毎週水曜日 27時に放送、BAYFM 『78 musi-curate』の選曲を担当するdisk unionのプレイリスト番組。DJ/NEW WAVE伝道師のmoe the anvilによる選曲と、ピックアップした楽曲解説コラム「DIVE INTO NEW WAVE OTOTSU EDITION #7」をアップ。
【DIVE INTO NEW WAVE OTOTSU EDITION #7】
『DEVO:NEW WAVE界のミュータント人間』
O.Aリンク
78 musi-curate disk union zone | bayfm78 |
2023/06/21/水 27:00-28:00
https://radiko.jp/share/?sid=BAYFM78&t=20230622030000
DJ/音楽コラムニスト、平成生まれの70’s & 80’s NEW WAVE伝道師moe the anvil(モエ・ジ・アンヴィル)です。
bayfm『78 musi-curate』diskunionゾーンでは月1回、今みんなに聴いてほしいNEW WAVEアーティストにちなんだ色んなことを語っています。連動したこちらのコラムでは、放送後記やこぼれ話、プレイリスト楽曲解説などを気まぐれにお届け。
今回の放送では、NEW WAVEに欠かせない“ヴィジュアル・イメージ”が先行型なバンド代表としてDEVOを特集。
今更ではあるが、改めて深く考えれば考えるほど、まさにミュータントな発生形態を見せたバンドである。幾通りの文化的ルーツを持つNEW WAVEシーンの中でも、こうしてヴィジュアル表現をメインにした類では極めて元祖に近いコンセプトバンドだなと思うのだ。
なお現在ドキュメンタリーが製作中らしい。これも今更というか、やっとというか(笑)。今までいくらでもタイミングはあっただろうに、なぜ今なのか。さっぱり分からない。まさかスパークスにドキュメンタリーで先を越されることになろうとは。
話をDEVOのヴィジュアルコンセプトに戻そう。
今回の放送でも軽くご紹介したように、彼らがバンドのテーマをガチガチに決めてコスプレをして演奏するに至った経緯として、もともと創設メンバーのジェリー&マークがグラフィックアート出身で、その映像表現をバンドに持ち込もうと考えたから、という背景があった。
もっと言うと、この二人はともにケント州立大学を卒業後(マークは卒業できず中退)、就職もせず、仲良くグラフィック・アート・ショップを共同経営していた。そこで「退化理論」を題材にした短編映画を製作、そのBGMを作るためのバンドとしてDEVOは誕生したのである。必要に迫られて偶然に始まっただけのジョーク(?)バンドが、これほどロックの歴史を変えることになるなんて、当時の彼らは露知らず。すべてはノリと勢いと遊びの延長上だったわけである。
ほかのNEW WAVEのバンドたちみたいに、デビュー前からそっち系のシーンに入り浸っていて、そこでつるんでいた仲間とバンドを組んで、注目されて…とかじゃない辺りが、逆に周りの影響に左右されず、オリジナルな世界観づくりに没頭できた所以だったのかもしれない。
そして、放送でも話したように、この短編映画はアメリカで受賞、イロモノ好き(だけど自分では絶対にあんなコスプレはしない)なデヴィッド・ボウイに見初められ、スターダムを駆け上がる(因みに1978年デビュー作”Q: Are We Not Men? A: We Are Devo!”のプロデュースは様々すったもんだを経て当初のボウイからブライアン・イーノに変更になったが、ボウイはDEVOにご執心だったのか、度々レコーディングスタジオに出現していたらしい)。
DEVO自身、最初は映像制作で生計を立てたい所存だったそうだか、思いのほか音楽がかなり好評を博し“上手くいってしまった”感じだったようだ。
そうやって音楽でイケると調子に乗った彼らは、デビュー前からライヴ活動も頻繁に行っていた。電気洗濯機など、楽器じゃないもので尚且つ使い勝手の悪いものを楽器としてステージに持ち込む情熱的なパフォーマンスは伝説と化した。これを「ノイズバンドのハシリ」でもあるとする声があるが、音楽性としてのノイズ、というよりも、とにかく滅茶苦茶な表現に取り組むシュールさと熱意こそがDEVOの真髄であろう。やったもん勝ち精神の賜物。素晴らしく羨ましい時代である。
NEW WAVEにおけるヴィジュアル表現といったら、やはりPUNK以前にもニューヨーク・ドールズが存在したように、主にはグラム・ロックの流れなどを汲んでいたりするわけだが、グラフィック・アート界という出自にヒントを得たコミカルでアイロニーたっぷりな表現は、NEW WAVEの歴史を通じて見ても突然変異的。彼らはバンドの中で“ミュータント人間”を演じてきたが、DEVOという存在自体がすでに現実世界ではミュータントなバンドだったように思う。
moe the anvil
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10代から70・80年代Punk/New Wave/ニューロマンティックに傾倒したことをきっかけに2017年よりDJキャリアをスタート。 J-WAVE番組イベントへの出演等を経た後、2018年からはディスコミュージックを中心にプレイ、アンダーグラウンドシーンにおいても、大貫憲章、松田高志、DJ MIKU、牧野雅己といった元新宿ツバキハウスDJとの共演などを重ね、プレイスタイルに磨きをかけていった。その傍ら、延長に派生したと解釈するIndie Dance / Dark Disco / Leftfield等をプレイ。 現在、都内唯一のNew Wave イベントである”New Wave Lounge”を主宰、主要クラブや野外ダンスパーティーGLOBAL ARK等へ出演するほか、活動はフロアでのプレイに留まらず、ラジオ番組レギュラー出演・音楽コラム執筆を通し、平成生まれの後追い世代ならではの多角的なアプローチ、ノスタルジックな雰囲気を残したセレクトで、幅広い世代に今昔のNew Waveサウンドを伝道する。
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