RAY presents「Destroy the Wall」開催記念 特別企画
第二弾は、以前レビュー200枚突破を記念したインタビューも掲載した、RAYメンバーの内山結愛レビューシリーズ特別版「downy の『第三作品集『無題』』を聴いてみた編」をお届けします!
こんばんは、内山結愛です。
8/18(日) 渋谷CLUB QUATTROで開催のRAY presents「Destroy the Wall」に向けて、出演バンドのアルバムを聴いてみたシリーズ!
今回は downy の『第三作品集『無題』』を聴いてみた編をお届けします。
ミニマルでありながら緻密に作り上げられたグルーヴ、静かで激しいストイックな演奏、神々しい歌声からこぼれ落ちる突飛な語彙。
打ち込みは一切使わず、人力のリズム隊によって”エレクトロニカをナマで体現”された一枚。
ぜひ、読んでみて聴いてみてください!
1.鉄の風景
金属の鳴き声と古びたオルガンみたいな音。ギター…?downyさんにしか出せないこの何とも言えない不穏さに飲み込まれていく。一度入ったら抜け出せない。0:44〜イヤホンの接触不良かと思った。格好良い…。正確なリズムを刻むビート、凄く機械的なのに打ち込みは一切使ってないらしく恐ろしい。2:47〜今何が起こって、何の音が鳴っているのかわからない。ロビンさんの抽象的な歌声に生気が無くて、ひんやりする。
2.アナーキーダンス
圧倒的ヒリつき。痺れる格好良さ。ドラムとベースのボス感ヤバい。この複雑なリズムをどうしてこんなに正確に刻めるの…これが「エレクトロニカをナマでやる」ということか。得体の知れない何かがすぐそこで蠢いているようなギターノイズ、怖くて格好良い…。言葉が音の一つになって、言葉の意味が音に溶けていく。歌詞読んだら日本語で驚いた。「左からの暗闇が肋骨の隙間から夜に侵入するんだ。」という歌詞、どう生きたらこんな言葉を組み立てられるんだ…好き…泣。3:14〜恐ろしい緊張感はあるのに安らぎもある。終盤、「アナーキーダンス」と延々と繰り返すところ、冷たい狂気を感じて好き。
3.抒情譜
民族的。とても暗い。ロック史上最も死に近づいたと言われるJoy Divisionの音楽を思い出した。ピアノの音がひどく悲しい。ファルセットで細切れに単語を発するようなボーカルも、感情をどこかに置いてきているようで、集中して聴いていると悲しみの渦に引き込まれる。こんな悲しそうなギターの音があるんだ…
4.形而上学
アンビエントみたい。灰色の世界。0:31〜ジリジリと生まれるリズムが繊細。ロビンさんの日本語を英語のように発音するような歌唱めちゃくちゃ格好良い。1:40〜度々登場する自分の知らない音。リズム隊が本当にストイック。2:02〜不穏なレジ打ちみたい。ロビンさん語彙炸裂していて、本にして読みたい。ぽつりぽつりこぼれ落ちるように言葉をこぼすような歌と、ビートが常に噛み合っていて気持ち良い。
5.暁にて…
邪悪な音…興奮する。ギター、恐ろしい怪物のような音を出していて素敵。飼い慣らしている。0:58〜ギターがふっと急にいなくなって訪れる静寂にドキッとする。ほとんど囁き声で歌っている。今回ばかりは流石に英語だと思って歌詞を見たら全然日本語だった。downyさんの歌詞の中における「色」って相当重要な役割を担っている気がする。それにしてもバンドメンバーに映像担当が居るの凄すぎる。映像が見える音楽。
6.「 」
自分の今居る場所の環境音(それにしては怖すぎる)なのか音楽なのかわからなくなる。ロビンさんのお告げのような囁き声。初めてライブを観に行った時、歌うロビンさんの姿、声を聴いて「嗚呼…神様…」ってなったことを思い出した。
7.苒
ギターのアルペジオ大好きだけど、こんな哀しげなアルペジオは聴いたことがない。downyさんの楽曲タイトルや歌詞の中で初めて出会う漢字とかある。勉強になる。リズムが打ち込みのように正確で、人力であることを思い出すたびにゾッとする。徹底して削ぎ落とされた人間味。終始神様ボイスで祈りを捧げるほかない。2:02〜静電気を纏うようなノイジーなギター…ギター…!?たまにギターがギターじゃない音を出している。ダークな旋律。
8.月
温かさや丸みのあるオルガンのような音。その後ろで何らかの化け物が吠えている。神様ボイスのロビンさんが息絶え絶えに降臨。正確に発音しきらない日本語が神々しい。臓器が出てくる歌詞、好き。「昼が割れると肺が痛い…。」って凄…!?!?語彙力に憧れてしまう。ひたすらに不穏。3:40〜悲しい…ドラムの入り方バグっていて格好良い。変拍子にも程がある。と何回も思っている。映像と一緒に聴きたい…
9.酩酊フリーク
ドッシャンガッシャンしてる演奏格好良い。fresh!のサックス奏者、中村浩さんが参加して再録された曲。空に吠えるサックスのいつ暴走してもおかしくない感じ、耳が離せない。これまでにないくらい力強い歌声に心ガチガチに掴まれた。即興ジャズセッションみたい。1:52〜ギターのノイジーっぷりと、各楽器の荒々しさがぶつかり合って、とんでもない空間が出来上がっている。これは流石に英語と思ったら「無頼一閃!!︎」だった…
10.山茶花
ボーナストラック。ドラムの正確さ、もはや尊敬。ベースがゴリッゴリ。繰り返しの中でどんどん不穏さや妖しさに説得力が増していく。2:10〜好き。緻密に作られた「静」のターン、鳥肌。「アスピリン」という言葉を初めて知った。人が不安な気持ちになるフレーズを生み出す天才…
■バンドについて
downyは2000年に結成された日本のオルタナティブ/ポストロックバンド。2004年に活動休止し、2013年に再始動。当時のメンバーは青木ロビン(Vo.,G)、青木裕(G)、仲俣和宏(B)、秋山タカヒコ(Dr)、zakuro(映像)。2018年に青木裕が逝去。以降SUNNOVA(Samlper/Synth)がメンバーとして加入。バンドで映像担当がいるのは珍しく、音楽と映像を融合させたライブスタイルのパイオニア的存在とされる。
本作は2014年にリリース。廃盤になったが再発が待望され、リマスタリング&ボーナストラック付きで再発された作品であり、秋山タカヒコ氏が加入しての初の作品でもある。リマスタリングはオリジナルメンバーであった青木裕が担当。全アルバムに作品タイトルが存在しないため、タイトルを表記しなければならない時は、「第〇作品集『無題』」と表記されている。
■downyとRAY
・RAYの青木ロビンさん制作曲
①「火曜日の雨」
②「KAMONE」
結成年が自分が生まれた年だとなんか嬉しいな……
2000年からこうして今まで、独創的で他の誰にも真似できない音楽を作り続けていて本当に尊敬します。
こうして出会えて、一緒にライブができること心から嬉しいです。
本作はdownyさんの緻密に作り上げられた「静」の部分を存分に楽しめる内容で凄く引き込まれました。
でも、downyさんの凶暴でカオティックで、ギターがジャキンジャキンしているような曲もスーパー格好良いんだよな…困っちゃうね…
RAYに提供してくださった「火曜日の雨」は、そんなdownyさんの凶暴さが詰め込まれたRAYのカッティングエッジ曲!ぜひ聴いてみて欲しいです。
そして、RAYが8/18(日)に渋谷CLUB QUATTROで開催する主催バンド対バン「Destroy the Wall」、先日追加出演者発表されました。
なんと…MO’SOME TONEBENDERさんにご出演いただきます!!!!自分で書きながらずっと夢かもしれない…って思っています。
(ロビンさんによるとdownyとMO’SOME TONEBENDERの対バンは約20年ぶりだそうです…!!!!ヒャーー!)
次回で本シリーズ最後!
次回は MO’SOME TONEBENDER の『The Stories of Adventure』を聴いてみた編をお届けする予定です。
お楽しみに…!
最後まで読んでくださり有難うございました。
==イベント情報==
アイドルとバンドの壁を壊す
8/18(日)
RAY presents「Destroy the Wall」
渋谷CLUB QUATTRO
OPEN/START 16:30/17:15
前売/当日 4800円/5300円(+1D)
RAY
downy
明日の叙景
MO’SOME TONEBENDER
🎫前売発売中
w.pia.jp/t/ray-o/
※当日のRAY特典会はございません。物販のみとなります。