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Josh Johnson『Freedom Exercise』インタビュー | ブルーノートから新作が控えるミシェル・ンデゲオチェロのプロデュースなど、現在のジャズ・シーンを代表するミュージシャンも魅了し続けるジョシュ・ジョンソンの音楽とは

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ジェフ・パーカーやマカヤ・マクレイヴンの録音やライヴにおいて、キーとなるプレイヤーとなっていたサックス奏者のジョシュ・ジョンソン。その名前が少しずつ浸透し始めた頃に、初のソロ・アルバム『Freedom Exercise』がリリースされた。あれから2年以上経つが、レコードは再プレスされ、国内盤CDも遂にリリースとなった。着実にリスナーを惹きつけてきたジョシュ・ジョンソンの音楽は、どんな背景から生まれたのだろうか? リオン・ブリッジズの音楽ディレクターや、6月にリリースされるミシェル・ンデゲオチェロの新作アルバムのプロデューサーも務めるなど多忙を極める彼が、今回初めて長いインタビューに応じてくれた。これまでの歩みから、直接教えを受けたウェイン・ショーターについても話は及んだ(このインタビューはショーターの死去の前に行われた)。

Josh Johnson Interview
ジョシュ・ジョンソン インタビュー

インタビュー・構成:原 雅明 – Masaaki Hara
インタビュー・通訳:バルーチャ・ハシム – Hashim Kotaro Bharoocha
編集:三河 真一朗 – Shinichiro Mikawa(OTOTSU)
Special Thanks:Josh Johnson、Northern Spy Records


Artist : Josh Johnson
(ジョシュ・ジョンソン)
Title : Freedom Exercise
(フリーダム・エクササイズ)​
Release : 2023/03/22

価格 : 2,500円 + 税​
レーベル : rings
品番:RINC98
​フォーマット : CD​
ライナーノーツ解説:原 雅明

Josh Johnson(ジョシュ・ジョンソン)photos by Robbie Jeffers

—— まず、出自と音楽を始めたきっかけから教えてください。

Josh Johnson(ジョシュ・ジョンソン) シカゴから1時間ほど離れたエリアで育ったんだ。両親は音楽好きだけど、いわゆるミュージシャンではない。父親は教会の合唱団で歌っていたし、家の中でよく音楽は流れていた。兄がしばらくピアノを演奏していたんだけど、それがきっかけで僕も音楽を演奏するようになった。子供の頃にピアノを演奏し始めたけど、それはどちらかというと、兄がやっていたから始めたんだ。ピアノは大好きだったけど、レッスンが嫌いだったね。サックスは11歳から吹き始めたんだけど、真剣にやるようになるまでは時間がかかった。中学校の後半くらいから、楽器とコネクションを感じるようになって、サックスが自分にとって一人で没頭できる世界観になった。それと同時に独学でピアノ、キーボードも演奏していた。

—— 大学でも音楽を専攻したのですか?

インディアナの大学でジャズ・サキソフォンを専攻した。ジャズを主に勉強していたけど、大学の外では違うタイプの音楽のバンド活動もやっていた。スナージ(Snaarj https://snaarj.bandcamp.com/album/snaarj-ii)というバンドだ。2012年に1枚のアルバムをリリースして、その後にまた再結成して2021年にアルバムをリリースした。

Snaarj – JM

—— 大学卒業後にジャズ・ミュージシャンとして活動していこうと思ってましたか?

ミュージシャンとして活動していきたいとは思っていたけど、大学に入る前は色々な音楽に興味があった。ジャズを勉強すれば、他の音楽を演奏する技術を身につけられると思っていたんだ。大学卒業後はシカゴに移住した。シカゴには豊かな音楽とカルチャーがあって、そこに参加したかった。若い頃は自分に多大な影響を与えたライヴをたくさん見てきたからね。ジェフ・パーカーと出会ったのは、僕が16歳の時だった。まだ未成年だったから、こっそりライヴ会場に忍び込んでいた(笑)。

—— その時、ジェフ・パーカーはトータスとして活動していましたか?

そう。よくトータスのライヴを見に行ってたね。インプロヴァイズド・ミュージックのライヴを見たい時は、ヴェルヴェット・ラウンジという会場に行ってた。僕はまだ十代でジェフとは一緒に演奏はしていなかった。彼と演奏するようになったのは、そのずっと後だよ。

Jeff Parker & The New Breed 2021

—— シカゴではどのような活動をしていたのでしょうか?

シカゴには、インプロヴァイズド・ミュージックのシーンやその他のスタイルの音楽を演奏するために移住したんだ。僕とジェフの共通の知人がドラマーのジェレミー・カニングハムで、彼とよく一緒に演奏していた。彼もNorthern Spyから素晴らしい作品をリリースしている(『A Better Ghost』『The Weather Up There』)。マルチ楽器奏者のダスティン・ロレンジやトランペット奏者のマーキス・ヒルともよく演奏していた。マーキスにマカヤ・マクレイヴンを紹介された。僕とマカヤはマーキスのバンドのメンバーとして演奏していた時期があったんだ。僕はもうLAに11年間住んでいるけど、僕の音楽的ルーツにはシカゴ出身のミュージシャンが多くいる。

Marquis Hill – “Untitled #27” @ musig im pflegidach, Muri
Jeremy Cunningham | The Weather Up There
A Better Ghost
Spotify
The Weather Up There Jeremy Cunningham · Album · 2020 · 10 songs.
The Weather Up There

—— これまでのあなたの活動に大きな影響を与えたミュージシャン、メンターと言えるミュージシャンは誰ですか?

ジェフ・パーカーはまず僕にとってメンターのような存在だね。影響されたミュージシャンは、あまりにもたくさんいるから答えるのが難しい。僕は音楽の特定の要素に魅力を感じることはあるけど、そのアーティストに憧れるということはあまりないんだ。あるアーティストのリズムの取り方、楽器の音質、フィーリングとかは好きだったりするから、特定のアーティストに影響されたというのが難しい。ジャズの様々な伝統に影響されたし、多感な時期にシカゴのポスト・ロックの世界に触れて、それもとても刺激になった。ヒップホップも僕のリズムの聴き方や捉え方に影響を与えた。僕の音楽から直接的な影響は感じないかもしれないけどね。直接的ではない影響に興味があるんだ。何かに多大な影響を受けても、それを自分の音楽で再現しようとしているわけじゃない。それは僕の音楽に一貫しているかもしれない。

Jeff Parker Collaboration with Artist Harold Mendez

—— 特にインスパイアされたサックス奏者はいますか?

ウェイン・ショーターは大好きだし、彼から学んだことは多い。あまり学術的な話をするのは好きじゃないけど、LAに来たのは、ある音楽プログラムを受けるためだった。そのプログラムの中で、直接ウェイン・ショーターやハービー・ハンコックから学ぶことができた。だから、彼らから影響は受けたよ。リー・コニッツ、エディ・ハリスなどからも学ぶことは多かった。たくさんのサックス奏者から学んできたから、影響されたアーティストのリストを作るとしたら、50人以上の名前を言うか、全く言わないかのどちらかになってしまう(笑)。

Herbie Hancock, Wayne Shorter, Dave Holland, Brian Blade – JazzBaltica 2004

—— LAに移ったのは、ハンコックやショーターが関わっていたセロニアス・モンク・インスティテュート・オブ・ジャズに参加するためだったそうですね。

そう。いまはハービー・ハンコック・インスティテュートと名称が変わったけど(https://hancockinstitute.org/)、修士号のプログラムのようなものなんだ。7、8人のミュージシャンのグループで2年間一緒に演奏する。学校のコースというよりは、メンターから直接学ぶスタイルだ。住む場所も与えてくれて、学費も無料だから、僕はLAに引っ越すことにした。直接尊敬するミュージシャンから学べることは大きかったよ。ハービーとウェインは、セミレギュラーのインストラクターで、他にも1週間から2週間来て、個別に、あるいはグループに指導をしてくれた。このグループのために自分で作曲をしたり、直接的なメンターシップを受けることができたりしたから、他の音楽教育とは違うスタイルだね。そこで、自分にとって何が大切で、何に興味があるかを発見することができた。ウェインの音楽に対する説明の仕方は特に勉強になった。彼は音楽を、音楽的な用語で説明しないんだ。フィーリング、映画とかに比較しながら話してくれた。僕は彼とは違う形で音楽を経験しているけど、直接的ではないアクセスポイントで彼は音楽に向き合っていることがわかった。音楽の構造というよりは、何をコミュニケートしようとしているのか、どんなイメージ、フィーリングを表現しようとしているのか、ということに彼は焦点を当てている。

Intl Jazz Day 2014 Educational Program: History of Jazz & Jam Session

—— どこか特定の大学の中にあるんですか?

いろいろな場所でやっているけど、僕が通っていた時も、現在もUCLAに拠点がある。歴史は結構長くて、一時期はボストン、ニューオーリンズ、別の時期はLAのUSCで開催されていた。僕が入っていた時は、LAでコミュニティを作り上げることができた。僕はUCLAでキーファーに出会ったり、その他にもLAの音楽コミュニティの仲間と出会うことができた。

Dungeon Sessions: Kiefer – What a Day

—— 『Freedom Exercise』に参加しているミュージシャンもこのインスティテュートで出会ったんですか?

それは違うんだ。ギタリストのグレッグ・オールマンはシカゴ出身でシカゴで出会って、LAで再会して一緒に音楽を作るようになった。アナ(アンナ・バタース)は、インディアナで出会った。彼女もLAに引っ越して一緒に演奏するようになった。ドラムのアーロン・スティールは、LAでジャマイア・ウィリアムスのライヴをやった時に出会って意気投合したんだ。

—— LAとシカゴ、特に音楽面ではどのような違いがありますか?

特定するのは難しいな。一般論であまり括りたくないんだ。LAは街もシーンも拡散しているから、誰がここにいるのかがわかりづらい。LAでクリエイトしている人は多いけど、外で出会うことが少なかったりする。シーンというものが見づらいことがある。シカゴでは、シーンを見たいんだったら、決まった場所に行けば、そこでシーンに関わっているミュージシャンと会える。そういう意味で違うかな。シカゴは音楽的に豊かな街で、クリエイティヴな音楽を促進するためのインフラがある。LAは、僕が来てからだいぶ変化したけど、良くも悪くも歴史と競争する必要がない。歴史がないから、何か新しいことを作り上げたりすることに自由があったりする。決まった地図がないから、自分で道を切り開けるのかもしれない。

Josh Johnson(ジョシュ・ジョンソン)photos by Robbie Jeffers

—— シカゴにインフラがあるというのは、行政レベルで音楽をサポートしているということですか?

そうだね。様々な協会からサポートを受ける方法もあるし、エコシステムがしっかりしていて、演奏できる会場がたくさんある。変わった音楽とか、実験的な音楽を演奏できる場所がいっぱいあるんだ。

—— シカゴに昔行った時に、ヴェルヴェット・ラウンジやエンプティ・ボトルといったライヴ会場に行きましたが、ミュージシャンがそこにいたり、そういう場所で働いていましたね。

そうなんだ。そういう意味でシカゴは違う。LAにもコミュニティはあるけど、その在り方が違うんだ。家で練習するミュージシャンが多いしね。

—— なぜシカゴからLAに移住するミュージシャンが多いのだと思いますか?

みんなそれぞれ理由が違うと思うけど、変化が欲しくてくる人もいるんじゃないかな。新しいことに挑戦するスペースが欲しい人もいると思う。僕の場合、LAは興味のある分野すべてを探求しやすい環境だった。それが『Freedom Exercise』に反映されてるんだ。僕はさまざまな音楽に興味があるけど、それを有機的にミックスするとどうなるかを探求した。LAには、それを探求するスペースがあった。シカゴやニューヨークだと、才能あるミュージシャンが大勢いるけど、ジャズ・サックス奏者だったら、その活動に時間と労力をかなり費やさないと、他の興味あることを探求できないと思う。でも、LAではそういうプレッシャーを感じない。何をやってもいいし、勝手にルールを作れる。どの街にも長所と短所があるけど、LAにはそういう良さがある。

—— 『Freedom Exercise』は当初どういう意図を持って作られたのでしょうか?

最初はアルバムを作るという意図がなかったんだ。いくつかの曲があって、ジャンルレスとまでは言わないけど、さまざまなスタイルの音楽をつなぎ合わせる一本の線を見つけようとしていた。一貫性がないように見えて、同じ世界の中でさまざまな要素が共存している作品を作りたかった。エンジニア、共同プロデューサーを務めたポール・ブライアンに、何曲か聴かせたら、「これを出発点にしてみよう」と言われたんだ。ライヴ録音した素材を家に持ち帰って、それを発展させたり、演奏を追加したり、アレンジを変えたりした。一人で作り上げた曲もある。さまざまな要素を融合させた世界観を作りたかったんだ。制作しながら方向性が見えてきた。一つの大きなコンセプトは、自分に影響を与えたどの音楽的要素も拒否しないことだった。すべての要素を迎え入れて、そこから有機的なものを作り上げることだった。

—— アルバムにインスピレーションを与えた音楽はありますか?

ジャズのフォームを採り入れたり、エレクトロニック・ミュージックの要素も採り入れた。でも、エレクトロニック・ミュージックと言っても、シンセを使っているのではなく、サックスをサウンドソースとして使っている。ロックっぽい要素も入ってるしね。ネオクラシカル的な現代音楽のハーモニーのアプローチも取り入れている。僕の同業者にもインスパイアされるし、制作中に祖母が亡くなって、彼女に”Eclipsing”という曲を捧げた。月食の日に亡くなったからなんだ。特にインスピレーションになった作品はないけど、長年ジェフ・パーカーと演奏してきたことは一つにインスピレーションになった。

—— エレクトロニック・ミュージックを採り入れるといっても、打ち込みのビートが登場するわけではありませんね。

シーケンサーを使っているようなエレクトロニック・ミュージックを、シーケンサーを使わずに再現してみたらどうなるか、ということも試してみたんだ。生演奏でシーケンサーのようなフィーリングを作り出してみた。聴き慣れたスタイルの音楽を、違う楽器を使って再現してみたいんだ。

—— これまでソロ・アルバムをリリースしてこなかった理由は?

色々な音楽に興味があって、ある時期はジャズ・サックス奏者であることにフォーカスしていた。そこからズームアウトして、自分が好きな他の音楽を聴き直して採り入れられるようになった。いつかソロ・アルバムを作る時は、ストレートなジャズ作品は作りたくないと分かっていたけど、まだそのサウンドを見つけられていなかったんだ。恐怖も多少はあっただろうし、自分の方向性が定まっていなかったことが理由なのかもしれない。

—— プレス・インフォに「音楽的な雑食性」とありましたが、それは『Freedom Exercise』とあなた自身の基盤を成しているものでしょうか?

そうだね。同時に、さまざまなコンセプトを探求しながらも、アカデミックにならないようにしている。無調性のバラードに童謡のようなメロディを入れたり、さまざまな方法で音楽的要素やリズムを組み合わせている。僕が好奇心を持っているテーマを探求しながら、さまざまな音楽的影響を取り入れる。自分の好奇心を大切にしているんだ。

Josh Johnson(ジョシュ・ジョンソン)photos by Robbie Jeffers

—— ポストプロダクションにもこだわったアルバムだと思いますが、どのようなプロセスを経たのでしょうか?

何曲かは、自分で作曲して、デモをレコーディングした。そのあとにポールのスタジオで、バンドとして一斉にみんなの生演奏を録音した。それが曲の土台になって、家に持ち帰って、木管楽器、シンセなど、他のパーツを追加したりした。僕が自宅で完全に一人でレコーディングしたものもある。最後の曲の“Return Recoil”は、家で作ってから、アーロンの演奏をそこに重ねた。いくつかの曲は、シーケンスされたように聞こえるリズムの上に、みんなで即興演奏したものもあった。

—— 例えば、どの曲ですか?

”Punk”では即興と作曲を組み合わせている。ドラム・パターンの上に、みんなで即興演奏しているんだ。“Bowed”は、僕が即興をディレクションして、最終的にマントラのようなメロディに行き着ついた。僕がオーヴァーダビングを重ね、ポールが作品全体のサウンドに一貫性を出してくれた。それを実現するために、ポールと一緒に作業したんだけど、クリエイティヴなミックスとエフェクトの使い方をしたんだ。リー・スクラッチ・ペリーのようなダブの手法に似ていた。この作品の音響空間を作り出す上で、ポールは重要な役割を果たしたよ。

—— プロデュースはあなた自身ですか?

僕とポールの二人でプロデュースとミックスをした。コラボレーションだね。

—— デイヴ・クーリーのマスタリングには、どのような仕上がりを期待したのでしょうか?

最初のマスタリングのヴァージョンは、デイヴがジャズ・アルバムのようなアプローチでマスタリングした。でも、デイヴには、ヒップホップのアルバムをマスタリングするかのようなアプローチで手がけてもらった。そうすることで、アルバムの最終的なサウンドを決定付けることができた。そこでまたクリエイティヴな要素を採り入れることができたんだ。あまり大切に扱いすぎないようにしたかった。

The Diary: Dave Cooley Speaks on J Dilla

—— ジャズはあなたの基盤を形成した音楽ですが、ジャズに対する見解を訊かせてください。

ジャズは僕の音楽性の基盤ではあるけど、このアルバムをジャズと呼んでいいかはわからない。このアルバムをジャズだと思う人は多いみたいだけど、僕はそうは思っていない。アルバムを完成する上で、自分でカテゴライズしないことで気が楽になったんだ。あとは、「ジャズとは何か?」という疑問が出てくる。ジャズは、ブラック・アメリカン・ミュージックに影響されているけど、他の要素も入っている。この作品でもジャズの要素は入っているし、サックスを演奏すると、どうしてもジャズだと捉えられてしまうけど、一種のエレクトロニック・ミュージックの作品と捉えている。ビート系の作品ではないけどね。ジャズは僕にとって大切ではあるけど、僕がジャズを演奏する時も、ジャズとは違うテクニックを採り入れているよ。

—— あなたは、ジェフ・パーカーの『The New Breed』や『Suite for Max Brown』、マカヤ・マクレイヴンの『Universal Beings』に参加しています。彼らの作品からはどんな影響を受けましたか?

『The New Breed』は、他のミュージシャンと生演奏をした要素が多かった。ジェフの音楽の作り方は、彼がまず一人で曲を作ってから、他のミュージシャンを呼んで、演奏してもらうというスタイルだ。ジェフからは、プロセスを大事にすることを学んだ。ジャズ・アルバムを作っているミュージシャンとは違うプロセスだ。通常の生演奏のパフォーマンスを記録するジャズ・アルバムでは、曲を作曲して、バンドとリハーサルをして、最後にレコーディングして仕上げる。素早くレコーディングしないといけないから、効率性が重要視される。でも、ジェフからは他の音楽制作の方法を見せてもらった。その方法論は、必ずしも効率性が目標ではない。トータスの制作方法に似ていると思うけど、スタジオの中で作曲しながら、スタジオをツールとして使ってアルバムを作る。ジェフと仕事をするようになってから、アイデアを生み出す方法が変化した。『Universal Beings』は、ミュージシャンたちが即興演奏をして、マカヤが切り刻んでいる作品だ。ミュージシャン同士がリアルタイムでリアクションしながら演奏していて、それをマカヤが素材として使って、アレンジし直している。『Universal Beings』は、曲によって違うメンバーとマカヤが演奏しているけど、LAコミュニティの小さなドキュメントでもある。

—— 様々なアーティストと活動を共にしてきて、特に印象深いことはありますか?

昨年、ミシェル・ンデゲオチェロのアルバムを彼女と共同プロデュースしたんだ。彼女の音楽のアプローチに触れて、とてもインスパイアされた。昔から彼女の音楽が大好きだったけど、4、5年前からよく仕事をしている。彼女の新作は、とても多様性のあるサウンドで、とてもクリエイティブな作品だよ。一言で説明するのは難しいし、いわゆるポップスの作品ではない。ネイト・マーセローと音楽を作るのもいつも刺激的だ。カルロス・ニーニョも似た様な存在だね。ジャマイア・ウィリアムスにも多大な影響を受けてきた。

グラミー賞10度ノミネートのミシェル・ンデゲオチェロがブルーノートから新作を2023年6月16日リリース。
全曲ミシェル本人の書き下ろした作品で、ジョシュ・ジョンソンがプロデュースを担当。先行シングル「Virgo」

—— 音楽ディレクターの仕事もやっているそうですね。

この4、5年、リオン・ブリッジズのライヴの音楽ディレクターを務めている。彼のバンドのキーボード、サックス、アレンジャーを担当しているんだ。ネイト・マーセローがリオン・ブリッジズの作品をプロデュースしているから、ネイトを通してリオンと知り合ったんだ。

Leon Bridges – Steam (Live From The Tonight Show Starring Jimmy Fallon)

—— 『Freedom Exercise』はリリースから2年以上経った現在も、レコードで再プレスされ、日本盤でもリリースされます。この状況をどう感じていますか?

反響には自分でも驚いているよ。たくさんの人がこのアルバムに魅力を感じてくれたり、何度も聴いて、共感してくれて嬉しい。新しい作品をリリースするのが楽しみだね。

2023年3月22日に、ringsレーベルから『Freedom Exercise』のCDが、ボーナストラックを加えてリリースされた。

—— 次のリリースの予定は?

ゆっくりではあるけど、新作の曲を作っている。秋には、僕とグレッグ・オールマン、サム・ウィルクスと新作を作る予定だよ。

RELEASE INFORMATION

Artist : Josh Johnson
(ジョシュ・ジョンソン)
Title : Freedom Exercise
(フリーダム・エクササイズ)​
Release : 2023/03/22

価格 : 2,500円 + 税​
レーベル : rings
品番:RINC98
​フォーマット : CD​
ライナーノーツ解説:原 雅明

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