バンド始動から2年、前作から1年を待たずして、Solitary Circusのセカンドアルバム『Quiet Clown』が届いた。「ほかのどこにもない音を」という孤高のスピリット、怒涛のライブ活動で得たエネルギー、そして観客の熱狂的な支持を受け、前作以上のダイナミックな音作りにトライした意欲作。様々なエフェクトの使用、初のカバー曲にボーカル曲も加え、音楽的境界線が一気に広がった感がある。
注目は何と言っても「Stompin’ At the Corona」(ラウンジ・リザーズ)、「Block Rockin’ Beats」(ケミカル・ブラザーズ)のカバー、そして盟友・Madoki Yamasaki(山崎円城/F.I.B JOURNAL)の歌をフィーチャーした「Under the Big Top」。3曲を中心に、アルバムの手ごたえとバンドの現在位置について、伊藤隆郎(ドラムス)、織田祐亮(トランペット)、青木ケイタ(バリトンサックス)に話を聞いた。(-前編)
■INTERVIEW: 宮本英夫
◆RELEASE INFORMATION◆

Solitary Circus 『Quiet Clown』
BTSR-002 / BIG TOP SESSIONS
¥3,000 (Tax in)
01. 独奏Op. I (Drums Interlude)
02. Stompin’ At the Corona
03. Under the Big Top feat. Madoki Yamasaki
04. Pantomime
05. Block Rockin’ Beats ※先行配信第1弾
06. Parade ※先行配信第2弾
07. Half Moon
08. 独奏Op. II (Drums Interlude)
09. Rodeo
10. Fire Breath
11. 足跡 ※先行配信第3弾
――アルバムタイトルが『Quiet Clown』。静かなる道化師、ですか。
伊藤隆郎元々メンバーの中で、「セカンドは”なんとかクラウン”にしたいね」というのがあったんです。僕も色々考えて、たくさん出したんですけど、最終的にみんな気に入ったのがこれでした。Solitary Circusというバンド名は、Solitary=孤独、孤高という言葉と、Circus=賑やかなものを対比させてるんですけど、『Quiet Clown』も同じ感じですね。それが自分たちの本質というか、外へ向かう表現よりも、自分たちの内側に向かって音楽を鳴らして、パッションを爆発させることが大切だと思っているので、『Quiet Clown』も、そういう意味をはらんでいる言葉だなと思います。
――なるほど。
伊藤隆郎ピエロ(フランス語/クラウンは英語)は、中に誰かがいて、演じてるわけじゃないですか。自分との向き合い方みたいな意味も、ピエロの中にはあるだろうなと思いますし、そもそもピエロは喋らないですよね。僕らはインスゥルメンタルで、ライブもノーMCでやっているので、そういったところも表現できてる言葉かもしれない。
青木ケイタQuietには「寡黙」という意味もあって、Solitaryの「孤高」とも合っていて、すごくいいなぁと思ってます。
――ピエロのように寡黙で、しかし音に込めたパッションは饒舌に。このアルバムに対する手ごたえは?
織田祐亮「記録として」という意味が一番大きいとは思います。ただその中で、1枚目よりも2枚目のほうが、音と向き合う精度は確実に上がっていると思うし、漫然とした音の出し方はしていないので、これからもっと良くなると思ってます。
青木ケイタファーストと比べると、とにかくライブをたくさんやってきたことで、できることが少しずつ増えたんですよね。ファーストの時はもう全力で、舌から血を流しながら吹いてたんですけど、今はさらに激しいことをやるようになって、でも血は出なくなった(笑)。
伊藤隆郎フィジカルがブラッシュアップされた。
青木ケイタそう。顔周りの筋肉だったり、舌の使い方だったり、サックスを持ち上げる親指の筋肉だったり。
織田祐亮確かに、Solitary Circus用に体が出来上がってきたっていうのは、あると思う。トランペッターであれバリトンサックス奏者であれ、同じようなことをやってる人がほかにいなくて、僕らしかわからない問題と常に向き合ってやってるんで、そういう意味で体は強くなりますよね。
青木ケイタ「Block Rockin’ Beats」とか、オリちゃんがアレンジをしてくれたんですけど、「マジでこれを、ナマで俺に吹かすんか?」と。
伊藤隆郎それぐらい大変ってことですよね。
織田祐亮トランペットも大変なんですよ(笑)。管楽器は、音の跳躍が非常に難しいんですけど、どうしてもやりたくて。
青木ケイタでもね、レコーディングした時点では、「ライブでやれる自信ないかも」と思ったけど、ある時ふっと壁を越えて、「あ、全然いける」と思った。そういう瞬間ってあるんですよ。
織田祐亮あれは不思議ですね。僕も最初はミスってばっかりだったんですけど、ある瞬間に、超えてくるんですよね。たぶん、慣れなんでしょうけど。
伊藤隆郎今回のアルバムが、ファーストと明確に違うのは、カバー曲にトライしたことと、山崎円城さんに参加していただいた、唯一のボーカル曲があること。「自分たちが何を表現できるのか?」は、より明確に拡張できてると思いますし、1枚目からのストーリーがちゃんと繋がっているなと思います。
――音の感触も、ファーストとは違う感覚がありました。
織田祐亮そうですか。自分ではそんなに違う感覚はなかったんですけど。
伊藤隆郎でも確かに、Solitary Circusの求めるサウンド感というものが、セカンドのほうがより明確になった感じはします。エンジニアの速水(直樹)さんとは、ファーストから一緒なんですけど、特にバスドラムの音が、ファーストより全然迫力があったり、シンバルもガシャガシャしてる感じだったり、管楽器の録り方も含めて、3人とは思えないようなサウンドが、セカンドではより強く表現できたんじゃないかな?と思います。あれは何て言ったっけ、コンプ1176だっけ? (*コンプレッサー/全体の音のレベルを圧縮するエフェクター)
織田祐亮ドラムの音作りですね。あれは、なんで使ったんでしたっけ?
伊藤隆郎今回多用しているコンプレッサーがあって、それを「全押し」すると、ドラムのサウンドがすごい特徴的になって、シンバルがリヴァースしてるように聴こえたりして。PRIMITIVE ART ORCHESTRA (木村イオリ、伊藤隆郎、森田晃平)のレコーディングで、ベースの森田くんが「コンプ全押しでお願いします」と言ってるのを聞いて、「それでこんな凄いサウンドになるんだ」というのを覚えてて。「コンプ1176を全押しして、アンビエントのマイクに乗っけると、こういうサウンドになるんですよ」って教えてもらって、「よし、Solitary Circusでやろう」と思ったんですよね。意識して聴いてもらうとわかると思うけど、普通じゃないですよ、あの音は。
織田祐亮確かに、それがファーストとの音作りの差になってるかもしれない。
伊藤隆郎今回、それをいっぱい使ってるんで。「独奏」「Stompin’ At the Corona」がそうだし、「Half Moon」も、静かな曲だけど、あえてそういうエフェクトにしてる。
青木ケイタガッシャーン!っていう感じの音。
――ある意味、スタジオマジック。
伊藤隆郎あれはたぶんライブではできない。できないんだけど、逆にライブ感を感じるんですよ。
織田祐亮たぶん、隆郎さんが元々持ってるサウンド感に近いんだと思う。
伊藤隆郎そう。僕らはいつも、狭いスタジオでリハーサルしてるから、ガッシャーン!って、ドラムの音が跳ね返ってくる感じに慣れてるので。ちゃんとレコーディングすると、「綺麗にまとまりすぎて、なんか違うよね」ってなるんですけど、エフェクトをかけることで、逆にいつものサウンドに近づけるというか。今作は、速水さんとのキャッチボールの中で、僕らがリクエストしなくても、「お前の好きなサウンドはこれだろ?」っていうものを、作ってくれた感じがします。
青木ケイタ確かに、ライブの音にめちゃめちゃ近い気がする。ライブでは、僕とオリちゃんが使ってるマイクで、隆郎の音を拾っちゃうんですよ。だから常に、ガシャガシャした音が聴こえてる。
織田祐亮ライブって、そういうもんじゃないですか。僕とケイタさんも、拾いあいますし。
伊藤隆郎お互いが共鳴してるから、ちょっとカオティックなサウンドにもなるんですけど。そういうエフェクターを使うことで、僕らが聴いてほしいと思っている、普段はみなさんの耳に届きづらい音も、今回は表現できたのかなと思います。
――そもそもSolitary Circusの場合、ライブが先にあって、そこで曲を鍛えていくというやり方ですよね。だから、ライブ感あるサウンドを基準にするのは、必然と言いますか。
伊藤隆郎そうなんです。そもそもファーストを出す前から、ツアーをやっていたわけで、音源を作りたいというよりは、まずライブしたいなという思いは一番強いです。しかもライブをやるたびに曲が変わっていって、特にストリートでは、演奏の内容がすごい変わるんですよ。そうやっていく中で楽曲ができて、CDやレコードという作品に残していって、それをまたツアーで届けて、その間にまた曲を作って、という繰り返しなので。逆に言ったら、ツアーとかライブがあるから、自然と作品が生まれるのかもしれないですね。僕らが常に循環してるから、作品にも繋がってくのかなと思います。
織田祐亮アルバムを作るからそのために制作して、というのとは違って、ライブでやるのが先で、曲が溜まったから発表するだけ。今回リリースする曲も、1年半以上前からライブでやっていたものもあります。そこでお客さんが、「この曲はいつ音源化になりますか」とか、そういうことを聞いてくださる方も増えてきて、共感してくれる人がちょっとずつ増えている喜びが、じわじわとありますね。
伊藤隆郎メンバーが自分たちの音に向き合って集中する、その音に反応してる様を観客が見て楽しむ、という感じなんです。もともと編成自体が特殊で、ベースもいなければ和音楽器もいない。そこで音を洗練させていくという意味で、トランペットにエフェクターをかけて和音を出したり、バリトンサックスの低音をブーストすることで、ベースがいないことを感じさせないサウンドを作ったり。いびつな編成の中で、それぞれの音をどれだけ研ぎ澄ましていくかを追求して、セッションし続けてきたので。
――その結果、特にストリートやフリーイベントでの反響がどんどん大きくなっていて。SNSにもいくつか映像が上がっていますけど、初めてSolitary Circusを見る人の反応が、すごく新鮮です。
織田祐亮気持ちとしては、目を閉じて、すごく集中して音を出していて、目を開けたら「あれ?また3人増えてる」「6人増えてる」、また目を閉じて演奏して、気が付いたら「20人になってる」みたいな感覚に近いのかな?と思います。路上でもライブハウスでも、本当に集中してやっているものに対して、共感してくれる人が増えるのはすごく嬉しいですし、作品もそうなってほしいと思っています。
伊藤隆郎もちろん、たくさんの人に聴いてほしい気持ちはあるんですけど、それが先じゃない。自分らがかっこいいと思うものを追求していくことで、それをしっかり見てくれた人たちが、一人二人と増えていく。今はそういう状況になっているので、それを続けていきたいなと思いますね。
(後編に続く)
◆TOUR INFORMATION◆
Solitary Circus 2nd Album “Quiet Clown” Release Tour

2026/8/30(日) 伊那GRAMHOUSE
LIVE:Solitary Circus
Keita Aoki (B.Sax)
Yusuke Orita (Tp)
Takao Ito (Drs)
DJ:Eiichi Orihashi
open 17:30 start 18:00
前売¥4,500 +1D
当日¥5,000 + 1D
20歳以下 ¥2,000(要身分証)
2026/9/11(金) 東京 晴れたら空に豆まいて
LIVE:Solitary Circus
Keita Aoki (B.Sax)
Yusuke Orita (Tp)
Takao Ito (Drs)
DJ:MACROMANCE
open 18:30 start 19:00
前売¥5,000 +1D Order
当日¥5,500 + 1D Order

(以降のスケジュールは、後日発表予定)

