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ジャパニーズ・デス・メタルの重鎮にして最高峰に君臨するDEFILEDが、2023年5月3日に待望のニュー・アルバム『The Highest Level』をリリース。バンドとしての確たる信念に迫る長編インタビュー!

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photo:Shigenori Ishikawa

活動歴30年を超えるジャパニーズ・デス・メタルの重鎮にして最高峰に君臨するDEFILEDが、待望のニュー・アルバム『The Highest Level』をリリース。バンド史上最高傑作と言えるアルバムの新型コロナ・ウィルスのパンデミックでの葛藤を経て制作された過程から独自の音楽性の解析、ユニークな歌詞のコンセプト、そしてバンドとしての確たる信念に迫ります。

インタビュー: 田村直昭


-前作『Infinite Regress』をリリースしてから3年経ちましたが、その間の活動について教えてください。

住田雄介(以下S): 2020年の1月下旬にアルバムがリリースされ2月に北は北海道から南は沖縄まで大掛かりなジャパン・ツアーを展開しました。ツアーは盛況で大成功でした。その勢いのままVADERとの3週間の欧州ツアーに3月上旬から臨みましたが、ツアーは最初の5公演のみで残りはパンデミック宣言により全てキャンセルになってしまいました。
レコ発ツアーが不可抗力によりキャンセルされるのはこれが初めてでなく『In Crisis』リリース時もでした。初日に東日本大震災が起き、初日の名古屋と翌日の大阪以外は全て国内ツアーがキャンセルになりました。その当時の悪夢が蘇りました。バンドにとってリリースされた後のタイミングでツアーができなくなるのは大きな痛手でした。
2020年は結構な量の国内外のツアーが予定されていましたが、その後の予定は全てキャンセルになりライヴ活動を止めることになりました。欧州から帰国後は少しリフレッシュして2020年の6月ぐらいから、ボチボチとやれることを進めていこうとなり、今作に取り掛かりました。ライヴもツアーもなかったのでレコーディングに時間を潤沢にかけられ集中できたことはとても良かったです。
ライヴは2021年9月の国内ツアーから再開しました。その頃にはミックスとマスタリングを残すのみで、2021年末には完成していましたが、コロナ禍ということでリリースは今年の春になりました。2022年は時々自主企画をやったり、9月には国内ツアー、そしてハイライトはDEFLESHEDとの東名阪でした。20年ぶりぐらいの再会、共演で胸が熱くなりました。最高のツアーで2022年は締めくくれたと思います。

-ニュー・アルバムの曲作りはいつ頃から始めていましたか?

S: 曲によって時期に大きな開きがあります。割と新しい曲もありますが、2018年まで借りていた沖縄のプライベート・スタジオで作った曲もあります。一番古い曲は“Demonization”で、最初のデモ制作はたしか2014年だったはずです。創作からかなり経ってしまった感がありますが、その分、時間をかけて存分にアレンジもできたという利点もありました。
リリースまで道のりがとてつもなく長かったので感無量です。今は皆さんに聴いて頂ける期待でいっぱいです。

-どのように曲作りを進めていったのでしょうか?

S: まずは曲構成の構想から着手します。曲の構成表を書いてみてどういう展開をしたいかのラフなアイディアを可視化し整理します。そしてギター・リフのストックから、合うパーツをパズルのように当てはめてみます。何となく宇宙語でワーワーワーとメイン・ヴォーカル・ラインも脳内で浮かべつつ調整していきます。そういった思考の過程は一番楽しい作業です。
それで曲の骨格がなんとなく出来上がり、ヴォーカル・ラインに自然に乗るよう歌詞を調整していきます。曲の緩急、ハイライトの確認をしつつ、細部を調整して仕上げていきます。これはどの曲においても共通のプロセスです。一枚のアルバムの中で似た作風の曲が入ることはなるべく避けています。アルバムとしての整合性、一貫性は大事にしつつも、ヴァリエーションは持たせたいと考えています。
作詞作曲は私が手掛けていますが、各パートのアレンジでのメンバーの貢献は大きいです。特にギター・ヴォーカルとドラムの濱田兄弟はフォーマルな音楽教育を受けているので音楽理論にも詳しく、音楽表現の幅を広げています。ベースの中島も長年の経験があり適確なアドバイスをくれるので非常に助かっています。チームとして凄くうまく機能しています。

photo: Shigenori Ishikawa

-変拍子や頻繁なリズム・チェンジ、ポリリズムといったプログレッシヴ・ロックの手法を用いており、それがDEFILEDの強烈な個性となっていますね。なぜプログレッシヴな要素を用いているのでしょうか? また、どのような考えでプログレッシヴな要素を曲へ反映させていますか?

S: それらの要素がスリリングに聴こえ、好きだからです。ただ露骨にプログレチックにはしていません。あくまでプログレ的手法も導入し使っているという感じでしょうか。プログレを聴く方は曲構成などを意識的に把握してその展開含め楽しまれますよね? 脳内に構成が浮かんで「こう来たか!」とニヤリとしてしまう、みたいな。そういった要素をスラッシュ/デス・メタルの楽曲に取り込みたかったというのはこのバンドが始まって以来のテーマです。
私がDEFILEDを始動する前に、LAWSHEDの機材運びをしていた時期があり、演奏をステージの袖からよく観ていましたが、彼らもスラッシュ・メタル一辺倒ではなくプログレ的な要素がありました。LAWSHEDの洗礼は大きな影響になったと思います。
またGIGATIC KHMERや中期SHELLSHOCK、SAVAGE GREED、ABYSSなどのプログレチックでテクニカルなバンドがいました。そしてみな演奏もタイトでした。メカニカルでカチカチした彼らのプレイが最高にかっこよかったのを思い出します。今作の“Entrapped”は、そんな彼らへのオマージュが入っており、ポリリズムで攻めています。とにかく彼らの影響は大きかったですね。
DEFILEDは変拍子や頻繁なリズム・チェンジ、ポリリズム以外にもトリッキーな仕込みを各所に忍ばしています。まるで風雲たけし城のように。ちょっと例が古すぎましたね。同じギター・リフだけど違うリズム、同じリズムだけど違うリフなどの組み換えをしたり、クリックそのものが同一リフのリピート中に変更したり。リフが変わる段階でのクリック・チェンジはプログレやスラッシュ・メタルのブレイクダウンではよくある手法ですが、同一リフのリピート中にやるのはDEFILEDの特徴でもあり面白さであると自負しています。マニアックで理解されない部分ではありますが、そこはめげずに挑戦を続けています。
アメリカのハードコアバンドなんかもビートダウンでその手法を落としとして伝統的に使いますね。DEFILEDの場合は逆に上げるパターンですが。
その手法の発案源は『マッドマックス2』のバイクシーンです。悪役のヒューマンガス御大が、ナイトロ投下で振り切っていたはずのスピードがさらに上り、一気に加速して仰け反る有名なシーンがあります。DEFILEDの同一リフ内のテンポ・アップの手法はそこからのインスピレーションが大きいです。強引な無茶振り感、酩酊感を音楽的に現したいと思っています。
再度、トンデモな例ですが、志村けんのひとみ婆さんの「バーさんはね、バ、バ、バ、バーさんはね」というギャグがありましたが、結構あれ、プログレッシヴですよね。そんなところからも影響を受けています。前作のタイトル曲の元ネタはひとみ婆さんです。
また多くのデス・メタル・バンドがスラッシュ・メタルからの進化の過程で拾わなかったフックなどの手法があります。DEFILEDはそれらを拾う数少ないバンドのひとつだという自負があります。
ちなみにプログレ的要素とメタルの融合のサンプルとして、IRON MAIDENの“Genghis Khan”がピッタリだと思っています。その曲が好きなら‘そのケ’はあると思います。
世界中にデス・メタル・バンドは星の数ほどいます。その中で独自性を確立するのは生易しいこととは思っていませんが、挑戦があるからこそ情熱が続いたと思います。

-ニュー・アルバムの曲作りにおいて、新たな手法、これまでとは異なる手法を用いていますか?

S: 曲作りの手法や方針は基本的には変わっていません。今作は音楽的背景を共有していない方々にも、それなりにわかりやすく楽しめるように工夫したつもりです。キャッチーで分かりやすい展開、表現とは違うのですが、どの角度、深度でも楽しめる楽曲になっていれば。まずは掴みが良ければリピートして聴いてくれます。何度か聴いていくうちに曲の全体像を把握し、細部に関してもいろいろな発見があると思います。
今作に限りませんが、私達の曲作りのルールのひとつにリフ数はせいぜい4つまで、類似したリフは避ける、というのがあります。それぞれキャラクターの違うリフのコンビネーションの組み換えで曲を構成しています。耳としては覚えているリフだけどリズムは違う、というような感じを以前よりわかりやすくメリハリをつけたつもりです。
その手法はずっと続けてきましたが、今作は聴きやすさにフォーカスを当てています。今作で私達の音楽的な手法に慣れ、過去作への入り口にもなればいいなという思いもあります。今作を理解した後なら過去作の面白さを発見してもらえるかもしれません。

-DEFILEDの音楽性はあくまでもオールドスクール・デス・メタルやスラッシュ・メタルがベースとなっており、それが多く存在するモダンなテクニカル・デス・メタルとは一線を画した最大要因であると思います。影響を受けたバンドや作品を教えてください。また、ニュー・アルバムにおいてそれらの影響がどのように反映されていると思いますか?

S: モダンなテクニカル・デス・メタルとは音楽性がかなり違うのは確かですね。彼らが影響を受けたバンドと被るものもあるかもしれませんが、DEFILEDの楽曲の大半は土台にスラッシュ・メタルがあると思います。スラッシュからデス・メタルへの移行期ぐらいまでしか音楽的なインスピレーションはほぼ受けてなく、それ以降はガラパゴス化したかもしれません。デス・メタルの主流な進化、発展とは違う世界線を歩んできたと言えるかもしれません。
影響を受けたのは、DEICIDEの『Legion』(1992年)ぐらいまでだと思います。あのアルバムはトレモロ・リフだけで構成されているわけではなく、エッジの立ったスラッシーなリフの宝庫で、それに2バス連打やブラストを混ぜたプログレッシヴな曲構成で大いにショックを受けました。
話をスラッシュに戻しますと、テクニカルなモノから猪突猛進でプリミティヴなモノまでどちらからも影響を受けています。ハードコアからの影響もあります。CRO-MAGSとかAGNOSTIC FRONTとかが大好きでした。シンプルなパワー・コードでゴリゴリやるのはハードコアの影響かもしれません。シンプル・リフとメカニカルなリフ、スラッシュ刻みにトレモロ単音リフなどコントラストを重視しています。
ブラスト・ビートを拒絶せずに積極的に取り入れましたが、私達はブラスト・ビートの大半が2ビートに置換できる楽曲になっています。2ビートにリフが乗り疾走するというベースがあり、それらのギア・アップとしてブラスト・ビートを使っています。VADERとかなんかもそういう感じですよね。マネは一切していませんが彼らともルーツは近いんだろうなと感じます。
リズムに関して言えば初期SLAYERやDARK ANGELといった疾走系スラッシュがベースにあります。スラッシュで人生が変わり、デス・メタルへのムーヴメントに心をもってかれたキッズ時代のワクワクをズッと追いかけている感じですかね。浦島太郎的ですがそこは敢えて拘ってやっています。それにプログレ的展開、変拍子をアクセントとして加えた感じです。プログレの影響と言ってしまうとガチ勢に突っ込まれそうなので言及はチョロっとにします。私はプログレは浅いアマチャンだと先に宣言しつつですが、『Power Windows』周辺の中期RUSHが好きでした。ドラムの表現が素晴らしく感銘を受けました。
メタルだとWATCHTOWERもそうですが、DEATHROWの『Deception Ignored』の影響が大きいです。どちらもハイトーン金切り声を我慢して必死に楽曲を追っていました(苦笑)。VOIVODも大好きでした。スラッシュからデス・メタルの移行期としてはNASTY SAVAGEが好きでした。これも金切り声を我慢して楽曲を追いかけました。ハイトーン・ヴォーカルが苦手でして。低い声でテクいことをやったということではCYNICのデモはよかったですね。デモだけ好きです。
音楽的に影響を受けたバンドというと案外難しいですね。好きなバンド=影響を受けたバンドでもないので。バンドとは違いますがストラヴィンスキーが大好きで、あの破廉恥な音使いに影響されて“Defeat of Sanity”を作りました。中間のメイン・フレーズがギター弦を指板の縁から外して弾くトンデモな曲なのですが、いつかセット・リストへ復帰させるつもりです。

-DEFILEDはこれまで海外の大物エンジニアを起用していますが、なぜニュー・アルバムではデモやデビューEP『Defeat of Sanity』を手掛けた菊池賢治氏に依頼したのでしょうか?

S: 海外のエンジニアとの作業から多くのことを学びました。若い頃は井の中の蛙で終わりたくなかったので、今以上に世界へ出たい思いが強く、経験から世界標準というモノも理解できました。バンドとして必要不可欠な経験でした。
同時に有名エンジニアには各人それぞれの仕事の流儀があること、そしてバンドの細かい要望とエンジニアの経験、腕が噛み合った時に良い結果になるということを理解しました。実は前作で初めてオンラインのやり取りによるミキシング、マスタリングを経験しました。ジム・モリスは過去2枚のアルバムをミキシング、マスタリングしていたこともあり、私達が求めるものを理解していると思ったのでお願いしました。
結果は90%以上満足していますし、彼の熟練の腕あってこそできた作品です。しかし問題は残りの10%、オンラインでのミキシング作業でした。本来は対面で作業すれば2分で終わる事が2週間かかりました。そして、当初イメージしていたモノとは少々違うけど今回はこれで良しとしないと着地点が見いだせないとも感じました。この経験から学んだことなのですが、いつでも煮詰まったら対面で共同作業できるエンジニアでいくべきだということでした。
諸々を考えた時、私達のサウンドや音楽コンセプトを理解していて腕のある対面可能なエンジニアは誰だろう?と考えた時、スタジオ・ネストの菊池賢治さん一択でした。彼はINTESTINE BAALISMやMAGOTY COKRPSE、DESPERATE CORRUPTIONなどを数多く手掛けてきただけでなく、CASBAHやGENOAなどのレジェンドも手掛けてきた経験豊かなエンジニアです。そしてDEFILEDのデモや初期作品のレコーディングも手掛けて頂いていたので、お互いによく知る仲でした。生々しさを残しつつ良い感じに仕上げて頂き大満足です。

-前作、前々作同様ダークなSFがコンセプトで、歌詞に関してはこれまで陰謀論的世界観で一貫していますが、ニュー・アルバムにおけるコンセプトと歌詞の世界観を詳しく教えてください。また歌詞を書く上で、影響を受けた作品や作家、アーティストを教えてください。

S: まず私達は楽曲の作風と歌詞はマッチしたものであるべきだと考えています。DEFILEDは精神病的、偏執狂的な楽曲ですので、それに見合った狂った世界観を体現した歌詞がよいな、という考えが元々ありました。前任ヴォーカルの藤本が在籍した頃はもっと人間内面の怒りや怨念というテーマが歌詞の主軸だったのですが、彼がバンドを退き私が歌詞も全面的に担当するようになってからは狂気、支配という部分だけを引き継ぎ、社会の裏に真の支配者がいるという世界観に徐々にシフトしていきました。
パラノイア的視点での世界観という意味では藤本のサイコロジー的視点の歌詞との連続性もあり、うまくソフト・ランディングできたのではと思っています。DEFILEDはスラッシュ・メタル/デス・メタルという範疇の音楽を長年やってきていますが、エログロは避けたい、血だ死体だ殺人だという歌詞も自分達にはマッチしないと思っています。そういうのも前任者の歌詞にちょっとありますが。
暗くて邪悪で禍々しいのは好き、狂っているのも大好きだけど、残酷で血なまぐさいのはNG、という気難しい嗜好だったので、陰謀論的な世界観に着地するのがピッタリだったのです。ホラー映画のようなものは一切観てきませんでしたし。やはり自分たちの中にないものを無理やり歌詞にする事はできないです。
何故、陰謀論的な世界観になったかですが、小学生の時から星新一の『ショートショート』にハマり、‘明るくない未来’という世界観に惹かれていました。中学2年生の夏休みの読書感想文の課題がいきなりジョージ・オーウェルの『1984』で当時は少々難解でした。そこで夏休みが終わる数日前にズルをして『1984』を映画化したモノをレンタル・ビデオで借りて観たのです。思想の自由のない監視社会というダークな設定が‘非現実’なファンタジーとして当時の私にはインパクトが大きかったです。
そして同時期に夢中で読んだのがSF小説で、アイザック・アイモフも古典SFをベースにするキッカケになったと思います。アシモフで『われはロボット』という名作があり、そこでロボット三原則というのが出てきます。この中のひとつに‘ロボットが人間を傷つけてはいけない’、というものがあり、アシモフ以降のSF小説、SF映画でも広く適用されたものです。そして少年期に『トロン』や『ブレードランナー』といった古典の王道から入れたので、割とリアルタイムに近くSFの系譜を追えたのが大きかったかもしれません。
その後、ディストピア的映画は映像技術の発展とともに増え、ジョージ・オーウェル的な世界観はお約束の規定路線になりましたが、非現実な世界として捉えられたことで大衆娯楽のテーマになったと思っていました。しかしインターネットのテクノロジーが進化するにつれ、確実にデジタル監視社会になりつつあると感じることも多く、割と現実と非現実が交錯するスリリングなテーマだなと意識しています。元々はハードコア・パンクやスラッシュ・メタルなどが大好きで社会的な切り口の歌詞も好きでしたので、リアルなソーシャル・イシューへの警鐘とも捉えることもできます。
長くなりましたが纏めますと、私達の歌詞はリアルでのデジタル監視社会への警鐘と、虚構のSF的陰謀論をブレンドした歌詞になっています。捉える人の意識やバックグラウンドで捉え方も変わるとは思いますが、人を傷つける歌詞ではあってはいけないという観点から注意深く書いてきたつもりです。

-新型コロナ・ウィルスによるパンデミックによる影響は歌詞にも反映されましたか?

S: パンデミックによって歌詞への影響はありました。当初よりかなりソフトに調整しました。元々はもう少し直接的表現も多かったのです。そのダークで狂った世界観のインスピレーションの多くは、中学時代に愛聴したアルバムDEMONの『The Plague』の世界観のオマージュから来ました。この作品のアートワークは静かに狂気を表現しているので、ぜひ見てほしいです。1981年から所謂、陰謀論はSFファンタジーの古典として存在していました。
パンデミック前なら「狂っているね。SFの古典だね?」と笑って済む話でしたが、パンデミック以降世界中が大きく傷つきました。あらゆる怪情報が飛び交い、人々は混乱し苛立ち分断されたとも感じます。
私達は誰に対しても傷つけたりトラウマになるような発信はしたくなく、ダークでブルータルであってもそれはあくまでエンターテイメントとしての範疇だという確固たるポリシーがあります。ですので具体的、直接的なワードを削り、抽象的なワードが増えました。以前からのダークな世界観は踏襲しつつ、古き良きSFの文脈上で仕上げたつもりです。
同時にバランスをとるためにクレージーに振り切った曲もあります。“Delusion”は、権威ある聖職者が実はレプテリアンというトカゲ人間で、人間の肉をこっそり食べているという話です。バカバカしいですよね? これは聖職者へのネガキャンとして作り出され都市伝説ですが、クレージーも振り切れば絵空事としてわかりやすく楽しめると思い、敢えてそのままにしました。しかしバチカンの教会が蛇の頭にデザインされていたり、元教皇が幼児の性的虐待で告発された事実もあるので、これも捉える人によっては際どいかもしれません。このテーマもEXHORDERの『Slaughter in Vatican』などからもわかるように、昔からメタルではポピュラーなテーマです。血なまぐさい歌詞が嫌い、といいつつ“Delusion”はちょっとだけ例外でしたね。
地底人の話やプレアデス、金星人の話もネタとしてはありましたが、今回のアルバムからは外れました。完全にファンタジーに振り切りすぎるのも逆に白けちゃいます。リアルとフェイク、ファンタジーの境界線、正気と狂気の境界線ギリギリを敢えて狙いたいという部分もありましたので。

-ジャケット・アートワークと、歌詞や音楽性の世界観が見事に合致していると感じます。ニュー・アルバムもこれまで同様にウェス・ベンスコーターによるものですが、彼に依頼した理由は?

S: 彼に依頼した理由は主に2つあります。第一にファースト・アルバム以来一貫して彼にアートワークを頼んでおり、それを貫きたかったというのがあります。第二に彼のアートワークがバンドのアルバム世界観にマッチするからです。
彼は東京に居住した時期が数年あり、そこで親交を深めました。最初に出会ったのは東京で彼の個展があった時で、VADERの『De Profundis』のオリジナル画を間近で観た時は興奮しました。その後、MORTICIANの来日で彼がポスターを描き私は東京のライヴ・ハウスを押さえたり、という流れから絡みが出来ました。そして「東京に引っ越すぜ」と連絡があり、より仲良くなりました。何故か会合場所が毎回、週末深夜の六本木のパキスタン・カレー屋でした。そこでこんなクレージーなコンセプトがある、今手掛けているアートワークはやばいぞ、という話を夜通ししていました。
今回のアートワークは描き下ろしではなく、既存の絵から選びました。彼のインスタグラムに掲載されていてすぐに連絡したんです。ラッキーなことに歌詞はまだ修正できる余地があったので、アートワークとの整合性を考えて調整された歌詞もありました。“Inquisition”はまさにそうです。異端審問、魔女狩りがテーマです。アートワークの十字架と背後の炎で空が赤く染まっているところから閃きました。“Red World”のイメージも赤い空からのインスピレーションでした。
“Warmonger”のコンセプトもアートワーク下部に描かれている彼の自画像から閃いたものでした。『ウォーリーを探せ』ではないですが、彼のアートワークには彼自身がこっそり描かれているケースが多いです。『Infinite Regress』ではタコと綱引きしていましたし。そういう遊び心も素晴らしいです。
『In Crisis』『Towards Inevitable Ruin』『 Infinite Regress』はこちらのアイディアのラフ・スケッチを見せ、それを元に仕上げてもらいました。今回は描き下ろしではありませんが、奇跡的にバッチりはまったと思っています。今後も彼とのタッグは崩さずいけたらと思っています。

-最後に今後の予定を教えてください。

S: なるべく多くのライヴ活動をこなしていけたらと思っています。海外での活動も可能なら再開したいですが、まだ情勢的混乱の余波もありますので来年以降になるかもしれません。2020年の全ツアー・キャンセルのトラウマを引きずっているのもあります。ツアーが1本キャンセルになるだけでも関わっている多くの人が甚大なダメージを受け傷つきます。不条理ですよね。
欧米ではフェスやツアーが再開していますが、音楽ビジネスは戦争やインフレの影響もあり、まだ混乱しているようです。そういう中で無理して海外で活動しないという焦りはないです。いや、ちょっとはありますが、慎重に見極めていきたいです。
今は初心に戻り日本国内をしっかりとツアーしたいと考えています。
4月28日から5月10日まで日本全国をツアーします。東名阪京都はSCRAP TAMBOURINEとのダブル・レコ発で一緒に動きます。SCRAP TAMBOURINEのドラマーは元GIGATIC KHMERですので昔の話も沢山聞くつもりです。その後、6月のVADERと7月のEXHUMEDのジャパン・ツアーをサポートします。
日本各地の公演での共演バンドも間違いないカッコいいバンドばかりですので是非皆さん、ご来場ください。アルバムも是非聴いてみてください。ありがとうございました。

-ありがとうございました。


RELEASE INFORMATION

DEFILED

THE HIGHEST LEVEL

2023.05.03 Release
CD: DYMC-6089

-DEFILED-

デス・メタル発展期の1992年に東京で結成、活動歴30年を超える重鎮のひとつだ。かなり早い段階からCANNIBAL CORPSE等と交流を持つなど、日本国内外に囚われないインターナショナルな活動を展開。MAYHEMとのヨーロッパ・ツアー他、膨大な数のライヴ/ツアーをこなし知名度を上げてきた。’Thrash to Death’の流れを根幹に持ちつつ不協和音やプログレ的構成、複雑でトリッキーなリズム構成もブレンドしたテクニカルかつナードなスタイルが特徴。世界的にみても唯一無二の音楽性と存在である。

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