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~白昼堂々踊レ人類のピロートーク~ vol.3

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横浜〜東京のライブハウスシーンを中心に、そのキャラクターと演奏力の高さで話題を呼び、3月には初の全国流通盤リリース、4月にはワンマン公演も控える白昼堂々踊人類。”落語の枕”ならぬ、”白昼堂々踊レ人類の枕”と称して、そんな彼らの出会いやアルバム『真打』収録楽曲について紹介してゆく連載が2024年2月よりスタート。メンバーそれぞれの個性あふれる内容を是非お楽しみいただきたい。
隔週木曜日更新。

文:ボンド (白昼堂々踊レ人類)
編集:清水千聖 (OTOTSU編集部)


人間、昔も今もあまり変わらないものだと沸々感じるものでございます。

冬もまた、例年変わらず身を震わす侘しさを、我々に思い出させるような。
そんな役目を担っているのでございましょう。

さて、幾年か前。
その時私は冬の季節。
その時私は少年だったと記憶してます。
そして止むことのない雪も確かに記憶しております。

友人と呼べるかは微妙な距離感の、
いわばクラスメイトと雪合戦を嗜んでおりました。
雪を固めて敵に向かい投げつけるという、恥ずかしながら野蛮な遊戯に興じていたわけでございます。

合戦も佳境。
城下町に生まれた私にとっての冬の陣。
雪に足を取られ、側溝に落ちた私は、
恥ずかしながら膝を強打しました。
顛末を話すのが美徳かはさておき、
私の膝の皿は砕け散っていたのであります。

這い上がった少年。激痛。
私は途方に暮れました。
足りない頭で考えるのでありました。

その1
このまま歩いて帰ろう。
その2
駄菓子屋の公衆電話まで行き祖父に迎えに来てもらおう
その3
おおよそ暖かいであろう町民に助けを乞おう
その4
その場で動かず、時が過ぎるのを待とう
その5
友人におぶってもらおう

足りないながらもなんと充実した選択肢か。
我ながら賛辞を送りたいところではございましたが敵わず、それは惨事と呼ぶべきでございました。

友人は先に帰り、電話をかける金もなく、動かなければ凍死をするのが我が都東北。町民に話しかけるのは人見知りの私には死よりも苦しいものでございました。

歩いて帰ろうとするものの、膝が割れた学生。
歩けるはずもなく、真っ白な雪の中、泣きながら匍匐前進をして帰宅した次第でございます。

上に挙げた5択を皿に並べるとは綺麗な表現ではございますが、こと懸命な読者に至っては「御託(5択)はさておき」と言いたいのは伝わっております。

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