渡辺翔太(Piano)、清水行人(Guitar)、熊代崇人(Bass)、橋本現輝(Drums)による4人組インストゥルメンタルバンド、Sup。
それぞれライブやセッション、プロジェクトを通じて交流を深めていた4人が、新型コロナウイルスの影響でライブや対面での制作が難しくなるなか、「宅録してみない?」という会話から楽曲制作を始め、Bandcampでの作品発表を経て、Supとしての活動を本格化させていった。
そんな彼らが2026年11月25日にリリースするのが、初のフィジカル作品となるアルバム『Yup』だ。これまでライブや制作を重ねながら育ててきた楽曲を収録し、4人それぞれの個性を生かしながら、ひとつのバンドとしてのサウンドを形にした作品となっている。
本作では、メンバーそれぞれが持ち寄ったアイデアをリハーサルやライブのなかで発展させ、楽曲を完成させていくSupならではの制作スタイルも随所に表れている。リードトラック「EMOI」をはじめ、ゲストミュージシャンとの共演や、画家・山本あきによるアートワークなど、さまざまな要素が重なり合って完成した『Yup』。
今回はメンバー4人に、Supというバンドの特徴や楽曲制作、アルバムの聴きどころについて話を聞いた。
インタビュー・編集:西尾旨功(diskunion)
撮影:大塩ハチ
「今のSupらしさを自然な形で詰め込めた」
――今回、初めてのフィジカル作品となる『Yup』が完成しました。制作を振り返って、どのような作品になったと感じていますか?
清水行人:それぞれのメンバーが持っている音楽性や個性を持ち寄りながら、今のSupらしさを自然な形で詰め込めたアルバムになったと思います。曲ごとに雰囲気は違いますが、アルバムを通して聴くとちゃんと一つのバンドの音としてまとまっていて。これまでライブで演奏してきた曲も含めて、今の自分たちを一枚に残せた作品になったと感じています。
「メンバーの顔を思い浮かべながら作ってます」
――Supでは、どのように楽曲を作っていくのでしょうか?
清水:それぞれが曲のアレンジなどのアイデアを出せるメンバーなので、初めに持っていく時はかなりシンプルな譜面だったりすることが多いです。リハーサルでアイデアを出し合って曲を作っていくことが多いので、元のアイデアはなるべくシンプルにしています。
渡辺翔太:メンバーの顔を思い浮かべながら作ってます。Supは元々、メンバーそれぞれがインプロで会話しながら作っていくことができるプレイヤーたちですが、最近はバンドとしてのサウンド感もまとまってきたように感じているので、そのサウンドのフィルターを想像しながら曲を作っていくことが多いです。
――4人それぞれの個性がありながら、Supとしてひとつのサウンドにまとまっていくのは、どんなところに理由があるのでしょうか?また、プレイヤーとして意識していることはありますか?
橋本現輝:演奏時の個性や役割分担がうまくハマっていて、チャレンジングな音楽をやってもキャッチーに仕上がるのが面白いです。いろんなジャンルの音楽を通ってきたメンバーたちですが、大事にしている部分は共通しているところがあって、でも得意なところが少しずつ違うからこそ、立体的で他にはないサウンドが作れているんじゃないかなと思っています!
熊代崇人:Supの楽曲はリズムパターンがとても多彩なので、「曲ごとの雰囲気に合ったロー(低音)感が出せているか」「その楽曲に適したプレイができているか」を心がけています。ベースのサウンド感やプレイは、楽曲全体への没入感を大きく左右するものだと思っています。聴いてくださる方が自然と心地よく世界観に浸れるようなアプローチを意識しています。
「この4人だからこそできた曲」
――リードトラックの「EMOI」は、どのように生まれた曲なのでしょうか?
清水:「EMOI」は、コード進行とメロディーができて、最初は細かいことをほとんど決めずに、とにかくライブで演奏してみて、そこからリハーサルでメンバーとアイデアを出し合いながら変化していって完成させていった曲です。当初はAメロとBメロがあるくらいで、グルーヴもぼんやりとしか決まっていなかったんですが、そこから少しずつ形になって、最終的にアルバムのリードトラックとして印象に残る曲になったことをとても嬉しく思っています。
もともとペドロ・マルティンスの「Polos」のような、どこかエモーショナルなサウンドにしたいというイメージがあって、仮タイトルとして「EMOI」と付けていました。それをメンバーが「EMOI、いいんじゃない?」と言ってくれて、そのまま正式タイトルになりました。なのでタイトルの意味は、そのまま「エモい」です(笑)。
――今作の収録曲について、特に思い入れのある楽曲や、初めてSupを聴く人にまず聴いてほしい1曲を教えていただけますか?
清水:リードトラックの「EMOI」、キャッチーでありながらジャズ的要素もあり、短いけどSupのサウンドが楽しめる1曲だと思います。自分が持っていったのは本当に小さなメロディとコードのアイデアだったんですけど、そこにみんなが変わったドラムパターンやアレンジを加えてくれて。この4人だからこそできた曲だと思っています。
アルバムの“顔”になってくれたらいいなと思っていますし、自分にとってもすごく意味のある曲ですね。
渡辺:1曲目は「EMOI」以外考えられないぐらいだよね。
清水:コンパクトな曲なんですけど、いろんな要素が入っていて。
熊代:『Yup』のジャケットを見ながら聴くと、めっちゃいいんですよ。
橋本:確かに!
渡辺:えも過ぎる(笑)。Supの楽曲って、メロディやコードも真っすぐというより、ちょっとひねってあって。それがアートワークにも反映されていると思います。単純にポップというだけじゃなくて、ちょっとダークな部分もあるし、少し怖い感じもある。あの目玉もそうだよね。

2026/9/30 配信
『EMOI』
Sup
Music by Ikuto Shimizu
Piano, Keyboards:Shota Watanabe
Guitar:Ikuto Shimizu
Bass:Takato Kumashiro
Drums:Genki Hashimoto
Design : Aki Yamamoto
「4人だけでは出せないスムースなサウンド」
――今作にはゲストミュージシャンも参加されています。MELRAWさんと桑原睦実さんのおふたりはSupの楽曲にどのような変化や広がりが生まれたと感じていますか?
橋本:もはや、2人が入ってへん方が違和感がある(笑)。
清水:7曲目の「Green Willow」は実は名古屋名物『青柳ういろう』から来ていて、学生時代にジャズをやっている頃から親交があったMELRAWに入ってもらいたかった。彼も名古屋出身で、名古屋愛の強い人間なので(笑)。サックスが入ることによって、4人だけでは出せないスムースなサウンドになり、アルバムの中でもいいアクセントになったと思う。
渡辺:3曲目の「Red Soup」で参加してもらった、むっちゃん(桑原睦実)は絶対に欠かせない最高の存在です。
橋本:ちゃんと歌い切ってくれるし、音に対する反応もすごくいい。意外とそういう人を考えた時に他の人は思い浮かばないね。
「自分たちでは気づけない部分を、絵にしてくれる」
――アートワークは山本あきさんが担当されています。これまでの作品でも継続して関わられていますが、Supの音楽とアートワークの関係について教えてください。
清水:これまで7枚のジャケットに彼女の作品を使用させてもらっています。最初の3枚は既存の作品を使わせてもらう形でしたが、シングルでリリースした『Pingre』以降は、毎回曲を聴いてもらった上で描き下ろしをお願いするようになりました。
曲やSupのイメージをうまく表現してくれるのはもちろん、カラフルで目を引くアートワークもとても気に入っています。僕ら自身では気づけないような部分を、彼女ならではの視点や感性で拾って絵にしてくれるので、「この曲がこういう絵になるんだ」という発見があるのも面白いですね。
「長く楽しんでもらえると嬉しい」
――最後に、これからSupの音楽に出会う人へメッセージをお願いします。
清水:インストやジャズが好きな人もそうでない人も、誰が聴いてもかっこいいと思えるアルバムができました!ぜひ聴いて、それからライブでの熱量も楽しんでもらえると嬉しいです!
熊代:たくさんの方の力を借りて、とてもお気に入りのアルバムができ上がりました! ぜひいっぱい聴いてほしいです!そして気が向いたらライブにも遊びに来てください!
橋本:聴きやすい音楽だと思うので、まずはたくさんの方々に聴いてもらいたいです!今まで模索してきたいろんな歩みが詰まったアルバムになったと思うので、どんどん新しい発見があるはず。長く楽しんでもらえると嬉しいです。ライブになるとまた全然違う印象になるので(笑)、そちらもぜひ体感していただきたいです!
渡辺:インストを聴いたことない方々でもスッと耳に入るような音楽だと思います。みなさんの生活にSupの音楽が少しでも溶け込めればとっても嬉しいです。ぜひ聴いてみてください!そしてこのバンド、ライブすごいので(笑)、会場でお会いしましょう!
Release Information

『Yup』
Sup
・発売日:2026年11月25日(水)
・品番:KNRS-1011
・価格:¥3,300(税込)
・フォーマット:CD
・レーベル:Kamnabi Records / ディスクユニオン
・発売元:株式会社ディスクユニオン
主要販売店:ディスクユニオン、タワーレコード、HMV、Amazon ほか
【演奏】
Sup
渡辺翔太 (Piano, Keyboards)
清水行人 (Guitar)
熊代崇人 (Bass)
橋本現輝 (Drums)
ゲスト:
桑原睦実 (Vocal) on “Red Soup”
MELRAW (Saxophone) on “Green Willow”
【収録曲】
01. EMOI
02. Tsure Zure
03. Red Soup (feat. Mutsumi Kuwahara)
04. Not Pure Luck
05. Crispy
06. Bounce Lounge
07. Green Willow (feat. MELRAW)
08. Breaking Down

【Sup プロフィール】
渡辺翔太(Piano, Keyboards)、清水行人(Guitar)、熊代崇人(Bass)、橋本現輝(Drums)によるインストゥルメンタル・バンド。2020年結成。
渡辺翔太は、Chara、藤原さくら、新しい学校のリーダーズなどのサポートや楽曲制作、アレンジを手がけるほか、自身のプロジェクトやShingo Suzuki L.Y.P.S、STEREO CHAMPなどでも活動。清水行人はジャズシーンの中核として、自身のリーダー作品の発表やさまざまなライブやレコーディングに参加している。熊代崇人は、Bialystocks、IO、Kohjiyaなど幅広いアーティストのライブ/レコーディングに参加。橋本現輝は、山中千尋、上原ひろみ、青山テルマ、加藤ミリヤ、KIRINJI、jizueなど、ジャンルを越えたアーティストのツアーやレコーディングで活躍している。
2020年の結成以来、デジタル作品を中心に楽曲を発表し、ライブやセッションを重ねながら活動を続けてきた。2026年11月、初のフィジカル作品となる1stアルバム『Yup』をリリースする。
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