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AJATE and STEPAK TAKRAW『私を構成する9枚』その① / 竹内洋一 (STEPAK TAKRAW)×ジョンいまえだ (AJATE)

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4月8日(水)に関東を拠点とするアジャテと関西を拠点とするセパタクロウによる、世界でも類をみないアフロ・グルーヴ・バンドのスプリット10インチ・シングルが発売される。

その発売を記念して、それぞれのメンバーによる「私を構成する9枚」を本人のコメントを添えてお届けする。1回目となる今回は、アジャテのジョンいまえだセパタクロウの竹内洋一という各バンドのリーダーが登場。それぞれの音楽性を知るうえで、大変興味深い9枚となっている。

Text:ジョンいまえだ&竹内洋一
構成:森崎昌太


●竹内洋一 (STEPAK TAKRAW=セパタクロウ / Gt.)

●Noise for Vendor Mouth / FELA KUTI & Afrika70

今回この企画に参加するにあたって、先ずは久しぶりにフェラ・クティのアーカイブをおさらいしてみたんですが、危なかった!聴いてるうちに9枚全部フェラ・クティになりそうになった!

なので、何か一枚という縛りを勝手に設けて、散々迷った挙句これを書いてる今日の気分で各パートの絡みが絶妙なコレに。Side-Bの”Matress”もアフリカ70の醍醐味が詰まってて最高です!

フェラの楽曲達の大きな魅力のひとつは、‘呪術的な怪しさ’なのかな、と思います。そこには、僕たちがアフロビートの仕組みや型とかを一所懸命勉強しても会得できない、マジカルな何かがあって、そして僕は、20数年前にレコード越しにかけられた魔法が今も全くとけてない事を、今日また思い知らされました。

●Stronger Than Pride / SADE

シャーデーもまた、縛りを設けないと9枚中5、6枚を占めてしまいそうなので、悩みに悩んで、ジャケット、サウンド共に80年代後半の空気感が色濃いコレに。

アルバム通して今聴き直しても全く古くない研ぎ澄まされたアンサンブル。シャーデー・アデュの歌はもちろん、どのパートからも、エモーションとセクシーさが濃厚に漂ってきてたまらんです!憧れです!とりわけ都会的でオリエンタルなムードが最高な1曲目が素晴らしすぎです!

あとマニアックな話になりますが、個人的にはメロディラインをテンションノートに当てるセンスとか云々、具体的に色々勉強させて頂いてます。そしてシャーデー・アデュはナイジェリア出身のイギリス人。何か繋がってきます。

●Enter The Wu-Tang(36 Chambers) / Wu-Tang Clan

メンバーには言った事ないと思うけど、特にセパタクロウ初期の曲作りにおいて、このアルバムは曲の着想、サンプリングのアイデアなんかの参考によくしてました。やっぱり今聴き返しても超最高っすね~。90’sのヒップホップは今聴いても魅力いっぱいの作品だらけですが、中でもRZAは個人的に一番好きなクリエイターかもしれません。我々セパタクロウは現行アフロビートの文脈で認識していただいてるかと思いますが、僕としては、DIY的な活動、遊びの延長ともとれるストリートライクな制作方法、ワンコードループとブレイクで構成し、サンプリングを多用した楽曲等、ヒップホップ要素がかなり潜んでると思っております!

●One Nation Under a Groove / FUNKADELIC

ご存じ”P-FUNK”。ジョージ・クリントンはじめ、オシャレなのかギャグなのか分からないインパクト特大のメンバー達。そして凄腕!中でもファンカデリックは昔から大好きで、「Maggot Brain」「Hardcore Jollies」などなど最高なアルバムだらけですが、個人的にはディスコ・ファンクに接近したこのアルバムが思い入れ強いですね。特に2曲目”Groovallegiance”、4曲目”Promentalshitbackwashpsychosis Enema Squad”(曲名!)ここらへんのちょっと(かなり)変なファンクが最高!ユルさ、ファンクネス、その他諸々のミクスチャー具合。どんなセンスしてるねん!と衝撃を受けた19歳の頃を昨日の事のように思い出します。

●First Floor / Theo Parrish

僕なぞがコメントできるほどディープ・ハウスの事はよく分かってないですが、セオ・パリッシュのこの初期大名作はホント大好きっすね!MPCやTR-909、アナログのシンセ等の機材(多分)が醸し出す超ファットなローファイ・サウンド。マシンでループしている筈なのに、妙に色気のあるめちゃくちゃ有機的なグルーヴ感。そして何より、リアルタイムでミックスしていく風の各パートのアンサンブルの妙がエグい!バンドとはまた別のチャンネルという感じですが、憧れすぎて、自分でもディープ・ハウス的な曲をソロ用として作ってみたりもしてます。ですが、これはセパタクロウのサウンドにも沁みだしてる要素があるかもしれませんね。

●Headless Heroes of the Apocalypse / Eugene McDaniels

それこそヒップホップ・トラックのサンプリング元として超有名な作品ですが、最高です。まず、ジャケットが優勝!アルバムタイトルが優勝!なんてカッコいいんだ!中身は、どの曲もとてもシンプルで、変で、どこかキャッチーで癖になる。でも、何だかずっと少し狂ってるというか、うっすら狂気を感じる。そしてそれがラストの”The Parasite”で爆発するという構成も見事!あと、アルフォンソ・ムザーンとゲイリー・キングのリズム隊をはじめ、各パートのアンサンブル、最高ブレイクなどなど、たまんないっす。今久しぶりに聴きながらこれ書いてるけど、いちいちカッコいいなあ!あ、興奮してしまいました。すみません。

●Millions Now Living Will Never Die / Tortoise

とてもシネマチックというか、映像的なアルバム。トータスはずっと大好きなんですが、ちょっとマニアックなこのアルバムが一番好きです。ある種のインスタレーション・アートのような、神経に直接触れてくるようなドラッグ的な感覚がある作品だと思います(特に1曲目の”Djed”)。ヤバいです。そしてとりわけ2曲目の”Glass Museum”はホントすごい曲だと思います。メインのギター&ヴィブラフォンのリフもさることながら、こんな構成の曲よく作れるなあ。と思ってしまいます。お手上げです!そして、魚群をイメージさせるジャケットが超オシャレです。でもヤバくて気安く聴けません!

●Bluefunk Is a Fact / Keziah Jones

思えば僕のファンク初体験は18歳の時。大学の先輩がこのアルバムのコピー・バンドをやっていて、当時音楽の視野が狭かった僕は、あまりにも聴いたことない種類の音楽に衝撃を受けました。キザイアを演るという先輩のハイセンスぶりに今でも吃驚です。トリオ編成のバンドでキザイアがガット・ギターをカッティングしながら歌うという、ファンクとしては相当異質なものを、これがファンクか!と当時勘違い出来たことが、今思えば自由な発想の手助けになったりしてるのかな?と思ったり。いまだにこのアルバムは時々ハマり込んで聴きます。そしてこの方もナイジェリアン。最近はかなりアフロビートに接近した作品を出してたりしてて、そちらも要チェックです。

Tayi Beppa / Clap!Clap!

クラップ!クラップ!はめっちゃ好きで、これは1stなんですが、この後、今に至るまでずっとチェックさせて頂いてます。どれもほんと最高なんですが、”Ashiko”にとりあえずぶっ飛ばされまして。808的なマシンビートとアフロビート的要素、そしてダブステップのノリが全体に香ってる。また他の曲ではアフリカ等のフィールドレコーディングっぽいサンプリングを多用していたり、よりポリリズミックな展開があったり。動物サンプリングが入ってきたり、エレクトロニック・ミュージックなんですが、セパタクロウとアプローチが近しい部分もあると思ってまして!危険なワクワク感に満ちていて、聴いててめちゃくちゃ楽しいですし、正直悔しいです!


●ジョンいまえだ (AJATE=アジャテ / 唄・ピエチク)

●PSYCHOPATH / BOØWY

今回、影響を受けた9枚という話をいただきまして、ちょっと趣旨が違うかもと思ったのですが、今も音楽をやっているのは、やはり中学生の時にBOØWYをきっかけにバンドを組んだことが始まりで、その時バンドをやってなかったら、今、音楽をやっていなかったかもしれないと思うと、この1枚は影響受けてるな、と。特に中盤からの”Marionette”、”Plastic Bomb”というイケイケな流れが最高。後半の”Memory”、”季節が君だけを変える”は最後のアルバムというだけあって泣けてきます。

●Punk In Drublic/NOFX

一曲目の”Linoleum”からもう最高!テレキャスのエッジのきいた硬質なカッティングから始まりバンドインという爆発!まさに鳥肌もの。極め付けが”Don’t Call Me White”。今聴いても湧き上がるこの感情。飛び跳ねたり走り回ったり、思いに任せて騒ぎたいという衝動は、確実に僕の中にインプットされ、アジャテにも影響していると思います。

●C’EST CHIC / CHICK

ブラック・ミュージックに目覚めた記念すべき1枚。バーナード・エドワーズが繰り出すあのファンキーなベースラインたるや垂涎もの。当時ベースを弾いていて、どうしてこんなファンキーでゴリっとした音が出るのかと、毎日のように試行錯誤していたのが懐かしい。

●Agadez / BOMBINO

砂漠のブルースといえばティナリウェンを筆頭に、エムドゥ・モクタール、イマルハンなど、多彩なアーティストがいますが、ボンビーノもまた強力!僕の弾いてるピエチク(竹ギター)の演奏は、このアルバムの影響を強力に受けています。”Tar Hani”、”Assalam Felawan”など名曲ぞろいで、ギターもさることながら、声がまた哀愁出まくってて最高!

●Love Power Peace (Live at The Olympia, Paris, 1971) / James Brown

アルバムから伝わるほとばしる汗、汗、汗!

ダイナマイト級の熱量に言わずもがな超絶タイトな演奏。

影響の渦に溺れ中。

●Roforofo Fight / Fela Kuti

Fela Kutiからは多大な影響を受けてますがその中でも尋常じゃなく影響を受けた1枚。スピード感あふれるドラム&パーカッションからのオリジナルイングリッシュからのエレピで焦らす焦らす。その後は待ってましたーと叫んでしまうほどの爆発!爆発!すごい爆発!僕が求めるアフロビートのスピード躍動爆発持続エネルギーが全てここに。ありがとうございます!

●Ghana Awake, Vol.1 / Various Artist

これはちょっと変則で、今作に収録されているシドニー・バリマ・オポン(=Sidney Barima Oppong)の”Africa Money”を探していた時に見つけた1枚。ガーナに旅へ出た時、毎日のように聴いて、毎日のように踊った曲で、今でも聴くと空港を降りた時の蒸せ返すような暑さ、街並み人々の息遣い、お祭りが蘇る。アジャテという集団を作るのにとてつもなく核の部分で影響を受けている。

●African Scream Contest / Various Artist

コンピレーションが続いてしまいますが、今はなき高円寺のパチカ村で教えて頂き、どんどんアフリカン・ミュージックが好きになっていったきっかけの1枚。全曲とんでもないのはもちろんなのですが”Mi Kple Dogbekpo”は宇宙戦艦クラス!ポリリズムと力強さ、緊張と緩和、躍動と燃える叫び。大変影響を受けております!

No Place For My Dream / Femi Kuti

速い!とにかく速い!世の中ミドルテンポなアフロビートが多い中、とにかく速い!僕の中ではトップ・オブ・トップなフェミ・クティ。これは2013年のアルバムですが、今年64歳になるフェミ・クティのライブはスタジオ・レコーディングよりもっと速い!エネルギーをエネルギーで超える、熱量、情熱、全てを支える力。これは勝手な僕のイメージですが、シェウン・クティが太陽ならフェミ・クティはそれ以外を全て背負った長兄。漢!影響を超えすぎてただのファンです。


■Release Information

AJATE and STEPAK TAKRAW

TAKENOWA (Split 10″ Vinyl)

HOROYOI RECORDS / HYR-001

2026.4.8.Wed on SALE!! /¥4,400 (Tax in)

【収録曲】

SIDE-AJATE:

BABASSE feat. Toshihito Tsushima

WAYA YAWA – Akio Nagase SKACID Remix

SIDE-STEPAK TAKRAW:

ogogorogo

MOA


▼Profile

●STEPAK TAKRAW

極東の島国、関西地方発、21世紀のAfrobeat Rockers。
黄褐色の四人から弾き出されるリズムは黒褐色。

その独特の音楽センスと持ち前のチャレンジ精神で、Original Afro funk styleを更新し続ける! アフリカ音楽のガイド本、アフロポップディスクガイドに日本人として極めて例外的にアルバム「SOCOTRA」が掲載、本家ナイジェリア公認のFELA KUTIトリビュートイベントFelabration Osakaにこれまで二度出演等々、現行アフロビートシーンから一定のプロップスを得る。その一方で、関西各地を中心に勃発するそのライブでは、持ち前のハイブリッドな音楽性を武器に、亜熱帯を思わせる熱量とある種クールな緻密さが同居した唯一無二の個性を放っている。又、現在迄に7inch vinylを5タイトル 、LP、EPそれぞれ1タイトルをリリースし、何れも国内外DJ、音楽好き達からの熱い注目を集め、単にアフロビートに留まらないクロスオーバーな支持を得ている。


●AJATE

聴いたことはあるけれど

なんだかよく分からない

でもひとたび耳にすれば祭の気分になっちゃうお囃子

そんな300年前に始まった江戸祭囃子と西アフリカナイジェリアのアフロビートが出会ってしまった!!

竹を鳴らし和太鼓が吠える。奏でる篠笛は江戸からのメッセージ!

【Biography】

ガーナ〜ブルキナファソの遊学をきっかけに、日本のお囃子サウンドに流れるアフリカのDNAを認識したリーダー、ジョンいまえだにより結成。江戸祭囃子調の太鼓とナイジェリアのアフロビートを思わせるベース&ギターがグルーヴを練りだし、さらに自作竹製楽器が暴れ、篠笛が空を舞い、エネルギッシュな声が降り注ぐ理解不要のダンスミュージックを繰り出す。

2017年4月完全自主制作で発表したセカンドアルバム「ABRADA」が、海外で評価を受け、11月にフランスの180gレーベルよりアナログ盤として全世界に向けてリリースされた。

2018年5月には、フランスはナント市で行われるフェスティヴァルLE PRINTEMPS DES NEFSへの出演を皮切りに7箇所で公演するフランスツアーを敢行。同年12月には、国際フェス”Transmusicales2018”に出演、またその際レンヌで収録されたKEXPライヴショウは全世界に向けて配信中。

2019年7月には2度目のフランスツアーに赴き、Seun KutiやFatoumata Diawara等も出演するエコ・フェスティヴァルTerres du Sonにも出演。

2020年1月1日元旦に3枚目のアルバム「ALO」をCDとしてリリース、 同年3月にはアナログ盤が仏180gレーベルより発売された。2020年コロナ禍では独自路線の配信プログラムにも挑戦し、「おうちでアジャテ鑑賞会」や「アジャTV」などを公開。

2021年には初の7inchEP「Emisa Lasso」も発売する。国内でも徐々に注目を集め、2021年10月には日本最大のワールドミュージックフェスティヴァル「SUKIYAKI MEETS THE WORLD」出演。

翌年2022年5月にはFUJI&SUN MUSIC FESTIVAL出演。7月には再び21公演数に及ぶフランスツアーを実現、仏ブルターニュ州最大級のフェティヴァル「Festival Bout Du Monde」では1万人の観衆の前で演奏。

2023年4月には2枚目となるEP「Iduchiemo / Maideso」発売。

夏は再び欧州ツアーを決行、フランスでも有名な古代劇場を会場にした国際フェス「ヴィエンヌ・ジャズ・フェスティヴァル」、また初のイギリス遠征で世界最大のワールドミュージックフェスWOMADにも出演を果たす。

2024年には、4年ぶりのフルアルバム 「DALA TONI」を発表、英Songlines誌のTop of the Worldに選盤される。またJAPAN TIMESのspotlightページでも一面紹介された。

同年7月には5度目の欧州ツアーを遂行、スイス、フランスと並び、初めてイタリア、ドイツでも公演を行う。またフランス最大のラジオ局RFIのワールドミュージックプログラムでのセッションライヴ収録も実現、同年9月にオンエアされた。

2025年春には、代々木公園の名物フェス「春風」出演、また夏には再びSUKIYAKI MEETS THE WORLDのヘリオスステージに出演。SUKIYAKI TOKYOにも初出演を果たす。

現在渋谷ROOTSにて奇数月第一木曜日に、ホストとして演奏する「アジャテ鑑賞会」定期開催中、まさかの2026年にまさかの10年目に突入する。

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