
fox capture planのニューアルバム『RESONANCE』は、これまでに数多く制作してきたフィーチャリングや共作曲を1枚に凝縮した魅力的な作品だ。「やけにSUNSHINE feat.おかもとえみ」やKeishi Tanakaとの「透明色のクルージング」など人気曲に加え、アニメ『青春ブタ野郎』シリーズのエンディングテーマの英語バージョン「不可思議のカルテ feat.Chihiro Sings」など、彼らの活動の柔軟さと音楽性の幅広さをまざまざと見せつける10曲入り。今年リリースしたシングル「Tailwind feat.THE CHARM PARK」と「偶然の一致 feat.ヒグチアイ」も収録した最強コラボベスト・アルバムについて、カワイヒデヒロ(B)、岸本亮(Pf)、井上司(Dr)に話を訊いた。〈後編〉
インタビュー・テキスト : 宮本英夫
写真:関口佳代
― カワイさん作曲の「不可思議のカルテ feat.Chihiro Sings」は、アニメ『青春ブタ野郎』シリーズのエンディング曲として大人気です。
カワイ今はTikTokですごいバズってるらしいですけど、これを録って出した時はまだそんなでもなくて、元々インストを先に録っていて、それに合わせて英詞バージョンでやろうかみたいな話だったと思うんですよね。
岸本『青ブタ』自体が海外人気が高いですから、それを本人発信でやってみようかという発想だったと思います。
カワイセルフカバーしたら面白いじゃないか?というころで、『DISCOVERY』(2020年)に入ってるインストのバージョンがベースになって、メロディの管楽器を差し替えて歌ってもらってます。うまいことエディットができました。
― これはアニメファンに刺さりますね。海外も含めて。
カワイ結構いろんな国で聴かれていて、SNSで海外の人から「歌ってみたから聴いてくれ」みたいな、音声ファイルを送りつけられたこともある(笑)。俺にどういうリアクションを求めてるのかわかんないんですけど、とりあえず「ありがとうございます」って返事しておきました(笑)。
― アニメファンは熱意がすごいですからね。国を問わず。
カワイ“この曲といえばこのアニメ”という結びつきができてるのは、すごくいいなと思ってます。でも『青ブタ』の第2期のテレビアニメのエンディングが「不可思議のカルテ」じゃないのは許さない、みたいな人をSNSで見かけて、嬉しいけど怖いと思った(笑)。前に流れていた曲のイメージを超えていくのってなかなか難しいから。
― さっき話に出た「イメージに合う音楽を考える」ということにも通じる気がしますね。曲の良しあしというより、合うかどうか。
岸本たとえば「Tailwind feat.THE CHARM PARK」は、CHARMさんのギターも含めて「この人の歌の感じだとこういう曲調が合いそうやな」というのが、なんとなく頭の中で想像できたんですね。fox capture planにはバンドのスタイルというか、サウンドがあるので、それを元にこの人とコラボしたらどういうアレンジが合うかな?みたいな、そこで色々アイディアをもらうこともありますし。「Tailwind」では英語の歌詞の部分をCHARMさんに相談したり、「偶然の一致」はヒグチさんから「自分が鍵盤を弾くパートが欲しい」という話があって、アイディアが増えて嬉しく思ったり、それを元にアレンジを考えたりしましたね。
― 司さん、思い出深い曲とかあったりしますか。
井上「Curtain Call」のMV撮影が真冬で、しかも外だったんですよ。めちゃくちゃ寒かった思い出があって。
カワイ夜中だったよね。
井上「Curtain Call」のレコーディングは、Yoshくんが当日歌を録りながら歌詞を書いてた気がする。テイクの合間に書いてて、めちゃくちゃ早かった。いい感じでした。
― 司さんにはコラボの流儀というか、心構えはあったりしますか。
井上僕はドラマーなので、そもそも誰かとコラボして形になるものが多いんですよね。自分のソロの時はバッキングという気分じゃないですけど、自分主体じゃなくてシンガーさんや他アーティストのサポートとして演奏する時は、バッキングのような気持ちでやる部分もあるとは思います。人によりますね。
岸本さっき、とあるストリーミングサービスの会社に打ち合わせに行ってきたんですけど、コラボレーション自体が世の中的に、サブスクの時代になってめっちゃ増えたなと感じる部分があったんですね。コラボレーションすることによって、相手のリスナーが来てくれることもあるし、そこで「fox capture planのやり方はすごく正しいと思いますよ」みたいに言っていただいて、音楽的にも影響を与え合って、実際の広がり方も間口が増えてくるとしたら、めちゃくちゃ素晴らしいことだと思います。
― fox capture planのように柔軟で幅広い活動をしているバンドには、うってつけの時代かもしれない。
岸本そうなんです、まさに。我々は元々、サントラとかコラボとかカバーとか、いろんな出し方でやってきているので。
― 可能性まだまだありますね。
カワイまだやれてないこともあると思うし、コラボレーションは人の数だけ無限にできると思うので、「我こそは」という人がいたらぜひ。
井上立候補してください(笑)。
カワイ常に面白い人とやりたいなっていうのはありますね。「こことここはあり得るな」みたいな、お客さんが想像できる組み合わせよりは、「そことやるの?」みたいなものが面白いなと思うので。この前、『tiny desk concerts JAPAN』で石川さゆりさんとコラボした時も、「俺らと石川さゆりさんでどうやんの?」みたいな、ぶっ飛びコラボレーションだったと思うんですけど、そういうのが面白いから、これからもやりたいなと思ってますね。
岸本今回のアルバムは、国内でメインに活動している人たちが多かったですけど、今後は海外アーティストにもどうやったら広げられるか?みたいな話を、さっきもしていたので。
井上海外アーティストと一緒にやって、その国をツアーで回りたいですね。
― 夢は広がります。その第一歩というか、2026年3月20日に東京・有楽町I’M A SHOW(アイマショウ)で、THE CHARM PARKさんとの2マンライブ『PLANNING 2026』が決まりました。
井上アルバムのリリースライブという形ですね。
岸本我々のワンマン中にCHARMさんのゲストコーナー作るという案もあったんですけど、やっぱり対バンのほうが面白いんじゃないかな?ということで、僕たちが以前から不定期開催している「PLANNING」というイベントがあるので、久々にその名前を使ってやります。まずCHARMさんのバンドセットでやってもらって、我々がやって、最終的にCHARMさんに入ってもらってコラボするという流れを考えているので、面白いものになると思います。そもそもCHARMさんのバンドセットライブを大阪で見た時に、すげぇかっこいいなと思ったから声をかけたという経緯があるので、うちらのファンの人たちにもぜひ見てほしいなと思います。
― 楽しみです。そして2026年はいよいよ、バンド結成15周年アニバーサリーですか。
井上そうなんです。記念イヤーです。あっという間に。
― どんな気持ちで臨みますか?
井上楽しんでやりたいと思ってます。1年通して15周年を盛り上げて、過去作の再発も予定しているので、2026年はけっこう表に出ていく年になりますね。
岸本劇伴も含めて色々出るんですけれども、15周年というのを前面に出して、記念の年ですよということでやっていきたいなと思います。
― 15年前にこんな未来を想像しましたか。こんなにいろんなことができるバンドになるとは。
カワイこんなに長く続くとは思わなかった(笑)。
― それぞれの出自も音楽性も違う3人が集まった、ユニットっぽい感じがあった気がしますね。当初は。
井上自分らもそんな感じでした。
― 何が続けさせたんだと思いますか? 15年の原動力というと。
カワイ何ですかね? 仕事が来てるからじゃないですかね。必要とされてるんだったらやります、みたいな。
井上言うと思った(笑)。
岸本でも、実際あると思う。たぶんそれがなかったら、「そういえば、そんなバンドやってたな」という感じになってたかもしれない。
カワイ集まる口実として、仕事が来てるから続いてるということはあると思います。
井上そのおかげで、オリジナル曲も進化したところがあるので。4th 「BUTTERFLY」あたりから特に。
岸本色々やってたのが良かったかなと思いますね。オリジナル作品もですし、依頼されて作る劇伴とか、他のレーベルのアーティストさんからアレンジを頼まれたりとか。いきものがかりさん、大森靖子さん、松下奈緒さん、ASCAさん、Shihoさんとか、めちゃくちゃいっぱいいたと思うんですけど。
カワイELTさんとか。
井上Uruさんとか
岸本めちゃくちゃいっぱいありましたし、こっちから歌ものに接近したり、多角的にいろんなところからやっていたからこそ、自分たちもfoxでできることが増えていったと思うんですよ。音楽的な技術も含めて、そういうところで常に血が巡っているから、ずっと続けられてるのかな?と思います。
― 来年の活躍を楽しみにしています。
井上年明けに新年会みたいなイベントをやるんですよ。『NEW YEAR MEETING』というトーク&ミニライブで、通常のライブとは違ってそんなに多くの方は会場に入りきらないかもしれませんが、ぜひ、遊びに来てほしいです。(※12/25現在、すでにソールドアウト公演)
岸本15周年イヤーなので、ワンマンライブも色々計画してます。
井上ライブはたくさんやりたいですね。
― 最後に、ファンのみなさんへメッセージを。
岸本『RESONANCE』は、ジャズやインストとかにあんまり馴染みのない人に届くアルバムだと思うんですね。近年はバンドといえばロックで、2010年代とかはそれが主流だったんですけど、それ以降はポップスが台頭してきて、今の日本の歌ものポップスを普段聴いている人もすごく楽しめるアルバムになったと思います。fox capture planという名前を初めて知った方にもぜひ聴いてほしいですし、3月20日のI’M A SHOWもすごく面白いライブになると思いますので、色々チェックしていただければと思います。
RELEASE

RESONANCE
fox capture plan
2025.12.17 RELEASE
CapturisM.
LIVE / EVENT

PLANNING 2026
出演: fox capture plan / THE CHARM PARK
公演日: 2026年3月20日(金・祝)
会場: I’M A SHOW
開場 17:00 / 開演 17:30
チケット代: 指定席 7,000円 / 指定席(U23) 5,000円
「指定席」「指定席(U23)」「ドリンク代別途必要」
3歳以上要チケット
一般発売日: 2025年11月22日(土) AM10:00~
(プレイガイド: e+/チケットぴあ/ローソンチケット)

