宮本美季(ヴォーカル)、竹田麻里絵(ピアノ)、那姫(ベース)、西川彩織(ドラムス)によるジャズバンド、miki et nana(ミッケナナ)。ライブを中心に活動を重ねながら、「メロウで艶やかな、レトロ・ブルージー・ジャズ」をコンセプトに掲げ、彼女たちならではのサウンドを築いてきた。
2026年10月21日(水)には、待望の1stアルバム『THE BEGINNING』をリリースする。結成から約3年を経て完成した本作には、メンバー全員で初めて共作した表題曲「The Beginning」をはじめ、オリジナル6曲とカバー2曲を収録。ジャズの確かな演奏力と親しみやすいメロディを併せ持つ、現在のmiki et nanaを凝縮した一枚となっている。
そのアルバムに先駆け、8月26日(水)には「The Beginning」の先行配信がスタートする。バンドの“始まり”を象徴するこの楽曲は、4人にとってどのように生まれ、今回のレコーディングを経てどんな作品へと姿を変えたのか。
今回はメンバー4人に、バンド結成の経緯から新体制での活動、初めてのアルバム制作、そしてこれからのmiki et nanaについて話を聞いた。
インタビュー・編集:西尾旨功(diskunion)
撮影:kiruke.
「満を持して、やっと届けられる」
――3年間の活動を経て、初めてのアルバムのレコーディングを終えた今の気持ちを教えてください。
宮本美季:純粋に嬉しいです。満を持して、やっと皆さんにお届けできるなという感じですね。この3年間で書きためたものもあれば、今回のために書いたものもあって。那姫が新しく加入してから、さらにバンドが一つになったような感覚もあります。一つの作品を、これだけみんなでクリエイティブに「ああでもない、こうでもない」と言いながら作れたことも大きかったです。でも、そのベースにあるのは、とにかく楽しくやれたこと。仲良く一緒に作れたというのは、なかなか奇跡的なんじゃないかなと思います。

西川彩織:今までライブを中心に活動してきたので、その流れで自然に作れたアルバムだなという感じがすごくあります。そんなに片肘を張らず、自然体で、いつも通りの状態で録れたことが嬉しかったです。
那姫:私は加入してまだ数カ月なので、普通ならありえないくらいのスピードだったと思うんです。でも、本当に前からいたのかなと思うくらい馴染むことができて。最初はすごく緊張したんですけど、弾き始めたらすごく自然にできました。
竹田麻里絵:超楽しかった。すごくナチュラルに進んだなかなかないレコーディングだと思います。仕事としてレコーディングをすると、どうしても仕事寄りになってしまう場合もあるんですけど、今回はそういう感じが全然なくて。ナチュラルに出てきたというのがすごい嬉しかったです。
――4人として、とても自然な状態を録音できたということですね。
竹田:今のmiki et nanaの、一番いい状態を録れた感じがします。それが最高に嬉しかったです。

「私が思い描いていたmiki et nana、その通りか、それ以上」
――2023年に活動を始めた当時に思い描いていたmiki et nanaと、今のmiki et nanaを比べて、この3年間で変わったところはありますか?
宮本:私が思い描いていたmiki et nanaと今のmiki et nanaが違うかと言ったら、むしろ思い描いていた通りというか、それ以上になっていると思います。
私は、初めて来た普通のお客さんに「ジャズって敷居が高い」と思ってもらいたくなかったんです。自分がこれまでやってきたポップスの要素も入れつつ、本格的なジャズの演奏もできる。その融合が欲しかったし、エンターテインメント性の強いバンドにしたかった。
もちろん、女性4人ということも一つの要素ではあります。衣装やセットアップ、ちょっとした演出、曲の選び方もそう。でも、それを私がやりたいからというだけではなくて、みんながやりたいと思ってくれないといけないと思っていました。押し付けがましくもなりたくなかった。それが、自然な流れで今はみんなが共有してくれているんですよね。
例えば、エド・シーランの「Shape of You」をやってみようとか、「この曲、かっこよくない?」とか。普通のジャズマンだったら、もしかしたらそういう話をしないかもしれない。でも、私たちにとっては、それも含めて楽しいこととして共有できている。それがすごく嬉しいです。
「説明できない部分まで、ちゃんと馴染んでいる」
――那姫さんが加入したことで、バンドのサウンドや雰囲気にはどんな変化がありましたか?
宮本:音楽って、その人そのものだと思うんです。だから、やっぱり全く別のものになっている部分はあると思います。
ただ、結成時からベースを担当していた小西佑果が築いてきたものに対して、那姫もちゃんとリスペクトがあって。そういうところもすごく素敵だなと思っています。
佑果は佑果で、彼女自身の世界観がすごくあった。それがいい意味でmiki et nanaのバンドとしての雰囲気にもつながっていたと思います。
一方で、那姫は、より一層miki et nanaの音楽に合うというか、すごくフィットしている。プレイスタイルがすごく合っているんですよね。
特に、ソロのときもそうなんですけど、タイミングとか空気とか、言葉では説明しにくい部分があるじゃないですか。誰かにソロを渡す寸前のフィルインだったり、間合いだったり、行間だったり。
そういうものが、那姫ももちろん努力してくれていると思うんですけど、「そうそう、そこそこ」というところに来てくれる。
それをみんなで共有できるんですよね。説明しようとしてもできない部分が、ちゃんと馴染んでいる。それがバンドとしてすごく強いと思います。
那姫:うれしい(笑)。

――那姫さんは、加入前と実際に一緒に演奏してみた後で、miki et nanaの印象は変わりましたか?
那姫:もともとmiki et nanaを知っていましたし、メンバーそれぞれの活躍もすごかったので、単純に「すごいな」と思っていました。だから、最初はやっぱり緊張していて。クールでかっこいいイメージがずっとあったんです。
でも実際に一緒にやってみたら、最初からすごく温かい環境で。私がまだ初めてやる曲もあったんですけど、一緒にやってくださって。最初に「やってみよう」と言って、私にも分かるようにプレイで見せてくれるんです。
ソロとか、その曲のフィールとかもすごく分かりやすく教えてくださって、本当にありがたかったです。
何より、人としてのレベルが高い人たちが集まっているんだなと、後から改めて分かりました。
だからこそ、「このバンドの力になれるように頑張らなきゃ」とすごく思いました。
「この4人だからこそ生まれた『The Beginning』」
――今回のレコーディングで、特に印象に残っていることはありますか?
西川:何だろう……。さっきの話とも少し重なるんですけど、本当にリラックスしてできたことが印象に残っています。
メンバーの中にはレコーディング経験が豊富な人もいますし、現場経験もものすごくある人たちと一緒なんですけど、私自身はそこまでレコーディング経験が多いわけではなくて。
だからこそ、今回すごくリラックスしてできたなと思います。そういうテイクのほうが、やっぱり良かったりするんですよね。
バンドのレコーディングなんだけど、ガチガチじゃない。肩肘張らずに、自分が出せた感じがありました。
最初は、もう少しポップス寄りのレコーディングになるのかなと思っていたんです。でも実際にやってみたら、普通にジャズのレコーディングだった(笑)。

――ゲストには米澤美玖さんも参加されています。どのような経緯で参加することになったのでしょうか?
宮本:ライブがきっかけですね。米澤美玖さんはとにかくプレイがかっこよかった。すごく「男前」なプレイというか。
ジャズなんだけど、歌うように演奏してくれるんです。ヴォーカリストが「こんなメロディを歌いたい」と思うようなラインを、楽器でひねり出してくれる。
それにものすごく触発されるんですよね。miki et nanaもすごく反応するから、化学反応が生まれる感じがある。
ただ参加してもらうというより、ちゃんと刺激を与えてくれるプレイヤーなんです。
だから、miki et nanaとのタイム感もすごく合っていたと思います。
――では、今回初めてmiki et nanaを聴く人に、まず1曲聴いてほしいとしたら?
竹田:私は「The Beginning」ですね。
西川・那姫:やっぱり「The Beginning」ですよね。
宮本:そうですね。初めてバンドで曲を書いたときの曲なんです。最初からそんなにスムーズに書けるわけでもないんですけど、みんなの中からポンと出てきたものが形になった。そして今回のレコーディングで、さらにかっこよくなった。
レコーディングしたときも、ちょっと感情的になってしまって。うるっときたというか。「ついにこれを世に出せるんだ」と思って。
ライブでも、お客さんから「この曲何?」「どこで買えるの?」と言ってもらえることが多くて、反応もすごく良かったんです。私たち自身も自負している曲です。
それを今回、アルバムの1曲目で、しかもタイトルソングにして、さらにレコーディングでやったものを皆さんに届けられるというのは、すごく嬉しいですね。
――4人にとって、特別な曲なんですね。
宮本:他の曲もすごくいいんですけど、「The Beginning」は何というか、完成度も含めて特別な感じがありますね。

2026/8/26 配信
『The Beginning』
miki et nana
Lyrics by Miki Miyamoto
Music by miki et nana
Design : Marie Takeda
Photography : kiruke.
「これができたんなら、もっとできる」
――このアルバムは、miki et nanaにとってどんな一歩になったと思いますか?
西川:団結力がさらに深まった、というのはすごくあります。レコーディング直後にライブをやったときに、それをすごく感じました。もちろんこれまでもライブやリハーサルで音を詰めてきたんですけど、レコーディングでは、さらに丁寧に一つのものを組み立てていく作業をみんなでしました。今回のアルバムをベースにして、「次はこういうアレンジをしてみよう」とか、これからの活動につながるものも見えてきたような気がします。
――自信にもなった?
宮本:そうですね。自信になりました。「これができたんなら、もっとできる」という感じ。
自信を持って皆さんに「全曲聴いてほしい」と言える作品ができたから、バンドとしてもすごく自信になったと思います。
なんというか、これから基準にできるようなクオリティの作品になっている気がしていて。
「私ら、これできたって結構よくない?」って(笑)。
シンプルに、音楽としてクオリティがすごく高いと思うんです。
だから、一つの自信になりました。
――最後に、今回初めてmiki et nanaを知る人にメッセージをお願いします。
竹田:絶対1曲、好きな曲が入っていると思います。
――いいですね。
西川:本当にバラエティに富んでいるんですよね。
宮本:朝、コーヒーを飲んでいるときに聴きたい曲もあれば、夜お酒を飲んでいるときに聴きたい曲もある。車の中で聴きたい曲もある。
いろんなシチュエーションがあると思うんですけど、そのどこかにmiki et nanaを当てはめられる。そういう楽曲が書けるというのは、私たちの強みだと思います。
本当にマルチプレイヤーが集まった、クリエイティブな集団です。
――好きになってほしいですね。
西川:こんなバンド、なかなかないですよね。しかも、女性4人でやっています。
宮本:そうなんです。ただ、「女性だから」ということを前面に出したいわけではなくて。
もちろん女性4人というのもmiki et nanaの一つの特徴ではあるんですけど、そこにこだわりすぎると、逆にそこだけで見られてしまう部分もあると思うんです。
だから、単純に「すごくいいバンド、アーティストが集まっている」と思ってもらいたい。
今回のアルバムを通して、まずは音楽そのものを知っていただいて、「なんかこの人たち、いいな」と思ってもらえたら嬉しいです。
そして、そこから皆さんが「いいな」と思ったものを広めてくれたら、それが一番嬉しい。
最初にmiki et nanaを知ったときの「おおっ」というインパクトが、少しずつ浸透していっているのは、私自身も肌で感じています。
でも、それを私たちが「すごいでしょ」と言うのではなくて、ひょうひょうと楽しんでやっていきたい。
竹田:楽しいからやっています、という感じで。
宮本:クリエイティブで、楽しくて、音楽に誠実にやっている。その姿を見て感動する人、影響される人、尊敬してくれる人が少しずつ増えていって、その輪が広がっていけばいいと思っています。
私たちは、その輪を広げる発信の中心には常にいたい。
でも、あくまで謙虚に、楽しく、仲良くやっていけるバンドだったらいいなと思います。
Release Information

『THE BEGINNING』
miki et nana
・発売日:2026年10月21日(水)
・価格:¥3,300(税込)
・品番:KNRS1010
・フォーマット:CD
・発売元:株式会社ディスクユニオン
主要販売店:ディスクユニオン、タワーレコード、HMV、Amazon ほか
【演奏】
miki et nana(ミッケナナ)
宮本美季 (ヴォーカル)
竹田麻里絵 (ピアノ)
那姫 (ベース)
西川彩織 (ドラムス)
ゲスト:
米澤美玖 (サックス) on M4,M6
水永康貴 (エレクトロニクス) on M4,M6
【収録曲】
01. The Beginning
02. キミノオモウママニ
03. Siren Blue
04. I miss my baby too much
05. Puzzle Piece
06. Fantasy (カバー)
07. 蘇州夜曲 (カバー)
08. Love Crazy

【miki et nana プロフィール】
シンガーソングライターとして国内外で活動を重ね、近年はNetflix『timelesz project -AUDITION-』でヴォーカルトレーナーを務めるなど、圧倒的な歌唱力と存在感で観客を魅了し続けるヴォーカリスト・宮本美季が、自身のルーツと新たな可能性を融合させるべく結成した、実力派女性ミュージシャンによるジャズバンド。サウンドの中核を担うのは、バンドマスターでピアニストの竹田麻里絵。多くのメジャー・アーティストからも信頼を寄せられる確かな演奏力とアレンジセンスでバンドの基盤を築き、繊細かつ大胆なプレイでサウンドを華やかに彩る。グルーヴの要となるベーシスト・那姫は、今、最も注目を集める若手ミュージシャンの一人。大御所との共演も数多く、裏打ちされた技術とフレッシュな感性でバンドに新たな息吹をもたらしている。そして、バンドの心臓ともいえるドラマー・西川彩織は、これまでにオリジナル・ソロアルバムを2枚リリースするなど、豊かな音楽性と確かなテクニックを併せ持つ存在。タイトでキレのあるプレイでサウンドを躍動させる。”メロウで艶やかな、レトロ・ブルージー・ジャズ”をコンセプトに、オリジナル楽曲を中心に、ジャズ、ロック、ソウル、ポップスなどの名曲も新たな解釈でカバー・アレンジ。ジャンルの垣根を越えた自由な音楽性で、独自の世界を築いている。
(miki et nana info)https://miki-et-nana.info/
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