2024年10月23日に、約8年ぶりのミニアルバム『Relax!』をリリースした<kiss the gambler>(かなふぁんのソロプロジェクト)。ネオ・ニューミュージックバンド<GOOD BYE APRIL>のソングライター・ヴォーカル倉品翔とは、伊豆・下田神社で開催されたフェスの共演をきっかけに知り合った。
今回は、倉品が昨年一番の衝撃を受けたと言う『Relax!』について「かなふぁんのソングライティングについて深く話しを聞いてみたい」と本人からのオファーで実現したソングライター対談で、倉品翔が故郷 長野・佐久のfmさくだいらでパーソナリティーを務める「GOOD BYE APRIL 倉品翔のREMEMBERS」で1月21日(火)に放送された内容を再編集したもの。Spotify Podcastと連動して前編・後編に分けて2週連続公開予定。
文:伊藤
編集:披岸
このインタビューは、先日開催された近藤康平氏の“絵描き20周年&40代ラストイヤー記念10daysライブ ”に別日程で出演した二人のライブ直後に実施された。かなふぁんは「(2日前に観に行った) 倉品さんと近藤さんのライブを観て一曲かいた」と、会場で初披露しリスナーを驚かせた。そんなお互いのライブを観にいき刺激を受けあったという二人のリアルな会話から、かなふぁんのソングライティングについて、倉品自身の曲の書き方と対比しながら深堀りしていく濃い内容となっている。
なお、二人の共演が2月16日(日)東京・Oji Music Loungeにて決定した。kiss the gambler『Relax!』LPレコード発売記念★ライブ&トークイベントと題し、二人の生演奏とトークが聴ける機会となっているので、本対談と合わせて是非チェックして欲しい。

ゲストコーナーは、今週と来週の2週に渡って、kiss the gamblerのかなふぁんさんに来ていただきました!よろしくお願いします。



よろしくお願いします!kiss the gamblerのかなふぁんです。



今日は(王子)music loungeで近藤康平さんのライブ・ドローイングとのコラボで、kiss the gamblerのライブを観させてもらって。めっちゃ良かったです!



ありがとうございます、来ていただいて!



感動しました!ちょうど2日前は、僕も近藤康平さんとやらしてもらって、それもかなふぁんさんが観に来てくれて。





私も倉品さんの回、近藤さんとのライブド・ローイングに感激しました。



しかも今日はmonaさんのフレグランスも入ってたので、五感が凄く刺激されました!



忙しかったですか?(笑)



(笑)情報がすごい!いやぁ、楽しかった。 色々な刺激をいただきました。かなふぁんさんとは、お話しをゆっくりしたことなかったんですけど、一方的に、昨年からkiss the gamblerの音楽が好きで聴いてて、こっそりと僕の番組や色んなところで曲をかけさせていただいてました。



ありがとうございます(笑)一昨日も倉品さんのライブで、倉品さんのファンの方から「ラジオで紹介されてて知ってます」って、たくさん声かけてもらえて嬉しかったです!



本当ですか?それは良かったです!昨年リリースされたミニアルバム『Relax!』という作品が、LPになったのが今月(2025年1月)ですもんね。今、手元にLPがあるんですけど、とにかく僕はこの作品が大好きで。





ええ!ありがとうございます。



昨年出会った作品の中で、三本指には絶対に入る。なんなら一番好きぐらい、衝撃だった。



ええ、そんなに?



本当に衝撃でした!せっかく2週あるので、普段は曲をどうやって作ってるんだろう?とか、気になっていることを色々聞いていけたらと。



私も聞きたいです。



まず、この『Relax!』 は制作期間で言うと、どのぐらい作ってたんですか?



曲を作ってた時期から言うと、2023年の9月頃から曲があって…2024年の冬、2月か3月くらいまで作ってた曲が入ってますね。



じゃあ、半年くらいですね。



その間に引っ越ししようと思ってて、その時の気持ちとかを入れてます。



まさに「新しい部屋」って曲は、そういう内容ですよね。僕も、色々とかなふぁんさんのインタビューを読んでて知ってました。 とりわけ、最初に聴いて一番衝撃を受けたのが「Winter of 96」です。本当に収録されている全曲好きで、それぞれ好きなポイントがあるんですけど、まず「Winter of 96」は僕が普段、日本の 80s ジャパニーズ・ポップスを凄い好きで聴いてて、その往年の名曲を聴いたかのような衝撃でした。メロディー やアレンジにもそう感じるんですけど、やっぱり、詞がすごい刺さりました。サビの詞が自分に言われているように励まされて、刺さったんですよね。 どの曲も本当に歌詞が刺さって、僕のラジオで一番かけているのは「Winter of 96」なんですけど…。



ええ、そんなに何回もかけていただいて、ありがとうございます。



(笑)何回か、かけちゃいました。年末のリメンバーズ一年の総集編の中でも、とりわけ印象的だった曲でかけさせてもらったりしてて…。曲の作り方で言うと、今作 はアレンジャーも、新しい方達と一緒にやってるじゃないですか?曲の作り方は、これまでの作品とは違う作り方だったんですか?



そうですね。これまでは一人のアレンジャーさんが、まるまるアルバムをやってくれて、ほとんどお任せでした。そのアレンジャーさんが私の弾き語りに音を足していく形で、あんまり雰囲気が変わらないようなアレンジの仕方もしてくださってて。でも、今回は弾き語りからちょっと外れて「新しいジャンルに飛び込んでみよう」みたいな思いがあって。色んなアレンジャーさんに自分が好きな曲を伝えました。



じゃあ、意図的に新しいチャレンジをしよう、みたいな?



そうです。



それは曲を作る段階で、幅を広げようって意識をしながら曲を作ってたんですか?



いや…曲を作るときは素直に、いつも通り作りましたね。



曲作りは、詞とメロディーどちらから作っているんですか?



テーマを思いつくまでは曲ができないんですけど、テーマが思いついたらピアノに向かって、歌詞を書きながらピアノを弾いて好きなメロディを探してます。



(詞とメロディ)ほぼ同時ってことですね。



そうです。ただ、テーマが決まらないと何ヶ月もなにもできないし、なにも作れない自分に嫌になる、みたいな性格です。



テーマがとにかく大事なんですね。



大事です。テーマが与えられたら良いんですけどね、だいたい与えられないので(笑)



(笑)例えばタイアップがあったら、それがテーマになるから作りやすいですか?



そうですね…。倉品さんの「Love Letter」(GOOD BYE APRIL)はドラマの主題歌ですよね。



そう。でも、あれは曲ありきで後からタイアップがついたので。



そうなんですか?



全然ドラマは関係なく作ってて…偶々それがハマってくれて決まったので、あまりタイアップのために作った経験がないんですけど。昔、舞台の劇伴を作った時に、舞台のストーリーありきで曲を何曲も作るみたいなことをしてました。だから、お題があると作りやすいって言うのは凄いわかります。



そうですよね。



自分の日常の中で、常にテーマは探してるんですか?



探して、る…(笑)



なるほど。でも、詞とメロディは同時なんだろうなと思ってました。やっぱり詞が、とにかく届いてくるから。僕らは曲を先に作っちゃうことが多いので、なんならアレンジが出来てから歌詞を書いたりしてるから、詞が最後なんですよ。



ええ… すごい!



かなふぁんさんの曲は、そういう作り方では届かない、歌詞の届き方するなと思ってて。ひょっとしたら詞が先なのかな?と思ってたんですけど、なるほどねぇ…。 でも、他のインタビュー記事を読んでたら、音楽を聴くときは割とメロディを聴く方というか、洋楽もお好きですよね?



はい、何を言ってるのかは、いつも日本語でもあんまりわからないです。



聴くときは僕もそうなんで。音で聴いちゃうんですよ、最初。



で、良い曲!って思って歌詞カードを見て、やっと内容がわかる。



そこは僕も一緒ですね。逆に、かなふぁんさんの曲を作る時の詞の引き出しって、どういうところから来てるんだろう?っていうのがすごい気になってて。



なんか、カフェとか入って、偶然そこに居たお婆ちゃんの話を全部メモったりして…あはは(笑)



なるほど(笑)



あ、面白いかもって思った時はメモって。別にそれを聞くためにカフェに行くことはないんですけど、偶々居合わせたやつを回収する(笑)



へぇ、確かに…曲からも、自分の日常だけじゃなくて、誰かの日常から紐解かれて、それが最終的に自分の感覚として曲になっている感じがする。まさに、このmusic loungeの近藤康平さんとのライブでも、僕のライブを観てくれて出来た新しい曲を演奏しくれましたね。 その曲にも、電化製品とか家電量販店が出てきたりして、身近な題材・体験が紐づいてくんだ…って思いました。



紐づけるのは後付けで、言葉が似てるものを、後で「ああ、似てるかも」みたいな感じに紡いでくんですけど。



へぇ~!



それを目指してるわけじゃなくて、本当に別々のものをガシャンコして、無理矢理繋げる。



それが凄いですね。



でも、それをやって「何言ってるか分からない」って思われる時もあって、全然別々のことじゃん!みたいな。だから綺麗に繋がる時は本当に少ない(笑)



ああ、そうなんだ。 でも、それが僕は好きですね。 「サラダステーション」って曲も、最初聴いた時に歌い出しの情景から、途中で“駅のホームで”…ってガラッと景色が変わっていくじゃないですか?



はい。



その違う景色がリンクしていく感じが、余白に感じました。



聴く人が繋げてくれる。



そう、こことここが繋がってるんだろうな、みたいな。繋がりも感じるし、孤独な日常の景色もあって。聴いてて余白を感じるところが、僕は好きなポイントでした。



ありがとうございます!



凄いな。何が僕はこの『Relax!』で一番衝撃的だったかっていうと、やっぱり詞でした。詞が、もう…。僕がディスクユニオンの冊子(いますぐ聴いてほしい オールジャンル 2024』)に参加させてもらって書いたディスク・レビューのお勧めしたい一枚に選んだんですけど…。



すごく素晴らしい文章でした!



いやいや…!僕、別に物書きでもなんでもないですけど、ただ、好きなところを書いただけだったんです。「かっこよくならなくていい」の“かっこよくなりたいなら ただ誰かを愛して かわいくなりたいなら ただ自分を愛して”って詞は、昨年一番衝撃を受けたくらい良い歌詞だなって。



ええ…!(笑)倉品さんは、かっこよくなりたいとか、思ったことはありますか?



いや、もちろん。見た目じゃなくて、人としては思いますね…。かっこいいとは何か?が難しいけど。でも、本当にそうだよなって、あの詞を初めて聴いた時にストーンって入ってきたから。 当たり前のようで、意外と当たり前じゃない。すごくシンプルなんだけど、本当にその通りだなと思って。 そういうフレーズが全曲にあるなと思いました。
意外な言葉が、たくさん散りばめられているじゃないですか?そのワードとしての面白さもあるけど、一曲の中に必ず心に残るフレーズがあって、それに凄く感動したんですよね。



ありがとうございます。



そういうところは、皆さんにも改めて歌詞カードとか見て欲しい。でも勿論、純粋に音だけでも楽しめる作品だと思うし、是非皆さんに聴いて欲しいって思います。
どうやって音楽を始めたか、とかも聞きたいなと思ってたので、それは来週に聞こうかと思うんですけど。まず今週は『Relax!』LPについて。いつリリースでしたっけ?



1月8日リリースです。



まだ出たばっかりですね。今、僕の手元にあるけど、ラジオではお伝えできないのが心苦しいぐらいのジャケットの質感と色味が可愛くて。Hooman Recordsという自主レーベルを立ち上げてから第一弾の作品ということで、じゃあ今週の一曲お送りしたいと思いますが、もう『Winter of 96』は沢山かけちゃったので、今日は『サラダステーション』をかけたいと思います。 music loungeのライブをさっき観させてもらって、とりわけ、近藤さんのイラストも含めて心に残った一曲なので。



ありがとうございます。



じゃあ来週も、かなふぁんさんにご登場いただきますので、よろしくお願いします!




RELEASE INFO




LIVE INFO


『Relax!』LP盤リリース記念
インストアイベント
2025年2月6日(木)19:00~
会場:ディスクユニオンROCK in TOKYO(渋谷)@dp4_diskunion
ミニライブ+サイン会
参加方法:観覧フリー
詳細はコチラ


『Relax!』LPレコード発売記念★
ライブ&トークイベント
2025年2月16日(日)
会場:東京・Tokyo Guesthouse Oji music lounge
出演:kiss the gambler、倉品翔(GOOD BYE APRIL)
開場/開演:17時/18時
チケット前売:3,900円 +2order 1,000円
詳細はコチラ
PROFILE


シンガーソングライター、かなふぁんによるプロジェクト。
⼦供の純真さと⼤⼈の深みその両⽅を兼ね備えた歌声、そして⽿から離れないポップセンスが特徴のソロアーティスト。 2018年より活動を開始し徐々に⾳楽ファンの中で知られていくようになる。過去3枚のアルバムをリリース。
数々のCM⾳楽、映画の主題歌を担当。2024年はテレビ東京『シナぷしゅ』の1⽉つきうたに楽曲提供、FUJI ROCK FESTIVAL ’24への出演、ミニアルバム『Relax!』の発表、武蔵野公会堂での初ホール公演を行った。


日本情緒を感じるオーセンティックなメロディを心地良いビートとスモーキーなトラックで包み込み、日々の暮らしに寄り添う普遍的な郷愁音楽を届ける長野県出身のシンガーソングライター<倉品翔>。2024年にシティポップの巨匠・林哲司のプロデュース曲でPANAM(日本クラウン)よりメジャーデビューしたネオ・ニューミュージックバンド<GOOD BYE APRIL>のヴォーカル・ソングライターとして活動。他にも様々なアーティストへの詞曲/編曲/歌唱提供を行い、ラジオ・パーソナリティやCMナレーション(長谷川京子出演 「N organic Plenum」TV/WEB CM担当)など多岐に渡り活動の幅を広げている。