2023年夏、ソロ作品では初となる全国流通アルバム『The Unforgettable Flame』をリリースし、その後も会場限定盤・自主制作音源のサブスク解禁や新曲の配信リリース、2024年3月には同アルバムのLP化など、活発な活動を続ける岡山健二(classicus / ex.andymori )。そんな彼にとってひとつの節目を迎える2024年、OTOTSU独占で岡山の音楽人生の振り返りと今後を深堀りしてゆく新連載が、2024年1月からスタート。
毎月第4木曜日更新 / 全12回予定。
文:岡山健二
編集:清水千聖 (OTOTSU編集部)
2010年の12月から2014年の10月までandymoriのドラマーだった。そのうち、2013年の夏頃から1年ほどバンドは活動していなかったので、演奏していたのは3年くらい。
2010年の11月、知り合いから、andymoriがドラムを探しており、岡山君を紹介していいかと聞かれ、「いいよ」と言ったものの、2週間ほど何の連絡もなかった。
その間、自分はTEAM VERYSとSTANCE PUNKSのライブで、てんやわんやしており、でも、そのようにandymoriの話が持ち上がっていたので、音源を聴き出したりもしていた。
しばらくしたら、Vo.Gtの小山田壮平(以下 : 壮平さん)からメールが来た。細かい文面は忘れたけど、大体は「こんにちは、小山田です。岡山君とスタジオに入るという話があったけど、今後サポートしてくれるドラマーが決まりそうなので、今回の話はなかったということでお願いします」といった内容だった。
普段だったら「そうですか、わかりました」くらいで返信するのだけど、自分はその時は珍しく「せっかくなんで、1回くらいスタジオに入りませんか?」と送り返したのだった。
でも、それはできないと言われたので、まあ、仕方ないかと諦めて、数日過ごしていた。
そうこうしているうちに、友達が出演するイベントに壮平さんが弾き語りで出るという話を聞いたので、挨拶くらいしに行こうと思い、観に行くことにした。
新宿の古いビルの地下のライブハウス。楽屋へと続く、うす暗い階段の1番下から数えて2〜3段目に腰かけて壮平さんはギターを弾いていた。どう話かけたかは忘れたけど、「君か!その節はすまなかった」といったことを言ってくれた。
メールでの印象と違ったのか、髪も長く、革のジャケットを着ている(身長も180cmある)自分を見て、少し驚いている様子だった。そうして、いろいろ話しているうちに、どうやら同じ街に住んでいることがわかり、「今度遊ぼうよ」という話になった。
数日後、家にいたら、壮平さんから「今から家に来ないか」とメールが来て、自転車で向かった。しっかりとした鉄筋コンクリートの6階にある小さなワンルーム。
ウィスキーを飲んだり、タバコを吸ったり、ギターを弾いたりした。1人暮らしの部屋で、あんなに大きな声で歌う人は、それからも出会ったことはない。その時に「andyじゃないにしろ、何かで音楽を一緒にできたらいいね」という話をした。
井上陽水の『長い坂の絵のフレーム』という曲を教えてもらった。
そこからの記憶は曖昧なのだけど、たしか次は、ドラマーが脱退する直前のandymoriを下北沢の小さなライブハウスに観に行ったのだった。
お客さんや演者で溢れかえっているフロアの中、壮平さんから藤原寛(以下 : 寛さん)を紹介してもらった。
そして、どういう流れかは忘れてしまったのだけど、気付いたら、後日、壮平さんと寛さんと自分の3人でスタジオに入るということになっていた。
街の小さなスタジオで、7〜8曲演奏した。
マネージャーとカメラマンもいた。
30分ほど演奏してロビーに休憩しにいった時に「andymoriのメンバーになってよ」と言ってくれたのだった。
この日のスタジオのことはよく覚えている。
壮平さんのギターを手にした立ち姿のカッコ良さ、寛さんの何を弾くでもなく鳴らしていたベースの音のなめらかさ(心地よい音だったので、自分は数秒後にはベースに合わせてドラムを叩き出していた)この素晴らしい光景も、永遠ではないんだなと思ったこと。
そんな風にして、andymoriでドラムを叩くことになったのだけど、そうなったらそうなったで、自分はいろんな人を裏切る形となってしまった。
「andymoriに新ドラマー岡山健二が加入」とネット・ニュースにもなっていたみたいで、周りはびっくりして連絡をくれたりしたけど、自分は、突如入り込むことになった新しい環境と、ずっと一緒にやってきた人たちへの申し訳なさで、なかなか大変な心境だった。

そこからの日々は目まぐるしかった。
2010年12月2日、下北沢SHELTERでandymoriとしての初ライブ。月末には、大阪でRADIO CRAZY、幕張でカウントダウンジャパン。
その間に、TEAM VERYSのワンマン、STANCE PUNKSの名古屋遠征があり、自分はその辺りで、いろいろと抱え切れなくなったのか、急性胃腸炎になってしまいダウンした。(ライブは何とか行なった)翌日、名古屋から東京へ車で戻る。あんなに辛く長い帰路はそれ以降ない。
12月いっぱいでTEAM VERYSを脱退。STANCE PUNKSのサポートも1月で終了。
それと並行して、andymoriでの撮影や、プリプロ(レコーディングのための前準備)あとは、この時期に、自分が参加する前のandymoriの作品がCDショップ大賞を受賞したということで、授賞式に出席することとなり、記者にコメントを求められたので、「あまり音楽に関心のない父親も、これで少しは関心を持ってくれるかもしれない」といったことを言ってみたら、なぜか自分が話している様子だけが、朝のニュース番組で放送されるということが起こったりもした。
2月、代官山UNIT、恵比寿LIQUID ROOM、Zepp Tokyoでライブ。自分がそれまで憧れてはいたが、到底手の届かなかったステージ。
山中湖サウンド・ヴィレッジにてプリプロ合宿。エンジニアにドラムのチューニングを褒められ、うれしかった。
3月、3rdアルバム『革命』のレコーディングが始まり、数日経った3月11日、東日本大震災が発生。ものすごい揺れで、全員スタジオの外に飛び出すも、自分は地面がうねるような感覚に酔ったのか具合が悪くなってしまい、しばらく車の中で休んでいた。
レコーディングは2日ほど中断したと思うのだけど、記憶は定かではない。電気も使えなかったので、録音作業を行っていた河口湖スタジオに併設している宿泊施設で、ロウソクの灯りで夜を過ごす。身体が冷えるからと、焼酎のお湯割りで暖を取ったりしていた。
レコーディング再開。アルバムの曲とは別に、壮平さんが作りかけだった曲を、その2日間ほどの間に詞曲を完成させており、急きょ録音することになった。この『兄弟』という曲の配信の収益は全て、東日本大震災の義捐金として寄付されることとなった。
東京に戻り、アルバムの歌録りや、ミックスチェック(音の確認)などを行う。震災後は、節電という言葉が本当によく飛び交っていた。
3月末、恵比寿LIQUID ROOMで対バンライブ。バンドもお客さんもとても静かなムード。4月、5月、ワンマンツアー、MV撮影。6月、アルバム発売。インタビュー、ラジオ出演、ラジオのコメント録り。7〜8月 夏フェス。フェスシーズンが終わると、秋から改めてアルバムのツアー。
ほんの数ヶ月で、自分を取り巻く環境が変わってしまった。アルバイトをする必要もなくなり、はじめて、まともな部屋で一人暮らしができるようにもなった。
ずっと住んでいた街を離れ、少し遠くの街に住むことにした。(数年後には、また戻ることになるのだけど)たぶん、それまでの自分と決別したかったのだろう。
親しかった仲間たちとも、あまり会わなくなっていった。
何もない日は、家でギターを弾いて歌っていた。
14才くらいから、いろんなことを無理し続けて、背伸びしてきた自分に、ようやく”たまの休み”といったものが生まれた24才の頃。
でも、バンドはずっと忙しかった。
andymori『革命』
1.革命
2.楽園
3.Weapons of mass destruction
4.ユートピア
5.スーパーマンになりたい
6.ダンス
7.ボディーランゲージ
8.Peace
9.無までの30分
10.Sunrise & Sunset
11.投げKISSをあげるよ
andymori『ダンス』
壮平さんの弾き語りを観に行った日、1曲目に歌っていたのが、この曲だった。
写真は、「革命」のプロモーション用CD。デザインが可愛くて気に入っており、製品版は知り合いにあげてしまい持っていなかったが、このプロモ版だけはずっと手元に置いていた。



2010〜2011 LIVE
2010.12.02(木)
The SALOVERS 自主企画”ゆうたくんのホットナイトパーティー”/下北沢 SHELTER
2010.12.10(金)
Kulu Kulu Garden presents “SHALL WE (NOT) DANCE? Vol. 2″/渋谷 O-Nest
2010.12.30(木)
FM802 ROCK FESTIVAL “RADIO CRAZY”/インテックス大阪
2010.12.31(金)
rockin’on presents “COUNTDOWN JAPAN 10/11″/幕張メッセ
2011.01.20(木)
CDショップ大賞 授賞式/Shibuya WWW
2011.02.04(金)
おとぎ話4TH ALリリース”HOKORI HISTORY ツアー”/新代田 LIVE HOUSE FEVER
2011.02.05(土)
GGTV presents”GG UNITED vol.1″/代官山 UNIT
2011.02.11(金・祝)
“version21.1 third”/東京 Zepp Tokyo
2011.02.14(月)
MUSICA presents”VALENTINE ROCK――愛のロックを鳴らそう”/恵比寿LIQUIDROOM
2011.03.29(火)
“killing Boy tour ~Frozen Music~”/恵比寿LIQUIDROOM
2011.04.26(火)
“Qure Nite Varra Valom 1 -Launch Party-“/Shibuya duo MUSIC EXCHANGE
2011.04.29(金・祝)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/新潟 Live Hall GOLDEN PIGS RED STAGE
2011.04.30(土)
“OTO NO MORI”/仙台市勾当台公園野外音楽堂
2011.05.03(火・祝)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/福岡 DRUM LOGOS
2011.05.05(木・祝)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/広島 ナミキジャンクション
2011.05.06(金)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/高松 DIME
2011.05.08(日)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/米子 AZTiC laughs
2011.05.11(水)
踊ってばかりの国 “SEBULBA TOUR”/神戸 太陽と虎
2011.05.13(金)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/大阪 なんばHatch
2011.05.14(土)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/京都 磔磔
2011.05.21(土)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/名古屋 ElectricLadyLand
2011.05.22(日)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/浜松 Live House 浜松 窓枠
2011.05.27(金)
andymori ワンマン”春の楽園”ツアー/東京 SHIBUYA-AX
2011.05.29(日)
“ROCKS TOKYO 2011″/新木場若洲公園
2011.06.04(土)
au by KDDI PRESENTS “FLYING POSTMAN LIVE GO!NEXT5″/札幌 Sound Lab mole
2011.06.09(木)
STANCE PUNKS presents “ロックの日 vol.12 ~SAVE THE NIPPON~”/川崎 CLUB CITTA’
2011.06.11(土)
rockin’on PRESENTS “JAPAN CIRCUIT vol.49 WEST ~山崎共闘編~”/大阪 なんばHatch
2011.06.17(金)
“第6回 東京うたの日コンサート”/shibuya CLUB QUATTRO
2011.07.03(日)
GEEKSTREEKS&ピストル・ディスコpresents “Collect Disco VOL1″/渋谷 aube
2011.07.06(水)
DJやついいちろうpresents “七夕ナイト GOLDEN HITS リリースツアー”/Shibuya O-EAST
2011.07.07(木)
フラワーカンパニーズ “シリーズ・人間の爆発”/shibuya CLUB QUATTRO
2011.07.17(日)
“AOMORI ROCK FESTIVAL ’11 ~夏の魔物~”/つがる地球村 円形劇場
2011.07.23(土)
“SETSTOCK’11″/国営備北丘陵公園
2011.07.31(日)
“RockDaze!2011 -druming-“/福岡DRUM LOGOS
2011.08.09(火)
“Talking Rock! FES.2011″/大阪 なんばHatch
2011.08.13(土)
“SUMMER SONIC 2011″/幕張メッセ
2011.08.18(木)
“アナログフィッシュ×andymori”/shibuya CLUB QUATTRO
2011.08.27(土)
“SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2011″/山中湖交流プラザきらら
2011.08.28(日)
“ARABAKI ROCK FEST.11″/エコキャンプみちのく
2011.09.11(日)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/名古屋 CLUB Diamond Hall
2011.09.17(土)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/大阪 Zepp Osaka
2011.09.19(月・祝)
3rd album ”革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/広島 CLUB QUATTRO
2011.09.21(水)
TOWER RECORDS高知店10th×楽器堂30th presents “NO MUSIC,NO SARY”/高知キャラバンサライ
2011.09.24(土)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/新潟 LOTS
2011.09.25(日)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/仙台 Rensa
2011.09.28(水)
バックドロップシンデレラ 3rd Albumレコ発東京編 “渋谷でウンザウンザを踊る”/Shibuya O-WEST
2011.10.01(土)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/福岡 DRUM LOGOS
2011.10.02(日)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/長崎 DRUM Be-7
2011.10.07(金)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/東京 新木場Studio Coast
2011.10.09(日)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/札幌 PENNY LANE 24
2011.10.15(土)
3rd album “革命” 発売記念 ワンマン “秋の楽園”ツアー/沖縄 桜坂セントラル
2011.10.22(土)
“週末Diner vol.3 東京 第1部”/吉祥寺 CLUB SEATA
2011.11.04(金)
DaisyBar Autumn Fes.2011~ヒロ企画 “嘘が本当になる日 vol.4″/下北沢DaisyBar
2011.11.05(土)
早稲田祭2011″UBC-jam vol.25″/早稲田大学
2011.12.29(木)
FM802 ROCK FESTIVAL “RADIO CRAZY”/インテックス大阪
RELEASE INFORMATION
The Unforgettable Flame (CD&LP)
岡山健二
CD 2023.08.02 Release
LP 2024.03.20 Release
monchént records
Price:
CD 2,200 yen (tax in)
LP 4,500 yen (tax in)
★ブックレットに書き下ろしライナーノーツ掲載
★ディスクユニオン&DIW stores予約特典:
オリジナル帯
Track List
Side A.
01. intro
02. 海辺で
03. 名もなき旅
Side B.
01. あのビーチの向こうに空が広がってる
02. 軒下
03. 永遠
04. My Darling

LIVE INFORMATION

ARTIST PROFILE

1986年 三重県生まれ。12歳でドラムを始め、のちにギターとピアノで作曲を開始。19歳の時に上京し、2011年にandymoriでデビューを果たす。2014年、同バンドの解散後は、自身のバンドclassicus(ヨミ:クラシクス)を結成し、コンスタントに音源を発表。現在はソロ活動と並行し、銀杏BOYZ / miida / 横沢俊一郎などのサポート活動や、様々なアーティストの音源参加なども積極的に行っている。
【Official SNS】
岡山健二 Official SNS / リリース一覧
https://monchent.lnk.to/kenjiokayama
Classicus
Web Site
https://www.classicus.tokyo/
YouTube
https://www.youtube.com/@classicusofficialchannel186