかったので、エモをたくさん聴いて調べよう、掘り下げようと“一日一エモ”として、エモのバンドを古いものから新しいものまで2ヶ月ぐらい聴きまくっていました。好き勝手やれるのが一日一日アルバムですね。
-レビューを書く時、聴く時の環境はどんな感じなんですか?
あれって瞬発力が必要で。思った瞬間に手を動かしているので、それに集中できる環境じゃないといけないんです。手と意志が上手く接続されないといけないから、じっとできる場所、環境で聴いて書いています。移動中だったら電車の乗り換えがなくて、座りっぱなしのときに書いていますし、家のソファに寝転がって聴きながら書くときもありますね。書いているときに母に話しかけられると“ちょっと静かにして!”ってなりますけど(笑)。
-聴きながらレビューを書けちゃうんですね。例えば60分のアルバムだったら、60分聴きながら書いて、文章を整えたら完成みたいな?
そうです。
-すごい。それができるならもうライターとして仕事にできますよ(笑)。自分がレビューを書くときに、こだわっていることや意識していることはありますか? 先ほど言っていた“自分の言葉で表現する”というのもそのひとつだと思いますけど。
その音楽が熱狂的に好きな人の存在を絶対に意識するようにしています。例えばエレカシ(エレファントカシマシ)のレビューを書いたときは、メンバーのしずく(琴山しずく)ちゃんがエレカシを好きなのを知っているからこそ、そういう人が見ても納得のいく文章が書きたいとはずっと思っていて。媚びるとかじゃないんですけど、絶対に悪いことを書きたくないんです。歌詞が暴言だらけだとしても“おもしろい”に消化しちゃうとか、他の人のレビューでは“演奏が下手くそ”とか“スカスカ”みたいなに書かれていても、それを長所として書くとか、なるべくいいところを見つけて書きたいというのは、軸というか、こだわっているところです。
-素晴らしいですね。世の中のレビュー、特に洋楽のものって、そのアーティストや海外のレコード会社の人があまり読まないから、なかなかに書きたい放題ですから。
あれ、すごいですよね(笑)。“俺は嫌いだ”、“星ひとつ”みたいな(笑)。アイドルの内山結愛として“これは嫌いだ”とかって言う必要がない、自分がやらなくていいんじゃないのかなと。それはそういう方がやってくれているからこそ、自分はいいところを見つけたいんです。
-とはいえ、いろんなジャンルの作品のレビューを書いているじゃないですか?そのなかでもともと興味がなかったジャンルを聴くこともあると思うんですけど、“刺さらないなぁ”というときも、正直あるのでは?
あります。ブルースとかが本当にわからないんですけど、それでもいいところを見つけて書きますね。ただ、そういうときは自分の文章がつまらないなぁって思うので、もうちょっといい言い回しができないかなと考えていますね。
-自分のレビューの良いところ、逆にここは弱みだなと思うところはどこですか?
いろんな人が言ってくれるんですけど、その音楽の情報だけじゃなくて、直感的で独特な発想があると言われます。私は妄想することが多いので、いろんな景色が見えたことをそのまま書いたりするんです。そういう妄想力とか、好きな音楽に対して好きという気持ちをなるべく素直に書くようにしているので、好きな音楽への熱量も良いところかなと思います。短所でいうと、以前に内山結愛のレビューのレビューみたいな記事を書かれたことがあったんですけど(笑)、そこに“内山結愛さんのレビューは直感的な情報が多くて、もっと歌詞とか細かいところまで読み込んだほうがいいのでは?”みたいなことが書かれてあったんです。直感的なこともいいけど、もっと歌詞とかにも目を向けられたらたしかにいいなと思いました。私は負けず嫌いなのもあって、それからPink Floydの『狂気(The Dark Side Of The Moon)』というアルバムを10日間聴いて、深いところまで考察していく訓練をしたことがありましたね。なので、もっとできたらいいなと感じるのは、歌詞の深読みとか、あとは楽器の知識が浅いから、曲を作れる人が見えている部分が私には見えていないので、そういう細かいところまで考えて言葉にできたら、もっと詳しいレビューが書けるのかなと思いますね。
-そのレビューのレビューを書いたのはファンの人なんですか?
いえ、まったく知らない人でした。それを読んだ私のファンの人が“それは違う”ってキレて、レビューのレビューのレビューを書いたんですよ(笑)。それが嬉しかったので力になりました。
-レビューのレビューについては悔しい気持ちはありつつも、アイドルとしてのお客さんじゃない人がそれだけ読んでいるのは嬉しいことですよね。
嬉しいです。届いているんだなと思って。そんな熱量で私のレビューを批評してくれる人がいることが衝撃でした。
-レビューをやっていて良かったことは、そういうふうにアイドルじゃないところで知ってもらえることですか?
そうですね。アイドルに興味がない方、純粋に音楽が好きな方に届いて、気になった人がRAYと出会ってくれるのも嬉しいし、私が紹介したバンドを好きになって、ライブに行って、今でもそのバンドにハマっている人もいるんです。最近は自分と同世代ぐらいのバンドのアルバムもレビューするんですけど、本人から“レビューしてもらえて嬉しい”、“内山さんにレビューしてもらいたかったんですよ”みたいな言葉をいただいたこともあって、それも嬉しかったですね。
-内山さんには本業としてRAYのアイドル活動ももちろんありますよね。名盤と言われるものを聴いてインプットしたり、レビューでアウトプットしたりしていくなかで、それがRAYの中でどう生きていると思いますか?
いろんな音楽を聴くなかで、ジャンルの時代背景とか起源を勉強していって、RAYがやっている音楽はどういう影響を受けているかとか、今まで考えてこなかった文脈まで汲み取って捉えられているのかなと最近は思っています。
-たくさんのロックの名盤を聴いてきた内山さんから見て、アイドルソングってどんなものですか?
アイドルって武器がすごい、チートのような気がしていて。これは良いも悪いもあると思うんですけど、“アイドルなのにこんな音楽ジャンルやってるの?”みたいな驚きっていまだにあるじゃないですか?アイドルソングは唯一なんでも許されるというか、アイドルって何をやっても全部がアイドルソングという枠に収まるのがすごいなと思って。エモを勉強しているときに、エモだと言われているバンドでも、“いや、これはエモじゃない”みたいな論争がすごかったりするんですよ。でも、アイドルが歌ったらみんなアイドルソングとして納得するから、不思議なジャンルだなと思いますね。全部が許されるのがアイドルソングなのかな。
-内山さんがRAYというグループを客観的にレビューするとしたらどうなりますか?
“絶対に音楽好きな人がやっているよね”、“メンバーも音楽好きじゃなかったら怖い”って(笑)。ビジュアル面含めゴリゴリにいわゆるアイドルらしい雰囲気しているわけじゃないので、外から見たら謎な気がします。でも最近は衣装がアイドルらしくなったので、アイドル感が出てきましたし、グループ全体でもっとアイドルらしくいこうというブームが来ているような気がするんです。最近のRAYはちゃんとアイドルというものを見せられている感じはするんですけど、2、3年前とかはマジでストイックな集団だったと思います。自分だったら“本当にアイドル?”みたいに思ってしまうんだろうな。ただ、別に自分はアーティストとして見られたくはないと思っているんです。そういう褒め言葉はもちろん嬉しいですけど、ちゃんとアイドルとして、それを武器にもっと楽しいことができると思うし、自分はアイドルとファンの特別な関係性みたいなのがすごく好きなんですよ。そういう近さみたいなものは大事にしたいので、“アイドル RAY”というのは大事にしたい気持ちがありますね。
-こういう濃い音楽をやっていると、アーティストとして思われたいというアイドルはいますけど、逆は珍しいですね。
アーティストって才能やカリスマ性があって、みたいな印象なんですよね。自分はそんなものとはかけ離れていて、活動の中で成長して“アイドル 内山結愛”をみんなに作ってもらったと思っているので、アーティストだなんておこがましいと思っちゃいます。かといってアイドルを下に見ているというわけではなくて、誇りを持ってアイドルという仕事が好きなんです。アーティストは周りのリアクションとか関係なく、自分がやりたいことをやる、自分の出したいアウトプットをするイメージがあるんですけど、アイドルって自分のやりたいことだけじゃダメだと思っていて。それだけじゃついてきてくれないというか、期待に応えることもある程度必要だと感じるんです。自分は期待に応えて喜んでもらうのが向いている、というか好きみたいなので。自分のやりたいことだけじゃなくて、望まれた姿とか、期待に応えるのがアイドルなのかなと思いますね。
-さて、改めて音楽レビュー200枚達成を迎えての気持ちを聞かせてください。
4年って結構な年月だと思うんですけど、本当にあっという間だったなという気持ちがあって。生活の一部みたいになっているので、生きているだけでめでたくなった感じです(笑)。もうすぐ200枚目にいくということも、自分がCDを持っている写真だけを淡々と載せているInstagramのアカウントがあって、その投稿数をみたら198だったことに気づいたんですよ。気づいたら200枚という感じでした。200枚のCDとか写真とか文章とか、今までに出してきた形に残るもの見ると、すごいことをやっていたんだなとは思いますね。
-レビューの執筆が日常になっているから、何枚を目指すとかそういう感覚じゃないんでしょうね。
そうですね。その感覚は全然なかったです。
-今回で200枚だからといって、今後も続けていくわけですし。
そうですね。“アイドル 内山結愛”でいる限りは、いつまでもやれたらいいなと思います。
-ところで、200枚の名盤をレビューしてきたなかでの個人的な名盤3選はどうなりますか?
1枚目は思い入れが深すぎるマイブラの『loveless』です。最初は“リバーブでギターがすごいなぁ”みたいなふわふわした感想だったし、良さが掴めなかったんですけど、歳を重ねるたびに、聴いていくたびに違う音が聴こえてくるアルバムなんです。自分の成長の指標みたいになっているので、すごく大切ですね。2枚目はThe Get Up kids の『Something to Write Home About』です。このアルバムでエモが好きだと気づいたので、出会えて良かったなと思いますし、そこから自分でどんどんエモを掘るようになったきっかけの1枚です。最後は、BLANKEY JET CITYの『BANG!』ですね。今って誰もが憧れるロックスター、ヒーローみたいな方があんまりいないと思っているんですけど、BLANKEY JET CITYのアルバムを聴いたり他の方のレビューを読んだりしているうちに、いろんな人の憧れを背負って生きてきたバンドなんだなと感じたんですよ。めちゃくちゃカッコ良くて衝撃を受けました。そういうヒーローに自分も出会いたかったなと思いましたね。今って好きな気持ちを表現する言葉が“推し”とかじゃないですか?それってなんか軽いというか、もう少し重たい言葉、気持ちで表現できたらなとか思って。推しメンと言われるのはめちゃくちゃ嬉しいんですけどね。自分もその時代に生まれてヒーローを崇拝したかったです。
-内山さんはレビューを通して音楽に対して真剣に向き合うようになってきた部分もあると思うんですけど、今後どういうふうに音楽を聴いていきたい、どんなレビューを書いていきたいですか?
まだまだ知らない音楽の名盤がいっぱい溢れているので、どんどん攻略していきたいし、レビューしたら喜んでもらえる存在になりたい。誰かの大切な音楽ということは絶対に忘れないで、これからも届けていきたい想いがすごく強いです。応援してくれている方も、内山と一緒に音楽を聴いてくださっているので、ファンの方々と一緒にいろんな音楽を聴いて、音楽でコミュニケーションができたらいいですね。音楽で人と人を繋げていきたいと思います。
-この活動を今後こういうふうに広げていきたいというような想いはありますか?例えば、本を出したいとか。
本は興味あります。ファンの方からも“書籍化してください”と言ってもらうので、いつかできたらいいなって思いますね。あとは、文章を書くことがすごく好きなので、ライブレポートを書いてみたいです。ストップできないライブという瞬発力のいる状況で書いてみたいし、歌うことも好きだから、RAYではやらないような音楽をまたソロでやれたらいいなとも思います。音楽への興味関心はいろんな方向に散らばっている感じですね。
-自身で曲を作ってみたくなったりはしないんですか?
これは若気の至りなんですけど、中学のときに親友の子と卒業シーズンにかけて桜とか卒業みたいなテーマで曲を作ったんですよ。その子がギターを弾けたので、自分はメロディとか歌詞を書いて、歌って録音もしたんですけど、それが本当にダサくて(笑)。センスが皆無なんですよ。昔の感性で作っていたので今はわからないんですけど、想像できないです。でもマスロックとか作ってみたい(笑)。
-これだけインプットしてきたなかで、どんなアウトプットが出るのかは気になりますけどね。
めっちゃ期待されそうで怖いです(笑)。
-とはいえ、チャレンジしたいことはたくさんありそうですね。
そうなって良かったです。RAYの初期は無気力というか、何でもいいですみたいな感じだったので、そんな状態からこんなに好奇心旺盛になれたのが嬉しいですね。
-今後の“ライター 内山結愛”、“アイドル 内山結愛”としての展望を聞かせていただけますか?
続けるのは意味があることだし、そうすることで、やってきて良かったなと嬉しい気持ちになることがたくさんあるので、今後も続けていきたいというのは強く思っています。今は自分の中でちょっと安定してきちゃっているんですけど、自分が“うっ……”ってなるような試練というか、ぬるま湯に浸かり続けず、自ら熱湯に飛び込んでいくようなチャレンジをしていけたらいいなと。それによって見ている人がワクワクしてくれることが一番嬉しいので、アイドルとしてみんなの見たいものを届けつつ、自分らしさを出せるようなレビューとか音楽活動ともしていけたらいいなと思います。
-話を聞いていて、たくさんのロックの名盤を通して成長しつつ、アイドルであることをすごく大事にしているというところで、内山さんが唯一無二の人間になっているなと思いました。
嬉しいです。奇跡みたいですよ。中学生のころは“何者かになりたい”みたいに、自己顕示欲が一番強かった時期だったんです。そのときは個性という言葉にとらわれていて、耳の上にツインテールをして毎日学校に行って、夢かわいいファッションで地元のイオンを練り歩くちょっと奇抜な子みたいな感じで、それで何者かになったつもりでいたんです。だけど、そんなものは鎧をはいでしまえばただの普通の人間なんですよね。今は内面的な意味で唯一無二の人間になれていると言ってもらえたのかなと思うので、嬉しいです。
-昔の自分に対して今の自分を誇れますね。
誇れますね。外側だけ取り繕っても薄っぺらいというか、空虚なので。“中身を頑張りなさい”って言いたいですね。
-そんな内山さんの10年後は何をしていると思いますか?
結婚(笑)。最近すぐ結婚って言っちゃうんですよね。昔は23歳で結婚したかったんです。でも今はもう22歳で、あと2ヶ月後ぐらいに誕生日が来るので、全然結婚できないですね(笑)。さすがに10年後は結婚してもらわないと。
-そのころは音楽レビューは書いていないんですか?
主婦レビューですか(笑)。でも音楽はずっと聴き続けているでしょうね。この生活に慣れていたら、ちょっとやそっとの刺激じゃ物足りなくなっているので、普通の生活を送れるのかが心配です。
-10年後はアイドルの価値観が今よりさらに変わっていて、もしかしたら主婦のアイドルが普通かもしれないですよ。
いそう(笑)。多様性の時代が極まりまくって。
-自分の作った曲でソロアーティスト活動とかバンド活動とかをしているかもしれない。
ヤバい(笑)。磨き上げないと。今後の音楽人生が楽しみです。
内山結愛がこれまでnoteでレビューしたアルバム 200タイトル一覧だよ
1 Amusement Parks on Fire 『Amusement Parks on Fire』
2 My Bloody Valentine『loveless』
3 New Order『International』
4 Ride『Nowhere』
5 The Pop Group 『Y (最後の警告)』
6 Joy Division『Closer』
7 INU『メシ喰うな!』
8 Boredoms 『Pop Tatari』
9 Boards of Canada『Music Has the Right to Children』
10 Radiohead『Ok Computer』
11 Ringo Deathstarr『Sparkler』
12 Cornelius 『Sensuous』
13 SUPERCAR『HIGHVISION』
14 Throbbing Gristle『20 Jazz Funk Greats』
15 Underworld『Beaucoup Fish』
16 Steve Reich『Reich: Drumming』
17 Cocteau Twins『Heaven or Las Vegas』
18 Stereolab『Emperor Tomato Ketchup』
19 The Velvet Underground『The Velvet Underground & Nico』
20 Fishmans『宇宙 日本 世田谷』
21 M83『Saturdays = Youth』
22 フジファブリック『CHRONICLE』
23 The Smashing Pumpkins『Siamese Dream』
24 坂本龍一『音楽図鑑』
25 Public image limited『METAL BOX』
26 Teenage Fanclub『BANDWAGONESQUE』
27 This Heat『Deceit』
28 Nujabes『modal soul』
29 山下達郎『FOR YOU』
30 はっぴいえんど『風街ろまん』
31 Aphex Twin『Richard D. James Album』
32 Weezer『Weezer』
33 Pixies『Surfer Rosa』
34 RAY『Pink』
35 Fugazi『Repeater & 3 Songs』
36 Pavement『Wowee Zowee』
37 The Beatles『Revolver』
38 Captain Beefheart & The Magic Band『Trout Mask Replica 』
39 rei harakami『lust』
40 Jeff Mills『Waveform Transmission Vol. 1』
41 COALTAR OF THE DEEPERS『NO THANK YOU』
42 クラムボン『ドラマチック』
43 bloodthirsty butchers『kocorono』
44 ヤプーズ『ダイヤルYを廻せ!』
45 Nine Inch Nails『The Downward Spiral』
46 ART-SCHOOL『PARADISE LOST』
47 平沢進『救済の技法』
48 THE STALIN『虫』
49 Beastie Boys『Licensed to Ill』
50 Can『Monster Movie』
51 Kraftwerk『Autobahn-Remastered』
52 Neu!『Neu』
53 Massive Attack『Mezzanine』
54 The Jesus and Mary Chain『Psychocandy』
55 Einstürzende Neubauten『Kollaps』
56 Built to Spill『Keep It Like a Secret』
57 Death Cab for Cutie『Transatlanticism』
58 ゆらゆら帝国『空洞です』
59 電気グルーヴ『A(エース)』
60 Mineral 『The Power of Failing』
61 The Get Up kids『Something to Write Home About』
62 D.A.F.『ALLES IST GUT』
63 Depeche Mode『Violator』
64 SOFT BALLET『愛と平和』
65 Deafheaven『SUNBATHER』
66 Napalm Death『Scum』
67 Cathedral『Forest Of Equilibrium』
68 Sunn O))) 『Black One』
69 LOSTAGE『Guitar』
70 V.A.『No New York』
71 Sonic Youth『Dirty』
72 Replacements『Let It Be』
73 NUMBER GIRL『SAPPUKEI』
74 ZAZEN BOYS『ZAZEN BOYS4』
75 Black Flag『Damaged』
76 Hüsker Dü『New Day Rising』
77 Dischord Records『Dischord 1981 Year in Seven Inches』
78 ブッダマシーン(般若観音)
79 Massacre『Killing Time』
80 暗黒大陸じゃがたら『南蛮渡来』
81 System of a Down『Toxicity』
82 SLAYER『Reign in Blood』
83 Alice In Chains『DIRT』
84 The Prodigy『The Fat of the Land』
85 Aztec Camera『High Land Hard Rain』
86 Orange Juice『You Can’t Hide Your Love Forever』
87 Belle & Sebastian『If You’re Feeling Sinister』
88 The Smiths『Queen Is Dead』
89 Gang of Four『Entertainment!』
90 Talking Heads『Remain in Light』
91 Swans『The Seer』
92 Devo『Q:Are We Not Men? A:We Are Devo!』
93 Black Eyes『Black Eyes』
94 『Lost in Translation オリジナル・サウンドトラック』
95 細野晴臣『銀河鉄道の夜 オリジナル・サウンドトラック』
96 オリジナル・サウンドトラック『Trainspotting』
97 Bauhaus『In the Flat Field』
98 Siouxsie and the Banshees『Juju』99 The Sisters Of Mercy『First & Last & Always』
100 Bluebeard『Bluebeard』
101eastern youth『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』
102 COWPERS『揺ラシツヅケル』
103 LOSTAGE 『Guitar』
104 Happy Mondays『Pills ‘n’ Thrills and Bellyaches』
105The Stone Roses『The Stone Roses』
106 Primal Scream『Screamadelica』
107The Charlatans『Between 10th and 11th』
108 Inspiral Carpets『Life』
109 Tortoise『TNT』
110Explosions in the Sky『The Earth Is Not a Cold Dead Plac』
111 MONO『Hymn To The Immortal Wind
112Sigur Rós『Takk』
113Godspeed You! Black Emperor『Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven』
114Slint『Spiderland』
115Don Caballero『American Don』
116Battles『Mirrored』
117By the End of Tonight『Complex Full of Phantoms』
118toe『For Long Tomorrow』
119Soundgarden『Badmotorfinger』
120 Nirvana『Nevermind』
121Mudhoney 『Every Good Boy Deserves Fudge』
122 YELLOW MAGIC ORCHESTRA 『SOLID STATE SURVIVOR』
123 スピッツ『名前をつけてやる』
124 くるり『TEAM ROCK』
125 Hi-STANDARD『MAKING THE ROAD
126 BLANKEY JET CITY『BANG!』
127 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『ギヤ・ブルーズ』
128 THE MAD CAPSULE MARKETS『OSC-DIS』
129 村八分『ライブ』
130 The Rolling Stones『Sticky Fingers』
131 Tom Waits『Closing Time』
132 John Coltrane『Love Supreme』
133 Miles Davis『Kind of Blue』
134 RAY『Green』
135 Bill Evans『Waltz for Debby』
136 Jaco Pastorius『Word of Mouth』
137 The Flaming Lips『The Soft Bulletin』
138 XTC『Oranges & Lemons』
139 Blur『Parklife』
140 Pulp『Different Class』
141 Oasis『(What’s The Story) Morning Glory? 』
142 King Crimson『In The Court Of The Crimson King』
143 Pink Floyd『The Dark Side of the Moon』
144 Yes『Close to the Edge』
145 Genesis『Lamb Lies Down on Broadway』
146 Emerson, Lake & Palmer『Brain Salad Surgery』
147 頭脳警察『頭脳警察1』
148 Fleetwood Mac『English Rose(英吉利の薔薇)』
149 Dinosaur Jr.『Green Mind』
150 Marilyn Manson『Antichrist Superstar』
151U2『WAR(闘)』
152『おにいちゃんCD』
153 Jimi Hendrix『Are You Experienced』
154 Ozzy Osbourne『Blizzard of Ozz』
155 Van Halen『Van Halen(炎の導火線)』
156 Jeff Beck『Wired』
157 Deep Purple『Machine Head』
158 IRON MAIDEN『Powerslave』
159 Michael Hedges『Aerial Boundaries』
160 Red Hot Chili Peppers『Blood Sugar Sex Magic』
161 Marvin Gaye『What’s Going on』
162 The Who『Who’s Next』
163 Michael Jackson『Off The Wall』
164 東京事変『教育』
165 Bob Marley and the Wailers『Live』
166 Tool『Lateralus』
167 Metallica『Master of Puppets』
168 X JAPAN『BLUE BLOOD』
169 Lightning Bolt『Wonderful Rainbow』
170 The White Stripes『Elephant』
171 Queen『A Night at the Opera』
172 Björk『Post』
173 Prince『Sign ‘O’ the Times』
174 LUNA SEA『PERIOD ~THE BEST SELECTION~』
175B’z『B’z The Best XXV 1999-2012』
176The Jesus Lizard『Goat』
177 GEZAN『Silence Will Speak』
178 54-71『enClorox』
179 Shellac『TERRAFORM』
180 P-MODEL『IN A MODEL ROOM』
181 早川義夫『この世で一番キレイなもの』
182 エレファントカシマシ『ココロに花を』
183 JUDY AND MARY『THE POWER SOURCE』
184 Plastics 『WELCOME PLASTICS』
185 Sex Pistols『Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols(勝手にしやがれ!!)』
186 Ramones『Ramones(ラモーンズの激情)』
187 T.Rex『The Slider』
188 Discharge『Why』
189 Derek and the Dominos『いとしのレイラ』
190 Jim O’Rourke『Eureka』
191 Bon Iver『Bon Iver』
192 Sufjan Stevens『Illinoise』
193 Kendrick Lamar『To Pimp a Butterfly』
194 Kanye West(現:Ye)『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』
195 Faust『Faust(ファースト・アルバム)』
196 Klaus Schulze『Moondawn』
197 Harmonia『Musik Von Harmonia』
198 Tangerine Dream『Phaedra』
199 Limp Bizkit『Chocolate Starfish and the Hot Dog Flavored Water』
200 Korn『Follow the Leader』
※2023年10月時点
内山結愛(RAY) ディスクレビューnote
→http://note.mu/yuuaself
RAY is…
2019年5月1日にお披露目した女性アイドルグループ。「極北を目指すオルタナティヴアイドル」をコンセプトに活動する。これまでRingo Deathstarr、cruyff in the bedroomのハタユウスケ、For Tracy Hydeの管梓、死んだ僕の彼女のishikawaなど、確かなシューゲイザー・オルタナティブジャンルのクリエイターから楽曲提供を受ける。2021年5月にはシューゲイザー、エモ、メロディックパンク、IDM、激情ハードコアなどを取り込んだ1stアルバム『Pink』をリリース。AppleMusicのJ-pop アルバムランキングで、フィンランド、ポーランド、スロベニア、フィリピンなどで1位を獲得したほか、世界各国でランクインするなど、国内外で大きな評価を得る。2022年1月に恵比寿LIQUIDROOMで開催されたコンセプチュアルなワンマンライブは賛否両論を生みつつ大成功を収めた。同年5月にはコンセプチュアルな2ndアルバム『Green』をリリースした。2022/9に愛海、月海まお、紬実詩が加入し、現在5人新体制で活動中。2023年10には青木ロビン(downy、zezeco)、中尾憲太郎(Crypt City、勃殺戒洞、ex.NUMBER GIRL)、BOBO、ケンゴマツモト(THE NOVEMBERS)のドリームチームが制作した「火曜日の雨」をリードトラックとする3rdアルバム『Camellia』をリリース。
RELEASE INFORMATION
RAY 3rd Album 『Camellia』
2023 10.18 Release
Lonesome Record / DISTORTED RECORDS
発売形態:CD(紙ジャケ仕様)
価格:2,500円(税込)
収録曲:
1.Overture
2.秘密がいたいよ
3.フロンティア
4.ディス・イズ・ノット・ア・ラブソング
5.KAMONE
6.火曜日の雨
7.読書日記
8.Lightwave
9.Bloom
10.マテリエ
11.ため息をさがして
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