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カナダのスラッシュ・メタル四天王の一角: レイザーが、実に25年振りとなる最新スタジオ・アルバム『サイクル・オブ・コンテンプト』をリリース! 総帥デイヴ・カルロとの長編インタビューを敢行!

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ヴォイヴォド、サクリファイスらと共に、長年に渡りカナディアン・スラッシュ・メタル・シーンをリードしてきたレイザーが、25年振り(!)となるニュー・アルバム『サイクル・オブ・コンテンプト』をリリースする。80年代には日本盤もリリースされ、これまでに2度の来日も果たしていることからも分かる通り、ここ日本でもスラッシュ・メタル・マニアから高い評価を受けてきた彼ら。だが一方で、その歩みについて、日本語で詳細に語られたことはなかったのではないか。ということで、ギタリストでリーダーのデイヴ・カルロに色々と話を聞いてみた。とにかく喋りまくりのカルロ。気づいたらインタビューは1万字を悠に超える分量に。

An exclusive interview with RAZOR / Dave Carlo
Interviewed by: Mirai Kawashima (SIGH)

インタビュー・校正: 川嶋未来 (SIGH)


-25年振りのアルバムが発売になります。なぜ25年もの歳月を要したのでしょう。

デイヴ・カルロ (以下DC): まず、もともと俺は1992年にレイザーを解散し、引退したんだ。というのも、俺たちのプレイしていたスタイルの音楽は、80年代ほどの人気がなくなっていて、代わりにデス・メタルや、ストーン・テンプル・パイロッツやパール・ジャムのようなオルタナティヴな音楽が人気になっていた。それで、「誰も俺たちのことなんて気にも留めない」と思って、引退したのさ。知っていると思うけど、97年にレイザーはアルバムを一枚出している。だけど、その時にレイザーとして活動をしていたわけではないんだ。あれを作ったのは、92年の時点であれらの曲を書き上げていて、『Open Hostility』に続くアルバムになるはずだったのだけど、結局バンドを止めてしまったので、レコーディングされなかった。97年にシンガーのボブが、それらの曲を録音しないかと言ってきてね。彼は曲も気に入っていたし、歌詞も書いていて、さらにディールも取れると。それで、レイザーを復活させるわけではなく、ただそれらの曲を録音しようと。アルバムは作ったものの、その時点でも俺はレイザーを復活させるつもりはなかった。97年の時点でも、誰もスラッシュ・メタルに興味なんてなくて、ただボブと自分たちのコレクションのためにアルバムを作ったんだ。2002-03年頃になると、インターネットもハイスピードになったせいで、みんながレイザーを再発見するようになった。音楽がダウンロードできるようになったからね。それで突然レイザーについて色々と聞かれるようになり、ショウのオファーも来るようになった。最初は俺も断っていたんだ。それほど大したことだと思わなかったし。だけど、人気はさらに高まって、より良いオファーも来るようになって、「ちょっと待てよ、インターネットが新たなファン、若いファンを連れて来ているんじゃないか」と思ってね。09-10年くらいになると、もうちょっと真面目に受け止めてみよう、レイザーをまたやってみようと思い始めた。場所によっては、80年代よりも人気があるんじゃないかと思って。それでまたショウをやり始めた。日本にも行ったよ。確か11年だったかな。やがてみんながニュー・アルバムを聴きたいと思っていることにも気づいて、数年考えた結果、16年に新しいアルバムを作ろうと決めたんだ。もともとは17年にアルバムを録音するつもりだったけれど、色々あって遅れてしまった。ところで、答えは物凄く長くなりそうだけど、問題はない? 日本はもう夜だろう?

-いえ、私の方は問題ありません。

DC: オーケー。17年に南米のツアーをやったんだ。とてもキツい旅でね。5日間で5回のショウ。しかもすべて違う国。毎回飛行機での移動で本当に疲れ切ってしまい、みんな体調を崩してしまったんだ。年も年だからね。特に俺は酷くて、顔面の半分が麻痺してしまったんだよ。ベル麻痺というやつさ。さらにその後、帯状発疹にかかった。あれはとても痛いんだ。で、結局17年にアルバムを作ることはできなかった。18年にまた日本に行って、戻って来てから少し休みを置いた。そして俺は6週間でアルバムを書き上げた。それからまたいくつかショウをやって、ドラマーを替えて、でも結局また元のドラマーに戻して、だけどまだアルバムはレコーディングしたくなかったんだ。誰がドラマーになるかはっきりしなかったから。ドラマーも決まり、やっとレコーディングしようと思ったら、今度はパンデミックさ。20年の最初にちょうどレコーディングを始めたんだけどね。それでまた遅れてしまって、やっと1年前にみんなで集まって、アルバムを仕上げることができたのさ。

-今回リラプスからのリリースです。リラプスとの契約はどのように決まったのでしょう。

DC: レイザーの大ファンがいるんだよ。彼は手にレイザーのロゴのタトゥーを入れているほどのファンで、13年頃彼から連絡があって、レイザーの過去のアルバムをリラプスから再発しないかと。アメリカのレコード会社からリリースするのは良いアイデアだと思ってね。アメリカは良い出発点だから。仕事をしてみたら、とてもやりやすくてね。『Violent Restitution』、『Shotgun Justice』、『Open Hostility』を再発して、それでニュー・アルバムの話もしたのさ。

-ニュー・アルバム『サイクル・オブ・コンテンプト』について教えてください。特に過去のアルバムと比べた場合、どのような作品だと言えるでしょう。

DC: とてもレイザーらしいアルバムさ。過去のアルバムの中に入れてもまったく違和感がない。だけど、サウンドの面ではモダンなものになっていると思う。だけど、やり過ぎてはいない。オーヴァー・プロデュースにはしたくなかったからね。ロウでヘヴィでアグレッシヴ。やたらとオールドスクール、オールドスクールと言いたがる人たちがいるけれど、俺は85年みたいなサウンドにするつもりはない。彼らの気持ちはわかるけどね。バカバカしいだろ、もう40年も経っていて、テクノロジーも進化しているのだから、俺はそれを利用するよ。すでに1曲公開しているのだけど、一部のバカどもが、敢えてバカどもと呼ばせてもらうけど、そいつらが「ドラムマシンを使ってる」なんて言ってやがるんだ。そんなもの使ってねーよ。あれは俺たちのドラマー、ライダー・ジョンソンさ。ああいうことを言われると、本当に腹が立つ。くだらないウソを広めやがって。本当に洗練された耳を持っていれば、あれがドラムマシンではないことがわかるはず。

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