
fox capture planのニューアルバム『RESONANCE』は、これまでに数多く制作してきたフィーチャリングや共作曲を1枚に凝縮した魅力的な作品だ。「やけにSUNSHINE feat.おかもとえみ」やKeishi Tanakaとの「透明色のクルージング」など人気曲に加え、アニメ『青春ブタ野郎』シリーズのエンディングテーマの英語バージョン「不可思議のカルテ feat.Chihiro Sings」など、彼らの活動の柔軟さと音楽性の幅広さをまざまざと見せつける10曲入り。今年リリースしたシングル「Tailwind feat.THE CHARM PARK」と「偶然の一致 feat.ヒグチアイ」も収録した最強コラボベスト・アルバムについて、カワイヒデヒロ(B)、岸本亮(Pf)、井上司(Dr)に話を訊いた。
インタビュー・テキスト : 宮本英夫
写真:関口佳代
―『RESONANCE』を聴かせてもらって、あらためてfox capture planというバンドの懐の深さに驚愕しました。バンドのパブリックイメージを超えて、ポップな歌ものアルバムとしても楽しめる作品だと思います。
井上絞りに絞った10曲です。まだいっぱいあります。
岸本今回は我々からとか、レーベルからとか、こっちサイド主導でというのをメインに考えたので。そうじゃない楽曲を入れると、倍以上になるんじゃないかな。
― コラボ作品を1枚にまとめてみたいというアイディアは、元々あったものですか。
岸本前からあったといえばあったかもしれない。で、今年は歌もののリリースが続いたので、ちょうどいいじゃんという流れだったと思います。「Tailwind feat.THE CHARM PARK」も「偶然の一致 feat.ヒグチアイ」も、アルバムに向けてコラボした曲を作っていこうということよりも、そっちが先にあって、「だったら歌ものアルバムにしようか」みたいなコンセプトになったんだと思います。
井上歌ものじゃないやつも入ってるけどね。
― 頭の3曲が新録音で、あとの7曲が過去曲から選りすぐったもので、まさにコラボベストアルバムですよね。
井上そうですね。foxがいろんな人とやっているのを、意外と知らない人もいるかな?と思うので、ちょうどいいんじゃないかと思います。
岸本fox capture planのこと知らない人が聴いても、パッと入り込めるようなキャッチーさはいつもイメージしているんですけど、今回の10曲は特にそうですね。インストゥルメンタルバンドなんですけど、歌でも自分たちのやりたいことを表現できることを打ち出したいなとずっと思ってたんで、それがまさに一つの形になったのが今回のアルバムかもしれないです。
―『RESONANCE』というタイトルは誰が?
岸本いちおう僕ですけど、みんなで考えた結果です。コラボとかタッグとかを意味する言葉を探していく中で、言葉のかっこよさとか、なんとなく馴染みのある言葉ということもあって決めました。共鳴っていう意味なんですけど、1+1=2ではなく、それ以上の広がりがにじみ出てくるような、音と音が混ざり合って影響しあうみたいな、そんなイメージですね。ぴったりの言葉なんじゃないかなと思います。
― あらためて、これまでのコラボ曲のヒストリーを1枚にまとめてみた感想は?
井上バラエティに富んでいて、コラボする相手もジャンルが様々で、foxだからできたことなんじゃないかなと思います。
カワイ「意外とやってるんだな」と思いましたね。スパンが空いてるから、当時のやり取りを思い出せないぐらい昔の曲もあるんですけど。あと、「透明色のクルージング」とかはKeishiくんと一緒にライブでやっているんですけど、まだライブでやれてない曲が2,3曲あるから、いつかやりたいなと思ってます。
井上「Precious My Heroes feat.宮本一粋」、「Curtain Call feat.Yosh(Survive Said The Prophet)」、「The Curtain Rises」(★STAR GUiTARとの共作)は、まだライブでやってないですね。
― ケースバイケースだとは思いますが、コラボの流儀として、相手を立てるのか、自分を生かすのか。相手とのバランスとか、心構えみたいなものはありますか。
岸本特にないですけど、一つ言えるとすれば、みんないい人ですね。コラボする人は。
カワイどういう基準?(笑)
井上でも重要なところですよ。人間性は。
岸本一回だけこの曲を作っておしまいじゃなくて、ミュージシャン仲間としてリスペクトもあるし、気の合う人たちなのかなとは思います。その上で、自分たちが一緒にやる意味は必要だというのは強く思ってますね。今回はfox capture planからお声がけしているものが多いんですけども、そうじゃない時も、やっぱり自分たちの持ち味が生きるようには考えてます。このアルバムに収録されていなくて、僕らがサウンドプロデュースを手掛けているコラボレーションも多々あるので、これをきっかけにそういうものも聴いてもらえると面白いかもしれないですね。
井上今回、(岸本は)作詞も3曲やってます。
岸本みなさん、素晴らしい歌詞を書く方ばかりなので、逆に、たとえばヒグチさんが歌詞を書いたらヒグチさんのアーティストカラーが出過ぎるんじゃないか?みたいな気持ちもあって、こっちが発案しているコラボなので、そこまでやってみても面白いかな?というのはあったかもしれないですね。それをみなさんに受け入れていただいて、すごく楽しんでやっていただいたなと思います。
カワイある時から、急に作詞をやりたがるようになったんですよ。どういう心境の変化かわからないけど。
井上「Precious My Heroes」(2019年)のあたりから。
岸本劇伴をやっていた影響はあるかもしれないです。イメージに合う音楽を考えるという、作曲や編曲の延長線上みたいな感じですかね。「ここは英語が合いそうだけど、こっちは日本語だな」みたいな、そういう感覚的なものに従って歌詞を考えたところはあります。「Precious My Heroes」で最初に詞を書いたんですけど、「日本人らしいメロディだから、日本語の詞にしようかな」という発想で、「この音楽に乗る言葉は何だろう?」という、ストーリーを考えながら書いていったと思います。
― この中で一番古い曲が「The Curtain Rises」(2015年)や「透明色のクルージング」(2016年)あたりで、記憶を掘り起こしてほしいんですけども。カワイさん、楽曲制作についてのエピソードがあれば。
岸本今回のアルバムの6,8,10曲目は、カワイさんの作曲です。
カワイ6曲目「Curtain Call」は、そんなに大変じゃなかったかもしれない。Yoshくんをフィーチャリングすることが決まって、この曲ともう1曲とどっちがいいか選んでもらったんですけど、それぐらいに曲を作る余裕はあったなという感じでしたね。あと8曲目「やけにSHUNSHINE feat.おかもとえみ」は、2019年の夏にキネマ俱楽部でフレンズと対バンした時に、えみそん(おかもとえみの愛称)をフィーチャリングした曲を作ろうと思って、作った曲ですけど、編成がすごく大きくて、ストリングスとブラスが入ってるので、アレンジに時間はかかりました。
岸本ライブで披露してからリリースするまで、1年ぐらいかかりましたね。夏っぽい曲だなと思っていたら、えみそんも夏っぽい詞を乗せてきて、でもすでに夏だったから「じゃあ来年か」と。
井上そしたらコロナが来ちゃった。
カワイだからこの曲は、まだライブでちゃんとできてないんです。ミュージックビデオを撮りに、沖縄まで行ったのに。いつか、やりたいですね。
― えみそんは、コラボ相手としてやりやすい相手でしたか。
カワイ彼女はベースも弾くし鍵盤も弾くし、楽器ができるボーカリストなので話が早いというか、あんまりテイクを重ねずに3、4テイク録って「もう大丈夫です」みたいな感じで、めっちゃ早かった。
岸本全体的に、ボーカリスト全員が早かった。CHARMさんだけは本人の希望で、自宅でギターも歌も録りたいということだったんですけども、他の人はみんなスタジオで時間をかけずに、何テイクも録るみたいな人はいなかったと思います。
カワイ僕らもレコーディングはめちゃめちゃ早いので、サクサク行って助かりました。
井上でもKeishiくんとの曲は、4人でスタジオに何回か入ってた気がする。バンドみたいな作り方で。
岸本あの時は、EP用に他のカバー曲とかも録ったから。
カワイ4曲ぐらいやったのかな。それもあってスタジオに入った気がする。
後編に続く
(12月25日 18時 公開予定)
RELEASE

RESONANCE
fox capture plan
2025.12.17 RELEASE
CapturisM.
LIVE / EVENT

PLANNING 2026
出演: fox capture plan / THE CHARM PARK
公演日: 2026年3月20日(金・祝)
会場: I’M A SHOW
開場 17:00 / 開演 17:30
チケット代: 指定席 7,000円 / 指定席(U23) 5,000円
「指定席」「指定席(U23)」「ドリンク代別途必要」
3歳以上要チケット
一般発売日: 2025年11月22日(土) AM10:00~
(プレイガイド: e+/チケットぴあ/ローソンチケット)

fox capture plan “NEW YEAR MEETING”
(ミニLIVE&トーク)
2025年1月16日(金)
19:00 START
場所:CRAFTROCK BREWPUB & LIVE
Charge : ¥2,000+1D (¥700) *投げ銭あり
